低コストでWebサイトを構築する際にも、CMSはいまや欠かせない存在だ。大規模なWebサイト構築ではエンタープライズ向けの高額なCMSを導入するケースも多いが、中・小規模のWebサイトでは、CMSのライセンス費に大きなコストを割くことが難しく、オープンソースのCMSや、ウェブサイトを簡易に作成できるサービスが多く用いられている。
実際のところ、中・小規模Webサイトを制作する際、Web制作会社はどのような観点でCMSを選択すべきだろうか。本記事ではWebサービス型CMS「MovableType.net」を提供しているシックス・アパートの取締役 CTO 平田大治氏と製品企画 シニアマネージャー 早瀬将一氏に話を伺った。
中・小規模Webサイトを構築する際の落とし穴とは?
中・小規模Webサイトの構築において、予算と納期のバランスは非常に重要な観点だ。クライアントはより優れたデザインや運用しやすいWebサイトを短期間で構築することを望むが、コストは要件に伴って大きくなっていく。当然、制作サイドが応えられる要望にも限りがあるだろう。難しい制約の中で選択されることが多いのは、簡易的なWebサイト作成ツールサービスや、テーマやプラグインが多く提供されているオープンソースCMSだ。
しかし、クラウドを利用して提供されるSaaS型のWebサイト作成ツールは、「Webサイトが簡単に作れます」といったサービスが多くを占め、デザインや機能に制限が多く、柔軟性に欠けるものが主流になっている。逆に、オープンソースCMSは、デザインや機能に制限が無く、見栄えの良い高機能なWebサイトを比較的簡単に構築できるが、サーバーの管理や脆弱性対応に不安を感じる企業も多くなってきている。
まずは、こういった簡易的なSaaS型のWebサイト作成ツールや、オープンソースCMSを利用する際の3つの大きな課題を紹介したい。
【課題1:自由なデザインを実現する手段に乏しい】
SaaS型のWebサイト作成ツールにはさまざまなタイプが存在するが、定形のフォーマットにコンテンツを当て込んで作成することで、簡単でスピーディーにページ作成ができるようになっているため、デザインの自由度が低下しがち。テンプレートデザインが豊富に用意されていても、そこからレイアウトデザインの変更を行える余地がほぼ無いとすると、目的に合ったWebサイトを作成することが難しい。
【課題2:過去のコンテンツの再利用に手間がかかる】
Webサイトの移行やリニューアル時には、従来のコンテンツが流用されるケースが多い。だがコンテンツを管理するプラットフォームが変更になる場合、コンテンツのエクスポート/インポートに対応していなかったり、細かな記述などを手作業で修正しなければならなかったりといった不毛な作業が生じてしまい、本来であればデザインに使いたい時間を奪われてしまうことがある。
【課題3:手離れできずにメンテナンスコストが肥大する】
低予算で請け負った案件で、サーバーの運用や管理、メンテナンスのために時間やコストの負担を強いられるケースも少なくはない。例えば、予算を抑えるために無料のCMSを用いていたのに、なし崩しにプラグインのメンテナンスまでやらなければならなくなり、結果として業務が増えてしまう場合などがある。
制作現場の不満の声に応えた「MovableType.net」
SaaS型のWebサイト作成ツールは低コストかつスピード感を持ってWebサイト制作が行える特長を有するが、その一方でこのような簡易ツールならではの問題に不満を抱えているWebディレクター、デザイナーは多いはず。
そんな制作現場の不満の声を受け止め、実作業での使いやすさを追い求めて進化を続けるのが、シックス・アパートの「MovableType.net」だ。簡易なWebサイト作成ツールではなく、SaaS型で唯一の本格的なCMSと呼べるサービスと言えるだろう。
ポイント1:デザインの自由度と効率化を両立させよう
予算が潤沢で納期に余裕があるならば、CMSの選択肢はいくらでもあるだろう。だが予算が限られる中・小規模Webサイト構築の現場では、安価に利用できるSaaS型のWebサイト作成ツールを選択することが1つの解にはなる。ウェブサイトを簡単に作れるとうたっているサービスの多くは、ある程度決まったフォーマットに沿ってデザインを進められるというメリットがあるからだ。
しかし、そのようなフォーマットに当てはめてデザインされたWebサイトは、クライアントの要件を満たせない画一的なWebサイトを生んでしまいがちだ。オリジナリティのあるWebサイトを望んでいたクライアントの満足度は下がるだろうし、Web制作者としてもプロの仕事としてそのようなデザインは本意ではないだろう。では、低予算案件ではどのようなCMSを選ぶべきなのだろうか。
