企業は、数多くいる社員、数多くある組織の集合体として成り立っています。企業全体の働き方を変える。そこではトップ ダウンに加えて、社員・組織が自分事として業務を変えていくボトム アップの動きが不可欠となります。
国内有数のドキュメント ソリューション カンパニーである富士ゼロックスは、今挙げたトップ ダウンとボトム アップの両アプローチの下、働き方改革を進めています。同社は業務改善の核となるツールとして Microsoft 365 を導入。トップ ダウンの下、兼ねてより、各組織が自らの裁量で業務を変えていける環境づくりを進めてきました。さらに、これと並行し、特定の組織に焦点を当てて、本部と現場が二人三脚となる形で業務変革を推進。業務は変えられる――これを示す成功事例を生むことで、"各組織が主体になって業務を変えていく" というムーブメントを起こしているのです。
2018 年 10 月に NB営業統括という 70 名程の規模の組織からはじまった業務変革は、スタートからわずか半年余りで全国へ知れ渡り、その変革事例を参考に富士ゼロックスにいるおよそ 6,500 名規模の社員がそのムーブメントに参加。富士ゼロックスの働き方改革が加速度的に全社へ拡がっていくことが期待されています。
一組織からはじまった、富士ゼロックスの働き方改革
個々の現場で業務の内容は異なります。働き方を本質的に変える――言葉で言うのは容易いですが、画一的な施策でこれを果たすのは困難でしょう。1 つひとつの組織に踏み込み、業務の在り方にメスを入れていく。こうしたアプローチが、働き方を変える上では不可欠なのです。
しかし、限られた本部の人員で全ての組織、全ての業務を変えていくことは現実的ではありません。富士ゼロックスが進める業務変革は、今挙げた課題を解消し得る 1 つのモデル ケースだと言えます。同社の社員数は 2019 年 3 月段階で 39,483 人を数えます。国内でも有数の従業員規模を誇りますが、そんな同社は今、全体の 1% にも満たない70 名程の組織「NB営業統括」の業務変革を原動力とし、"各組織が主体になって業務を変えていく" というムーブメントを起こしているのです。
富士ゼロックス株式会社 中央営業事業部 NB営業統括 統括長の高階 宏太郎 氏と NB営業統括 価値化グループ グループ長の篠田 隆矢 氏は、同組織が進めている取り組みについてこう説明します。
「NB営業統括は新規のビジネスとお客様を開拓することを目的に 2018 年 10 月に設置されました。メーカー機能を持つ富士ゼロックスと販売機能を持つ富士ゼロックス東京。双方の力を複合させてこれまでにない価値を生み出すことを目指しています。ただ、2 つの会社の間には文化、風土、業務手法に差異がありますから、従来の業務環境を踏襲していては歯車がかみ合わないでしょう。適切なコラボレーションによってシナジーを生むために、業務、コミュニケーションの在り方を新しいものにしていきたいと考えました」(高階 氏)。
「当社のビジネスは、製品を作り販売する "モノ売り" から課題解決を支える "コト売り" へとシフトしています。ここではチームの様々なプロフェッショナルと連携して課題解決に臨むことが求められます。そうした理由もあって、組織が設置されたのと同じタイミングより、部門独自の取り組みとして業務変革を推進してきました。半年を経た今、業務やコミュニケーションの在り方は、従来から明らかに変化しています」(篠田 氏)。
NB営業統括が業務変革を具体化することができた背景には、富士ゼロックスが全社共通の業務プラットフォームとして整備する Microsoft 365 の存在があったといいます。高階 氏は、同社では各組織が主体的に業務を変えていける環境として Microsoft 365が提供されていると言及し、「Microsoft 365 はコミュニケーションや業務を変え得る数々のツールを備えています。必要なツールを自由に使用することができる。こうした環境は、私たちの取り組みを成功に導く存在でした。」と語ります。
全てのコミュニケーションを Microsoft Teams に集約
Microsoft 365 はチャット ベースのコラボレーション ツールである Microsoft Teams (以下、Teams)、文書管理とポータル機能を提供する SharePoint Online、業務の電子化や自動化を行う Power Apps、Microsoft Flow など、数多くのサービスを提供します。
一般的に個別最適のアプローチは、各組織で利用されるツールが散在する、会社が認可していないツールが利用される (シャドー IT の進行) などのリスクを内包しています。Microsoft 365 では全てのサービスが同一プラットフォームから提供されるため、今挙げたようなガバナンス リスクを回避しながら各組織が個別最適を進めていくことが可能なのです。
富士ゼロックスはこの Microsoft 365 を利用した業務プラットフォームを 2018 年 9 月までに整備しています。ただ、同時期に全組織での利用をスタートさせたわけではありません。
事業部門の業務変革を支援する立場にある富士ゼロックス株式会社 営業計画部 営業力強化センター チーム長の安田 勇大 氏は、「業務の効率的な進め方や生産性を意識してツールを選択・活用できる人は少数です。Microsoft 365 は業務を変え得る有用なサービスですから、適切に活用されず "使われないツール" になることだけは避けるべきでした。」と語り、全社リリースではなく、まずは特定の組織を対象にして業務変革の成功事例を創ることを優先したと明かします。
「成功事例は、"業務は変えられる" ことの証左です。どの組織も自らの業務環境に対する問題意識を持っていますから、成功事例という存在は、各組織が主体的に働き方を変えていく上で大きな原動力となるのです。変わることを恐れず、前のめりになって業務変革に臨んでくれる組織として NB営業統括に着目し、本部と事業部門、二人三脚の体制で取り組みを進めました」(安田 氏)。
