デジタルテクノロジーがビジネスや生活に浸透したことで、業種や規模を問わず、あらゆる企業がデジタルを中心とした業務変革に取り組んでいる。その一方で、IT人材不足は日本国内においても深刻化しており、既存業務におけるITの運用・管理に追われ、ITを使った業務変革、すなわち“攻めのIT”を実践できている企業は多いとはいえないのが現状だ。
本稿では、中堅中小企業のIT管理者がリソースを割いている「PC運用管理」の負荷を大幅に軽減する、デル・テクノロジーズの新サービス「ゼロタッチPC for SMB」に注目。PCの調達・初期セットアップ・運用・故障対応・廃棄といったPCライフサイクル全体をカバーするトータルサービスのメリットを、2回にわたって解説していく。
第1回では、中堅中小企業の情シス担当者の課題と現状、それを解決するために生まれた「ゼロタッチPC for SMB」サービスの概要について確認していく。
既存IT環境の運用負荷が高止まりしている現状が、中堅中小企業のDX実現を阻む
産学連携を含めた中堅中小企業向けのDXを推進するデル・テクノロジーズでは、2017年から継続して国内企業を対象としたIT投資動向調査を実施している。2022年2月15日~3月18日にかけて実施された「中堅中小企業IT投資動向調査2022」では、これまで従業員100名~999名の中堅企業を対象にしていた調査範囲を、99名以下の中小企業まで拡大。過去最大となる2,337社に対し、「企業動向」「IT動向」「リスク対策」「製品・サービス」「デジタル化」といったカテゴリ、全73項目の調査を実施した。
この調査結果から見えてきた中堅中小企業の現状と課題が、2022年4月21日より提供を開始したPC運用管理のトータルサービス「ゼロタッチPC for SMB」の骨子となったと、デル・テクノロジーズ 広域営業統括本部 フィールドセールス本部の木村 佳博氏は語る。
「デル・テクノロジーズでは、以前より中堅中小企業で高止まりを続けるIT環境の運用負荷が、DXによる事業変革を妨げていると認識し、そのなかでメーカーである我々がどのような支援ができるのかを模索してきました。今回実施した「中堅中小企業IT投資動向調査2022」で、中堅中小企業が抱える課題感が明確化できたことで、課題解決を支援するサービス「ゼロタッチPC for SMB」の骨子が固まっていきました」(木村氏)
木村氏は、中堅中小企業におけるITの課題を紐解く調査結果として3つの数値を挙げる。まずはDX・事業変革に取り組んでいると回答した企業の割合である「23%」。大企業向けの別調査では54%がDXに取り組んでいるという結果が出ており、大手企業とのギャップが大きいことが確認できたという。続いて情報システム部門(情シス)担当者の勤務時間が増加、もしくは変わらないと回答した割合は「81%」で、IT周りの業務負荷が高止まりしている現状を確認。さらに、情シス担当者が既存環境の運用業務に「65%」もの時間を費やしているという結果も出ており、業務変革に割けるリソースが少ない現状が見てとれる。そのなかでも、PCの運用管理に占める割合が高いことに木村氏は着目する。
「中堅中小企業の情シス担当者は、既存IT環境の運用に65%の時間を費やしており、なかでもPC運用管理が占める割合は21%もあります。残業含め1日10時間働いているとして1日2時間、単純計算で年間2カ月半もの時間を費やしていることになり、これがDXを推進するうえでの足枷になっていることが鮮明に見えてきました。ゼロタッチPCのサービスを構成するにあたっては、こうした新しい業務に着手できない状況からの脱却というのが大きなテーマになっています」(木村氏)
2,337社の中堅中小企業への調査結果を受け、PC運用管理の課題を解決する3つの「Zero」を準備
こうして、中堅中小企業向けIT投資動向調査から見えてきた市場動向を踏まえ、新しい施策となる「ゼロタッチPC for SMB」の企画が始動した。従業員300名以下の企業の58%が、情シス担当者が1名以下という結果を考慮し、ターゲットゾーンを従業員50名~300名の企業に設定。さらにPC運用業務において特に負担の大きな作業を洗い出し、サービスの詳細を詰めていったと木村氏は語る。
