秋田県横手市を地盤に、中堅中小企業に対して IT システムの構築と運用、サポート サービスを展開する渡敬情報システム。オフィス ソリューションをワンストップで提供する渡敬の子会社として 1991 年に設立された同社では、顧客企業に対するサポート強化を目的とし、2012 年よりクラウド サービス「Wapli」の提供を開始しています。
Wapli の特長は、異なる開発元のパッケージ ソフトウェアや自社開発システムをクラウド上の Windows 環境に統合することで、それらをワンストップに、かつ柔軟なカスタマイズのもと提供できる点にあります。同社ではこの独自性をさらに強化すべく、クラウド基盤を刷新した「Wapli mirai」の提供を 2015 年 2 月より開始し、既存顧客との関係性強化や新規顧客の獲得、それに伴うストック型ビジネスへの収益モデル移行に成功しています。Windows との親和性による容易な開発性と提供サービスの幅の拡大、基盤の信頼性を評価し、Microsoft Azure と Microsoft Office 365 を基盤として Wapli mirai はサービス提供されています。
プロファイル
1933 年の創業以降オフィス ソリューションを長年手掛ける株式会社渡敬から、情報システム部門が独立する形で 1991 年に設立された渡敬情報システム株式会社外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きます。秋田県を中心とし、受託開発ソフトウェアの開発やパッケージ ソフトウェアの販売と導入、運用支援などをワンストップで提供する同社。2012 年に提供開始し、2015 年に大きなアップデートを経たクラウド サービス「Wapli mirai」をもって、渡敬情報システムではこれからも、中小規模の企業課題に応えるサービスを展開していきます。
Microsoft Azure 採用の背景とねらい
高まる顧客のクラウド ニーズを受け、ビジネスのクラウド シフトを決意。ワンストップ化した自社サービスの価値を高めるべく、あらたなクラウド インフラを検討
秋田県と首都圏の中小企業を中心に、IT のマネージド サービスを展開する渡敬情報システム株式会社 (以下、渡敬情報システム)。「常に顧客ニーズを追求し、社員が向上心を持ち、情報とシステムを提供し社会に貢献する」を経営方針に持つ同社は、親会社である渡敬と同様、ワンストップによる ICT 支援を特徴とし、数多くの企業の経営をサポートしてきました。
渡敬情報システムでは、顧客企業に対するサポート強化を目的として、2012 年にクラウド サービス「Wapli」の提供を開始します。Wapli は、中堅中小企業向けに市販されている、財務会計や販売管理、給与管理、顧客管理などのパッケージ ソフトウェアを、渡敬情報システムが用意したクラウド基盤から顧客へ提供するサービスです。渡敬情報システム株式会社 常務取締役 藤原 弘樹 氏は、Wapli を提供開始した背景とねらいについて、次のように説明します。
「オンプレミスで利用していたパッケージ ソフトウェアについて、『クラウドから使いたい』という声をお客様よりいただいたことが企画開発の背景です。当時、中小企業向けのクラウド サービスは、パッケージ ソフトウェアごとに異なるサービスとして契約する必要がありました。たとえば A 社の財務会計ソフトと B 社の顧客管理ソフトを使う場合、異なるクラウド サービスを利用することになりますが、そうすると手間やコストが増えますし、当社のワンストップという強みを生かすこともできません。さらに、ソフトウェア間の連携や自社開発したアプリケーションを一緒に利用することも難しくなります。同じクラウド基盤に集約し、ホスティング サービスのようなかたちで提供することができれば、お客さまの工数やコスト負担を減らせますし、クラウド要件であってもワンストップ サービスを実現できると考えたのです」(藤原 氏)。
クラウド サービスの提供について、同社がワンストップ サービスにこだわるのには、顧客側でそれを望む声が大きいからだと藤原 氏はつづけます。
