CDP(Customer Data Platform:顧客データ基盤)は、顧客ごとに属性や行動などのデータを収集・標準化・分析・活用するためのマーケティングツールです。昨今のマーケティング施策において顧客データの活用は欠かせないため、その基盤であるCDPにも注目が集まっています。この記事では、CDPの基本的な仕組みや導入のステップ、ベンダーの選定ポイントを解説します。
CDP(Customer Data Platform)とは?
CDPとは、顧客データを収集・標準化・分析してマーケティング施策へ活用するためのパッケージソフトウェアです。たとえば、自社の顧客情報やECサイト会員の購買履歴などのファーストパーティデータ(自社データ)だけでなく、SNSデータや人口統計的要素などのサードパーティデータ(外部データ)も収集や分析の対象として扱います。
CDPが注目を集めている背景にあるのが、昨今におけるOne to Oneマーケティングに対する需要の増加や顧客の購買行動の変化、プライバシー保護への要求の高まりです。
コロナ禍を経た今、顧客の購買チャネルが徐々にオンラインに移行しており、顧客とのタッチポイントはSNSからスマートフォンアプリまで多岐にわたっています。顧客の行動が多様化する中では、これまでのような画一的なアプローチでは通用せず、顧客一人ひとりに合わせたマーケティング施策が必要です。
また、改正個人情報保護法や改正電気通信事業法によりCookie規制※が強化されるなど、プライバシー情報の取り扱いも年々厳しくなっています。企業側としてはユーザー情報の収集が難しくなり、顧客の理解も進まず、結果としてビジネス機会を逃してしまうケースが見受けられます。こうした背景からCDPを導入し、自社で顧客データを集めようとする企業が増えているのです。
※Cookie規制…CookieとはWebサイト閲覧時にサイトから発行されて端末に保存される小さな情報。Cookieは訪問したサイトの所有者から発行されるもの(ファーストパーティCookie)とそのサイトに組み込まれた他のWebサービス事業者から発行される(サードパーティCookie)ものがある。Cookie規制は、後者のサードパーティCookieを規制することでユーザーのプライバシーを保護する狙いがある
CDPとよく比較されるDMP(Data Management Platform)は、主にサードパーティデータを扱い、潜在層へのアプローチを実現するツールです。詳しくは下記ページを参考にしてください。
CDPの基本的な仕組みとできること
CDPの仕組みを理解するうえで重要なことは、単なる顧客データの蓄積ではなく、統合したデータから詳細な顧客プロファイルを得て、それを受けての“リアルタイムな顧客行動に基づくオファーの実行”こそに、CDPの役割がある点です。顧客が購買に至るまでのプロセスが多様化した現代では、最適なタイミングで最適なオファーを出さなければ、売上のチャンスを逃しかねません。
CDPは基本的に「データの収集→統合→連携→活用」という流れで進んでいきます。まず、データ収集や統合に関わるのがデータレイクやETL、データウェアハウスです。WebサイトやPOSシステム、モバイルアプリなどのデータソースから集めたRAWデータを保存するのがデータレイクで、データを出し入れする箱のような役目を果たします。
しかし、RAWデータは重複していたり形式がバラバラだったりと、そのままの状態ではデータ分析に使えません。そこでETLではRAWデータを分析できる形に加工し、顧客プロファイルを作成します。ETLで整えられたデータを保存・管理するのがデータウェアハウスです。
そして、ここからが重要なデータの連携と活用です。BIツールやマーケティングオートメーション(MA)、広告システムとデータ連携し、具体的なマーケティング施策を行うことになります 。
数あるCDPのなかでもTealiumは、特に連携と活用に強みのあるサービスです。通常のCDPで連携できるシステムは多くとも100種類ほどですが、Tealiumは1,300種類以上のシステムと連携できます。
FacebookやAWS、GoogleをはじめSnowflake、Databricksなどあらゆるシステムと連携が可能です。また、連携できるデータ量も膨大な上、圧倒的なスピードでイベント(顧客行動)データを処理できます。
この連携性を支えるのがTealiumのリアルタイム・データ・ストリーミング・エンジンです。社内に蓄積された膨大な顧客データ(属性など)と、今この瞬間の行動データとをリアルタイムに繋げていき、施策側へと有効なデータをストリーミング供給していきます。どんどん顧客プロファイルに行動ごとのバッジをつけていき、あらかじめ設定しておいた特定の閾値を超えたタイミングで、施策側に有効化されたデータを渡す形です。それによって、顧客にとって違和感のないタイミングで、関連性の高い内容で、顧客へのアプローチを仕掛けることができます。
たとえば顧客が「Webサイトを4回訪問」「商品をカゴに入れたまま離脱」といった行動をとるたびにバッジを付与し、特定の条件を満たした瞬間にあらかじめ設定したオファーを実行に移すため、タイミングを逃しません。これにより、CDPに必要なOne to Oneマーケティングを実現できます。
Tealium CDPの詳しい特長は下記ページを参考にしてください。
CDP導入のステップと課題
CDP導入の基本的なステップは、以下の通りです。