「ゼロタッチPCの施策では、中堅中小企業における積年の課題となっている“高止まり続けるPC運用管理の負荷”と、人やモノの移動や需給バランスの急激な変化に伴う“グローバルサプライチェーンへの甚大な影響”、すなわち「欲しいときにモノが手に入らない」状況から企業を解放することで、攻めのDXへのリソースシフトを実現することを目的に定め、その実現に向けて、3つの「Zero」を掲げています」(木村氏)
「ゼロタッチPC for SMB」では、PC運用業務における現状の課題を3つに大別し、3つの「Zero」施策で解決を図っている。PCの見積・発注や納期確認、保守、故障対応、廃棄などに対して担当者がマニュアルで対応しているという第1の課題に関しては、専用オンラインサイトにすべての作業を一元化する「運用管理のマニュアル対応ゼロ」で対応。2つ目の課題となる、マスターによるキッティング・展開や、廃棄時のデータ消去などの負荷については「PCの初期セットアップゼロ」で対応すると木村氏は解説する。
「PCのキッティングや廃棄の作業は情シス担当者にとって大きな負担となっています。一部作業を外部委託しても、オペレーションとしてはなかなか減らない。そこでゼロタッチPCサービスでは、マイクロソフトとのジョイントプロジェクトにすることで、Microsoft 365のAutopilotやIntuneを用いたクラウドからの自動セットアップに対応。マスターを使ったキッティングが不要となる「PCの初期セットアップゼロ」を実現しています」(木村氏)
3つ目の課題はトラブル・故障が発生した際の対応となる。「故障時に備えた予備機を潤沢に用意している中小企業はほとんどなく、代替機の手配に時間がかかり、現場の業務が停滞してしまうケースも少なくありません」と木村氏。ゼロタッチPCでは、共通在庫を用意し、代替機を即納できる環境を提供することで「故障したときの障害対応ゼロ」を実現したと語る。
即納モデルのPCとMicrosoft 365+3つのコンポーネントでPCライフサイクル管理の課題に対応
ゼロタッチPCが掲げる3つの「Zero」は、PCメーカー、ITソリューションプロバイダーであるデル・テクノロジーズのノウハウと、マイクロソフトが提供するクラウドサービスを組み合わせることで実現されている。木村氏は、ゼロタッチPCのサービスを構成する要素について解説する。
「ゼロタッチPC対象即納モデルとマイクロソフトのMicrosoft 365 Business Premiumライセンスに加え、3つのコンポーネントを準備しました。1つはオンラインでPCの見積・購買・注文確認が行える「ポータルサイト/プレミアサイト」で、もう1つは、自動セッティングを実現するAutopilotの設定からMicrosoft 365アプリ、業務利用アプリの配布、管理者マニュアル、トレーニングまでをパッケージ化した「ゼロタッチPC立ち上げサービス」。さらに専用の事務局を立ち上げ、PCヘルプデスクの一次受けを無償で提供するMVS(PCマルチベンダーサポートプログラム)や、電話やポータルサイトから故障機の交換や廃棄が行えるサービスをセットにした「ゼロタッチPC運用サービス」を用意しています。これらを組み合わせることで、PCライフサイクル管理全体をカバーし、情シス担当者の業務負荷を大幅な軽減を実現できます」(木村氏)
第1回となる本稿では、中堅中小企業におけるPC運用業務の課題と、その課題を解決するための要素を網羅した「ゼロタッチPC for SMB」の概要について確認してきた。後半となる第2回では、サービスのより詳細な内容について木村氏に解説いただき、中堅中小企業に対しゼロタッチPCがもたらす可能性を紐解いていく。
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