経営層や管理職だけでなく、社員も自社のビッグデータを活用することで、ビジネスを発展させる「データドリブンマネジメント」が各社で加速しています。勘や経験に頼らず、データをもとに現場が行動することで、スピーディーに課題を解決できる方法ですが、「一部の社員しかデータを見る習慣がない」などの理由で、データを上手く活用できずにいる企業も少なくありません。
こうした状況の中、「製造業の社会インフラ」と親しまれ、国内外で事業を展開する株式会社ミスミは、データドリブンを実現し、経営スピードが大幅に向上したといいます。株式会社ミスミグループ本社 常務執行役員 ID(Industrial Digital Manufacturing)企業体社長 吉田 光伸氏と、株式会社ミスミ ID企業体 IDマーケティング推進室 ブランド戦略チーム チーフディレクター 津田 奈都葵氏に、データ活用プラットフォーム「Domo」を使用しデータドリブンを実践したことで、組織やチームにどのような変化が見られたのか、話を伺いました。
・「データドリブンマネジメント」とは?
・「ビッグデータ」とは?
「時間戦略」を掲げる企業がデータ活用を重要視するワケとは
──まずはミスミグループ本社について教えてください。
吉田氏:ミスミはカタログによる部品の受注販売など、ユニークな事業を推進してきました。800垓(1兆の800億倍)種類の部品を1個から注文することができ、最短翌日にお届けできる高度なサプライチェーンを、世界108の国と地域で展開しており、「製造業の社会インフラ」を目指し、日々進化を遂げています。
近年は機械部品調達のAIプラットフォーム「meviy(メビー)」をローンチし、2023年には「第9回 ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞」を受賞することができました。職人の技を表彰する賞といわれていますが、meviyはデジタルサービスとして初めての受賞となりました。
──CMでも「meviy」の名前をよく聞きますが、どんなサービスでしょう。
津田氏:meviyは3D CADで設計した機械部品のデータをアップロードすると、AIが形状から加工手順を解析し、即時に見積価格と納期を提示、注文後はデータから加工プログラムが自動で生成され、製造までするサービスです。従来は3Dで設計したデータを紙の図面に落とし、さらにFAXを使用して相見積もりを取っていたため、部品調達に3週間~1ヶ月の時間がかかっていました。meviyは最短1日で出荷することが可能です。
吉田氏:meviyは単なる機械部品の調達サービスではなく、「顧客時間価値」を提供するサービスだと考えています。調達にかかる時間を92%削減することで、より創造的な業務に時間を割くことができ、良い製品やサービスが生まれ、日本の競争力が上がっていく。こうした製造業の姿を実現すべく、我々は「時間戦略」を掲げています。
──「時間戦略」の理念をサービスとして実現する上で、データ活用の重要性をどう感じていますか?
吉田氏:meviyは当社の中でもスタートアップのようなものですから、本格的に事業展開をするとなったとき、即座に意思決定ができる「スピード感」が何よりも重要でした。
ところが、これまでのやり方で経営状況を判断しようとすると、分析チームが膨大なデータをExcelで集計して、報告のための会議を調整して……と、データを見るだけで多大な時間がかかっていました。ようやく確認できるとなっても、手元に届いたのは一週間前のデータで、数字を深掘りすることもできない。製造業の視点でいえば「ムリ・ムダ・ムラ」の3Mです。
データを即座に確認して、価値の高い判断をするためにも、リアルタイムなデータを可視化できる「Domo」を導入することにしました。
見えなかったデータが見えることで、組織全体に力がつく
──数多くある選択肢の中で、なぜDomoを選ばれたのでしょう?
吉田氏:そもそも、使う人を選ぶITツールが多いと感じます。専門的な知識やスキルセットが求められるなど、使いこなすまでに時間がかかってしまう。現場とは正直なもので、難しくて扱いづらいツールは社内に浸透しません。その点、Domoは直感的に操作ができて、誰でも簡単にカードを作れますから、意外なほど抵抗なく社内に受け入れられました。
私自身、Domoを使用したことでデータとの距離が近くなったと感じます。気になったときにスマホからリアルタイムの数字を確認して、気になるところはドリルダウンして分析することができます。なにより「あれってどうなった?」と現場に聞かなくても経営状況を把握できるところがありがたいですね。
──社内でデータドリブンを実践したことで、経営スピードはどのように変わりましたか?
