Dropboxが提供する法人向けのオンラインストレージサービス「Dropbox Business」。連載の3回目となる今回は、同サービスを販売するサテライトオフィスが開催した「Dropbox Business活用セミナー」の模様をお届けする。
11月に都内で開催された同セミナーでは、Dropbox Japanのセールスエンジニア 保坂大輔氏、同社 パートナーアカウントマネージャー 桐谷圭介氏、サテライトオフィス 代表取締役 原口豊氏が登壇。Dropbox Businessの特徴や国内企業における活用事例が紹介された。
コラボレーションツールとしてのDropbox Business
冒頭、Dropbox Businessを販売するサテライトオフィスの原口氏が登壇し、セミナーの概要について説明。続いて、Dropbox Japanの保坂氏が登壇し、Dropbox Businessの特徴や活用方法について解説した。
保坂氏はまず、Dropboxを「ファイルを安全し、素早く同期して、簡単に共有できるサービス」と表現し、日本国内での利用状況について説明した。
日本におけるDropboxのユーザー数は、個人向けを含めると1,400万人以上で、全世界で見ても日本の伸び率が高くなっているとした。また、国内企業によるDropbox Businessの利用も増えているという。
Dropbox Businessと個人向けのDropboxとのおもな違いは、「ユーザーの管理機能があり、管理者がログを事後またはリアルタイムに確認・監視できること」。そのため、「仕事で使うなら、(個人向けではなく)Dropbox Businessをおすすめする」と述べた。
保坂氏は、Dropbox Businessが解決したい企業の課題として、セキュリティとガバナンス、ITコスト、ユーザーの3つを挙げる。「たとえば、業務上で社員が個人向けのサービスを勝手に使ってしまう"シャドーIT"の問題や、社内ファイルサーバーで何台ものサーバーを運用しなければいけないといったITコストの課題も、Dropbox Business導入によって解消できる」とした。
また、保坂氏は「我々が考えるに、仕事の本質とは共同作業である」と指摘し、「Dropbox Businessはファイルの保管や共有ができるだけでなく、社内・社外でさまざまな共同作業ができるコラボレーションツール」だと述べた。
その上で保坂氏は、Dropbox Businessでどのような共同作業ができるのかを解説する。まず、「共有フォルダ」では、複数のメンバーをフォルダに招待し、閲覧・編集権限を設定して、フォルダ内のファイルを共同編集したり、ファイルをアップロードすることが可能。
また、「ファイル/フォルダリンク」では、ファイルやフォルダの共有用URLを生成して、相手がDropboxユーザーかどうかにかかわらずファイル・フォルダを共有できるのが特徴。さらに、共有されたファイルにWebブラウザでアクセスすることで、専用ソフトなしでAIファイルなどを閲覧できるプレビュー機能、文書や画像などの範囲を指定してコメントを書き込めるコメント機能が利用できると紹介した。
また保坂氏は、複数の取引先から見積りや成果物を収集したいときに便利な機能として「ファイルリクエスト」を挙げる。Dropbox上に作成したフォルダへファイルのアップロードを求めることができ、相手がDropboxユーザーでなくてもリクエストを行える。また、締切の設定ができるほか、締切を超過したファイルの区別も可能だとした。
保坂氏は「たとえば、大学の教員が学生からレポートを集める際、メールだと何百通ものメールを開いてファイルを保存しなければならない。ファイルリクエスト機能を使えば、1つのフォルダにファイルを自動的に集めることができる」と述べる。
次に、他サービスとの連携について解説が行われた。保坂氏は「Dropboxと連携するサービスは全世界で30万以上」と述べ、なかでも生産性向上の面で影響が大きいのがMicrosoft Officeとの連携だとした。Dropbox上のWord、Excel、PowerPointのファイルをPCで開くと、右側に"バッジ"と呼ばれるアイコンが表示され、ファイルの共有をすばやく行えるほか、共同編集者による編集状況をリアルタイムに確認することが可能。