ポイントは、SaaS型であっても、デザイナーが構築する際にフロントエンドに制約が少ない本格的なCMSを選ぶこと。
「MovableType.net」は、HTMLレベルで緻密なレイアウトが可能であり、フロントエンドに制限がない。テンプレートの型に制約はなく、1ピクセル単位でデザインの調整が可能だ。もちろん、CSSやJavaScriptなども自由に記述できる。独自の入力項目を設計できるカスタムフィールドも利用でき、その自由度は、「Webサービス型CMS」と呼ばれるサービスの中でもひときわ高い。
もちろん「MovableType.net」でも、テンプレートをまとめた“テーマ”も無料で利用できる。その完成度は非常に高く、写真を入れ替えるだけでそのまま使われているケースもあるくらいだ。だが、これらのテーマをベースにして、いかに効率よく、自由にデザインできるかという点も重要だ。
「MovableType.net」には、テンプレート内で利用できる独自のタグ「MTタグ」がある。MTタグを活用することで、複雑な機能やデザインを持ったWebページを効率よく構築することもできるだろう。腕に覚えがあれば、MTタグだけで多彩な表現が可能だ。
さらに、作ったデザインはテーマとして再利用することができる。作りこんだ独自のテーマを用意しておけばそれがWeb制作会社やデザイナーの個性になり、効率的なWebサイト制作につながるだろう。
「MovableType.net」の公式サイトでは、MTタグを使ったテンプレートのカスタマイズ方法を解説する初級者向けガイドブック「MovableType.net テーマ開発BOOK」(全60P)が無料でダウンロード可能だ。興味を持った方はこちらを一読してみるのも良いかもしれない。
ポイント2:作業負荷を軽減してくれる機能を備えたCMSを選ぼう
Web制作者は、Webサイト制作を行ううえで多種多様な作業を行っている。しかしその中には、ただひたすら手間のかかる、細かな単純作業も多い。多くの制作者はそのような不毛な作業を減らし、より良いWebサイトを構築するために時間を使いたいという思いを抱いているだろう。
こういった作業を軽減する機能を備えられているかどうかは、予算や納期が限られていることが多い中・小規模のWebサイト構築では重要なポイントとなる。
例えばWebサイトのリニューアルやCMSのリプレイスを行う際のコンテンツ移行は、Web制作者の労力を費やす作業のひとつとなり得るだろう。だが「MovableType.net」ならば、Movable Type形式、WordPress形式、CSV形式のファイルの読み込み、そしてMovable Type形式、CSV形式の書き出しに対応。特にCSVでのインポート/エクスポートができれば、コンテンツをCSVデータとして整理しておくことで一括移行が可能となり、負担を大幅に軽減してくれる。
さらに、移行元のWebサイトのドメインを指定するだけで、画像などのファイルも記事に紐づくアイテムとして簡単に取り込むことが可能。また、インポート機能では取り込まれない、テンプレートなどで使う画像ファイル、ダウンロード資料のPDFファイルなどのデータも、フォルダの階層構造ごとZIP圧縮してアップロードすれば、構造ごとそのまま展開できる機能も備わっている。
「MovableType.net」では、REST形式の API「Data API」も提供している。社内システムなどの他プラットフォームと連携したり、CMSが管理しているデータをWebサイトやデジタルサイネージ、スマートフォンアプリなどから直接呼び出したり、独自の管理画面やアプリの開発を行ったりといったことも実現できる。使い方次第でさまざまな活用が見込めるだろう。
また、不意の事態への備えとして、毎日、自動的にバックアップを作成している点もうれしいポイントだろう。バックアップデータはダウンロード可能で復元もできるため、安心してWeb サイトを運用できる。バックアップデータは自らの環境にも保存して、MovableType.net上の他のウェブサイトにも復元可能だ。
Webサイトを構築するWebデザイナーやフロントエンドエンジニア、ひいてはエンドユーザーが求めるであろう、痒い所に手が届く細やかな機能が備わっていること。これが「MovableType.net」の大きな魅力といえる。
ポイント3:メンテナンスやサポートを任せられるCMSを選んで業務を改善しよう
