ロボットがブームだ。ソフトバンクの「Pepper(ペッパー)」やデアゴスティーニの「Robi(ロビ)」など、ロボット製品が大ヒット。Googleによるロボット関連企業の買収や、米国での災害対応ロボット競技会の開催など、今回のロボットブームは日本だけで無く、海外でも盛り上がりを見せている状況だ。
近年、ロボット事業に参入するプレイヤーが増え、ビジネスに役立てようという動きが活発化している。家電量販店や銀行など、Pepperはすでに各業種における接客で利用されているので、実際に店頭で目にした人も多いだろう。
DMM.comは2015年にネット通販サイト「DMM.make ROBOTS」を立ち上げ、ロボット事業に参入。2016年5月現在、7種類のロボットを取り扱っている。その中の1つが、富士ソフトの2足歩行ロボット「Palmi(パルミー)」である。DMM.make ROBOTSはもともと個人向けで始まったサービスなのだが、現在、Palmiの法人向けでの活用も進みつつあるという。
Palmiは、身長約40cm・体重約1.8kgの小型ロボット。独自開発のAIを搭載したコミュニケーションロボットになっており、顔認識機能でユーザーを記憶したり、音声認識機能で会話を楽しむような使い方が可能だ。自由度は頭部×2、腕部×8、脚部×12という本格的な構成で、表現力は豊か。歩いたり踊ったりすることも可能だ。
Palmiの法人向け販売にはどんな狙いがあるのか。どんな使い方を想定しているのか。DMM.comの岡本康広ロボット事業部長に話を伺った。
Palmiは"社用車"ではなく"パソコン"
―― ロボットの法人向け販売はいつから始まったのでしょうか。
昨年10月ですね。Palmiの開発環境をMicrosoftのVisual Studioに対応させて、デベロッパー向けに公開しました。我々も法人ニーズはあると感じていたので、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)との協業も開始して、いま、ロボットのB2B提供を一緒に進めようとしているところです。
―― どのようなビジネスモデルになるのでしょうか。
Palmiについては、基本的にデベロッパーが主体となって活動していきます。エンドユーザーに提案するのはあくまでデベロッパーなので、DMM.comはメーカーとして、それを支援する立場になります。我々は黒子という感じですね。
――法人向けではPepperが先行していますが、Palmiのアドバンテージはどういったところでしょうか
すでにPepperを使っているデベロッパーも多いので、リサーチしているときから、当然Pepperは意識しています。Pepperとの違いという点では、サイズとコストがあげられます。Pepperは等身大なので、設置できる場所が限定されてしまいますが、Palmiは"デスクトップ型"のロボットなので、机の上にも置けるし、持ち運びも簡単です。
Palmiはパソコンのような価格で導入できます。必要なのは本体価格だけで、月額のランニングコストはかかりません。社用車のようなコストが必要なら、支店全部に導入することは難しいですが、パソコンなら各部署でも買うことができます。とりあえず1台入れてはみたけれど、そこから先に広がっていない、というのが現在の状況だと見ています。
Palmiの強みは自発的なAI
―― 潜在的なニーズは多いと見ていますか?
ロボットがビジネスになるかもしれないと考えるデベロッパーが増えた印象はあります。今までWebの開発が中心だったけど、競合が増えて受注できる案件が少なくなってきた。じゃあ次に何をやろう…… となったときに、みんながわっと飛びついたのがロボットです。ただ、まだトライアル導入で止まっていて、大きなビジネスにはなっていません。
ロボットに興味がある法人が多いことは分かりました。でも、コストの高さや導入の難しさが障壁となって、実展開が進んでいない。我々はPalmiで、そういったところに攻めていこうと考えています。今後、ロボットのラインナップも増えていくので、様々なロボットを法人向けに……(と、ここでPalmiがなぜか金太郎を歌い始める)
――Palmiはずいぶんおしゃべりですね(笑)
Palmiは、富士ソフトさんの「PALRO」をベースに、個人向けにカスタマイズしたものです。Palmiがおしゃべりなのは、元々PALROが福祉や介護向けだったので、積極的に話しかけようという思考でAIが作られているからです。ロボットは普通、指示があってそれに答えるものですが、Palmiは自発的に聞いてくるAIになっています。
Palmiは画像認識で顔を覚えてくれるので、私が私だとちゃんと分かります。今までの会話の中で私の好みを知っていたら、私を見つけたときに、その情報についてインターネットで調べて教えてくれたりします。ロボット本体に強力なAIを持っているのが、Palmiの大きな特徴だと思っています。
またコメントを設定して、シナリオ通りにしゃべらせることもできます。ハウステンボスに今夏オープンする「ロボットの王国」の記者発表会が先日開催されましたが、このときはPalmiが司会を務めました。
――法人向けはDMM.make ROBOTSの立ち上げ時から考えていたのですか?
いえ、最初は全く考えていなくて、完全に個人向けでスタートしました。でも見方を変えると、企業も"個人の集まり"なんです。パソコンやインターネットも、会社で初めて使って、慣れてから個人的に使うようになった人も多いでしょう。企業で使われるようになると、もともと使わなかった人も使うようになる。そうやって個人向けに普及させたいという狙いもあります。
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本インタビューの前編では、DMM.comが販売するPalmiの概要と、法人向け展開の狙いについて、岡本事業部長に聞いた。後編では、より具体的な利用シーンについて掘り下げていく。
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