自社の業務に即したアプリを現場レベルで導入できる「ノーコードツール」の活用は、業務プロセスの改善をともなう“真のデジタル化”を実現し、現場のDXを推進する第一歩となる。本稿では、連載第2回で紹介したノーコードでモバイルアプリを作成できる「Platio(プラティオ)」を活用し、実際に業務のデジタル化とプロセス改善に成功した事例を紹介する。
【小売・卸業事例:松屋】 HACCP完全義務化に向け、食品衛生管理アプリで現場のDXを推進
創業150年を超える老舗百貨店の松屋では、デジタル化による効率化・生産性向上、業務改善に取り組み、事業運営に伴うさまざまな課題解決に努めている。
松屋の食品売場では、取扱商品の品質管理のために貼付された「食品表示シール」の内容を、衛生管理者が売場に出向いて紙ベースで確認していた。しかし、現場でのチェックには移動や対応待ちの時間がかかるため、本店での毎朝の確認作業と比較し、浅草店では月数回の確認にとどまっているという課題があった。
そこで、課題解決のためPlatioを活用し、ノーコードで独自の「食品衛生管理アプリ」を 2日間 で作成。衛生管理者はどこにいてもアプリで各店舗の品質管理状況を確認できるようになり、現場移動や対応待ちの工数が大幅に削減。各店舗のチェック状況・表示確認・修正指示がリモートかつ迅速に実施できるようになったという。また、売場担当者もアプリで管理履歴を確認できるようになり、知識の定着やミスの削減を実現。業務フローのDXが現場の生産性向上と衛生管理に関するナレッジ共有に繋がっている。
【製造業事例:京セラ】 現場が作った棚卸アプリで40万点もの在庫管理をスマート化
エレクトロニクスメーカーの京セラ株式会社では、DXによる現場改革で業務効率の改善を目指しており、物流倉庫の現場においても業務のデジタル化の波が届いている。
40万点を越える多くの製品を扱う同社の物流倉庫では、紙のリストを使用して棚卸を行っていたため、広い倉庫内で用紙の受け渡しに伴う移動、目視チェックにかかる時間や工数が発生。また、紙への記入と、そのデータをパソコンで入力する業務では人的ミスが発生するなど、倉庫内業務においては業務効率化とともに在庫精度も課題となっていた。
そこで、現場主導で独自の「棚卸アプリ」をPlatioで作成し、その日から運用を開始。紙で運用していた棚卸リストをアプリ化したことで、紙の受け渡しや棚卸数の照合チェックがなくなり、スマホで棚卸報告が完結するようになったほか、紙コストやその管理コストの削減、そして在庫精度の向上という結果につながった。この結果を受け、京セラでは「もっとこんなアプリが欲しい」とアプリを活用した改善提案が増加しており、現場の改善意識向上の起爆剤にもなっているという。
京セラも松屋も単なる紙のデジタル化に留まらず、業務プロセスの改善にもつながっており、現場DXの第一歩を踏み出している。
【建設業・自治体事例】検温アプリを活用し、非接触での業務対応を推進
新型コロナウイルス感染症により取り入れられた「新しい生活様式」における非接触での業務対応の推進にもPlatioが活躍している。自社で作成したモバイルアプリ上で業務報告や情報共有ができれば、報告のために会社に出社したり現場に赴かなくてもよくなるからだ。
建設用仮設資材のリース・販売業の株式会社カルテックでは、新型コロナウイルスの感染予防対策を徹底する上で「検温レポートアプリ」をノーコードで導入当日に作成、翌日から全社でアプリの運用をスタートしている。これにより社員は自宅にいながら、モバイルアプリで検温結果を報告できるほか、発熱時は管理者に自動でプッシュ通知が届くため健康状態に問題のある職員の出勤を事前に抑制できている。
新しい生活様式における検温報告のニーズは高まっており、自治体では秋田県の仙北市が同様にPlatioで検温報告アプリを作って活用している。
紹介した事例はいずれも、数時間から数日という短期で独自に業務アプリを作ってすぐに運用できており、ノーコードツールならではの対応スピードだ。現場主導でアプリを作ることで自分たちの業務改善に直結するため、「現場改善の波」を起こしやすく、成果が出れば次の波にもつながりやすい。業務改善の選択肢としてノーコードを取り入れたアプリ活用が当たり前になる日も近いだろう。 DXの第一歩をどう踏み出すか悩んでいる人や、業務のデジタル化やプロセス改善に悩んでいる人は、まずはPlatioを使って「こんなことできないかな」という思いをアプリとして具現化してみてはどうだろうか。
▼上記で紹介した事例を含む、ノーコードで作成した業務アプリ活用の成功事例はここから無料でダウンロードできる。
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