目の前の業務に追われ、押し寄せているDXの波に乗れず「DX漂流者」となってしまった中小企業の方を助けるソリューションを紹介する本連載。第3回では、クラウド勤怠管理システム「KING OF TIME」をピックアップする。
近年の日本は「働く」にまつわる話題があふれている。働き方改革は言わずもがな、就労人口減少を受けた人手不足や、多様な働き方の浸透、そして現在は仕事を人生の一部と捉える“ワーク・イン・ライフ”というワードもトレンドになり始めている。こうしたさまざまな「働く」の根本にあるのが勤怠管理だ。
そこで今回は、「KING OF TIME」を提供するヒューマンテクノロジーズの販売パートナーセールス 主任 藤澤 和香奈氏と、その機能開発にアイデアを提供する社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント 特定社会保険労務士 馬場 栄氏、そして販売に携わるソフトバンクのビジネスアライアンス本部 営業支援統括部 ソリューション企画部 担当部長 遠藤裕和氏、ソリューション企画部 ソリューション企画課 遠藤寛和氏に中小企業における勤怠・労務管理面でのDXについて話を聞いた。
タイムカードに潜む業務効率とコンプライアンス、人材確保の盲点とは
コロナ禍を受けて働き方は大きく変わり、リモートワークが一気に浸透した。しかし、労務管理関連のコンサルティングに特化した特定社会保険労務士の馬場栄氏は、「地方ではまだリモートワークが進んでいない企業が多いです。残念ながら多くの中小企業は、未だにその重要性に気づいていません」と解説する。
今、有給休暇取得率や取得日数は就職先を決める際の重要な要素になっている。馬場氏は「就労人口が減少していくなか、柔軟な働き方を実現できない企業は今後さらに採用が難しくなるでしょう。現状を変えなければという危機感を覚えないと、DX漂流者になってしまいます」と指摘。それに対して、「DX」と「コンプライアンス」の実現に高い意識を持ち、デジタルを上手に活用することができる企業は、結果的に貴重な人材の確保にもつなげられると語る。企業の日常においてこの2点と密接に関係するのが、労働時間の正確な把握であり、勤怠管理だ。
中小企業では、営業や建設現場、訪問看護・介護など社外で働くことの多い職種は会社に出社してタイムカードを押すことが出来ないため、後日まとめて記入したり、会社にいるスタッフに打刻を任せたりすることもある。このようなことが起こると、労働時間の正確な把握が難しいだけでなく、実際以上の労働時間が不正に記録される可能性すらある。ある企業では、最初に出勤した従業員が、出勤前の従業員も含めた全員分の勤怠打刻を行っていたため不要な人件費が発生していた。また、タイムカードの記録から電卓や表計算ソフトを用いて労働時間の集計を行う作業は労務担当者にとって大きな負荷となる。
「労働時間の記録は法規制への対応・コンプライアンス遵守の観点からも重要です。スマートフォンで出先から出退勤を申告できるようにすれば、外回りが多い職種でも労働時間を正確に記録できるでしょう」(馬場氏)
中小企業には、情報システム部門で働くITスキルの高い専任担当者がいないケースが多い。そのためDXどころか何からデジタル化を始めればいいかわからず、手を付けられていない状況になっていることも少なくないはずだ。従業員の働きやすい環境づくりや不正防止に直接的につながる勤怠管理のデジタル化は、中小企業のDXの第1歩として適切だと言えるだろう。
多様な働き方に応じ、どこにいてもスマートフォンで出退勤を打刻できるメリット
KING OF TIMEは、勤務状況の正確な記録・管理を実現するクラウドの勤怠管理ソリューションだ。パソコンやスマートフォンを使い、社内外のどこでも出勤・退勤の打刻を行えるようになるほか、管理者側もその状況を遠隔からリアルタイムに確認できる。出退勤データを正確に記録できるだけでなく、たとえばオフィスへの出社人数、月の残業時間、有給休暇の取得状況などもひと目で確認することが可能だ。
用意されている打刻手段は、全て本人認証の機能を備えているため、本人が確実に打刻していることもチェックできる。さらに勤務体制やルールは企業ごとに多種多様で、集計する項目もさまざまだが、KING OF TIMEなら柔軟にカスタマイズできるのも強みだ。
