無料キャンペーンを利用しよう

近年、クラウドプラットフォームを活用する動きが進んでいる。もちろんすべてのケースでクラウドプラットフォームが最適解ということはない。オンプレミスのほうが適していることもあれば、オンプレミスとクラウドプラットフォームの組み合わせが適していることもある。当然、すべてクラウドプラットフォームを使ったほうが適切なケースもあるだろう。

クラウドプラットフォームは、ハードウェアの調達やセットアップの手間を省いてすぐに使いはじめられるのが最大の利点だ。仮想環境のメンテナンスは運用会社が実施するので、利用する側はほとんど気にする必要がない。たとえば事業拡大のためにはITインフラへの投資はもちろん、運用のためのリソースも必要になる。こういったリソースを最適化したいと考えるならば、クラウドプラットフォームはひとつの有力な選択肢だ。

そんなわけでクラウドプラットフォームの活用を模索している企業は多いと思うが、いまいち手を出しにくいという方も少なくないだろう。クラウドプラットフォームは使いはじめるのは簡単だが、使い出せば当然料金が発生する。セットアップを誤るとすごい月額料金が発生するためミスしたときの金額的損失が大きく、簡単には手を出せないのが現状だろう。

そんなときは無料キャンペーンの活用がおすすめだ。どのサービスもある程度の周期で一定の金額まで無償で使えるキャンペーンを展開している。今回は富士通クラウドテクノロジーズがニフクラの8周年を記念して2018年2月から実施している、ニフクラを8万円分まで無料で使えるキャンペーンを活用し、クラウドプラットフォームの『試し方』を紹介しようと思う。

『構成例』をそのままトレースして試す

ニフクラ(以前はニフティクラウドと呼ばれていたサービス)についてはこれまで何度か取りあげているので、詳しい使い方はそちらを参照して欲しい。基本的な使い方はほとんど変わっていないため、直感的に扱えるはずだ。

ニフクラの使い方についてはこちらをチェック!

現役エンジニアが本音で試すニフティクラウド - 2017年度版

現役エンジニアが本音で試すニフティクラウド

ただし無料キャンペーンといっても、そもそも使い方がわからなかったり、何を試せばよいか漠然として判断がつかない、という方もいるだろう。こういうときは、公開されている利用例をそのまま真似てみるというのが簡単で効果的だ。たとえば、ニフクラの場合は「ニフクラ構成例」に利用例がまとまっている。この中から自社の構成に似たものや気になるものを選んで、とりあえずその通りにセットアップしてみるというのがひとつの手になるだろう。

  • 「ニフクラ構成例」を参考にセットアップを開始

Webサーバーへのアクセスが増加した段階でサーバーをスケールアウトさせたいというのはよくある使い方だが、この例が「ニフクラ構成例(急なアクセス増に備えてサーバー増減を自動化させる構成例)」にまとまっているのでこちらを参考に試してみよう。

  • 急なアクセス増に備えてサーバー増減を自動化させる構成例

無料キャンペーンの利用では月額がいくらになるのかが特に気になるポイントだと思うので、そのあたりを中心に、試す際のポイントを紹介しようと思う。

環境をセットアップしながら月額費用をチェック

ニフクラは基本的には最初にサーバーを作成し、それに対してネットワークの設定やディスクの追加をしていく。実際にサーバーやロードバランサーを作ると、サービスインする前に料金が表示される。基本的にはこれを確認していけばオッケーというわけだ。

今回構築するシステムではWebサーバー、データベースサーバー、データストアサーバーの3種類のサーバーが使われているので、まずはこの3つのサーバーを作成する。作成する最後の段階で次のように月額が表示された状態になるので、これを確認しながら作業をしていく。

サーバーは選択するマシンタイプによって料金が大きく変わってくるので注意が必要だ。高い性能のマシンを選択すればそれだけ月額も高くなる。初期段階ではもっとも性能の低いマシンを選択しておいて、まずはクラウドの仮にそのあとも使い続けることになるようであれば、その段階でマシンタイプを必要に応じて性能の高いものに変えていけばよいだろう。

  • Webサーバーの作成画面

  • データベースサーバーの作成画面

  • データストアサーバーの作成画面

参考にしている構成例ではデータベースサーバーとデータストアサーバーに追加で増設ディスクが付けられているので、これも作っていく。増設ディスクはサイズと基本ディスク性能で料金が変わる。当然、フラッシュストレージのように高速なストレージを選択すると料金は高くなる。サイズも同じだ。最初は通常の増設ディスクのなかでもっとも低いサイズのものを追加してみるとよいと思う。

