パソコンに複数の液晶モニターを接続し、広大なデスクトップを利用できるようにする「マルチディスプレイ機能」。広いデスクトップに多数のウィンドウを自由において利用できるため、複数のアプリを同時に利用することが多いビジネスワークの作業効率は、飛躍的に向上する。

ただ実際に液晶モニターを購入し、利用できる環境を作るには、それなりに大きな机が必要だ。またシンプルにノートPC一台で作業しているときと比べれば、電源ケーブルやディスプレイケーブルを接続したり、整理したりする必要もある。複数台の液晶モニターを接続するとなればその手間はさらに増えてしまう。

こうした手間は煩わしいが、それでも「なるべく広いデスクトップを使いたい」というユーザーにおすすめなのが、今回紹介する34型という超大型の液晶パネルを採用する「U3421WE」だ。豊富なディスプレイ入力端子や、最新のノートPCと組み合わせると便利な機能を多数搭載することが特徴となる。

  • 34型の大型パネルを搭載する液晶モニター「U3421WE」

    34型の大型パネルを搭載する液晶モニター「U3421WE」

横に広い「画面比」を採用し、ウィンドウを並べて表示しやすい

一般的にデスクトップPCと組み合わせる液晶モニターというと、20~24型、大きいものでも28型というサイズが一般的である。そうしたよく利用される液晶モニターとU3421WEを比較してみると、もちろんパネルサイズは大きく違うのだが、「画面比」もかなり違うことに気がつく。

画面比とは、横方向の解像度と縦方向の解像度の比率を示す数値だ。前述の一般的な液晶モニターでは16:9(横1920ドット:縦1080ドットなど)といった画面比を採用しているのだが、U3421WEでは21:9(横3440ドット:縦1440ドット)。一般的な液晶モニターと比べると、横幅が長いパネルを採用している。

こうした横幅が長い液晶パネルでは、いわゆる「シネマスコープ」サイズの画面比を採用する洋画を再生した場合、上下に黒い帯を表示せず、画面全体を使ってコンテンツを再生できる。そのため、エンタテイメント用途向け液晶モニターの一部で採用されることが多い。

しかしビジネスユースでも、こうした横長の画面比は有効だ。例えばいくつかの製品やサービスを横並びで比較したい場合、ウェブブラウザの画面を重ねずに表示することで、簡単に比較できるようになる。

画面比が16:9の一般的な液晶モニターだと、ゆったりすべての情報を表示したいなら横に2個並べるのがベストだ。しかしU3421WEのような21:9の液晶モニターでは、3個のウェブブラウザを並べても狭苦しさを感じなかった。

  • ウェブブラウザを3つ並べて表示した画面だ。後述するDell Display Managerを使い、ウィンドウサイズは同じにしてある

    ウェブブラウザを3つ並べて表示した画面だ。後述するDell Display Managerを使い、ウィンドウサイズは同じにしてある

単純に横の広さを活かす使い方もある。例えば今回、左半分の領域にWordのウィンドウ、右半分の領域を使って参考資料のExcelやPDFのウィンドウを表示してみたが、それぞれのウィンドウが重ならない状態にしても視認性は全く問題なかった。

34インチという超巨大なパネルサイズと横に広い画面比を兼ね備える、U3421WEならではの使い勝手といえるだろう。

ただ、パネルサイズが大きく横幅が広い液晶モニターでは、一般的な液晶モニターと比べて目線や肩の移動も大きくなる。ビジネスでは長時間ディスプレイを眺めることになるため、こうした負担が肩や目の疲れにつながる可能性もあるが、そうした負担を最小限に抑えるために、U3421WEでは両端が内側に湾曲した「曲面スクリーン」を採用する。

  • 中央に向かって両端が湾曲している曲面スクリーンを採用する

    中央に向かって両端が湾曲している曲面スクリーンを採用する

  • 額縁が細く、パネル全体を使って画面が表示されているように感じる

    額縁が細く、パネル全体を使って画面が表示されているように感じる

曲面スクリーンでは、画面の両端がより自分に近い位置になるため、目や肩の動きを小さくでき、目の焦点距離を合わせる負担も少なくなる。一般的には映画やPCゲームの没入感を高めるためのギミックとしてアピールされることが多い機能ではあるが、前述のように長時間利用することが多いビジネスユースでも有効な機能だ。

U3421WEではsRGBで99%、Rec.709 99%、DCI-P3 95%など、色再現性を規定しているさまざまな業界標準を極めて高いレベルでクリアするIPSパネルを採用。さらにこうした曲面スクリーンを採用することで、視野角による色の変化は最小限に抑えられている。デザインやDTPなど、色を専門に扱うプロフェッショナルの利用にも耐えられる。

多彩な入力端子を装備、ドッキングステーションとしても利用できる

機能面では、多彩な映像入力端子を備えることに注目したい。HDMIを2個搭載するほか、DisplayPortを1個、さらには最大90Wもの電力を供給できるUSB PDや映像入力に対応するType-Cを装備する。このUSB PD対応のType-Cポートは、スマホやタブレットなどの充電でも利用できる。

  • HDMIケーブルやDisplayPortケーブル、映像入出力に対応するType-Cケーブルなど、必要なケーブルは標準で付属する

    HDMIケーブルやDisplayPortケーブル、映像入出力に対応するType-Cケーブルなど、必要なケーブルは標準で付属する

また、簡易的ながらドッキングステーションとしての機能も兼ね備えることにも注目したい。最大で4基までのUSB対応周辺機器を接続して利用できる「USBハブ」機能を備えるほか、Gigabit Ethernet対応の有線LANポートも備える。これらのUSBハブ機能や有線LANポートは、USBケーブルで接続したPCから利用できる。

