ソフトバンクの「Pepper(ペッパー)」やデアゴスティーニの「Robi(ロビ)」など、ロボット製品がブームとなっている。近年、ロボット事業に参入するプレイヤーが増え、ビジネスに役立てようという動きが活発化している。

DMM.comでは、2015年にネット通販サイト「DMM.make ROBOTS」を立ち上げ、2016年5月現在、7種類のロボットを取り扱っている。その中の1つが、富士ソフトの2足歩行ロボット「Palmi(パルミー)」だ。DMM.make ROBOTSはもともと個人向けで始まったサービスなのだが、現在、Palmiの法人向けでの活用も進みつつあるという。

本インタビューの前編では、DMM.comが販売する2足歩行ロボット「Palmi(パルミー)」の概要と、法人向け展開の狙いを聞いた。後編では、より具体的な利用シーンについて、引き続き同社の岡本康広ロボット事業部長に話を伺った。

DMM.com ロボット事業部 事業部長 岡本康広氏

Palmiが情報のハブになる

―― Palmiではどうやってプログラムを開発するのでしょうか。

アプリの作り方は何種類かあります。まず簡易的なものとしては、「ちょっとコマンダー」という専用ツールを提供しています。用意されている動作を追加していくだけなので、プログラミングの知識がなくても、簡単にPalmiを喋らせたり動かしたりすることができます。より本格的な開発では、Microsoft Visual Studioベースの開発ツールが利用できます。法人向けでは、こちらが中心になります。

―― もし具体的な事例があれば教えてください。

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)さんとSansanさんで進めているのは、名刺管理システムとPalmiの連携です。Sansanの名刺管理システムは企業の営業活動に使われていて、営業担当者が交換した顧客の名刺の情報がクラウドに集約されています。ここで、Palmiはシステムのユーザーインタフェースとして活用されます。

たとえば、担当しているA社のBさんが異動になっていたとき、Palmiが営業に行くよう教えてくれます。また他の営業担当がA社の情報を取得していたときには、その人との情報交換も勧めてくれます。

―― ロボットがユーザーインタフェースであることの意味はあるのでしょうか。

パソコンから文字で表示されることと、ロボットから音声で伝えられることでは、伝わり方や印象が全く違うと思います。ロボットは、人間と機械の中間にある存在なので、アシスタントとして受け入れやすい。もっとも、どんな場合でもロボットの方が良いというわけではないので、そこは使い分けになるでしょう。

基本的なイメージとしては、1対1ではなく、1対nのコミュニケーションで考えています。音声で指示して音声で返事をしてくれると、その担当者だけでなく、近くにいるチームのメンバー全員に伝わります。

元々は、チームの中で情報を共有するのに良い方法はないかと考えていたんです。ロボットを使えば面白いんじゃないか、人と人の間にある"見えない壁"を壊せるんじゃないか、ということで、とんとん拍子で話が進みました。ロボットが仕事を奪うのではなく、人と人を繋げるきっかけになればいいですね。

―― 面白いですね。他にはどんな事例が進んでいますか?

サテライトオフィスさんと一緒に取り組んでいるのは、Google AppsやMicrosoft Office 365との連携ですね。ロボットをオフィスで使う場合、今はまだ受付業務くらいしか一般的ではないですが、我々はそれだけでなく、いろんなツール群と繋げていこうとしています。ロボットは、そういったソフトのハブになるイメージです。

サテライトオフィスの企業向けスマートロボット開発ソリューションページ

メールはもちろん、スケジュール管理系のグループウェアや、勤怠システムなどとの連携も可能でしょう。将来的には、さらにいろんなノウハウや仕組みを作り込んで、Palmiがコンサルタントのような存在になってくれるかもしれません。ソフトとの連携は、その第一歩ですね。

まずはロボット市場を広げたい

―― DMM.comは黒子役ということでしたが、収益はどこで上げるのでしょうか。

まずは、デベロッパーの利益を一番に考えています。何でもオープンにして、どんどんビジネスにしていこうという、Android型の戦略ですね。手数料のようなもので稼ごうとは思っていません。

今はまだ、ロボット市場はとても大きいとは言えません。DMM.comとしては、小さな市場の中でせっせと囲い込みをするのではなく、とにかくみんなで盛り上げて市場を大きくしよう、というスタイルで進めています。対等のビジネスパートナーとして、一緒にビジネスチャンスを作っていきたいと考えています。

―― 開発したアプリはデベロッパーが自由に販売できるのですか?

はい、アプリストアはまだ準備中ですが、自由に流通できるようになります。勘定奉行のようにパッケージ化すれば、いろんな人に使ってもらえます。月額の料金体系にすれば、導入しやすい形になるのではないでしょうか。ダイワボウ情報システムさんのようなディストリビュータにも期待しています。

―― デベロッパー向けの開発支援はどうなっていますか。

開発ツールはすでに無料で提供しています。またこれまでに何度か、無料の開発研修プログラムも実施しています。これから開発を始めたいというデベロッパーも多いでしょうから、パートナー支援制度はどんどん充実させていきたいですね。

―― 最後に、デベロッパーに期待していることをお願いします。

音声ベースのハブとしてロボットを捉えた場合、B2Bの法人ニーズは必ずあると考えています。ですが、DMM.comはもともと個人向けのビジネスが中心だったので、法人向けは弱い。サテライトオフィスさんのように、我々の考えを理解して、法人向けに提案してくれるデベロッパーの協力が欠かせません。

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我々は商品を宣伝してマスで売ってきた会社なので、プロモーションは得意です。黒子としてデベロッパーを支援していくので、ぜひキラーソリューションを生み出して欲しいと期待しています。

サテライトオフィス


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さまざまなビジネスモデルに最適なソリューションパッケージを開発し、ユーザー目線に立った戦略の企画・提案を行っています。業界No.1の導入実績を持つGoogle Appsをはじめ、Office365、Works Mobile、DMMの人型ロボット「Palmi」関連のロボットソリューションなど、クラウドコンピューティングに関わるビジネスの可能性を追求しています。
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