中・小規模のWebサイト構築では予算がシビアである場合が多いため、CMSの構築にかかるコストは重要な観点だ。これまでオープンソースのCMSが利用される例が多かった要因の1つとして、ライセンスに関わるコストを抑えられる点があっただろう。
だが、ソフトウェアを自分でインストールして使うタイプのCMSでは自前でサーバーを用意せねばならず、セキュリティアップデートにも、自身で情報をキャッチアップして都度対応する必要がある。また数多くのプラグインを利用することができるが、それぞれのバージョンアップ管理に非常に手間がかかるうえに多くの場合はサポートに期待できない。
保守、運用契約を結んでいない場合、納品後にそういったアップデートを行うのは、クライアントの責任になることが多いが、クライアントが自らプラグインを含めたメンテナンス対応を行うのは非常に困難だろう。そしてこういった対応が発生した際に必要となる費用をクライアントが負担するのか、制作会社が負担するのかはあいまいになりがちで、ともすればトラブルの要因ともなる。
一方で、低価格をウリとするSaaS型の簡易的なWebサイト制作ツールの多くでは、ポイント1、2で解説したように機能を大幅に制限していることが少なくない。これは、CMSの運用上の自由度をあげ柔軟性を高めるほど、サービス提供者側で手間がかかってしまうためだ。
それに対して「MovableType.net」は、商用パッケージ型CMSで国内導入シェアNo.1となっている「Movable Type」シリーズのサポート基盤を活かし、Webサービス型CMSでありながらも自由度の高さと正しいメーカーサポートを両立。特に「MovableType.net」においては、サポートとの距離が近い、密なユーザーコミュニケーションを実現している。
「MovableType.net」には構築の規模に応じてさまざまなプランが用意されているが、もっとも安価なライトプランならば、月額2,500円(税別)という低価格で、複雑で手間の掛かるCMSのバックエンドのメンテナンスやサポートを任せられるのが強みだ。
中・小規模Webサイトの構築を業務として行うためには、案件の数を増やし多くのWebサイト制作をこなさなければならない。もちろん、実績が増えるほどにセキュリティ対応やメンテナンスといった“お守り”が発生する可能性も増していくわけで、Web制作会社としてはどんなCMSを選ぶべきか判断が難しいシーンが増えていることだろう。
「MovableType.net」ならば、Webサイトの構築、運用の両面において、Webディレクターや制作会社の労力を大幅に削減してくれるはずだ。
多彩な機能を活用して自由なWebデザインを
Web制作会社やWebディレクターがCMSを導入する上でのありがちな落とし穴と、気にするべきポイントについて駆け足で解説した。CMSの選択によって、デザイン業務の効率化が図れる場合も、逆に業務が増える場合もありえる。ぜひ本記事で紹介したようなポイントを参考に、最適なCMSでWebサイトをデザインしていただければ幸いだ。
平田氏は最後に「MovableType.netは CMS に必要な機能が出揃い、プロダクトとしてひとまず完成といえる段階に達しました。今回はご紹介していませんが、エンタープライズで使うような機能まで作りこんでいます。MovableType.netの機能について、ぜひもって知っていただければと思います」とメッセージを送った。
なお、「MovableType.net」では、メールアドレスを登録するだけで利用できる「14日間の無料トライアル」も受け付けており、メールアドレスを登録するだけで利用できる。さらに、Web制作者が評価やデモのために利用できる「制作者向け評価ライセンス」も用意されている。6カ月間利用でき、そのまま更新も可能なため、自身のテスト環境やクライアントに見せるデモ環境などの構築に活用できる。「MovableType.net」が提供する、自由度の高いWebサイト構築を、まずは体験してみていただきたい。
2019年10月8日 Movable Type カンファレンス「SAtisfaction 2019」開催
Movable Type がなぜセキュリティに強いと言われるのか、さらにWebアクセシビリティに取り組むメリットなどを解説。Movable Type シリーズのロードマップや、さまざまなソリューションについても紹介します。
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