テキストデータの解析に特化し、すでに数多くの実績を上げている人工知能エンジンKIBIT(キビット)。いわゆる「リーガルテック」として訴訟支援や不正監査などの支援を目的に誕生してから、ビジネス支援に用途を拡げた経緯は、連載第1回で紹介したとおりだ。今回はAIエンジン「KIBIT」のビジネス活用における特長と、KIBITを搭載した製品について紹介していく。
少量の教師データで高速・高精度、短期実装も可能
前回の記事でも触れたとおり、KIBITは、テキストデータの解析に特化したAIだ。予め学習した教師データをもとに、人が文章を読んで感覚的に行うのと同様に(あるいはそれ以上の精度で)、膨大なデータの中から必要なものを抽出することができる。キーワード検索とは全く異なり、人間の判断・選択の基準を学び再現している。
少量の教師データで精度の高い解析ができること、市販のノートパソコン1台でも対応可能なほど少ない計算資源で利用できることもKIBITの特長だ。一般的に、AIを導入しようとする際には「十分な量の教師データの準備・選定」や「精度の確認と調整」に1年以上がかかるなど、その手間と時間が導入のネックとなっているケースが少なくない。しかしKIBITであれば、既存の環境(PC)を活用し、1~2ヶ月で業務での本格活用まで進めることも可能だという。
スピーディーな業務活用のために、KIBITを搭載した4製品を提供
スムーズな業務活用のため、開発元である株式会社FRONTEO(フロンテオ)では、KIBIT 、KIBIT G2を組み込んだ4つの製品を提供している。これまで同社に寄せられたニーズや、今後需要が高まるであろうAIの活用方法を想定して開発されたものだ。
Patent Explorer(パテントエクスプローラー)は、連載1回目でも触れたとおり、トヨタグループで知財管理を行っているトヨタテクニカルデベロップメント株式会社と共同開発したもので、類似・重複した特許が存在していないかを確認するのに役立つ。専門スキルを持ったエキスパートのみが対応可能だった特許調査において、簡単な操作で「漏れ」と「ノイズ」が発生しにくい調査ができるため、業務を大幅に効率化できる。
Email Auditor(イーメールオーディター)は、メールの監査に特化している。情報漏洩や談合といった不正の予兆を検知させてリスク管理に役立てることはもちろん、社員が抱える不満やトラブル、ハラスメントの予兆などをキャッチし早期にフォローする、といった活用もされている。
Knowledge Probe(ナレッジプローブ)は、汎用性の高いビジネスデータ分析支援システムだ。多種多様なテキストデータを分析・仕分けし、見つけたい情報を抽出することができる。コールセンターの対応履歴や営業日報、人事データの解析、金融機関でのコンプライアンスチェックなど、その利用の幅は広い。
Find Answer(ファインドアンサー)はKIBITをFAQによる問題解決の業務領域に活用した製品だ。キーワードではなく自然文で入力された質問の特徴を解析し、ナレッジデータベースの中から、回答として適切なものを抽出して迅速に提示するため、文章表現の揺らぎを吸収して回答を提示する。技術継承や属人化の解消にも効果的だ。このFind Answerについては次回、さらに詳しく紹介する。
API「KIBIT-Connect」で、多彩なシステムとの連携も可能
また、この秋提供が開始されたAPI「KIBIT-Connect」を使えば、既存の業務システム等とKIBITを連携し、業務をでさらに高速・高精度・高効率化することが可能だ。また、システム開発企業がKIBITを活用した新たなサービスを生み出し、提供することも可能となった。
KIBIT-Connectの登場によって活用の幅がさらに拡がった人工知能KIBIT。その実用性の高さは、深刻化する人手不足への解決策となるだけでなく、競争力強化に欠かせない人工知能エンジンとして、今後ますます注目を集めることになるだろう。
次回は実際の活用事例をベースに、その効果について紹介していく。
[PR]提供:FRONTEO