日本最大級の半導体・電子部品ECサイトを展開するコアスタッフ
「お客様にとっての中核になる」をモットーに、半導体・電子部品・モジュール製品の商社として各種サービスを展開するコアスタッフ株式会社。2000年に設立し、従業員数は265名(連結、2019年4月)。事業拠点は国内外合わせて10カ所以上で、その海外拠点はいまや米国、ドイツ、タイ、香港、深センの5カ所へと拡大している。
中核サービスとして展開するECサイト「コアスタッフ オンラインCoreStaff ONLINE(旧ザイコストア)」は、即日出荷在庫数が約10万点、委託在庫数が約1万3,000点、その他掲載在庫数が約600万点と、国内最大級の半導体・電子部品ECサイトとなっている。
コアスタッフ代表取締役の戸澤正紀氏は、同社のサービスについて「電子部品を最低発注数量で購入し、部品1つからお客様に販売できることが特徴です。メーカーから直接、または正規代理店から購入した製品は長野県の物流センターに保管、15時までのオーダーは当日発送しています」と説明する。
この物流センターには、国際的な卸・物流ネットワークを通じて、多品種かつ大量の半導体・電子部品が集約されている。EOL品(製造中止部品)の余剰在庫の委託販売や買い取りサービス、電子機器の受託製造、検査業務などを展開。さらにものづくり企業として、グループ会社の株式会社アットマークテクノを通して組み込み・IoT事業に取り組んでいる。
具体的には、組み込みプラットフォーム『Armadillo』(アルマジロ)や、OSS(オープンソフトウェア)によるIoTセンサー技術『Degu』を活用したIoTゲートウェイ製品を取り扱っているとのこと。アットマークテクノ代表取締役の實吉智裕氏は「制御機器メーカーやSIer、クラウド事業者に対して、コンピュータやIoT環境を作りやすくする製品を提供しています」と語る。
このような技術的なバックボーンを武器に、最終製品の製造から卸、販売までを手がけるコアスタッフグループだが、将来の新しい取り組みに向けて見逃せない課題があったという。
「事業を2人で開始してからITシステムを使って、すべて内製化してきました。しかし、発注や仕入れ、販売、在庫管理などの基幹システムも内製化を進めていく中で、事業規模拡大の現実に合わないシーンも増えてきました」(戸澤氏)
20年も内製化してきた基幹システムの課題とは?
ECサイトでの販売やマーケティング、営業を統括するコアスタッフ取締役 第2事業本部長の苅田宗氏は、基幹システムが抱えていた課題についてこう説明する。
「ECサイトのシステムも自社で開発しており、基幹システムとデータを連携させながら、在庫管理や販売管理を行っています。ECサイト上では『リアルタイム更新在庫』により、5分~1時間以内に在庫情報が更新されます。ただし合計600万点の在庫を管理するなかで、基幹システムとECサイトの連携がうまくいかないケースも出てきました。何らかの原因で基幹システムに障害が発生すると、ECサイトの更新がうまく反映されなかったり、サイト自体が止まったりしたのです」(苅田氏)
コンプライアンス面での課題もあったという。のちにERPパッケージへの移行プロジェクトを指揮することになるコアスタッフ取締役 戦略推進本部長の村山雅紀氏は、このように指摘する。
「多品種多量の在庫を保有しつつも、1つの部品から販売できることが当社の強みです。半導体・電子部品はサイズや種類がさまざまで、新しい部品も次々に提供されます。そうした環境に迅速に対応していくためには、システムをすばやくカスタマイズできる柔軟性がポイントです。これまでの基幹システムはスピードや柔軟性を重視した設計になっていましたが、一方でシステムの設定や数値にアクセス出来る人員を制限出来ていなかった。つまりユーザー管理や権限管理の機能が不足していたのです」(村山氏)
このほかには販売や在庫の実績を把握する際に、基幹システムからデータをエクスポートしてExcel上で集計するなど、マニュアル作業による業務負荷が高いことも課題だった。また、コアスタッフとアットマークテクノで利用しているシステムが異なるため、データ連携やAPI連携もスムーズに行えなかったという。
ERPパッケージとして「BeAd」を採用した3つの理由
そんなコアスタッフが取り組んだのは、内製化していた基幹システムの刷新である。
