デル・テクノロジーズは3月に、法人向けデスクトップパソコン「OptiPlex」シリーズの新製品を発表した。また4月にも法人向けノートパソコン「Latitude」シリーズの新製品を発表するなど、各分野で刷新を図っている。
こうした新製品では、ほとんどのモデルにIntelの最新CPUとなる「第12世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー」を搭載する。今までの「第11世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー」と比べると、内部構造が大きく変更され、さまざまな新機能が組み込まれていることが特徴となる。
今回は、この第12世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーの特徴を分かりやすく整理していこう。
高性能コアと高効率コアを組み合わせてバッテリー駆動時間を向上
第12世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーは、Intel内部ではコードネーム「AlderLake」と呼ばれてきた最新のCPUだ。その最大の特徴は、「高性能コア」と呼ばれる性能の高いCPUコアと、「高効率コア」という省電力性に優れたCPUコアの両方を搭載し、パソコンで行われるさまざまな作業を効率よく作業できるようにしていることだ。
「CPUコア」とは、CPUの内部で各種演算処理を行うもっとも重要な演算ユニットのことだ。最近のCPUでは、このCPUコアを複数個搭載している。「インテル® Core™ i9 プロセッサー」や「インテル® Core™ i7 プロセッサー」といった高性能モデルでは8個以上、中位モデルの「インテル® Core™ i5 プロセッサー」では4~6個以上のCPUコアを搭載していることが多い。
第11世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーまでは、前述のカテゴリーで言えば高性能コアのみを搭載していた。継続的に高い性能を維持して高速に処理するためにはこうした構成でも問題はないのだが、パソコン上で行う処理にはそれほど負荷が高くないものも多い。
高性能コアは、性能は高いが、それ相応に電力も消費する。作業内容によっては、ムダに電力を消費している場面も多いのだ。とくにバッテリーで動作するノートパソコンでは、こうした特性が問題になってくる。
こうした状況に対応するべく、第12世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーで導入されたのが、高性能コアと高効率コアを組み合わせるハイブリッド構成だ。
ハイブリッド構成のCPUでは、負荷の高い一般的なアプリの処理は、従来通り高性能コア側で素早く終わらせる。一方でWindowsのシステムに関する処理など、負荷の低いものは高効率コアに割り当てることで、ムダに電力を消費することなく効率よく作業を行う。
PCで行う作業を、負荷の高い作業と低い作業で切り分けると、基本的には後者のほうが圧倒的に長い。第12世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーをはじめとしたハイブリッド構成のCPUならさまざまな作業を高性能コアと高効率コアに振り分け、長時間のバッテリー駆動が可能になるということだ。
こうした特性もあり、現状で発表されているノートPC向けの第12世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーでは、すべてのモデルがハイブリッド構成を採用する。一方でバッテリー駆動を想定していないデスクトップPC向けの第12世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーでは、上位モデルのみがハイブリッド構成に対応する。
またこうしたハイブリッド構成を正しく利用するために、作業内容を自動で判断して高性能コアと高効率コアに処理を振り分ける新機能「インテル® スレッド・ディレクター」機能も搭載した。ただしこの機能を正しく利用できるのはWindows 11からなので、購入時にはWindows 11搭載モデルにしたい。
内部的にはDDR5メモリやPCI Express 5.0への対応も
ラインナップとしては、上位モデル向けの「インテル® Core™ i9 プロセッサー」や「インテル® Core™ i7 プロセッサー」、そして中位モデル向けの「インテル® Core™ i5 プロセッサー」、コストパフォーマンス重視モデル向けの「インテル® Core™ i3 プロセッサー」という構成となる。これは従来と比べて変更はない。
またこうしたブランディングネームのほかにも、利用シーンや搭載するノートパソコンの位置付けを想定したカテゴリーも設定される。これは末尾に付くアルファベットで判別できる。
「インテル® Core™ i9-12900HK プロセッサー」など、型番の最後に「HX」や「H」、「HK」と付くモデルは、非常に高性能なノートパソコンで利用されることを想定しているCPUだ。ビジネス向けノートパソコンではなく、クリエイターノートパソコンで利用されることが多い。
「インテル® Core™ i7-1280P プロセッサー」など、型番の最後に「P」と付くモデルは、A4やB5サイズのスタンダードなノートパソコンの中でも、高性能なモデルで利用されることを想定しているモデルとなる。
「インテル® Core™ i7-1255U プロセッサー」など、型番の最後に「U」と付くモデルは、バッテリー駆動時間を重視する薄型のモバイルノートパソコンで利用されることを想定しているモデルだ。4月に発表されたLatitudeシリーズでは、ほとんどのモデルでこのUシリーズを搭載している。
もっとも大きな変更点はここまで紹介してきたハイブリッド構成のCPUコアを内蔵することだが、第12世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーではほかにもいくつか、基本性能を高めるための新機能を搭載する。
その一つが「DDR5メモリ」への対応だ。第11世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーまでは「DDR4メモリ」までの対応だったが、より高速なやり取りが可能なDDR5メモリに対応したことで、全体的な処理性能が底上げされた。
ただし第12世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーではDDR4メモリにも対応しており、コストパフォーマンス重視のモデルではDDR4メモリ、性能重視のモデルではDDR5メモリを搭載することが多い。
市場価格を見ると、DDR4メモリよりもDDR5メモリのほうがかなり高い、ということも影響している。とはいえDDR5メモリのメリットは大きいので、価格の問題が解決していけばDDR5メモリを搭載するパソコンのほうが増えていくだろう。またパソコンを構成する重要パーツとのやりとりを行う通信規格も、「PCI Express 5.0」に高速化されている。
このように、第12世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーで導入されたハイブリッド構成のCPUコアは、非常に野心的かつユーザーにもメリットの大きな機能だ。とくにノートPCを購入するのであれば、第12世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーを搭載するLatitudeシリーズを選ぶべきだろう。
原稿 竹内亮介
監修 デル・テクノロジーズ株式会社 マーケティング統括本部
広域法人マーケティング シニア・アドバイザー 粟津和也
第12世代 インテル® Core™ i7 プロセッサー
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