第1回記事(NTTデータのグローバル戦略に迫る ~技術篇~(1) 次世代トップ技術者をめざせ! 技統本塾 | TECH+ (mynavi.jp))では「技統本塾」を紹介しました。NTTデータグループを代表する技術者が塾長となり直接指導することで、次世代のトップエンジニアを育成する取り組みです。
技統本塾の技術分野の1つであるDB(Oracle)分野で、OCI(Oracle Cloud Infrastructure)の非機能要件レベルの検証に取り組み、特に顕著な成果をあげたため日本オラクル株式会社(以下、日本オラクル)から、塾生・塾長・運営事務局に感謝状が贈呈されました。技統本塾の関係者と日本オラクルに、活動の状況と表彰の経緯についてお伺いしました。
日本オラクルとの連携による成果を活かしてお客様に価値を提供
技統本塾 2021年度下期 DB(Oracle)分野にて活動した塾生 平岡 義規氏にお話を伺いました。
──技統本塾での活動について教えてください。
「Oracle Cloud Infrastructureの非機能要件レベルの検証」をテーマとしました。データセンタ&クラウドサービス事業部では「パブリッククラウドサービスを展開/推進していこう」という方向性を持っています。自分自身は大規模ミッションクリティカルなオンプレ基盤を設計/構築/運用することが多く、パブリッククラウドに触れる機会があまりありませんでした。そのため、この技統本塾を通してOCIの理解を深め、案件では自身の経験に基づく最適な提案ができるようになることをめざし、ミッションクリティカルシステムをOCI上で稼働させた場合にオンプレミスで提供している高い非機能要件レベルをOCIでも提供できるのかについて検証することとしました。
──活動で工夫した点や成果について教えてください。
検証項目の検討では、オンプレミスのシステムをパブリッククラウド化するにあたっての懸念点や期待点をお客様へのヒアリングを参考にして洗い出しました。具体的には、長期間稼働した際の性能の安定性、オンプレミスや他のパブリッククラウドとの通信遅延の比較、APサーバやDBLINK対向先がOCI同一リージョン内にない場合のレスポンス影響、VPU(ブロック・ボリューム・パフォーマンス)とIO性能との関係性、シェイプタイプとCPU性能との関係性、バージョンアップ時のサービス影響レベルの確認など、現場の声を盛り込んだフィジビリティのある項目としました。実機検証では、日本オラクルよりOCI環境を提供いただき、4カ月のロングラン試験を通して性能値などを計測しました。日本オラクルのエンジニアの方には様々な技術的アドバイスをいただき、自分一人では考えつかなかった解決方法や観点で検証を進めることがきました。最終的には、カスタマイズの可能な範囲やクラウド側に管理を任せる範囲なども調査・整理し、パブリッククラウド化のガイドラインを策定できる知識や情報を得ることができました。今回の検証を通して洗い出したOCIの改善要望については、サービスの向上に役立ててもらうことも考えています。
──技統本塾で学んだことは今後どの様に活かせますか。
塾長の野澤さんからは、検証項目が多岐に渡って作業や資料が複雑化してしまった際に「平岡さんが、本取り組みを通じて本当に聞き手に伝えたいことを中心に据えることを考えてみては?」というアドバイスを貰って頭の整理がつき、検証や報告書作成をスムースに進めることができました。日本オラクルのエンジニアの方とは、今後の提案でも相談できるリレーションを構築することができました。今回の成果をもとに、実際にクラウドへのリフトを検討しているお客様へ様々なデータベースサービスの説明を実施しており、技統本塾の成果を最大限活かしてお客様に価値を提供していきたいと考えています。
これらの活動を通して、新機能の検証やその結果にワクワクする気持ちを感じることができ、自分自身は技術が好きだということを再認識したことも、仕事のモチベーションアップにつながっています。
日本オラクルから見た「技統本塾」
日本オラクル 佐野 守計氏にお話を伺いました。
──塾生の活動成果および技統本塾についてはどのような印象をもたれていますか。
