■多くの日本企業で慣例化されているPPAP方式

PPAP方式とは日本で主流となってきたファイルの送信法で、「Password付きZIPファイルを送ります/Passwordを送ります/Ango(暗号)化します/Protocol(=手順)」の略とされています。 つまり、パスワードを設定して暗号化したZIPファイルをメールに添付して送信する方法です。 日本では、電子証明書を使ってメールそのものを暗号化するS/MIMEなどはほとんど普及せず、ファイルを暗号化したZIPファイルをメールに添付するPPAP方式が主流になりました。 しかし現在、PPAP方式によるセキュリティ上の安全性が問題視されています。

■PPAP方式における問題点とは

たとえば、パスワードと添付ファイルをメールで送信する方法について、安全性を考えればパスワードは電話やFAX、郵送など別の手段で送信すべきでしょう。

また、昨今特に問題視されているのが、暗号化ZIPファイルにすることによってセキュリティシステムをすり抜けてしまう、あるいはセキュリティシステムにブロックされて受信できないといった問題です。 現在、多くの企業や公官庁、自治体でメールの内容や添付ファイルの中身を検査して有害なコンポーネントやファイル、マルウェアを除去する無害化システムを導入しています。 しかし、暗号化ZIPファイルは暗号化された中身を検査できないため、無害化できないまま受信してしまうか受信拒否するかの二択になってしまいます。

実際、マルウェアに感染したファイルを暗号化ZIPファイルで受信し、マルウェアの感染が拡大したという事例もあります。 つまり、暗号化されたZIPファイルを送ることが、結果的にセキュリティシステムを無効化してしまうのです。

■Microsoft 365でできるPPAP方式に替わる方法

現在、ようやく日本でも脱PPAPの動きが起き始めています。多く使われている方法としては、ファイルを保存したクラウドストレージへのリンクをメールで送信する方法ですが、この方法はMicrosoft 365でも利用可能です。 Microsoft 365のOutlookメールにファイルを添付する際、ファイルをOneDrive for Businessにアップロードすることで、受信者には添付ファイルそのものではなくファイルにアクセスするためのリンクが送信されます。さらにファイルへのアクセスにはSSLなどの暗号通信が使われます。

本稿では、脱PPAPの視点からMicrosoft 365のOutlookで添付ファイルを送信する方法を紹介します。

■Microsoft 365を使ったファイルの添付

Webアプリ版Outlookの場合、ファイルの添付形式は基本的に3つのパターンがあります。 まず、Microsoft 365にサインインしOutlookを開いてください。

(1)「新しいメッセージ」をクリックして、新規メールを開く
(2)クリップボタンをクリックして、添付メニューを開く
(3)適切なメニューをクリックして選択

添付ファイルのメニューは以下の通りです。

メニュー 説明
このコンピューターから選択 自分のPCからファイルそのものを添付します。従来のファイルの添付方法になります。
添付後に「アップロードして共有」に変更が可能です。
クラウドの場所から選択 OneDrive for Business(SharePointサイトやTeamsのチームも含む)
に保存済みのファイルから選択します。
ファイルそのものではなく、添付ファイルにアクセスするためのリンクを送信します。
受信者はファイルに対するアクセス権を持っていなければなりません。
アップロードして共有 自分のPCからOneDrive for Businessの「添付ファイル」フォルダーに
アップロードして送信します。
ファイルそのものではなく、ファイルにアクセスするためのリンクを送信します。
ファイルのリンクを知っていれば誰でもアクセスできます。

●このコンピューターから選択

「このコンピューターから選択」をクリックすると、Windowsのファイル選択画面になります。

(1)添付するファイルをクリックして選択
(2)「開く」ボタンで新規メールにファイルを添付

なおクリップボダンを使わずにファイルをドラッグした場合、自動的に「このコンピューターから選択」の状態になります。

●クラウドの場所から選択

「クラウドの場所から選択」をクリックすると、OneDrive for Businessのフォルダーが開きます。

(1)OneDrive for Businessのフォルダーから添付するファイルをクリックして選択
(2)「次」をクリック

(3)「OneDriveのリンクとして共有する」をクリックしてファイルを添付

このとき、「コピーとして添付」を選択すると、OneDrive for Businessに保存されているファイルを複製し、ファイルそのものを通常の添付ファイルとしてメールに添付します。

また、他社のクラウドストレージのアカウントを持っている場合、OneDrive for Businessのファイル選択画面から、他社のクラウドストレージのファイルを添付することもできます。

(4)「+アカウントを追加」をクリック
(5)使用するクラウドストレージをクリックして選択し、アカウント情報を登録の上添付するファイルを選択

●アップロードして共有

「アップロードして共有」をクリックすると、Windowsのファイル選択画面が表示されます。

(1)添付するファイルをクリックして選択
(2)「開く」ボタンをクリック

(3)「アップロード」をクリックして、添付するファイルをOneDrive for Businessにアップロード

●「このコンピューターから選択」から「アップロードして共有」への変更

「このコンピューターから選択」で添付されたファイルは、添付後に「アップロードして共有」に変更できます。

(1) 「このコンピューターから選択」によって添付されたファイルの右側にある「∨」ボタンをクリック
(2)「OneDrive-…にアップロード」のメニューをクリックし、添付ファイルを「アップロードして共有」に切り替え

■メールの送信方法

作成したメールを確認し、メールを送信します。

(1) 「このコンピューターから選択」の場合、ファイルサイズが表示される
(2) 「クラウドの場所から選択」にてOneDrive for Businessのフォルダーからファイルを送信する場合、組織内のユーザーでなければアクセスできないため「組織内の…」等のアクセス情報が表示される
(3)「アップロードして共有」の場合、ファイルのリンクを知っていれば誰でもアクセスできるため、「すべてのユーザーが編集可能」と表示される
(4)「送信」をクリックして、メールを送信

次回は、このメールの受信者がそれぞれ異なるパターンで添付されたファイルをどのように扱えばいいかご紹介します。

コラム「Skype for Business」

Microsoft Teamsに関連して、Skype for Businessにも触れておきます。

Microsoft 365(旧Office 365、旧BPOS)のチャット・ビデオ通話ツールとしては、もともと、Microsoft Lyncがありました。マイクロソフトがSkypeを買収したことにより、Microsoft LyncはMicrosoft Skype for Businessと名称を変えて現在にいたっています。現在ではまだSkype for Businessも使用できますが、Skype for Businessのほとんどの機能を内包し、さらに高度なコミュニケーション環境を提供するMicrosoft Teamsの登場により、Skype for Businessは2021年7月31日をもってサービスを終了します。

Skype for Businessをご利用の場合は、それまでにMicrosoft Teamsに移行する必要があります。

参考:「Teamsへのアップグレード」はこちら

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