データがビジネスにおいて重要なファクターとなり、事業推進や経営判断にデータが活かされるシーンも増えてきています。そうした中で、マネジメントにおいてデータを有効的に活用しようという「データドリブンマネジメント」という考え方が注目されていることはご存じでしょうか。この記事では、データドリブンマネジメントの概要や必要性、課題と解決策を解説します。

  • (イメージ)データをもとに考えるマネージャー

データドリブンマネジメントとは

「データドリブン」とは、「データ駆動」と直訳され、ビジネスシーンにおいてはデータをもとに経営判断を下したり、戦略を立てたりすることを指します。データにもとづいていれば、誰もが経験や勘に頼らずに客観性を持たせられるうえに、関係者の理解も得やすくなり、アジリティ(敏捷性)も高まります。

「データドリブンマネジメント」とは、データドリブンに則ってマネジメントレベルの意思決定を行うことです。たとえば、管理職がデータとして可視化された部下の業務状況からマネジメントを行ったり、ヒト・モノ・カネのリソース管理を行ったりといった手法がデータドリブンマネジメントとして挙げられます。

しかし、いざデータドリブンマネジメントを実現しようとしても、はじめの一歩となるデータ集計に時間がかかりすぎてしまうという課題も生じやすく、そうした理由から経験と勘に頼らざるを得なくなってしまうケースも多くあります。まずはデータ集計の負担を軽減しなければデータドリブンマネジメントを実現できません。

全国で800店舗(取材当時)の調剤薬局を展開する企業では、毎月の報告レポート業務に膨大な時間とマンパワーを要していましたが、データ活用プラットフォームを導入したことで、レポート業務を大幅に効率化し、データドリブンマネジメントを実現したといいます。

従来だと、エリアマネージャーは現場(各薬局)からあがってきたレポートをもとに売上向上のための施策を立て、経営層にレポートを提出する必要がありました。現場がレポートを作成するのには莫大な時間がかかるため、提出は月1回と決められていましたが、エリアマネージャーがリアルタイムに現場の状況を把握できないといった課題もありました。また、エリアマネージャーもレポート作成にかなりの工数がかかるため、マネジメントに時間を割けないという事態に陥っていたといいます。

そこでデータ活用プラットフォームを導入し、現場とエリアマネージャーのレポート作成の工数を削減することで、よりマネジメントに集中できるようになるなど、管理職の働き方を大きく変えました。加えて、薬品に関する複数データの分析や売上着地予測などを実現し、エリアマネージャーなどの管理職がデータを見てから仕事を始める習慣ができたといいます。

今回のケースでは、レポート作成の負担を解消することで、マネジメントの時間を創出するだけでなく、データそのものの精度向上にもつながり、結果的にマネジメント層がデータを見る習慣がつきました。このように、データ活用のファーストステップである、データ集計の効率化を実現できるだけでも、データドリブンマネジメントを前進させられることがお分かりいただけたと思います。

データドリブン経営との違い

データを用いて経営判断を行うことを「データドリブン経営」と呼びます。ここ数年で知名度が上がっていた「データドリブン経営」と、「データドリブンマネジメント」は、どの点が異なるのでしょうか。

そもそも「経営」とは、経営層が事業の目的のために計画を立て、意思決定や事業の管理・遂行を実施することです。「データドリブン経営」とは、経営における意思決定をデータにもとづいて行うことであり、経営層が主体的に推進していくものです。

一方の「マネジメント」は、管理職(マネージャー)が経営層の掲げた目的を実現するために、現場のメンバーを動かして成果をあげることを指します。「データドリブンマネジメント」は、経営層に限らず、管理職、一般社員も含めてデータにもとづいた判断を業務に取り入れ、管理していくことを指します。

データドリブンマネジメントを実現する意義

データドリブンマネジメントが必要な理由は、主に2つあります。

まず1つとして、データドリブン経営の実現につなげるためには、データドリブンマネジメントを推し進めることが非常に重要です。データドリブン経営は現場から集められたデータをもとに経営判断をしていくため、前提として現場の状況がデータ化されていなければなりません。データドリブンマネジメントを行っていれば、その中で現場のデータを収集でき、データドリブン経営の実現へと近づいていきます。

