ヤマハ株式会社は「感動を・ともに・創る」という企業理念のもと、楽器、音響機器事業を中心に、電子デバイスなどさまざまな製品・サービスを展開し、「なくてはならない、個性輝く企業」になることを目指して成長し続けています。同社は従業員エンゲージメントのさらなる向上を目的として、グローバル ポータルサイトの刷新プロジェクトを推進されました。その 1 つの成果が、Employee Relations、社内通達など機能ごとに運用されていた複数のポータルサイトをグローバルで1つとする SharePoint Online サイトの構築です。この構築は 6 か月という短期間で完遂し、社内共有情報の一元化、利便性の向上を達成されました。さらに活用すべく新機能となる Viva Connections をいち早く採用し、利用者目線に立った新しいサイト導線を作り出し、アクセス数の向上に繋がったといいます。今回のプロジェクトの推進に携わった担当者の皆さんに詳細な取り組み内容や成果についてお聞きしました。
利便性を求めて、7 年の歴史を持つポータルサイトを SharePoint Online で一新
ヤマハでは、「ともに働く仲間の活力最大化」を中期経営計画のテーマの1つとして定めており、「働きがいの向上」や「風通しが良く、皆が挑戦する組織風土の醸成」に向けた取り組みを継続しています。これに先立つ取り組みとして、グローバルの全従業員のエンゲージメント向上を図るために、グローバル ポータルサイトの刷新を図りました。本プロジェクトは、Microsoft 365 の運用と活用推進を担っている株式会社ヤマハコーポレートサービス ICT 事業部と、ポータルサイトの運営やコンテンツ配信を担当するコーポレート・コミュニケーション部、さらにヤマハグループ全体の IT 戦略立案、設計運用方針の統率・方向付けを担う情報システム部という 3 つの組織の協働により推進されました。コーポレート・コミュニケーション部 社内広報グループ 主事を務める平井 真美 氏は、グローバル ポータルサイト刷新の経緯について次のように語っています。
「従来は、社内通達が掲示されるグループポータルサイトと、国内従業員の勤怠管理などのシステムへの入り口のポータルサイト、さらにコーポレート・コミュニケーション部が主管する従業員向けのコミュニケーションサイトの 3 つのポータルサイトが個別に運用されている状況でした。複数のポータルサイトが存在することで、情報が分散して配置場所がわかりづらく、サイトアクセス導線もそれぞれ個別であるため利便性が悪いという課題が顕在化していました。加えて、コロナ禍において従業員に新型コロナウイルス関連などの、必要な情報を確実に届ける重要度が高まっていました。こうした課題を解消するために、情報システム部に相談し、本プロジェクトが始動したのです」(平井 氏)。
同社では 2014 年に Office 365(現在の Microsoft 365)をグローバルで導入。当初からグループポータルサイトを SharePoint で構築・運用していました。今回のグローバル ポータルサイトの刷新では、コロナ禍のリモートワーク環境からのアクセスを考慮し、社内ネットワークへの VPN 接続が不要な SharePoint Online を採用、2021 年 5 月から構築が始まりました。グローバル ポータルサイトの構築では複数の組織間での意見調整が発生する場面もありましたが、協業しやすい SharePoint を基盤としたので作業は円滑に進み、約 6 か月という短期間での構築を完了させ、同年 10 月にサイト公開されました。
コミュニケーションの中核を担う Microsoft Teams にポータルサイトへの導線を置き、活用を促進
新たにリニューアルされたグローバル ポータルサイトを通じて、社長の月例メッセージなど多様な情報を日本語と英語で発行しましたが、リリース後のアクセス数が想定よりも伸びず、プロジェクトではさらなるサイトの浸透を図り活用を促すための施策を検討しました。そこで着目したのが、当時 マイクロソフト がリリースしたばかりの「Microsoft Viva Connections」です。
Viva Connections は、従業員エンゲージメントの強化を図るプラットフォーム「Microsoft Viva」の 1 モジュールで、Microsoft Teams の機能を拡張します。具体的には、Microsoft Teams 上にグローバル ポータルサイトへの「ホームボタン」を設置することで、SharePoint を開かずとも当該サイトへのアクセスを可能にします。
