今、ビジネスは大きく変化している。デジタル化の波が押し寄せ、さまざまなモノがより効率よく、より便利に進化した。その中でも話題性と実用性の両面から、大きなテーマとなっているのがIoT(Internet of Things : モノのインターネット)だ。

だが現実には、「コストや手間がかかりそう」、「具体的に何をすればいいのかわからない」、「そもそもIoTが自社の業種に役立つのだろうか?」など、不明なことばかりでIoT導入へ踏み出せない企業も多いのではないだろうか。

そこで本記事では、お手軽にIoTを実践できる分野と手法について簡単に紹介する。もし、自社で運用できそうなものがあれば、是非とも試していただきたい。

簡単なIoTのススメ

現在では、IoTを利用したサービスも数多く登場している。具体的なものとしては、以下のようなものがある。

  • 外出先から家電を操作する
  • スマートフォンで自宅にいるペットの様子をチェックする
  • 持病を持つ人の健康状態をスマートウォッチで医師に送信する
  • バスが到着する時間をリアルタイムで把握する

これらは、「インターネットと接続して実現した」という点において、紛れもなくIoTに分類されるものである。上記以外にも、IoTを導入すれば、いままでにないようなサービスを提供することが可能となるだろう。

しかし一方で、IoTの導入には複雑なシステムと高価なセンサー機器などが必要だと考え、二の足を踏んでしまうこともあるだろう。もちろん、取得するデータの精度や量によっては、相応のシステムと高コストな機器が必要となる。だが最近では、お手軽にIoTを導入できるソリューションもいくつか登場してきている。これらを上手に活用できれば、膨大なコストを掛けずとも、今抱えている様々な課題を解決し、新たなビジネスを創出することが可能になるだろう。

データの利活用は、取り組みが早ければ早いほど有利になると言われている。お手軽に始められるものがあるのなら、「まずはやってみる」のが吉である。

初めてのIoTにオススメの3タイプ

IoTに可能性を感じて導入を検討しようと思っても、「本当に自社でIoTが活用できるのか」「そもそも、どこにIoTを導入すればいいのか」などがわからず、なかなか身動きが取れないというのもあるだろう。そこで比較的簡単に導入できるIoTの種類を、3つのタイプに分類して紹介する。

  • 京セラのお手軽IoT

    IoTの3つのタイプ

追跡タイプ

例えば物流であれば、配送の車両が時間通りに走行しているか、荷物は適正な経路で運ばれているのかなどの情報は、リスク回避の観点からも重要なものとなる。特に、配送している品が非常に高価なものであったり、重要な機密情報を含んだものだったりした場合は、位置情報の取得は必須だ。この情報を開示できれば、顧客にも安心と安全を提供できるだろう。

<追跡型のユースケースはこちらを参照>

トレーサビリティシステムにおけるIoTの活用例

感知タイプ

温度や湿度の変化は、様々な製品の品質に大きな影響を与える。例えば食品工場なら、食の安全性や衛生面から見ても、気温と湿度は一定に保つべきである。農場であれば、温度と湿度に加え、日照量なども、作物の出来不出来に大きな影響を与える。このような、温度、湿度、照度、気圧などのデータを定期的に取得して分析ができれば、様々な問題の解決に役立てることができるだろう。

<感知型のユースケースはこちらを参照>

スマート農業におけるIoT機器の役割とは?3つの活用法を紹介

通知タイプ

例えば、鋳造工場の機械で異常な温度を検知したら、その情報は速やかに担当者へと送られなくてはならない。もし、担当者が現場から離れているのなら、遠隔操作で機械を停止できるような仕組みも必要となる。また、上記のような緊急性を伴う事例だけでなく、タクシーの呼び出しや回収・修理依頼など、日常の何気ないシーンにおいても、より円滑な通知ができれば、さらに便利なサービスを実現できるだろう。

そのような人と人、モノとモノ、人とモノの間のコミュニケーションを円滑にするには、通知を行うIoT機器が最適だ。ただ、常に手元に置いておくことが前提となるのに加えて、幅広いユーザーが利用することが予想されるので、お手軽かつストレスがない操作性が大切となる。

<通知型のユースケースはこちらを参照>

IoTを用いた「通知」ソリューションの活用例

「置くだけ」で実践できる京セラのIoT通信機器

上記で紹介した3つのタイプは、比較的簡単かつ安価な製品で実践できる。IoTを最初に始めるには非常に適した分野と言えるだろう。では次に、これらを実践できる具体的な製品の例として、京セラ株式会社が開発したIoT通信機器について紹介しよう。

「GPSマルチユニット」は、位置情報の取得手段と通信方法に特長があるユニットである。位置情報の手段は一般的なGPSに加え、ロシアの人工衛星を利用した衛星測位システム「GLONASS」、日本の衛星測位システム「みちびき」にも対応している。通信回線は広範囲のデータ通信、低消費電力を特長としたLPWA方式の一種であるLTE-Mという通信方式にマルチバンドで対応しており「KDDI、NTTドコモ、ソフトバンク」の3キャリアから選択可能。電源は外部給電と内蔵バッテリーを使用したタイプがある。なお、センサーは温度・湿度・加速度の3つを搭載している。

  • GPSマルチユニット

    GPSマルチユニット

「IoTユニット」は、温度・湿度・加速度・気圧・照度・角速度・地磁気の7項目の情報を取得するセンサーを搭載したユニットだ。動作環境は-10℃~60℃。工場などの一般的な環境下であればそのまま利用できる。サイズは約70×37×11mmと非常に小型であり、設置場所を選ばない。ちなみに、風雨を防ぐ汎用ケース等を活用すれば、屋外への設置も可能だ。

もちろん位置情報(GPS/GLONASS)、LTE-M通信回線(KDDI)の機能も搭載しているので、例えば「冷蔵車が規定の温度を保ちながら走行を続けているか」などの情報を取得する際にも利用できる。

「LTE-Mボタン」は、ボタンを押したことがネットワーク上に通知される仕組みとなっており、ネットワーク上で様々な機能と連携させることが可能である。工場機器などの状態記録、高齢者の安否確認、子供の見守りなど、人の操作が介在する場面での利用が期待されている。2018年11月より、IoT向けのワイヤレス通信コネクティビティとプラットフォームを提供する株式会社ソラコムの製品として販売を開始。その後、様々な製品バリエーションを順次提供している。

  • IoTユニット

    IoTユニット

  • LTE-Mボタン

    LTE-Mボタン

なお、上記GPSマルチユニット及びIoTユニットから得られた情報は、京セラのグループ会社であるKCCSモバイルエンジニアリング株式会社が提供している「miotinc」などのような可視化サービスで閲覧可能となっている。

  • miotincの画面

    miotincの画面

ここで紹介した3つのタイプは、IoT活用領域のごく一部に過ぎない。それぞれのタイプを、自社が持つサービスやシステムと組み合わせれば、また新しい利活用の方法が見つかるかもしれない。また、3つのタイプそれぞれを個別に使うだけでなく、組み合わせて使うことでさらなる利活用の方法も生み出せるだろう。

いきなり大がかりなシステムは難しいかもしれないが、小規模なものからであれば、手も付けやすいだろう。何事も試してみなければ始まらない。京セラが提供するIoT通信機器は、IoT利活用の第一歩を踏み出す企業の力強い味方となってくれるはずだ。

※LTEは、ETSIの商標です。
※みちびきとは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システムです。
※その他社名および商品名は、それぞれ各社の登録商標または商標です。

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