「中小規模の企業であっても、サーバーの保守は A 社、ネットワークの構築や保守は B 社、ソフトウェアのサポートは C 社というように、ハードやソフトによって運用会社や運用ポリシーが異なっていることが、首都圏は顕著に多い傾向にあります。これらはお客さまの要望によるものなのかと商談時のリサーチを重ねたところ、実態はそうではなく、メーカーやベンダー側の都合によるものでした。中小規模のお客さまはやはり、IT を可能な限り専門業者にまかせることで本来業務に集中したいという思いが強くあります。ワンストップ サービスである Wapli の提供は、首都圏のお客さまを含め、クラウド化していくこれからの市場において大きな価値を提供できると思い、正式なサービス化を行いました」 (藤原 氏)。
こうして 2012 年より提供を開始した Wapli ですが、当初は従来型ビジネスであるパッケージ ソフトウェアの仕入販売やシステム構築と並行して、営業が進められたといいます。しかし、技術進化や企業でのクラウド採用例の増加に伴い、クラウドへの顧客ニーズは高まりをみせます。渡敬情報システムにおいても、Wapli の提供開始後、ビジネス モデルの転換期が訪れたと藤原 氏は語ります。
「パッケージ販売の手数料によるフロー型ビジネスだけでは経営が不安定になる可能性があり、安定した顧客基盤のうえで継続的にサービスを提供していくストック型ビジネスへの移行を図る必要がありました。Wapli の提供開始から 2 年ほど経過した 2014 年には、すでにお客さま側において『クラウド』という選択肢はあたり前のものとしてありましたので、当社のビジネスを本格的にクラウド シフトする決断をしたのです。そのためには、当時提供していた Wapli の価値をさらに向上しなければならず、基盤の刷新を含めて検討を開始しました」 (藤原 氏)。
Microsoft Azure 採用の経緯
開発の容易性がもたらす自社クラウド サービスの特徴強化と、地理冗長による信頼性向上を決め手とし、Azure の採用を決定
2014 年初頭より、ビジネスのクラウド シフトと、そこへ向けた Wapli の新たな基盤構築を開始した渡敬情報システム。同社では、新たなクラウド インフラの検討に際し、まず Microsoft Azure と Microsoft Office 365 の名があげられたといいます。
Wapli に重要視される点にはまず、Windows との親和性の高さがあります。渡敬情報システムが販売を手がける他社パッケージ ソフトウェアは Windows がベースとなり、同社が自社開発し提供している人事情報管理システム「人財箱」や、特殊法人向けに提供している独自開発の伺い/予算管理システムなども Windows を提供基盤に採用していました。このほか、パッケージ ソフトウェア間の連携などカスタマイズで開発する箇所にも、Windows アプリケーションの開発ノウハウやスキルが必要になってきます。
「クラウド シフトに際しては当社ならではの優位性を強化しなければなりません。そうした場合、基盤上でいかに容易に新たなサービスを開発し、順次提供できるかが重要となります。たとえば、Azure ベースで顧客の基幹システムを構築しておけば、今後、Office 365 の BI ツールを用いて顧客分析を行ったり、基幹系データと連携して Microsoft SharePoint 上にグラフ表示したりといったニーズにも対応しやすくなります。他社パッケージ ソフトウェアとの連携性ももちろん重要ですが、それは従来の Wapli でも行えていました。新たな基盤には、当社ならではの強みをクラウド上でどのように付与できるか、それをいかに容易にできるかを重要視したのです」(藤原 氏)。
もともと同社では、パッケージ ソフトウェアをクラウドから提供するだけでなく、企業ごとに必要となる機能を追加開発して提供することも多かったといいます。追加で開発する独自機能には、たとえば稟議や予算管理のための機能やワークフロー、帳票の出力、データ連携といった機能がありますが、同社が提供するクラウド サービスを特徴づけているのは、これら追加開発した機能群になります。その特徴を後押しする基盤として、Azure は最適な選択肢だったといえます。
くわえて、同社が Azure の採用を決定づけた背景には、2014 年 3 月に日本マイクロソフトが発表した日本データセンターの設立がありました。顧客の基幹系システムを十分に動かせる高い信頼性を持ったシステムが Azure の基盤にあることにくわえ、国内に東日本と西日本の 2 つのデータセンター拠点を持ち、高い可用性を備えていたことを高く評価したのです。
