学問として体育に取り組む文武両道校

日本体育大学荏原高等学校は、1904年に荏原中学校として設立された長い歴史を持つ学校だ。知識の詰め込みに偏重する当時の教育界において、知育・徳育・体育の三つが調和された教育の必要性を訴え、現在の日本体育大学の前身である体操学校に付属する教員養成のための実習校として産声をあげた。その校名から体育教育だけが盛んなように思われがちだが、創立の精神である「知・徳・体」を三位一体とする教育の理想は設立から110年を越えたいまも息づいているという。

「もちろん体育には力を入れています。でも、それだけではありません。これからは生徒が主体となって体育を分析するなど、学問として取り組む必要があります。そのため運動能力だけでなく、当然学力も重視しています」と語るのは日本体育大学荏原高等学校 企画渉外部 部長の福島 伸一教諭。

近年では、2017年4月からスタートしたPC教室の改修計画をはじめ、校内ネットワークの刷新など、教育機関に求められるICT環境の整備に着手。2019年9月、日本教育工学協会から学校情報化優良校に認定された。2020年4月の新入生入学を以って、全校生徒が1人1台のiPadを保有する環境も整う予定だ。

教員の業務用端末からICTの整備をスタート

「少子高齢化や国際競争力の低下が叫ばれるいま、情報化社会への対応、そのためのICT教育は、生徒が大学や社会で活躍・貢献するためには不可欠なものです。しかし以前の環境では、設備が十分とはいえず、公立校と比較しても整備が遅れていることに焦りを感じていました」と福島氏は語る。

そこで、日本体育大学荏原高等学校がまず着手したのは、教員向けの業務用端末としてPCを配布したことだった。そこから、さらなる業務の効率化や、教室での利用も考慮し、2015年、希望者に配布するかたちでWindowsタブレットをレンタルし、教員の業務環境からICTの整備をスタートさせた。

「2015年当時は20台をレンタルしたのですが、希望者は約50名中14名でした。興味のある先生にまずは使ってもらおうと思ったのですが、期待したほどの反応がありませんでした。その後、2017年9月には全教員にiPadを支給しましたが、最初は電源の入れ方からスタートした状態です」と整備への取り組みが容易なものではなかったことを振り返るのは、日本体育大学荏原高等学校 企画渉外部 システム管理主任の萬田 依子教諭だ。

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    日本体育大学荏原高等学校
    企画渉外部
    部長 福島 伸一教諭

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    日本体育大学荏原高等学校
    企画渉外部 システム管理主任
    萬田 依子教諭

しかし、ここで歩みを止めることなく、研修を繰り返すなど、利用を促進する取り組みは続けられた。なかでも、全教職員が参加し年に3回行われる研修会でICTへの取り組みや今後の目標を情報共有することが効果的だったようだ。

「学校という組織の特性上、専門教科が違う教員同士はものが言い合いづらい部分はあるのですが、ICTは全員が初心者だったのでやりやすかった部分もあります。ICTに関してもやらなければいけない時代なのだと先生方に訴えました」と福島氏。毎朝の朝礼でも端末を活用し、”使わざるを得ない”環境を作った結果、いまでは職員会議でも紙の資料は配布されずタブレットで資料を確認するという。

機能だけでなく、"説得力"というコストメリットも評価

一方、生徒向けの環境が大きく変化しはじめたのは2017年4月のことだ。授業で利用するPC教室のリニューアルを計画し、同時に校務用と授業用で同じ回線を利用していたネットワーク環境の刷新にも着手。一部に無線LAN環境を敷設することも計画された。

「およそ7年ごとに施設の改修を行うのですが、そのタイミングでWindows7のサポート終了なども睨んだ環境刷新を考えました。どうせなら新しいことをしたいですし、私立校ですから保護者や生徒に対するアピール力のある取り組みにしたいと考え、従来と同じWindows PCを更新するだけでなく、MacやChromebookも検討に入れました」と福島氏。

指導面では利用実績があり周辺情報も多いWindowsが扱いやすくはあるが、単純にPCが新しくなったというだけではインパクトがない。そのため広報戦略的な効果が見込めるMacと、Surfaceが有力候補にあげられた。

検討の結果、2018年秋時点ではSurfaceの導入が半ば決定していたという。ところが、2019年1月には急転直下でChromebookの導入が決定された。きっかけは、教員向けに導入が決定したG Suiteの設定についてサポートを求めていたとき、サテライトオフィスに出会ったことだった。

「たしかメールの乗り換えについて調べていたとき出会ったのだと思います。端末の入れ替えだけでなくネットワーク関連を含めてトータルでサポートしてもらえるということが魅力的でしたし、コストメリットの大きいG Suite for Educationの存在も知りました。特にG Suite for Educationには感動しましたね。機能面でも魅力的でしたが、説得材料としてコストメリットは大きいですし、負担がないからこそChromebookという新しいものを導入できました」と福島氏は振り返る。

その後、ネットワークの改修なども含めた大幅な設備改修ということもあり、まとまった時間を確保しやすい2019年の夏休みを目標とし、作業が進行された。

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  • 日本体育大学荏原高等学校のICT環境整備の歩み

目新しい環境でも生徒は先入観なく使いこなす

「本格導入は2019年11月からと年度途中になってしまいました。生徒には多少負担があるとは思いましたが、大人が考えるほど違和感はないようです。大人はWindowsに慣れているので違う部分を強く感じますが、生徒たちには先入観がありません。アプリもマイクロソフトのOfficeと違う部分は多いもののG Suiteで機能的には十分。今後、教育関係機関ではG Suiteの方が普及するだろうと考えていますし、早くから利用していたという生徒の自信になってくれると良いと思います」と福島氏。

