マーケティング施策においてデータ活用の基盤となるCDP(カスタマーデータプラットフォーム)。実際にこのようなデータ基盤をマーケティングに活用する上で、どのような観点がポイントとなるのか。CDPのパイオニア企業として知られるTealiumに話を聞いた。
CDPのパイオニア企業Tealium
2008年に米国カリフォルニア州サンディエゴで創業したTealiumは、現在でも創業メンバーが経営する独立系ベンダーだ。日本法人の立ち上げは2015年で、今日まで順調に顧客を増やしてきている。
現在はCDP分野のソリューションを提供しているが、元々はタグマネジメント(Webサイト内にあるHTMLタグの管理)の分野で成長してきた企業だ。同社 ソリューションズコンサルティングシニアマネージャー阿部憲幸氏は誕生の背景についてこう語る。
「Tealiumの前身となる会社ではWeb計測を専門としており、創業者たちはタグの活用について課題を感じていました。そこでTealiumを立ち上げ、Web計測で集めたデータを活用する『オーディエンスストリーム』というサービスを2013年にリリースしました。まだCDPという言葉すらない黎明期からTealiumはCDP開発に取り組んできたパイオニア企業です」
令和のマーケティング担当者が抱える課題とは?
CDPが重要なマーケティングツールとして注目を集めている背景には、リスクへの対処とビジネス機会創出という2つの要因がある。
近年はプライバシー情報の取り扱いが厳しくなっており、たとえば個人情報保護法や電気通信事業者法の改正を受けてサードパーティCookie規制が強化されている。また、顧客ニーズが多様化したことで、画一的なマーケティング施策の効果が薄くなり、現在では顧客一人ひとりにパーソナライズした情報を提供する重要性が増している。この点に関して、同社 シニアマーケティングディレクター安部知雄氏はこう説明する。
「ユーザーに関係ない商品やサービスのオファーを出してもコンバージョン率の向上は見込めません。その一方で、関連性の高いオファーをタイムリーに提供すれば売上の増加が見込めることが、オンラインでの行動が中心であったコロナ禍を経て明らかになりました」
こうした背景から自社で顧客データを収集する動きが強まり、CDPを導入する企業が増加している。その一方で、マーケティング担当者にはまだ課題が残っているのも事実だ。関連性の高いオファーを出すには、施策を打ちたいと思ったまさにそのときに適切な顧客データが揃っている必要がある。しかし、それが意外と簡単ではないのだ。
「ECサイトが普及したことで、顧客は商品をカートに入れたり、逆にやめたり、購買行動を自由に選べるようになりました。だからこそ、現代のマーケティングでは“その瞬間”をとらえ、最適なオファーを最適なタイミングで出さなければなかなか売上につながりません」(安部氏)
「リアルタイム性」を重視したTealiumのCDP
TealiumのCDPは、こうしたマーケティング担当者の課題を解決するために役立つ特長を有している。顧客プロファイルを生成し、それを素早くマーケティング施策に活用できるアーキテクチャである。
そもそも、一般的なCDPにおけるデータ活用で一番の足かせとなるのが、貯めたデータを活用できるように加工するフローだ。「商品ページを見た」「1週間以内にページへ訪れた」などの属性データを含む、複雑かつ膨大な顧客データをリストとして細かく分けようとすれば、その処理に長い時間がかかってしまい、リアルタイムなオファーに間に合わなくなる。
「その点、TealiumのCDPはリアルタイムなデータ活用が可能です。たとえば、1日1回のようなバッチ処理ではなく、顧客のWebサイト訪問や外部データ取り込みのタイミングで顧客一人ひとりのプロファイルデータを更新できます。このようなイベントドリブンな仕組みがTealiumの特長であり、データが更新されたタイミングで『この人はどのようなセグメントか』を判断してそれに応じた広告を打つ、またはメールを送信するといったデータ活用まで行えます」(阿部氏)
たとえば、セミナーに参加した100名に対し、それぞれのユーザーのアクションに関係なく3日後に全員へDMを送る、といったアプローチが従来のマーケティングだ。加えて、一般的なCDPでも「セミナーに参加し、さらにその後にWebの商品ページへ訪問した人」というセグメントを設けて施策を打つことは可能である。
しかしTealiumのCDPの場合、ユーザーが特定の行動を取ってあらかじめ設定したセグメントの条件に合致した場合、定期的なバッチ処理ではなくリアルタイムにそのリストに反映される仕組みとなっている。これを応用すれば、ユーザーがある行動を取った瞬間にクーポンを送ったり、詳しい説明ページへ案内したりといったリアルタイムな訴求が可能となる。