前述のとおり、ヤマハでは 2014 年から Office 365 を導入し、2018 年にリリースされた Microsoft Teams についても、早くから希望者からの申告制によるトライアル利用を開始、社内活用事例を積み上げグローバルでの本格運用を実現しました。Microsoft 365 の運用と活用推進を担当し、今回のプロジェクトも手掛けたヤマハコーポレートサービス ICT 事業部 IT サービス部 コミュニケーション活用グループ 主任の向井 千裕 氏は、Microsoft Teams を導入したことで、社内外のコミュニケーションが大きく変わったことを実感したといいます。
「Microsoft Teams は、導入当初、利用申告制による従業員主導の草の根的な使い方をしていましたがトライアル利用が活性化し、国内外の部門での活用事例が多く寄せられたことから、2018 年 11 月に情報システム部門による正式サポート運用の開始に踏み切りました。運用開始と同時に全社イベントにて Microsoft Teams の機能・活用事例紹介、少人数でのビギナー向けワークショップ定期開催など積極的な活用推進を実施したこともあり、『Microsoft Teams でのコミュニケーション・コラボレーションは、自分たちの日常業務の利便性を格段に向上させる』とムーブメントが起こり、全社で広く利用されるコミュニケーション ツールとして急速に普及しました」(向井 氏)。
Microsoft 365 の利用者は全社で約 13,000 人おり、そのうち Microsoft Teams を利用しているのが約 10,000 人です。この浸透率は SharePoint のアクティブ ユーザー数の 8,000 人を上回っています。そのため Microsoft Teams からグローバル ポータルサイトへの導線を用意すれば、ユーザーのアクセス性向上に大きな効果が期待できると確信しました。向井 氏は次のように Viva Connections 採用の経緯を振り返ります。
「Viva Connections は、Microsoft Teams 管理センターから設定ができます。具体的には、グローバル ポータルサイトを情報の中心となる SharePoint のホーム サイトに紐づけて設定を行うことで、全ユーザーの Microsoft Teams クライアントに対してグローバル ポータルサイトへのアクセスボタンを自動で追加できます。このように運用側・ユーザー双方に手間をかけさせることなく導入できる点が採用の決め手となりました」(向井 氏)。
マイクロソフトの積極的なサポートと組織間のシームレスな連携がスムーズな導入の鍵に
Viva Connections の導入も、ポータルサイト刷新と同様にヤマハ コーポレート サービス ICT事業部、コーポレート・コミュニケーション部、情報システム部の協働で進められました。当時は国内企業における Viva Connections の導入事例は少なく、ナレッジがない状況でのプロジェクトとなりましたが、マイクロソフトの積極的なサポートにより、初期設定における疑問や不明点が適宜解消され、技術検証までスムーズに進められたといいます。
グローバル ポータルサイトのデザインと運営を担う平井 氏は、「Viva Connections の導入においては、カラー スキームの設定見直しに少し時間がかかった程度で、特に苦労したことはありませんでした」と語ります。
このようにグローバル ポータルサイトの刷新及び Viva Connections の設定作業は順調に進み、2021 年 10 月のプレオープンから遅れること 3 カ月後の 2022 年 1 月末に全機能がリリースされました。3 つの組織による横断型のプロジェクトでありながら、円滑にこれらの導入が行えた要因は、方針を決めるにあたり情報システム部も含め、組織間で密接なコミュニケーションが取れていたことにあります。
「これだけ短期間で移行できた要因の 1 つは、Microsoft Teams が全社に浸透していたことにあると考えています。グローバル ポータルサイトの刷新も Viva Connections 導入もコロナ禍での取り組みだったのですが、Microsoft Teams を活用して、ほぼオンラインで進められました」(向井 氏)。
Microsoft Teams 経由でアクセスしたユーザーがポータルサイト来訪者の 3 分の 1 を占める
Viva Connections の導入により、グローバル ポータルサイトのアクセス数向上は期待どおりに実現しました。また、Viva Connections にダッシュボード機能が追加されたことで、モバイル版の Microsoft Teams アプリにも導線が確保できるようになり、アクセス数のさらなる増加につながっています。Viva Connections の分析レポートから、グローバル ポータルサイトを来訪したユーザーの 3 分の 1 が Microsoft Teams を経由してアクセスしていることが確認できています。複数のチャネルからグローバル ポータルサイトにアクセスできるようになったことで、ユーザーからは利用デバイスに応じて使い分けられるという声があがっているといいます。平井 氏も全社的なメッセージを伝えやすくなったと、Viva Connections の導入に手応えを感じています。