2つ目は、状況に応じて的確かつスピーディーな意思決定を実現できるからという理由です。経験則による「勘」は、過去の成功体験にもとづいているため、一見信頼できると感じるかもしれません。

しかし、VUCAの時代においては、いくつもの環境要因が複雑に絡み合います。あいまいな情報に左右されるなどして経験則が通用しない場合も多いため、データにもとづいた判断を行うことの重要性が増しているのです。データドリブンマネジメントなら、正しい情報をもとに多角的に状況を把握し、不確定なことが多い状況でも信頼性が高い意思決定を下せます。

また、データにもとづいていれば、経験が浅い社員でも迷わずに的確な判断を下すことが可能で、例えば経験豊富な人が不在のタイミングでも信号機のように、赤は問題なので改善行動が必要、青色であれば問題ない、など可視化を工夫することでアクションを起こせるようになります。関係者もデータが裏付けとなるため納得しやすく、マネジメント層の承認が必要な場合もスムーズに進められるでしょう。これによって判断のスピードが上がり、タイムリーに適切な対処を行えるため、変化が激しい昨今のビジネスにも対応でき、機会損失を防ぐことにもなります。

  • (イメージ)データドリブンな判断

データドリブンマネジメント実現における課題

データドリブンマネジメントの導入や活用が進まない理由には、マインドと環境が挙げられます。

まずマインドにおいて、多くのマネージャーは勘と経験に頼った意思決定に慣れており、こうした暗黙知に依存しているケースも少なくありません。そのため、データドリブンという新たな手法を「信用できるのか」「成果があがるのか」と疑ったり、データ分析が専門的に見えて「自分には扱えない」と感じたりするケースはめずらしくありません。こうした心理的ハードルにより、従来の意思決定からなかなか脱却できない、つまりデータドリブンマネジメントに専念できないことがあります。

また、データドリブンマネジメントにデータは必須ですが、そのデータを見られる環境が整っていないというケースもあります。そもそも現場のデータを整備できていなければ、Excel集計から始めなくてはならず、その作業に時間がかかります。また整備されていたとしても、データが古いまま更新されていないこともあり、その場合はデータを判断材料として使用することができません。

一方で、BIツール(データを分析・可視化するソフトウェア)を全社的に導入し、ダッシュボードからデータを見られる環境を整えている企業も多いです。しかし、管理職がデータをマネジメントに活かそうとしたときに、データが見づらかったり、データが見たい形になっていなかったりすることもあるでしょう。その要因として、ダッシュボードを修正したり、新しいものを作る場合はデータを見たい管理職がIT部門やデータを取り扱う部署に依頼する必要があり、両者の連携がうまくいかないことにあります。具体的には、IT部門がデータを使いたい部門の業務を理解しきれず、見たいデータを見られるようにするまでに多くの時間や工数を要してしまうなどのケースが考えられます。

データドリブンマネジメントを実現する方法とは?

このような環境を実現するために、現場で扱いやすいBIツールを導入することをおすすめします。例えばノーコードでBI機能はもちろん、データ保存やデータ加工もできる「Domo」は、データドリブンマネジメント実現において有用な選択肢になるでしょう。プログラミングの知識がなくても、データの見方を変えたいときにダッシュボードを修正するなど、自由度の高いデータ分析を実現できます。

見たいデータを気軽に見られる環境が整えば、データ活用に対する心理的ハードルも下がり、自ずとデータへの関心度も高まって社内に浸透していきます。データにもとづいたアイディア出しやデータドリブンな議論が活性化すれば、納得感が高まり、迷わずに判断を下せるようになります。

まとめ

不確実性の高い時代ともいわれる現在、「勘と経験」に基づく意思決定は通用しなくなり、スピード感のある戦略が求められています。だからこそデータドリブンマネジメントによって客観性と機敏性のあるマネジメントを実現し、複雑な環境要因に対処していくことが重要です。

前述したとおり、データドリブンマネジメントを実現するには、意思決定に必要なデータをいつでもすぐに見られる環境が求められます。モバイルファースト設計のDomoであれば、スマートフォンからデータを閲覧できるため、外出先や移動中などいつでもどこでも意思決定ができるようになります。

このように環境を整えることで、データ活用への心理的ハードルが下がり、組織全体でのデータドリブン文化の浸透が期待できるでしょう。

[PR]提供:ドーモ