さらに、WebブラウザでDropboxにアクセスすれば、Wordなどのファイルをオンライン版のOffice Onlineで編集でき、OfficeをインストールしていないPCでもファイルを簡単に扱えることを紹介した。
また、CRM(顧客関係管理)ツールとして人気のSalesforceとも連携可能であることも紹介。保坂氏は「Salesforceは元々のファイル容量が少ないが、Dropbox Businessを連携することで、作業中のファイルを置いておくワークスペースとして使え、ドラッグ&ドロップ操作で案件にファイルを添付できる」と述べた。
そのほかにもDropbox Businessは、GmailやAdobe Acrobat Readerなどとも連携が可能。また、EMM(エンタープライズモバイル管理)など、企業がすでに導入しているモバイル管理システムとDropbox Businessを連携させる例もあるとした。
保坂氏は、Dropbox Businessの特徴として同期機能の重要性に言及する。「同期機能がないサービスでは、よく聞く話として、ファイルのアップロードのし忘れなどが起こる。同期機能があることで、ITにあまり詳しくないユーザーでも、従来と同じ使用感でクラウドを意識せずにファイル操作ができる。また、外出時などのネットに接続していないオフライン状況でも、ローカルのファイルを使った作業が可能になる」と語った。
また、ファイルのバージョン履歴が無制限に保管され、元の状態に復元できることもDropbox Businessの特徴のひとつ。保坂氏は「共同作業で誰かが誤ってファイルを消してしまったり、ファイルが先祖返りしてしまったときでも、いつでも元の状態に戻せる」と述べた。
さらに、復元機能には副次的な効果もあるとし、ファイルを勝手に暗号化して使用不能にするランサムウェアの被害に遭ったときでも、「Dropboxあれば、正常バージョンのファイルがバックアップされているので、ユーザー自身で簡単に復旧が可能」だと語った。
また保坂氏は、競合サービスとの違いとして同期パフォーマンスを挙げる。ダウンロード、アップロード、大容量ファイルの同期、小容量ファイルの同期、いずれの速度もDropboxが優れていると示した上で、「とりわけ大容量ファイルの同期速度に顕著な違いがある。共同作業では同じファイルを何度も更新するので、この違いが快適さに大きく影響する」と述べた。
同期速度の速さについて、保坂氏はLeptonという特別な圧縮技術を用いているからだと理由を説明。「Dropboxでは、ファイルをブロックに分割して送受信しており、ファイルを編集したときには、変更があったブロックのみを送受信するので同期が速い。また、同期が途中で中断した場合でも、ブロックごとの同期のため、中断した状態からの継続が可能」だとした。
現在、社内でファイルサーバーを運用しているという企業も多いと思われるが、保坂氏は「ファイルサーバーからDropbox Businessへの移行もスムーズにできる」と語る。先行機能として提供されているチームフォルダを利用することで、ファイルサーバーのフォルダ構造をそのまま再現して移行することが可能。また、DropboxではPCに同期させるフォルダを選択する選択型同期が可能であるため、ファイルサーバー代わりに使っても、PCのディスク容量を圧迫する心配はないとした。
最後に保坂氏は、2017年に提供予定の新機能「Infinite(インフィニット)」を紹介。同機能では、PCに保存していないDropboxのファイルをフォルダ上に表示することができる。「ダブルクリックでファイルを開けるなど、あたかもファイルがローカルにあるように扱うことができ、PCのディスク容量をさらに節約できる」と述べた。
Dropbox Businessによる生産性向上の事例
続いて登壇したDropbox Japanの桐谷氏は、国内企業におけるDropbox Businessの活用事例を紹介した。
最初に取り上げられたのは、フリマアプリ「メルカリ」を提供するメルカリの事例。同社は現在では約200名の社員を抱えるが、創業当初は人数が少なかったため、それぞれが個人向けのDropboxを利用して、ファイルの共有などを行っていたという。
人員拡大に伴い、企業としてファイル共有を管理する必要が生じたことから、同社ではまず社内にファイルサーバーを設置することを検討。しかし、ファイルサーバーでは、社内からでないとアクセスできないなどのデメリットがあり、Dropbox Businessを導入するに至った。
