全国33か所で医療施設を運営する国家公務員共済組合連合会(以下、KKR)。同連合会では医療の提供に加え、「質の高い安全な医療を実施できる医療人を育成する」という目標のもと、2006年にシミュレーション・ラボセンター(以下、KS-Lab)を設置。医療シミュレーション教育にも力を注いでいます。

医療シミュレーション教育を提供する多くの医療施設が、教育効果の最大化に苦戦しています。そのような中、設立から10年を迎えるシミュレーション・ラボセンターでは、教育後、受講者が所属する部署内での「インシデント発生数の減少」や「蘇生率の向上」が示されるなど、確かな成果を生み出しています。こうした有効な教育を全国に、また将来構想として全世界の医療従事者へ提供すべく、同連合会では2017年4月より、遠隔教育システムの機能を持つ新ポータルサイト「KKR Labo Portal」の本格提供を開始。この「未来の医療シミュレーション教育」ともいうべきサービスの提供基盤には、マイクロソフトが提供するMicrosoft AzureとOffice 365が採用されています。

国家公務員共済組合連合会

プロファイル

国家公務員共済組合法に基づいて設立された国家公務員共済組合連合会(KKR)。同連合会では、国家公務員の年金や福祉事業に関する業務を行うほか、福祉事業として全国33か所で医療施設を運営。質の高い医療を提供すべく、努力を続けています。2006年にはシミュレーション・ラボセンターを設置し、医療の安全確立に向けた取り組みも実践しています。

導入の背景とねらい
高い成果を生み出しているシミュレーション・ラボセンター。その受講者をより拡大すべく、遠隔教育に着手

医療事故の発生件数は、増加傾向を示しています。公益財団法人日本医療機能評価機構の調べによると、2005年に1,114 件だった医療事故の報告件数は、10年後の2014年にはおよそ3倍となる2,911件にまで増加。医療の安全性を向上すべく、今、改めてその対策を講じる必要があるといえるでしょう。この状況を見据え、全国に33のグループ病院を運営する国家公務員共済組合連合会では、2006年4月にシミュレーション・ラボセンターを設置。医療シミュレーション教育をもって、医療の安全確立に向けた取り組みを実践しています。

医療シミュレーション教育は既に普及が進んでいます。しかし、そこでの教育効果を生み出すためのケーススタディは、残念ながら多くはありません。このような中、KS-Lab では明確なコンセプトをもった医療シミュレーション教育を提供し、また効果検証も密に実施することで、確かな成果を上げています。

国家公務員共済組合連合会 シミュレーション・ラボセンター センター長 虎の門病院 副院長 井田 雅祥氏

同センターのコンセプトについて、国家公務員共済組合連合会 シミュレーション・ラボセンター センター長 虎の門病院 副院長 井田 雅祥氏は、次のように説明します。

「KS-Labでは、医療現場で働く医師や看護師、職員を対象とした『卒後教育の実施』をコンセプトにしています。医療シミュレーション教育を実践する多くの施設は大学病院内に設置されており、主に大学の教育カリキュラム内でそれが運用されています。これは大学教育の一端を担うという使命に基づくものです。これに対して、 KS-labが目指しているのは医療の質と安全の向上です。したがって、教育を経て即座に医療現場でそれを実践する、そこでの教育効果の検証を行う、結果が出ないのであれば課題を吸い上げて教育プログラムにフィードバックする、というPDCAサイクルで運用することが、主題である『医療の質と安全の向上』の実現につながると、当センターでは考えています」(井田氏)。

井田氏が触れたシミュレーション教育の効果は、即座に可視化されるわけではありません。KS-Labでは、受講者が所属する部署で研修後3年間のインシデント発生件数を調査することで、「医療の質と安全向上」に対して効果をもたらしているかを綿密に検証。その結果、インシデント発生件数は減少傾向にあることが示されています。

国家公務員共済組合連合会 シミュレーション・ラボセンター ラボマネージャー 虎の門病院 臨床工学技士 大森 正樹氏

国家公務員共済組合連合会 シミュレーション・ラボセンター ラボマネージャー 虎の門病院 臨床工学技士 大森 正樹氏は、同センターの教育がこうした成果を生み出している理由について、次のように説明します。

「『業務として医療に臨む』という意思のもとでは、医療の質と安全の向上は果たせません。医療従事者が自主的に『最適な医療の提供を目指す』という意思を持つことが必要であり、このような意思を備えた医療従事者を教育することが重要なのです。KS-Labのすべての受講者がこのような意思を持っているとは限りません。中には『仕方がなく参加する』という後ろ向きな姿勢の受講者も存在します。ですが、KS-Labには熱意を持ったメンバーが揃っています。この熱意のもと質の高い教育を実施することで、研修を経た受講者は『自身が最適な医療を実践する』という意思を持つようになります。この意志の変化は、受講者が他の医療従事者にKS-Labの受講を推奨するという動きにも表れています」(大森氏)。

KS-Labの研修を経た医療従事者の多くは、医療現場において主体的な活躍を見せるといいます。たとえば虎の門病院の看護部では心肺蘇生のシミュレーション教育を定期的に、かつ反復して実施しています。その成果として、入院患者の予期せぬ急変時にも、速やかで適切な急変時対応を行うことができるようになるのです。こうした受講者の活躍により、「インシデント数の減少だけでなく、蘇生率についても向上した」と、大森氏は語ります。