吉田氏:圧倒的に早くなったと感じます。経営とは状況を分析した上で仮説を立てるところから始まります。Domoを使用することで数字の分析に時間をかけず、一足飛びに仮説立案に進めるようになりました。
こうした仮説検証は本来、経営層中心に行っていましたが、現場がデータをもとに考える習慣がついたことで、社員一人ひとりの経営力も上がったと感じます。 たとえば、「この商品が急に伸び出したのはなぜだろう?」とふと疑問を持ったら、その場でDomoにアクセスし、地域別や顧客別、時間別にデータを見て、「きっとこの業界に需要があったに違いない。それなら次はこういう手を打とう」と仮説を立案することができる。それまで見えなかったデータが見えるようになったことで、組織全体に正しい意思決定を行う力がついたと感じます。
誰でも見られるデータが社内の「共通言語」に
──各部門にDomoが浸透しているとのことですが、マーケティングチームは使用されてみていかがですか。
津田氏:Domoはリアルタイムのデータを確認できるため、実施中の広告効果がすぐに分かるところが大きいです。Domo導入前はデータ集計に時間がかかり、成果のフィードバックをするころにはもう次のキャンペーンが始まっていました。今では、「今日スタートしたキャンペーンの効果が思ったより良くない」と気づいたら、Domo上で閲覧数や購買数を確認し、「クリエイティブに問題があるのかもしれない」と、すぐにリカバリーすることができます。
膨大なデータをひとつのダッシュボードで確認できることも、スピーディーに戦略を立てる上で役立っていますね。meviyは日本だけでなく、欧州や米国でも展開しており、各国のサイト来訪者などの動向をひとつのダッシュボードにまとめています。日本のチームがそれぞれの国のマーケティングを担当していますが、「他の国はどんな状況か」「日本のスタート時に比べ、上手くいっているのか」まで分析できるので、客観的な施策を考えることができます。
──メンバー全員でデータドリブンを実践することによって、チーム内の変化はありましたか?
津田氏:Domoを使用したことで、データがチーム内の「共通言語」になったと思います。メンバーそれぞれが別々の施策を担当しているのですが、共通のKPIを横並びに可視化できるので、「なぜこの施策は上手くいったのか、いかなかったのか」をみんなで議論することができ、次回に向けて質の良い施策の構想や設計に力を入れられるようになりました。
やった施策の数字が見えることは、なにより自分の担当施策に責任を持つことに繋がります。それに、良い施策を生み出すために考える時間が増えるのは、楽しいですね。
──データが見えるようになったことで、ある種の一体感が生まれたのですね。
津田氏:チームに限らず、社内でも部門の壁を越えたコミュニケーションが増えたと感じます。予想外に数値が上がった際、要因を社内で探ってみると「展示会のあとに営業チームがフォローしてくれていた」といった思わぬアクションが見えてきたこともありました。他部門のDomoのダッシュボードもお互いに確認できますから、データの透明性から生まれる公平性も感じます。
──最後に、データドリブンを実践する企業として、今後どんなことに挑戦したいですか。
吉田氏:「人類の歴史は道具とともに進化してきた」といわれるように、「よい道具」を使うかどうかは、文明を発展する上でとても重要です。Domoは見えなかったデータが見えることで、会社に推進力をもたらす、非常に便利なツールだと思います。
当社は現在、欧州や米国のほか、中国、韓国と、海外展開を進めています。幸い、Domoはグローバルなサービスですから、各拠点に導入することができる。データドリブンなカルチャーをグローバルで発揮することで、meviyを世界で使われるよりよい道具にしていきたいと思います。
[PR]提供:ドーモ