桐谷氏は「メルカリは若い会社ということもあり、資料をすべてDropboxに入れるなど徹底している。導入の結果、作業効率化はもちろん、フレキシブルな働き方も実現した」と述べた。
また、教育分野では、城北中学校・高等学校における導入事例が紹介された。同校では、数学科の教師が個人向けのDropboxを利用していたことをきっかけに、教員用の情報共有基盤としてDropbox Businessを導入。
教員には、ほかにもDropboxユーザーが多数いたこともあり、導入はスムーズだったとする。「ファイルのうっかり削除が怖くなくなった。スムーズな同期にも満足している」という感想が寄せられていると桐谷氏は語る。
Dropbox Businessは、画像や設計図などの大容量ファイルを外部とやりとりする機会が多い広告業界や建設業界で、とくに導入が多いという。桐谷氏は、そのうち建設業界の事例について紹介を続けた。
各社では、慢性的な人手不足という共通する課題を抱えていたという。そこで、無駄な業務を減らすことによる生産性の向上、残業時間の削減などによる働きやすい労働環境の整備のために、Dropbox Businessを導入する企業が出てきている 利用方法としては、協力会社や施工主との図面やスケジュールなどの情報共有に加え、建設現場でのタブレットを用いた情報の確認、これまで現場に設置していたNASサーバーの代替など。導入の結果、「現場で解決できずに会社に戻らなければいけないような問題が減り、残業時間も削減することができた」と桐谷氏は語る。
また、タブレットの購入費用やDropbox Businessの利用料などの導入コストはかかったものの、残業代を大幅に削減できたことで、結果的にはコスト削減にもつながったという。さらに桐谷氏は「現場での作業時間が増えたことで、より質が向上したという話も聞いている」と述べた。
桐谷氏は「Dropbox Businessは、建設業界をはじめとして、生産性を向上するためのプラットフォームとして活用されている。導入によって、働き方をシンプルにできる」とまとめた。
Dropbox Business向けシングルサインオンツールを提供
最後に登壇したサテライトオフィスの原口氏は、Dropbox Businessのポイントとして、社内のファイルサーバーや大容量ファイル転送サービスの代替になること、シャドーIT対策になることを挙げた。また「Windows、Mac、スマートフォン、タブレットなど、どのデバイスでも使えるプラットフォームフリーなサービスである」とした。さらに、「競合サービスよりも同期スピードが速く、遠隔からデータを削除できるリモートワイプ機能も備えていることも特徴」と述べた。
原口氏は、同社が提供するDropbox Business向けシングルサインオンツールについても紹介。同ツールを使うことで、管理者がユーザーにパスワードを強制的に変更させたり、ログインに複数回失敗したときにアカウントを凍結するなどの管理ができ、セキュリティをより強固にできるとした。
シングルサインオンツールは当面の間、無料で提供する予定。また、G Suite(旧Google Apps)やOffice 365を利用している場合には、同社の既存のシングルサインオンツールにDropbox Businessを連携させることも可能だと述べた。
サテライトオフィスが提供するDropbox Business向けシングルサインオンツール |
管理者がユーザーにパスワードを強制的に変更させたり、ログインに失敗したときにアカウントを凍結するなどの管理ができる |
原口氏は、Dropboxの国内ユーザーが1,400万人超であり、全人口の約11%にあたるとした上で、「(Dropboxなどのオンラインストレージサービスを)社員がどのくらい業務に利用しているのかを企業が把握できているか。社員が退職したあとにデータを守ることができるのか」と指摘。「シャドーIT対策として、Dropbox Businessを検討してみてはいかがか」と締めくくった。
(マイナビニュース広告企画:提供 サテライトオフィス)
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