2016年の1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」。このなかで策定されたSociety5.0は、先日幕張メッセで開催されたCEATECにおいても、「2030年のまち」をテーマに各企業がSociety5.0 TOWNと称した企画展示を披露。出展企業による選りすぐりのデモ展示で会場を賑わせていた。今回の『3分でわかるIoT関連用語集』では、これまで取り上げた用語と比べるとブロードでIoTを包含するトピックとなるが、Society5.0 について触れてみたい。
Society 5.0
狩猟社会を起点とするSociety 1.0から、農耕社会を2.0、工業社会を3.0、そして21世紀の情報社会が4.0と定義され、そこで直面した、“知識や情報が共有されず、分野横断的な連携が不十分である”という課題解決を目的のひとつにして策定されたのが「Society5.0」だ。
インターネットの普及によって訪れたSociety4.0(情報社会)は、文字通り、インターネットを活用することで膨大な情報に誰もがアクセスできるようになった。ただ、その情報をコントロールするのは人間であり、最大限に活用することに限界があったものを、Society5.0では、IoTやAIが加わることで、これまでにない新しい価値の創造につなげることを目指している。人間が情報を分析して有効活用してきたSociety4.0だが、Society5.0では、IoTによりこれまで入手できていなかったデータを、AIで解析して有効活用することが可能になる。それによって少子高齢化、地方の過疎化など、日本を取り巻く社会課題の解決を図っていくとともに、あらゆる産業に新たな価値をもたらすことで経済発展も図っていくという。
参考/出典:内閣府ホームページ「Society5.0」
"新しい価値"、"分野横断的"などといった、何か大きな変革を起こすには、これまでやってこなかったことをやることで実現することがほとんどだ。電波新聞日刊10月24日からシリーズで取り上げられているCEATEC特集にも、「変わるCEATEC」と題されている。
記事内では、ANAホールディングスが初めて出展していることも取り上げられており、IT、エレクトロニクス産業関連の展示会といわれてきた場所に航空会社が出展するなど、まさに分野横断的な動きは、いたるところで起こっている。
ここからは各産業における具体的な価値創造、課題解決の例を紹介する。
産業別にみるSociety 5.0
医療・介護
経済発展により人々の生活が豊かになり、医療技術が発達の恩恵を受けられるようになったことから日本人の平均寿命は伸び、その結果、、日本は人口の21%以上が65歳以上という超高齢化社会となった。増大する国民医療費の解決策として掲げられるのが「予防医療」や「遠隔治療(診断)」だ。また、人手不足の打開策として、介護ロボットの活用やAI診断といった、医療に携わる人間を支援するテクノロジーがますます進化していく。
交通
前回取り上げたCASEにあるように、自動車産業も変革期を迎えている。排ガスを出さないクリーンな自動運転車の実用化により、移動に柔軟性・多様性を持たせることができるようになり、その結果、人々は自由に行きたいところにいけるようになり、その結果、地域に交流とにぎわいが生まれ、経済活動の活性化、ひいては地域社会の活性化が生み出されるというサイクルを作ることができるようになる。人々の移動手段をしてクルマ産業はシェアモビリティサービスなども取り込みながら、持続可能な産業として社会の活性化を担う役目を負っていくこととなる。
農業
ロボット技術やICTを活用した農業のスマート化によって効率化・省力化を図る一方で、農林水産省は、すでにICT技術は取り入れているものの、相互間での連携がなく、データやサービスは個々でバラバラに存在しているため活用できていないことを課題としている。そこで誰もがデータを駆使して生産性の向上や経営の改善に挑戦できる環境を生み出すため、データ連携機能やオープンデータの提供機能を有する「農業データ連携基盤」を構築する、としている。
IoTにおいても、デバイスメーカー、SIer、クラウドサービスなどあらゆる分野間での連携が不可欠なのと同様に、Society5.0の実現には、産業や行政を横断した連携が不可欠であり、それを実現できた産業が口火を切って、その目標とする姿を具現化することだろう。
情報提供:アヴネット株式会社
アヴネット株式会社は、半導体・組込み分野に強みを持つ業界最大級のグローバルエレクトロニクス技術商社。日本の本社は東京・恵比寿にあり、八王子のテクニカルセンターや大阪、名古屋、京都、松本、上田、福岡と国内8拠点で広くビジネスを展開している。グローバルのビジネス拠点は125拠点で、本社はアリゾナ州フェニックス。
※本記事は「アヴネット」から提供を受けております。著作権は同社に帰属します。
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