監視カメラの現状と将来像について解説してきた本連載。最終回となる本稿は、これまで解説してきた監視カメラの実態から、監視カメラシステムの導入、運用で失敗しないために必要なことについて紹介する。中でも、空港や高速道路、電力会社など、インフラを支える企業に多くの導入実績を誇る日本テクノ・ラボの監視カメラシステムについて、具体的な導入事例をもとに解説していこう。
監視カメラシステムの導入を成功に導くための3つのポイントとは
本題に入る前に、前二回の内容をもとに監視カメラシステムの導入に必要な検討項目について整理してみよう。
監視カメラは、「何のために、どこで、何を映したいのか」に応じて、必要な機能や設置場所、台数が異なる。そのため、一度に全ての機器を導入するのではなく「スモールスタート」で始め、段階的に追加導入していく方法が望ましい。また、追加導入時に最適な機器を選択できるようにするためには、管理用ソフトウェアは「マルチカメラベンダー対応」が必須である。そして、万が一トラブルが発生した際も迅速に対応できるよう、できるだけ「自社運用」するべきだ。監視カメラシステムの導入には、これら3つのポイントを満たす必要がある。
この中でも特に重要なのは、マルチカメラベンダー対応だ。もし非対応であれば、目的と条件にあった監視カメラを導入したいと思っても、メーカーごとに管理ソフトウェアが必要となるため、将来的な拡張も困難になるだけでなく運用時にも大きな負担がかかる。つまりマルチカメラベンダー対応は、スモールスタートにも、自社運用にも欠かせない条件なのである。
では、これらの条件をクリアするソフトウェアとして、日本テクノ・ラボが提供する映像統合監視ソフトウェア「FIREDIPPER」について簡単に紹介しよう。
純国産の映像統合管理ソフトウェアFIREDIPPER
FIREDIPPERは、複数メーカーによる複数のコーデックに対応したマルチカメラベンダー対応(対応メーカーは*1参照)のソフトウェアである。また、マルチコーディックにも対応しており、異なるファイル形式の映像データも混在した状態で取り込み、録画・閲覧が可能である。映像サーバーは1台あたり136台まで接続可能。小規模から大規模まで、全国規模の映像監視ソリューションとしても数々の実績を積み重ねている。また、2018年中には、超大規模映像監視が可能となるエンタープライズ版「FIREDIPPER インテグレーションセンター」の提供を予定している。この提供が始まれば、全国に点在する映像サーバー群、配下のカメラ群、配下のセンサー装置群、配下の監視端末群をトータルで管理運用することが可能となる。
FIREDIPPERは純国産のソフトウェアであるため、当然ながらインターフェースもマニュアルも全て日本語となっている。マウスのみで基本操作は可能なので、専門知識を持たない人でも簡単にあつかうことができるため、自社内で運用も可能だ。なお、FIREDIPPERの詳細については、以下のURLを参照いただきたい。
*1:FIREDIPPER対応カメラメーカー
Panasonic、 Sony、 Canon 、AXIS、TOA、ミカミ、池上通信機、横河電機、フリアー、主要メーカーエンコーダー
FIREDIPPER製品情報ページ
映像監視ソリューション導入事例 - NEXCO西日本
それでは、具体的なFIREDIPPERの事例から、監視カメラシステム導入の肝について簡単に解説していこう。
西日本高速道路関西支社管内 (以下、NEXCO西日本)では、道路で発生した事故や渋滞などを監視するため、高速道路上に数々の監視カメラを設置している。全長約3,427kmにも及ぶ膨大な距離の高速道路において、その主要箇所を監視するためにカメラを一斉に導入することは現実的ではなかった。
そのため、NEXCO西日本では、2002年に道路監視のためにA社のアナログカメラを、2010年にサービスエリア監視のためにB社のIPカメラを、そして2017年にはこれまで監視が行き届いていなかった道路にC社のIPカメラをと、段階的に導入した。
しかし、導入するカメラのメーカーが異なるため、数が増えるにつれて管理システムの数も増え、運用コストも増加し続けた。そこで、FIREDIPPERシステムを用いて、各システムのデータを統合して一括管理を実施。また、今後次々と発売が見込まれる最新機のカメラについても、同じシステム内にシームレスに導入することが可能となった。
監視カメラシステムの導入で失敗しないためのポイントとは
先述の事例からもわかるように、監視カメラシステムは、大規模になればなるほど、段階的に異なるベンダーの機器が導入されていく傾向があり、そのためどうしても管理体制が複雑になってしまうケースが多い。だからと言って、管理体制の複雑化を避けるために古く性能も低い機器を導入し続けるのも効率が悪い。
これまで何度もお伝えしているが、だからこそ監視カメラのソフトウェアはマルチカメラベンダー対応が必須なのである。
ただし、マルチカメラベンダーに対応しているからと言って、万能なわけではない。監視カメラシステムを導入する際は、すでに導入済みのカメラ、もしくは新たに導入・追加しようとしているカメラの機種に対応できるかを、真っ先にチェックする必要がある。
しかし、カメラの機種は新旧含めて無数にあり、メーカーの数も国内外で急増しているので、メーカーよりリリースされている対応表に目的の機種が載っていない場合は、念のためソリューションを提供しているベンダーに確認を取っておくべきだろう。あわせて、導入前に運用事前テストを行うとなお良い。
どんなに高性能で、導入実績が豊富な監視カメラでも、自社の環境で使えなければ宝の持ち腐れである。実際の運用にできるだけ近い環境でテストを行うことは欠かせない。
「今さら聞けない監視カメラの現状と将来像」は、本稿で最終回を迎える。本連載でお伝えした情報が、監視カメラシステムの導入に役立てていただけたら幸いである。
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