販売パートナーであるソフトバンクと協力しながら販売施策の立案などを担うヒューマンテクノロジーズの藤澤和香奈氏は「KING OF TIMEは労働基準法をはじめとする法制度をきちんと守りながら担当者の管理工数を削減し、かつ従業員1人あたり300円という低コストで利用できるので、中小企業の労務管理に関わる課題解決に貢献します。実際に導入いただいているお客さまからも『勤怠集計から給与計算にかかる時間が1/5になった』など喜びのお声をいただいています」と語る。
日々の出退勤打刻は多彩な手段を用意しているため、手持ちのパソコン、タブレットやスマートフォンを活用できるほか、ICカードや生体認証を活用した専用の打刻手段も用意している。そのほか、入退室管理システム、健康管理ツール、決済端末などとの連携も可能だ。ユニークなところでは、ビジネスSNSのLINE WORKSと連携し、チャットでメッセージを送ると自動的に打刻される機能も実現している。
休暇管理機能や各種申請承認機能、給与計算など勤怠管理周辺のさまざまな機能を揃えているのも特徴。「最近は休暇管理機能を利用するお客さまが増えています。半日や時間単位での有給休暇管理はもちろんのこと、休日出勤をした際の振休管理、企業さま独自の休暇の管理にも簡単に対応できます」と藤澤氏。
ソフトバンクでは、直販部門および販売パートナーがKING OF TIMEをスマートフォンとセットで提案している。ソフトバンクで法人営業やパートナーとの取り組みに携わる遠藤寛和氏は「KING OF TIMEは、場所を問わずいつでもどこにいても出退勤を打刻できるメリットがきわめて大きく、ソフトバンクが強みを持つスマートフォンをプラットフォームにできるので、両社のサービスの親和性はとても高いと考えています」と話す。
定番のクラウド勤怠管理システムでDXへの第一歩を踏み出す
実際に中小企業において、KING OF TIMEは具体的にどういった課題を解決しているのだろうか。従業員30人程度のある建設業の事例を紹介しよう。
この会社はもともと紙の出勤簿を使っていたが、現場との直行直帰が多く、週に1度出社したときに出勤簿へ出退勤時刻を記録していたため、実際に働いた時間を正確に管理できていなかった。また深夜勤務が多く、その割増残業代は総務担当者が出勤簿の内容を表計算ソフトに転記し、給与計算を行っていたという。
同社はこの悩みをソフトバンクに相談し、紹介を受けてKING OF TIMEを導入。スマートフォンアプリからの打刻で正確な作業時間の把握が可能になったことに加え、生体認証機能で確実な本人確認も実現した。また深夜残業代もKING OF TIMEの機能で自動集計できるようになった。同様に、従業員は社外から正確な打刻ができるようになったうえ、手当申請に関する業務もKING OF TIMEの補助項目機能を使って行えるようにしたという事例がある。
藤澤氏は「当社の営業拠点は東京のみで全国各地へのアプローチは難しいところがありますが、ソフトバンクさまがスマートフォンとセットでKING OF TIMEの良さを紹介してくれるため、とてもありがたく感じています」と語る。
この評価を受け、ソフトバンクで前出の遠藤寛和氏が所属する部署の担当部長を務める遠藤裕和氏は「当社の直販部門や販売パートナーが全国の企業の課題を直接聞ける強みと、KING OF TIMEがAPI連携で多種多様なサービスとつながれる強みを活かして、勤怠以外の労務管理や健康管理の領域まで発展できるDX支援をより一層取り組んでいきます」と力を込める。
ソフトバンクでは「何のためにデジタル化を行い、DXを実現するのか」という課題設定の段階から伴走し、中小企業のDXをサポートしている。アナログな業務プロセスをまずは一つでもデジタル化することで従業員の業務負荷を減らし、働き方改革につながる取り組みが実現できるはずだ。DX漂流者となってしまった中小企業は、ぜひソフトバンクに相談してみてほしい。
最後に馬場氏は、勤怠管理で悩む中小企業に向けて次のようなメッセージを送ってくれた。
「企業とは、人が働く場所。つまり勤怠管理は1丁目1番地の重要課題です。まずはデジタルツールを使って勤怠管理業務を正確かつ楽にし、そこからさらに踏み込んで次のDXに向かってほしいと思います。とにかく、まずは早めの一歩を踏み出してください」
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