前述のType-Cポート経由での接続でも、こうしたUSBハブや有線LANポートを利用できる。そのためノートPCがUSB PD対応の充電機能を備えるモデルの場合、映像出力、ノートPCの充電、USBハブ機能、有線LANポート機能をType-Cケーブル一本でまかなえることになる。

  • USB PD対応のType-Cを装備するノートPCとの組み合わせなら、このようにType-Cケーブル一本接続するだけでさまざまな機能が利用できる

    USB PD対応のType-Cを装備するノートPCとの組み合わせなら、このようにType-Cケーブル一本接続するだけでさまざまな機能が利用できる

オフィスやテレワーク中の自宅では、外付けHDDやプリンター、有線LANによる高速なネットワーク通信を利用する。出張先にこのノートPCを持って行きたい場合には、ノートPCと液晶モニターを接続していたType-Cケーブルを一本外せばよい。さまざまな周辺機器を簡単に利用できる拡張性と、フットワークの軽さを両立できる便利な機能だ。

Latitudeシリーズでは、こうした映像出力やUSB PDに対応したType-Cの装備が進んでいる。例えば先日発売された「Latitude 5420」や「Latitude 7320」などでもそうしたType-Cを搭載しており、上記で紹介した便利な機能を利用して快適にテレワークできる。

  • 14型液晶を搭載し、CPUをIntelの「第 11 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー」に刷新した「Latitude 5420」

    14型液晶を搭載し、CPUをIntelの「第 11 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー」に刷新した「Latitude 5420」

  • 同じく第 11 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーを搭載し、液晶パネルのサイズが13.3型の「Latitude 7320」

    同じく第 11 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーを搭載し、液晶パネルのサイズが13.3型の「Latitude 7320」

デル・テクノロジーズの液晶モニター用ユーティリティ「Dell Display Manager」にも対応している。これは、輝度やコントラスト比、色温度などといった液晶モニターに関する設定を、ウィンドウズ上から行えるユーティリティだ。本来は、液晶モニターが装備するレバーやボタンを使って行う面倒な作業だが、これをPC上から簡単に行えるようにしている。

  • Dell Display Managerを利用すれば、OSDを利用しなくても簡単に設定が行える

    Dell Display Managerを利用すれば、OSDを利用しなくても簡単に設定が行える

またデスクトップの領域をあらかじめ仮想的に区切っておき、ドラッグアンドドロップで移動したウィンドウをその区切ったサイズで表示する「Easy Arrange」機能も便利だ。

よく利用される区切りのタイプはすでに登録ずみで、クリック一つで指定できるほか、自分で好きなように変更することもできる。U3421WEの広いデスクトップを有効活用したいなら、必ず使いこなしたい機能の一つである。

  • 画面にあらかじめ仮想的な「仕切り」を設けておく「Easy Arrange」機能をサポート

    画面にあらかじめ仮想的な「仕切り」を設けておく「Easy Arrange」機能をサポート

  • U3421WE上にウィンドウをドラッグして移動すると、仮想的な仕切りが表示される。どの領域に表示されるかは、赤のカコミで表示される

    U3421WE上にウィンドウをドラッグして移動すると、仮想的な仕切りが表示される。どの領域に表示されるかは、赤のカコミで表示される

  • 先ほどの画面でウィンドウをドロップすると、設定された仕切りの場所とサイズに自動で調整され、表示される

    先ほどの画面でウィンドウをドロップすると、設定された仕切りの場所とサイズに自動で調整され、表示される

実際に14型液晶を備えるノートPCと接続して利用したところ、パネルの高さを調整してノートPCの液晶の上にくるような位置で使うと便利だった。ノートPCやU3421WEの正面に向かった状態で、ノートPCとU3421WEの画面を確認できるからだ。

U3421WEは一般的な液晶モニターと比べると、かなり大きい。そのためノートPCの左右どちらかに置いて使うと目線や首の動きが大きくなりすぎるので、使いにくくなる。

  • ノートPCの液晶の上に乗るような位置で使うのが、目や首の負担が少なくて済む

    ノートPCの液晶の上に乗るような位置で使うのが、目や首の負担が少なくて済む

広めの設置スペースは必要だが、使い勝手の向上は著しい

20~24型の一般的な液晶モニターの幅は、50~55cm前後といったところだ。一方でU3421WEの幅は81.33cmなので、それなりに広い設置スペースは必要となるのは間違いない。しかし、そうした部分を解決できれば、広いデスクトップがテレワークの強い味方になってくれるのは間違いない。

横幅の広いちょっと変わった画面比も、使い込んでみればなかなか面白い。特にWindows 10のアプリは、横長のウィンドウサイズで利用することが多い。そしてそうしたウィンドウを左右に散らせてすぐに呼び出せるようにするには、こうした横幅の広い画面比の方が便利だ。

液晶パネル自体の表示性能も高く、一般的なビジネスユーザーからプロフェッショナルデザイナーまで、幅広くオススメできる優れた液晶モニターといえるだろう。

U3421WE

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原稿 竹内亮介  撮影 福田栄美子

監修 デル・テクノロジーズ株式会社 マーケティング統括本部
   広域法人マーケティング シニア・アドバイザー 粟津和也

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