2019年3月、ドイツ支社の立ち上げというタイミングで、NTTデータグループが展開する業界特化型のERPパッケージ「BeAd」を導入。ERPパッケージとしてBeAdを採用した理由は、大きく3つあったという。
1つめは、カスタマイズのしやすさだ。BeAdは食品卸向け、電子機器卸向け、電気機器卸向けなどのテンプレートを活用することで、業種特化型の基幹システムを構築できる。
「一般的なERPパッケージだと、当社の既存業務とパッケージの機能の多くがマッチしないことが予想されました。そこでパッケージをカスタマイズするとなると、かなりの工数が必要になります。一方、BeAdは、標準で提供している電子部品向けテンプレートを利用することで導入がしやすくなると感じました。また、簡単にカスタマイズできることも魅力でした」(村山氏)
2つめは、短納期に対応できることだ。前述したようにBeAd導入は、ドイツ支社の立ち上げ時期に合わせて行われている。
「新組織の立ち上げに合わせれば、新たな基幹システムをスムーズに稼働させられると考えました。ただし立ち上げ時期はすでに決まっていて、導入から3カ月でシステムを稼働させる必要があったのです。BeAdはプロセスの見直しやカスタマイズを含めて短期導入できる点が評価されました」(村山氏)
3つめは、今後の全社展開や新ビジネスに対応しやすい点だ。BeAdはクラウド環境で稼働させながら、段階的な導入拠点の増設や機能拡張への対応が容易にできる。このメリットを活かしながら、ドイツ支社をひとつのモデルとして、国内や他の拠点への展開を図っていく計画があるとのことだ。
「ドイツ支社はヨーロッパ向けの販売拠点ということで、機能は売上、発注、仕入れ、在庫の管理などに絞って導入しました。全社展開に向けた第一弾としての位置づけでもあったため、今回はできるだけカスタマイズしない方針のもと、BeAdの標準機能に合わせる形で導入を進めたわけです」(村山氏)
ドイツ支社における導入のノウハウを活かし、今後は日本本社の基幹システムをBeAdへと置き換えていく予定だ。
ドイツ支社は黒字も視野に。
物流センターにおけるIoTやAIの取り組みに活用
ドイツ支社への導入自体は目立ったトラブルもなく進み、2019年3月に稼働を開始した。
「現時点での成果としては、権限を持ったユーザーしか設定変更やデータ書き換えが行えなくなったことが挙げられます。ログを取得して、誰がどのタイミングでデータを書き換えたかも明らかになり、データの信頼性を確保できるようになりました」(村山氏)
客観的な成果として注目すべきは、業績にも好影響を与えたことだ。一般的に支店の立ち上げは初期投資を回収するまでに時間がかかるため、初年度から数年は赤字になるのが通常だ。それがドイツ支社では、立ち上げ初年度から黒字化が見えているという。もともとは2名で立ち上げて、半年ほどで4名ほど人員を増やすつもりだったのが、業務プロセスを見直し、システムを効率化したことで、増員しなくても数多くの業務をこなせるようになったのが大きい。
さらに今後の取り組みとして期待されているのは、アットマークテクノとのシステム連携と、IoTに向けた取り組みである。
アットマークテクノの實吉氏は「これまでは仕入れ情報や在庫情報などのデータをリアルタイムに連携できませんでした。ERPシステムを使ってグローバルに情報を共有できるようになれば、組み込み・IoT関連製品をより広く提供できるようになると考えています」と期待を寄せる。
「Armadillo」や「Degu」によるIoTゲートウェイを活用した物流センターのスマート化も視野に入っているという。物流センターは、仕入れた部品の全数検査など、国内のものづくりの粋が結集された現場でもある。匠の技術で膨大な在庫を管理していることは最大の強みだが、今後はIoTやAIによるマニュアル作業の効率化や高度化も可能となる。
戸澤氏は「センサーで人の流れを把握してAIで解析し、効率的に人員を配置したり、ピッキング作業を効率化したりといった取り組みが実現できると期待しています。NTTデータさんからもさまざまな提案をしてもらっており、協力しながら新しい取り組みを進めていきます」と強く語る。
日本のものづくりの品質は、コアスタッフのような高い技術力と、きめ細かいサービスを提供できる企業が支えている。NTTデータグループもBeAdを通じて、そうしたものづくり企業を力強く支援していく。
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