いま、世界中を混乱させている新型コロナウイルスの影響によるBCPの観点から、そして夏には通常通りの出勤が困難になることが予測されるなど、多方面から需要が高まっているDesktop as a service(DaaS)。今月は、デジタルトランスフォーメーション、働き方改革、テレワークといった話題で頻出するDaaSについて触れてみたい。
必ず比較されるVDI
さて、DaaSについて言及する際に必ずと言って良いほど比較対象としてあげられるのがVirtual Desktop Infrastructure(VDI)だ。“デスクトップ仮想化“と表現されることが多く、ユーザーが利用するPCにインストールされているOSやアプリケーション、データをサーバー側に集約して実行する仕組みである。手元の端末にはアプリケーションやデータがなく端末からの情報漏洩などを防ぐことができ、管理者の観点からも、物理的に分散している大量のPCの管理をサーバー側に集約できるため、運用管理の効率化というメリットがある。VDIそのものは一般的に、ユーザー企業のIT担当者が維持管理する必要がある。
DaaSとは
読み方は「ダース」。「~aaS」という用語が頻繁に使用されるようになって久しいが、特にDaaSでは、同じDでも、Data、Drone、Device、そしてDesktopと、少なくとも4つの使われ方をしており非常に紛らわしいので注意したい。本稿では、デスクトップの「D」についての説明であることをあらかじめ述べておく。
DaaSは、一言でいうと、クラウド上にある仮想デスクトップを、ユーザーの端末からネットワークを通じて利用できるようにしたサービスである。仮想デスクトップの配信のほか、アプリケーションの実装や管理などのサポートをひとつのまとまったサービスとしてベンダーが提供するため、ユーザー企業のIT担当者の負担はVDIに比べると軽減される傾向にある。
サーバーにクラウドを利用するという点から、DaaSはクラウドが持つ特徴を引き継いでいる。
Point1 初期投資が不要である
Point2 高度なスケーラビリティ
Point3 運用コストを抑えられる
一方で、ベンダーが提供するDaaSは、サービス仕様が決められており、その範囲での提供になるのでカスタマイズ性は低くなるといえる。
さらにDaaSには大きく分類して、3つの提供形態がある。
(1)プライベートクラウドDaaS
企業が独自に構築したクラウドコンピューティング環境から、DaaSを提供することをプライベートクラウドDaaSという。企業独自のものとなるので、OSやソフトは企業が自由選定でき、柔軟性・カスタマイズ性が高いことが特徴。
(2)バーチャルプライベートクラウドDaaS
ベンダーが提供するクラウド上に仮装デスクトップ環境を構築して提供するDaaS。プライベートクラウドDaaSと同様、比較的カスタマイズ性が高い。
(3)パブリッククラウドDaaS
ベンダーが提供するクラウドサービスで、アプリケーションも含めサービス事業者が選定したITリソースを複数の企業で利用する形態。そのため、柔軟性・カスタマイズ性は低く、(1)、(2)と比べるとセキュリティも高いとはいえないが、初期導入費用がほぼかからないうえに、自社での管理が少ない。
活用の機会は増える傾向に
現時点では、テレワークや働き方改革などに需要の重きが置かれているDaaSだが、導入の容易さやスケーラビリティ、運用コストの点を考慮すると、製造業などにおいても、人間があまりいないところの産業機器の管理やデバイスの操作といった活用が想定されており、今後ますます増大するIoT機器とともに普及が進んでいくとされている。
情報提供:アヴネット株式会社
アヴネット株式会社は、半導体・組込み分野に強みを持つ業界最大級のグローバルエレクトロニクス技術商社。日本の本社は東京・恵比寿にあり、八王子のテクニカルセンターや大阪、名古屋、京都、松本、上田、福岡と国内8拠点で広くビジネスを展開している。グローバルのビジネス拠点は125拠点で、本社はアリゾナ州フェニックス。
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