  • データベースサーバー向け増設ディスクの作成画面

  • データストアサーバー向け増設ディスクの作成画面

構成例ではロードバランサーでWebサーバーへのアクセスをさばいているので、ロードバランサーも作成する。ニフクラの場合は最大ネットワーク流量が金額につながっているので、これも最初は低い値を選択しておけばよいだろう。

  • ロードバランサーの作成画面

負荷が高くなってきたときや、設定したスケジュールに合わせて自動的にスケールアウトさせる機能を利用するときには、Webサーバーのイメージを作成して保存しておく必要がある。ニフクラの場合、このオートスケール機能そのものは無料で利用できるのだが、イメージを保管しておくのに月額が発生する仕組みになっている。Webサーバーからイメージを作成して保存すると次のようになる。

  • Webサーバーイメージの作成と保管

  • オートスケールそのものは有効にしても料金は発生しない

ニフクラではサーバーを作成するときに設定を変更しなければ外部からアクセスするためのグローバルIPが割り振られる。今回参考にしている構成ではWebサーバー、データベースサーバー、データストアサーバーの3つを使っている。外部からアクセスできる必要があるのはWebサーバーだけなので、データベースサーバーとデータストアサーバーは直接外部からログインできなくてもよい。ニフクラの場合、グローバルIPの利用を停止するとそれだけ利用料金が浮くことになる。次のような感じだ。

  • データベースサーバーのグローバルIPの利用を停止

  • データストアサーバーのグローバルIPの利用を停止

ここまでの作業でシステムを構築するのに必要になる部品はひととおりセットアップしたことになる。ニフクラのダッシュボードから構成を確認するとこんな感じになっている。

  • 作成したサーバーとサーバーイメージ

  • 作成した増設ディスク

  • サーバーのネットワーク構成

ここまでシステムを構築したとして月額を計算すると、税抜き6万円弱、税込み6万円強といったところだ。執筆段階では8万円までの無料キャンペーンが展開されていたので、期間中であればこの構成でいろいろ試せることになる。

  • ※クリックで拡大

スケールアウトするWebプラットフォームをほぼ初期投資なしの状態で、月額6万円強で用意できることを高いとみるか安いとみるかはケースバイケースだと思うが、オンプレミスで用意するのに比べればかなり安上がりといえるだろう。運用を間違えると数年で合計金額がすごいことになる可能性もあるが、それはあくまで運用の話だ。リソースに余剰が出たら安いサーバータイプに変更したり、複数サーバーを1台にまとめたり、不要な追加機能を減らして運用費を抑える。これはクラウドプラットフォームを運用する場合の基本である。

クラウドプラットフォームセットアップ時の注意

ここからはニフクラ特有の話になるが、ほかのクラウドプラットフォームでもそれほど変わらないので、いくつか利用するときに注意すべきことを解説しておこうと思う。まず、マシンタイプの選択だ。マシンタイプはあとから自由に変更できるため何も考えずに選ぶことがあるが、ゾーンについてはよく考えておく必要がある。これはゾーンごとに利用できるマシンタイプが異なっていることが多いからだ。

後からマシンタイプをより高性能なものに変更しようとしたが、実はそのゾーンには希望する性能の高いマシンがなかった、なんてこともある。それに、ゾーンが違うと利用できないサービスなども出てくる。どのゾーンでどのサービスやどのマシンタイプが選択できるかはヘルプなどに書いてあることが多いし、UI/UXで選択可能な内容を確認できるので、ちゃんと調べてから選ぶようにしたい。

次にディスクだが、クラウドプラットフォームは一般的にディスクI/O性能が低いといわれている。オンプレミスと比べるとディスクI/Oの遅さはどうしても避けられない問題だ。このため、増設ディスクでフラッシュストレージを選択したくなる気持ちはわかる。ただしその場合、月額料金が高くなる点に注意してほしい。サーバーのマシンタイプを選択する際と同様の考え方だが、初期段階では通常のディスクを選択し、クラウドのディスクI/Oがどれくらいの性能なのか、許容範囲なのかを確認したうえで、必要に応じてより高速な増設ディスクに変更するといった作業をおこなえばよいだろう。ちなみに、ニフクラのディスクI/Oは他社と比較してかなり速いといわれている。

ニフクラの8万円分無料キャンペーンは3月31日までおこなっているので、まずは無料キャンペーンの枠の中で、やってみたいこと・気になっている機能を使い倒すという考えのもとに試してみてほしい。

キャンペーン情報

「ニフクラ 8周年記念! ニフクラの豊富な機能が8万円分無料」キャンペーンの詳細はこちら

[PR]提供:富士通クラウドテクノロジーズ