オラクルの製品やサービスについて、プレゼンス向上やノウハウの蓄積/展開に大きく貢献してもらったエンジニアに対して感謝状を贈呈しています。今回は、ミッションクリティカルシステムをパブリッククラウドに移行する際に課題となる非機能要件を、実プロジェクトの経験をもとにリアルな視点で抽出し、実践的な結果を取りまとめていただきました。検証結果は、NTTデータグループ内でOCIのプレゼンス向上に貢献する内容となっており、また日本オラクル社内からも非常に有益な情報との声があがっています。検証結果だけではなく、実施手順とコマンドも整理されているため、他者への展開も容易なものになっています。想定する結果が出なかった際は、日本オラクルのエンジニアがアドバイスした方法を参考に再検証し、要件が満たせるというところまで確認してもらいました。エンジニアと平岡さんとの議論は活発に行われていましたので、技術者同士の交流も深められたと思っています。
このように、探求したい技術の検証に集中して取り組むことができるのは、技統本塾という人財育成施策があり、またその取り組みにお声がけしてもらったことが今回の成果につながったと思っています。
NTTデータグループを代表する次世代トップ技術者の育成
技術革新統括本部 副本部長 田中 秀彦氏にお話を伺いました。
──技統本塾の取り組みと今回の活動成果についてお聞かせください。
システムを作るうえでは、経験から学んだ原理原則やこう作るべきだという普遍的なものがあります。それを塾長と塾生による徒弟制度で一子相伝のような形で伝えていきたい思いがあり、技統本塾を立ち上げました。しっかりとした技術・裏付け・目利き力をもった技術者を育てることが、世の中の社会インフラやお客様のビジネス向上につながるシステムを作ることになると考えています。単純にその技術に詳しいというよりは、システムにどう対応して、どういうふうにお客様に良いシステムを作れるか、そういう感度をあわせ持った人財を必要としています。今回の平岡さんの活動は、ユースケースを想定したフィジビリティの高い検証であり、また動作の本質的なところを追求して成果をあげている点で、まさに技統本塾の目的に沿ったものでした。
技統本塾はNTTデータグループの技術コミュニティの一つとして成長しており、実践的な課題解決にもつながっています。これからも塾長と塾生のつながりが、組織の成長につながってほしいと考えています。
塾生の指導にあたったDB(Oracle)分野 塾長 野澤 隆氏にお話を伺いました。
──塾長の役割と今回の活動成果についてお聞かせください。
塾長の役割は、塾生の知りたいこと・やりたいことを探求できる環境・場をいかに提供できるか、塾生の考えを聞きながら一緒に議論し、深掘りをしていくためのヒントを得てもらえるか、だと思います。今回は、日本オラクルのエンジニアの方々の協力を得るとこができ、議論にも入ってもらいました。その環境を活用できるかは塾生によるところですが、平岡さんは目的意識を高く持っていて、検証作業や疑問点解消に向けた質問など積極的に技統本塾のしくみを活用していました。厳しい非機能要件に対して、OCIでの実現方式を検討・検証し、得られた知見で、お客様システムのクラウド化の提案にもいかしてもらえると思います。また得られたノウハウは塾生の周辺だけにとどまらず、NTTデータグループ全体へ展開し、活用していってもらえるものになりました。
技統本塾 運営事務局の青木 成人氏にお話を伺いました。
──技統本塾をどのような施策にしていきたいと思っていますか。
社外からも認められる活動にしていきたいため、日本オラクルさんに協力のお声がけをさせてもらいました。今回の活動におけるOCI環境の提供や技術サポートには大変感謝しています。直接的な成果を出した塾生はもとより、人財育成の場を作り上げた技統本塾という施策に対しても感謝状をいただけたことは光栄です。技術者として社外から認められることで成長したことの証しとなり、また、運営事務局としても技術者が育っていることを外から客観的に評価してもらえたと思っています。お客様やパートナー、NTTデータのビジネスにいかに貢献できるかということを考えながら、今後もデジタル人財を育成するしくみの具現化に取り組んでいきたいです。
最後に
NTTデータには、日本オラクルをはじめとしたパートナーと連携を図りながら一流のITエンジニアをめざせる環境があります。ビジネスを展開しつつ、新しい技術への対応力や先進技術の目利き力を養うことができます。興味がある方はぜひこちらの採用情報ものぞいてみてください。
[PR]提供:NTTデータ