1. 目的の明確化
2. マイルストーンの設定
3. データの整理
4. 他部署との連携
1.目的の明確化
最も重要なのは「データをどのように活用するか」という目的の明確化です。本来は手段であるデータの統合・分析が目的化してしまった結果、失敗してしまうケースは少なくありません。また、データを整理できたとしても、分析に基づく具体的なマーケティング施策が決まっていなければ、せっかくのデータも宝の持ち腐れになってしまいます。
目的を見失わないためにも、「データ統合のプロジェクト」と「データ活用のプロジェクト」を分けて検討することが理想的です。希望のマーケティング施策を実行するために必要なデータのみを統合し、それができてから他の施策を実行するためのデータを追加していきます。この方法ならマーケティング施策の効果を得ながら段階的にデータ統合を進められるので、データを一挙に統合するよりもハードルが低くなります。
2.マイルストーンの設定
目的を設定したあと、マイルストーンを設定することも効果的です。プロジェクトによっては実現に数年間かかるケースもあるので、中間目標となるマイルストーンを設定しておくと常に全体像を把握でき、プロジェクトの脱線やマンネリ化を防げます。
3.データの整理
そして、「どこに何のデータがあるか」「データの管理者は誰か」を整理しておく必要があります。場合によっては他部署に協力を依頼することもあるでしょう。また、データを整理した結果、必要なデータが不足・欠損していると明らかになれば、データの収集や修復も検討しなければなりません。このステップも時間がかかるので、プロジェクトの早い段階で整理しておくことが大切です。
4.他部署との連携
導入プロジェクトは情報システムやマーケティング、営業などさまざまな部門と協力して進めていきます。そこで各部の代表者をコアメンバーとしてまとめ、横断的に進めていくことが重要です。コアメンバーは部門内で発言力があるなど能力も大切ですが、そもそもCDP導入に意欲的かどうかも重視すべきでしょう。社内のブロッカーを防ぎ、導入をスムーズに進めるため、コアメンバーとは密にコミュニケーションをとることが大事です。
CDPベンダー選定のポイント
CDPは国内外のさまざまなベンダーから提供されています。選定に際しては、以下のポイントで検討することが大切です。
●リアルタイム性
マーケティング施策で重要なことは、必要なデータを必要なタイミングで抽出できることです。データ抽出に時間を要してしまってデータが古くなれば、ビジネスチャンスを逃してしまうでしょう。リアルタイムにデータを抽出できるCDPを選ぶことが大切です。
●連携性
どのようなツールと連携できるかも注意しておきたいポイントです。たとえばTealiumの場合、FacebookやGoogle広告など1,300以上と連携できます。希望のマーケティング施策を実現するために必要なツールを連携できなければ、せっかくのデータを活用できません。
●中立性
特定のベンダーに寄ったものではなく、中立的なCDPが望ましいでしょう。該当のCDPから他社製品にデータを渡せない仕様(いわゆるベンダーロックイン)になっている場合があります。しかし、それでは自社で本当にしたいマーケティング施策を実行できないかもしれません。ベンダーロックインから解放された中立的なCDPを選ぶことが大切です。
●セキュリティ
CDPはプライバシー情報を多く扱うため、セキュリティ対策は必須です。CDP自体のセキュリティ対策はもちろん、ベンダーのセキュリティ体制についても確認するといいでしょう。
●プライバシー保護規則への対応
改正個人情報保護法やGDPR(EU一般データ保護規制)など、顧客に関するプライバシー情報の扱いはますます厳しくなっています。たとえばGDPRでは「ユーザーからの明確な目的に特定された明らかな同意の証拠の保持」を求められます。プライバシー保護規則への対応として、CDPが同意管理機能を提供しているかどうかは重要です。
●サポート体制
導入だけでなく運用において、どれだけのサポートを受けられるかも確認したいポイントです。メールやチャット、電話などいくつかの連絡手段があると安心です。また、海外のベンダーについては問い合わせ窓口や日本語のヘルプページの対応もチェックしておく必要があります。
まとめ
顧客接点や顧客行動の多様化が進み、データドリブンな取り組みの重要性が叫ばれる中、顧客のデータを一元管理できるCDPに対する企業からの期待が高まっています。
市場には多数の製品が存在しており、その中で米国を拠点とするTealiumも、当分野に関してCDPの原型を開発したパイオニア企業として長年の実績があります。ぜひ自社に適合したCDPを導入し、マーケティング施策の高度化に取り組んでみてはいかがでしょうか。
Tealiumについて
Tealium(ティーリアム)は、ウェブやモバイル、オフライン、IoT などで増え続ける顧客データ管理の課題を包括的なアプローチで解決しています。Tealium の Customer Data Hub(カスタマーデータハブ)によって、企業は複数のマーケティングツールや部門でサイロ化した顧客データをリアルタイムに統合し、常に最新のデータを活用して、より綿密にパーソナライズされた顧客体験の提供や精度の高いデータによる意思決定を可能にします。関連リンク
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