「クラウドが普及するにつれ、お客さまから『データの保存場所は国内かどうか』『冗長化さているか』『データセンターがダウンしたときはどうなるか』といった質問を多くいただくようになりました。標準で、ストレージなどが地理的に冗長化されている Azure の特性は、お客さまに安心して利用していただけるという点で重要な要件だったのです」 (藤原 氏)。
渡敬情報システムでは 2014 年 9 月にて、Wapli の新たな提供基盤として Azure と Office 365 の採用を決定。開発と検証を重ね、2015 年 1 月より Azure 上から提供する「Wapli mirai」としてサービスを開始しました。すでに Wapli で動いている案件の移行を順次進めながら、新規の案件についてはすべて Wapli mirai を利用する環境となっています。
リモート デスクトップ接続でクラウドにログインして利用する Wapli mirai。オンプレミス環境と同じ使い勝手でパッケージ ソフトウェアや業務アプリケーションをデスクトップ PC やタブレットなどから利用することができ、一部は Remote App としても利用可能 |
提供サービス
- Microsoft Azure 新しいウィンドウで開きます
- Microsoft Office 365 新しいウィンドウで開きます
導入メリット
- Windows と親和性の高い基盤での開発やサービス提供により、自社サービスゆえの特徴をさらに強化することができ、優位性の向上をおこなえた
- 西日本と東日本の国内 2 か所にデータセンターを構える Azure の採用により、信頼性を求める顧客へのニーズへも対応することができるようになった
- CPU やメモリなどのリソースを柔軟に割り当てられる Azure の強みをもって、顧客へのサービス レベルを向上することができた
- Azure と Office 365 による発展性をもたせたプラットフォームの整備により、ストック型ビジネスへの転換へ向けた基盤を獲得できた
Microsoft Azure 採用の効果
顧客ニーズに合わせたシステムを高いスピード感と信頼性のもとで提供できるようになり、サービス レベルが向上
「Wapli mirai」というブランド名称のもと、Azure を基盤としたワンストップ サービスを提供開始した渡敬情報システムですが、Azure と Office 365 を採用した効果として藤原 氏はまず、クラウド基盤の柔軟性と構築の容易性を挙げます。
以前採用していたクラウド基盤は、CPU やメモリといったリソースの割り当てが柔軟にできなかったため、顧客の規模やニーズに応じた事前の設計と運用に大きな工数がかかっていたといいます。Azure の場合、CPU やメモリの割り当てを簡単に変更できるうえ、サービスの利用状況に応じた変更を自動的に行うことも可能です。
「仮想マシンを立ち上げてすばやくサービスを構築できる点は、以前の環境との違いに驚いた部分でした。当社が Wapli mirai を構築する際スムーズに進行できた理由でもあるのですが、Azure では環境をすみやかにデプロイできるようになっていますので、新しいお客さまと契約した場合も顧客のニーズにあわせた提供がすぐにできるのです。また、ユーザー数についても、従来は 1 つの仮想マシンで 50 ユーザー程が限界でしたが、Azure を採用してからは 多くのユーザーでも問題なく利用できるようになりました。これらは当社のサービス レベルを向上するものだと確信しています」 (藤原 氏)。
サービス レベルの向上について藤原 氏は、「サービス プランに東日本リージョンと西日本リージョンとで地理冗長を行う構成を加えたことで、お客さまの危機管理意識にこたえられるようになりました。」と、基盤としての信頼性が向上したことも大きいとくわえます。
立地や時間の制約を受けないクラウドのメリットも、成果につながったといいます。同社では 2012 年の Wapli 提供開始後、地盤である秋田県だけでなく、東北地方や首都圏の顧客に対しても積極的にサービスを展開するようになりました。もともと同社はオフィス機器の販売で首都圏の顧客ともつながりがありましたが、クラウド サービスを強化したことで、より幅の広い顧客ニーズに対応できるようになったといいます。