同取り組みで NB営業統括は、業務や商談に関わる全てのコミュニケーションを Teams へ集約。さらに、社員に Teams の活用を促す存在として、部内推進者を 2 名募りました。部内推進者として同取り組みに携わった富士ゼロックス株式会社 中央営業事業部 NB営業統括 価値化グループの根来 亮太 氏と NB営業統括 成長・戦略グループ の廣田 英宣 氏は、ここでのポイントについて説明します。
「任意で利用する "ツール" ではなく "業務で必ず利用する仕組み" として Teams を組み込む。こうした思い切った施策を投じなければ、抜本的な変革は成し得ません。NB営業統括では通常、お客様よりご相談頂いた案件について複数メンバーで対応します。メンバーを招集するリクエストは、従来、個別連絡によって行われてきました。今回、これを Teams でリクエストする形へとシステム化しました。さらに、他の様々な業務プロセスにもこれを適用し、Teams を介さなければ業務依頼として受け付けないことを高階や篠田といった上層部のコミットの下で徹底させたのです」(根来 氏)。
「メンバーの中には変化を嫌う社員も当然います。最初は感情として"やらされ感" が出ることは否めないでしょう。ただ、Teams は優れたサービスですから、利用すればその良さがきっと分かります。情報を発信しやすい環境作りとして心理的安全性を高めながら丁寧な声かけを行い、まずは利用してもらう。そして使い方でつまずくメンバーがいれば推進者の私たちがきめ細かくフォローする。こうした体制で運用した結果、すぐにユーザーの中で成功体験が生まれはじめました。最初こそ一部でコンフリクトもありましたが、1 か月も経たないうちに "やらされ感" は無くなり、主体的に業務で Teams を活用しメンバー同士が情報交換したり対話する風土が形成されたのです」(廣田 氏)。
Teams でのやり取りが組織全体の集合知に
高階 氏は、Microsoft 365が無い業務環境は考えられない程にまで Teams は NB営業統括に浸透していると語ります。業務が変革したことで、同組織にはどのような好影響が生まれているのでしょうか。
高階 氏は「メールや電話など分散していた情報伝達手段を Teams に統一したことで、情報共有や案件対応のリード タイムは間違いなく短縮されました。新規のお客様を開拓する上ではスピードが何よりも重要となりますから、これは大きな成果です。コミュニケーションがオープン化されたことでメンバーの行動や思考プロセスが随時確認できますから、マネジメントの目線でも有効です。」と説明。これまでメンバー個人の中に閉じていた知識、経験を Teams によって組織の集合知にしたことで、従来なかったようなコラボレーションも生まれていると述べます。
富士ゼロックス株式会社 中央営業事業部 NB営業統括 第二営業部 NB2グループの飯田 佑史 氏とNB営業統括 第一営業部 メジャーグループの黄 ハンナ 氏は、高階 氏の言葉を紡ぎ、現場目線からこの点を説明します。
「Teams にある他のメンバーのやり取りを見るだけで自分の中に無い知識を補完することができますし、分からないことがあっても質問チャネルへ投稿すればすぐに誰かが回答してくれます。相手ありきだった従来のメールや電話中心のコミュニケーションでは、"誰に聞けばいいだろうか" "忙しくて迷惑にならないだろうか" と、質問すること自体に気おくれを感じることが少なくありませんでした。今では質問をすることが "集合知の充実" に繋がるため、私を含む全員が積極的に情報を発信していますし、何か問題が起こっても全員の知恵でスピーディに解決するという風土になっています」(黄 氏)。
「こうした "1 対多" のコミュニケーションの良さを実感したある出来事があります。新規のお客様とのアポイントに急遽伺えなくなったことがあったのですが、Teams で全体にヘルプを出したところすぐに代替訪問の手が挙がったのです。NB営業統括ができてまだ間もない頃の話です。私は富士ゼロックス東京の出身で社内の関係構築もまだこれからという段階でした。Teams が無ければお願いする人を探すだけで訪問の時間を過ぎていたと思います」(飯田 氏)。
一組織の業務改善から全社の働き方改革へ
NB営業統括における成功事例は、今、富士ゼロックス全体に、新しい働き方の波を生み始めています。
富士ゼロックス株式会社 営業計画部 営業力強化センターの吉田 アリサ 氏は、"業務は変えられる" ことをリアルに実感する組織が社内にあることは、取り組みを全社へと拡げていく上で大きな武器になると言及。現在全国に進めているアンバサダー制度に触れながら、このように説明します。
「NB営業統括の取り組みが評判を呼び、数多くの組織から同様の取り組みができないかという相談を受けるようになりました。現在、各組織から根来、廣田のような推進者を担う人員を募ったアンバサダー コミュニティを構えています。コミュニティの中で共有された成功体験をアンバサダーが現場へ持ち帰り、各組織で実践することで新たな成功体験を生む。こうしたサイクルによって、成功事例を増やすと同時に、全社へと業務変革の波を拡げてまいります」(吉田 氏)。
続けて高階 氏は、業務変革という経験自体が富士ゼロックスのソリューション価値を高めることにも繋がるとし、展望を交えてこう語ります。
「私たちは働き方を変えていく『Smart Work Innovation』を新たな価値提供戦略に掲げています。業務現場を変えた、数万人の規模を有する企業全体へと業務変革を波及させた。こうした経験は、『Smart Work Innovation』の持つ独自価値を大きく高め得ると確信しています。技術と経験、双方を武器にして、お客様の働き方改革を成功に導いていきたいと考えています」(高階 氏)。
「Smart Work Innovation」を提唱する富士ゼロックスは、自らが業務変革を成功させることにより、自社のソリューション価値を高めています。なかなか自社の働き方を変えられない、こうした悩みを抱える企業は少なくありません。数万人規模の企業の働き方を変革しつつある富士ゼロックスのソリューションは、悩める多くの企業の助け舟になるはずです。
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