「顧客に対してさまざまなバッジを付けていくイメージです。そのため、さまざまな行動データや属性データの掛け合わせで、より精緻なアプローチができるのです。『セミナー参加』×『後日、Webサイトの当該ページ来訪』×『実は過去に高額商品を購入している自社VIP顧客』×『同意取得済み』×『男性』×『東京在住』といった具合です。何らかのイベントがある度にバッジを付け、特定の条件を満たした瞬間に各種施策ツールへとデータを供給し、オファーを実行できるようにします。こうした仕組みを可能にするのが、Tealiumのリアルタイム・データ・ストリーミング・エンジンです」(安部氏)
Tealium CDPの特長としてもう1つ挙げられるのが、中立性を重視したアーキテクチャだ。他のCDPでは、データの連携やデータ移行に一定の制約があるものも多いが、Tealiumでは、FacebookやAWS、Google広告、Salesforce、そしてLINEなど1,300件を超えるツールと標準で連携できるようになっている。管理画面でツールを選び、設定するだけですぐにデータを共有できるため、ユーザー側で特別な開発を行う必要はない。
マーケティング戦略を見定めてからCDP導入を
もっとも、CDPを導入しただけでデータドリブンなマーケティングをすぐに実現できるわけではない。Tealiumにはすでに他社のCDPを導入済みの顧客からも相談が届くが、施策を実行する上で前提となる戦略面での体制が十分に整っていないケースもあるという。
「データ分析をすれば、何かしら気づきを得られて、マーケティング戦略を思いつくだろう」という考えでCDPを導入する企業は少なくありません。しかし、分析ができるようになっても、そこから有効なマーケティングの具体策を作れるかはまた別の問題です。また、多くの企業では、自社にとっての顧客と必要なマーケティング戦略は既にわかっているはずです。だからこそ、マーケティング部門や営業企画部門が主体となってまずCDPを導入する目的を明らかにし、具体策を検討する必要があります」(安部氏)
実際に、昨年末にTealiumが行った調査でも海外と日本では回答に顕著な違いが見られたという。「CDPを運用する際に必要なスキルセットは何か」という質問に対して多くの海外企業はデータ分析やデータモデリングを挙げたのに対し、日本企業からの回答はマーケティング戦略が多くを占めた。CDPから得られるであろう有効なデータを活用するための戦略策定を当然のようには行えていないという現状を示しているといえるだろう。
なおTealiumでは、導入後にCDPの効果を最大化するための支援をカスタマーサクセスチームが担っている。「どのようなデータを取り込むべきか」「他社はどのようにデータを組み合わせているか」などをアドバイスし、CDPの価値を最大限発揮できるようサポートしている。
変化が激しい時代こそCDPが役立つ
一昔前は「LINEを通じて法人が顧客とコミュニケーションを行う」ことを誰も想定していなかったように、マーケティング施策のトレンドは常に変化し続けている。このような将来の顧客ニーズに備える上でもTealiumのCDPが適している。
今はメールだけで顧客にアプローチしている企業であっても、翌年にはLINEでのアプローチが必要になるかもしれない。そのとき、メールでのアプローチだけを考えて導入したマーケティングツールやデータ基盤では対応しきれなくなる。施策のリアルタイム性は失われ、売上向上のチャンスを逃す恐れもある。
さらに、冒頭にもある通り、顧客データに対する政府規制変更なども、今後増加の一途を辿るだろう。そうした中で、Tealiumのリアルタイム・データ・ストリーミング・エンジンは、ビジネス機会を捉える面とコンプライアンス違反といったリスクを回避する面との両方で、企業のデータプラットフォームとして機能していけるだろう。
今後、データソース側であれ、データ供給先としての施策側の連携先を拡張し続けるCDPを選べば、先行きが見えない社会の変化に備えて、常に適切なマーケティング施策を打てるようになるはずだ。
Tealiumについて
Tealium(ティーリアム)は、ウェブやモバイル、オフライン、IoT などで増え続ける顧客データ管理の課題を包括的なアプローチで解決しています。Tealium の Customer Data Hub(カスタマーデータハブ)によって、企業は複数のマーケティングツールや部門でサイロ化した顧客データをリアルタイムに統合し、常に最新のデータを活用して、より綿密にパーソナライズされた顧客体験の提供や精度の高いデータによる意思決定を可能にします。関連リンク
[PR]提供:Tealium Japan