PC教室の環境はWindowsからChromebookに、マイクロソフトのOfficeから G suiteへと変化したものの、それとは別にiPadも生徒は利用している。授業ではプレゼンテーションが多く取り入れられているが、iPad向けアプリを含め、生徒たちは臨機応変に使うツールを選んでいるという。

  • Chromebookを使い授業を受ける生徒

「いまのところ、PC教室での授業についてはコミュニケーションや表現力を重視してプレゼンテーションを多く取り入れています。それ以外の授業については教員単位、教科単位で実践している段階です。以前に比べて協働学習は増えていますし、Googleフォームを利用した小テストも行われています」と萬田氏。

積極的な教員の主導で教科だけでなく行事へのiPad活用や、部活動での利用も増えているそうだ。「委員会活動などを含めて学校生活全体で生徒発信の使い方が増えています。特にiPadを保有しない3年生が引退したことで部活動での利用は増えたようですね」と萬田氏は利用状況の拡大を語った。

コストカットと充実のサポートで学校利用に最適なChromebook + G suite for Education

サテライトオフィスはChromebookの導入だけでなく、ネットワーク環境の刷新もサポート。現在、Chromebook48台とともに、Chromecast3台と55インチの外部モニター2台+プロジェクター1台がPC教室には導入されており、必要に応じた大画面表示で授業を助けている。

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  • (左)PC教室での授業の模様(右)PC教室に設置されたNetop Vision for Chromebooks

またG suite for Educationを利用して生徒もオフィス系アプリの利用をしているほか、Netop Vision for Chromebooksも導入し画面転送機能を利用しているという。

「Chromebookの自動更新期間は短く感じていますが、G suite for Educationでほかが安くなっているので入れ替えれば良いか、と割り切りました。端末導入コストも2/3カットできています。サーバはメールサーバをはじめとしていくつかなくすことができましたが、ほかにも利用しているものがあるので完全サーバレスにはならない予定です。それでも管理面はとても楽になりましたね」と福島氏は新しい環境を評価している。

G suite for Educationは、生徒向けの授業利用だけでなく、校務での利用も盛んに行われている。メールやオフィス系アプリの利用はもちろん、ファイルサーバからGoogleドライブへの移行が行われ、カレンダー機能も活用されている。

「G Suiteでは協同編集が一番魅力的な機能ですね。同じコンソールで教員と生徒が両方利用してもセキュリティ面で問題が出ませんし、アンケートやサイトの機能が全部入っています。いままで手がつけられなかったことができるようになりました。触るほどに深くて、サテライトオフィスにもかなりサポートしてもらっています」と福島氏は語った。

  • 日本体育大学荏原高等学校におけるICTの活用状況

また利用時の不明点などについてはGoogleのサポートを利用することも多いというが、これにも不満はないようだ。「サポート力は素晴らしいですよ。チャットがとてもスムーズで、メールや電話も早いですし、質問が解決しないまま終了することがありません。以前はベンダーに連絡を入れてサポートを待つ必要がありましたから、かなり早く処理できるようになった印象です。日本語も全く問題ないですし、困ったことがあればすぐにチャットを立ち上げている状態です」と萬田氏は満足度を語る。

今後はサーバの入れ替えを進めつつ、基本的に購入貸与だった関係上、故障時に新しいものを購入貸与する形式になっていた教員向けPCをレンタル化する予定だという。

「以前は、”壊れるまで使う”状態だったので、Windows 7がまだ一部残っています。これを一斉に入れ替えて全員同じ環境にする予定です。ほかのツールもサブスクリプションを積極的に利用し、外部からの保守を受ける必要をできるだけ減らし内部完結できるようにしたいと考えています」と福島氏。

また、サテライトオフィスのアドオンも利用が検討されている。「勤怠管理/タイムカードや、名刺管理などは使いたいですね。保護者や生徒と利用する掲示板も現在使っているものから乗り換えたいと考えています。本校は若い先生が多いこと、年配の先生が意外に積極的だということ、年齢層の壁がないことがスムーズな導入を支えていると思います。教員間のチームワークは良いな、と感じますね」と萬田氏は今後の展望を語った。

半ば導入が決定していたWindows端末から、使ったことのないChromebookへの変更を決意し、導入を成功させた日本体育大学荏原高等学校だが、この経験を経た福島氏はChromebookとG suite for Educationという組み合わせについて「経費は大きくカットできます。学校にとって1人1台端末を用意するというのは大変なことですが、その手段として良いものですね。利用が難しそうに思えるかもしれませんが、使ってみると意外とそうでもないという印象です。現在、生徒たちにはiPadを持たせていますが、これもいつか不要になるかもしれないと感じています。たとえばChromebookの耐久性がiPad並になってくれたら、Chromebookで十分に賄えるかもしれません」と期待を語った。

サテライトオフィス


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さまざまなビジネスモデルに最適なソリューションパッケージを開発し、ユーザー目線に立った戦略の企画・提案を行っています。業界No.1の実績を持つG Suite(旧 Google Apps)の導入で得たノウハウを活かし、G Suite for Education、Chromebookなどの導入で教育機関におけるICT環境の整備を支援しています。

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