「たとえば、本社は東京だが福島と新潟に支社があり、業務アプリケーションを本社と共通化したいといった要望をいただいた場合、オンプレミスの場合は複数の拠点でインストール作業などを行う必要がありますが、クラウド サービスであればすぐに提供を開始することができます。これはお客さまのビジネス スピードにソリューションがついていけるようになったといえます」 (藤原 氏)。
Azure の導入をスムーズに進め、確かな成果が出ている Wapli mirai ですが、利用状況によって料金が変わり、データの転送だけでも課金対象となるクラウドの特性から、サービス メニューの設定に関しては、日本マイクロソフトの支援のもと検証を重ね、慎重に検討されたといいます。
「たとえばデータのバックアップ サービスを提供しようとした場合でも、『どのような規模のお客さまが』『どのようなシステムを』『どのくらいの量を利用すれば』いくらの利用料金になるのか、さまざまなケースを想定する必要がありました。この点は当社にも知見が乏しい点でしたので、日本マイクロソフトのアドバイスは非常に参考になりました。3 か月以上検証を重ね、サービスのメニューを決めていきました」 (藤原 氏)。
今後の展望
Wapli mirai の価値をさらに高め、その市場理解を啓蒙することで、ストック型ビジネスへの移行を進める
渡敬情報システムでは Wapli mirai のサービス開始後、新規顧客の増加にくわえ既存顧客の追加案件なども増加したことで、徐々にストック型ビジネスへと収益モデルが移行しつつあるといいます。
「東京五輪が開催される 2020 年ごろまでには当社のビジネスの根幹を支えるサービスになるようにしていきたいと考えています。そのためには、サービス価値をさらに高めることが不可欠です」と藤原 氏が語るように、機能の強化や改善について同社では、現在も検討と検証が重ねられています。
具体的には、開発環境として Azure の PaaS を利用し、ビジネスの変化に合わせたスピーディな開発が可能にできるよう準備をすすめているといいます。また、自社開発で提供している既存システムの SaaS 化にも取り組んでいます。さらに、パッケージ ベンダーとの協業による SaaS 化と、それらパッケージ ソフトウェアと Microsoft Office や CRM 製品、Skype for Business (旧 Lync) などとの連携も進め、サービス価値の向上とソリューション領域の拡大に取り組んでいます。
一方で、藤原 氏は課題として、同社が提供するクラウド サービスに対する市場理解がまだ不十分な点をあげます。
「Wapli mirai は、他社パッケージ ソフトウェアや独自開発の業務アプリケーション、Office 365 の各種サービスをワンストップで 1 つのクラウド基盤から提供するサービスです。中小企業向けにこうしたかたちで提供されているクラウド サービスは多くなく、そのこともありサービス開始以降、コンセプトや利用意義を伝えていく難しさを感じています。日本マイクロソフトや当社パートナーにも協力をいただき市場啓蒙をすすめることで、最適なソリューションの 1 つとして中小規模のお客さまへ認知いただけるよう取り組んでいきたいと思います」 (藤原 氏)。
拠点ごとにサーバーを設置する必要がなく、専門の担当者も不要とした IT 環境の運用実現を Wapli mirai にて提供する渡敬情報システム。リソースが限られた中小規模の企業にとって大きな価値を提供する同社は、日本マイクロソフトの協力のもと、これからもサービス品質の向上とその顧客提供をおこなってまいります。
ユーザー コメント
「仮想マシンを立ち上げてすばやくサービスを構築できる点は、以前の環境との違いに驚いた部分でした。当社が Wapli mirai を構築する際スムーズに進行できた理由でもあるのですが、Azure では環境をすみやかにデプロイできるようになっていますので、新しいお客さまと契約した場合も顧客のニーズにあわせた提供がすぐにできるのです。また、ユーザー数についても、従来は 1 つの仮想マシンで 50 ユーザー程が限界でしたが、Azure を採用してからは 多くのユーザーでも問題なく利用できるようになりました。これらは当社のサービス レベルを向上するものだと確信しています」
渡敬情報システム株式会社
常務取締役
藤原 弘樹 氏
(マイナビニュース広告企画:提供 日本マイクロソフト)
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