「月例の社長メッセージに対してサイト閲覧者が感想を寄せられるフォームを Microsoft Formsにて導入したところ、海外の従業員も含めて多くのフィードバックをいただいています。メッセージに共感したというポジティブな意見も多く、アクセス数の向上だけではなく、従業員エンゲージメントの向上においても確かな効果が出ていると感じています」(平井 氏)。
情報システム部戦略企画グループ 主事 森脇 絵美 氏も今回のプロジェクトと今後の抱負を次のように語ります。「ヤマハグループでは、本社以外にも、海外現地法人が独自のMicrosoft365テナントを運用しているため、本社テナントに構築したポータルサイトにアクセスしてもらえるよう、海外現地法人テナントのユーザアカウントの移行を行い、グローバルにアクセス可能なポータルサイトを実現しました。本プロジェクトを経てポータルサイトが統合されましたが、マルチテナント運用によるコミュニケーション上の課題を解決するため、テナントシンクロナイゼーションには引き続き取り組んでいます。マイクロソフトより提供されている Cross Tenant Sync、Teams Direct connect を導入することにより、テナントを統合せずとも、Teams や Outlook 等で他テナントの情報が共有され、シームレスなコミュニケーションが実現できる見込みです。今後も、Microsoft365 の機能を存分に活かしながら、経営課題解決に向けた取り組み、ユーザー部門からの要望への迅速かつ適切な受け答えを行っていきたいです」(森脇 氏)。
マイクロソフト ソリューションの活用を深め、生産的かつ創造的な働き方を目指す
今回の取り組みを踏まえ、ヤマハでは今後も マイクロソフト ソリューションを活用して従業員エンゲージメント向上に向けた取り組みを続けていく予定です。向井 氏は次のように展望を語ります。
「ヤマハではOffice 365 導入当時から Yammer を利用しています。現時点での活用は限定的ですが、Microsoft Teams との親和性の高い新しい Viva Engage (Yammer の後継アプリ名称) を使ったコミュニケーションのさらなる活性化に期待しています。具体的にはグローバルで使える社内 SNS の役割を浸透させるのと、全社向けイベントでの情報発信やインタラクティブにフィードバックを受け取るチャネルとしての活用など、双方向のコミュニケーションツールとしても利用推進したいと考えています」(向井 氏)。
そのほか Power Platform の活用も進めており、2022 年 11 月から本格的な全社展開を開始しました。現在は市民開発者の育成に取り組み、マイクロソフトのサポートを受けながら初級者向けセミナーやアイデアソンなどを開催しています。向井 氏と同じく、Microsoft 365 の運用と活用推進を手掛ける、ヤマハコーポレートサービス ICT 事業部 IT サービス部コミュニケーション活用グループ 課長代理の今 七瀬 氏は、市民開発者の育成について次のように語ります。
「最近では社内の市民開発者の方々に、自作のアプリを自慢してもらう”アプリ自慢大会”を開催し、3 人の開発者に発表してもらいました。オンラインと現地参加合わせて 100 名弱が視聴し、発表中には Microsoft Teams のチャットや”いいね!”などのリアクション機能での反響も大きく、盛況を博しました。今後もこうした活動を続けて、ヤマハの DX推進に寄与していきたいと考えています」(今 氏)。
ハイブリッドワーク環境においてマイクロソフト ソリューションを活用して新しい働き方を実現していきたいと向井 氏は力を込めます。
「2020年4月のテレワーク移行から3年以上経過した現在、弊社ではハイブリッドワークが浸透し、各種デバイスや Microsoft Teams などのさまざまなツールを活用した生産的かつ創造的な働き方が求められています。マイクロソフトさんには、私達がこのような新しい働き方に集中出来るよう、さらなるご支援と各ツールの機能向上に期待いたします。 」(向井 氏)
こうしてヤマハは Microsoft 365 を主軸とした DX 推進に邁進すると同時に、社内の情報を集約するため SharePoint Online によるグローバル ポータルサイトを刷新、合わせて Viva Connections による ポータルサイトアクセス数向上も実現し、従業員エンゲージメントの向上に成功しました。今後もマイクロソフト ソリューションのさらなる活用により、ハイブリッドワーク時代における働き方の最適解を見出し、風通しのよい企業風土を醸成していくことでしょう。
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