プロジェクションマッピングを用いた、VR空間でのトレーニングのようす

トレーニングの模様を記録した映像を用いたデブリーフィング(学習の振り返り)のようす

しかし、熱意をもった教育の提供には、当然ながら多大な人的リソースをそこへ費やす必要があります。KS-Lab に勤務するスタッフ数は限られており、2,000人という受講者数が、1年間で教育を提供できる上限値でした。この限界を超えることで、受講者の増加、ひいては「医療の質と安全向上」というテーマへ向けたアプローチをより強化すべく、KS-Lab では遠隔教育の可能性について研究を開始 (2010年度から2013年度の4年間、厚生労働科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究事業の助成を受け実施)。2012 年からは、e ラーニングや研修資料のダウンロード機能を備えた前身のポータルサイト「KKR Labo Portal(当時、レンタルサーバーで運用)」を開設し、運用を開始しました。その結果、医療者養成の臨床実践教育にICTを導入することが、効率の向上に効果があることを実証できました。

同センターがこの取り組みで目指すビジョンについて、井田氏は「医療教育の地域格差の改善」を挙げます。

「たとえ安全な医療を実現しても、それが特定の病院に限られていては大きな意味を持ちません。KKRでは全国に33の病院を運営していますが、この病院間だけでも、教育や医療の水準に地域格差が存在しています。KKRに限らず国内すべての病院を対象とする場合、この格差はより顕著なものとなるでしょう。KS-Labの主な受講者はKKRグループ病院の医療関係者ですが、今後は他の病院や医系大学、さらには海外からの受講者も受け入れていく必要性があります。遠隔教育の場合、物理的な場所を問わずに学習することが可能です。国内外の医療水準を向上するためにも、KS-Lab の受講対象はより拡大すべきと考え、KKR Labo Portalが持つ遠隔教育の有効性と機能拡張について、再検討を開始したのです」(井田氏)。

システム概要と導入の経緯、構築

豊富な PaaS の存在、高いセキュリティ水準を考慮すると、Azureが最適な選択だった

井田氏が語るとおり、KKR Labo Portalは当初、まずその有効性の検証を目的として提供を開始。検証過程では各種機能のチューニングや教材動画共有機能の追加、TV会議システムの並行利用が進められ、運用開始から4年後には受講生に「対面教育と同水準の満足度」を提供する水準にまで、その有効性を高めています。この結果を踏まえて KS-Labでは、KKR Labo Portalを「効果検証」から「本格展開」の段階へ移行することを決定します。

ところが、本格展開を進めるうえでは、従来の提供基盤が抱えていたいくつかの課題を解消する必要がありました。この点について、大森氏は次にように説明します。

「これまでは効果検証フェーズであったため、一般ユーザー向けのインターネット動画共有サービスや、専用のハードウェアを必要とする TV 会議システムを使用するなど、各種機能の連携性を特に意識せず構築してきました。しかし本格展開を進める場合、まずユーザー数が飛躍的に増加することとなります。従来の提供基盤では運用が煩雑なうえ、機能ごとで利用するソフトウェア、ハードウェアなどのユーザーインターフェイスも異なるため、ユーザーの利便性を損なう可能性がありました。また、受講者の実習映像や履修実績が完全に別管理となってしまっており、統合して管理できていないという研修運営上の課題もありました」(大森氏)。

こうした側面に加え、セキュリティの強化も重大な課題でした。KKRグループ病院のユーザーだけでなく外部の受講者を受け入れる場合、まず認証の切り分けが不可欠となります。さらに、サービスで取り扱う個人情報の件数も増加するため、プラットフォーム自体のセキュリティ水準を高める必要もありました。

国家公務員共済組合連合会 情報システム部 情報セキュリティ対策室 兼病院部 兼旧令病院部 室長代理 坪谷 聖光氏

こうした背景から、KS-Labでは2016年初頭より、KKR Labo Portalの提供基盤の見直しを開始。そこでは、Office 365との高い連携性を持った基盤であることを条件に、検討が進められたといいます。この理由について、国家公務員共済組合連合会 情報システム部 情報セキュリティ対策室 兼病院部 兼旧令病院部 室長代理 坪谷 聖光氏は次のように説明します。

「当時KKRでは『ソフトウェアの資産をいかにして適切に運用するか』が議論の的となっていました。エンタープライズ環境において、ライセンス管理に柔軟性を持たせることは、組織としてのアジリティ向上において非常に有効です。そこで、マイクロソフトと包括ライセンス契約を結ぶことにしたのです。既にKKRでOffice 365の利用を開始していたこともあり、この基盤をうまくKKR Labo Portalにも活用できないかと考えたのがきっかけでした」(坪谷氏)。

Office 365は、Skype for Businessによる Web会議、SharePoint Onlineによる資料ダウンロードなど、KKR Labo Portalに必要な多くの機能を備えています。ソフトウェア資産を有効活用するという観点では有力な選択肢でしたが、一方でライブ配信やデータベースと連携したアーカイブ映像管理、履修実績データ管理などの機能は備えず、KKR Labo Portalを運用するには、Office 365との連携性を備えた提供基盤を別に構築する必要があったのです。

大森氏は、数ある選択肢の中でもパブリック クラウドをベースとした外部サービスを優先して、この提供基盤の選定を進めたと語ります。

「本格展開といえども、一挙に33あるKKR病院へ展開するのではなく、段階的なユーザー数の拡大を構想しました。また、PDCAサイクルで今後も新たな機能を企画、実装していくことを考慮すると、拡張性に富んだプラットフォームであることが必須条件となります。スケーラビリティを特徴とするパブリッククラウドを採用することは必然といえます。加えて、維持管理業務の負担軽減のためにも外部サービスを利用し、KKR Labo Portalを実現したいと考えていました」(大森氏)。

KS-Labでは、Office 365との高い連携性を持つこと、また、教育の核となるライブ配信やデータベースと連携したアーカイブ映像管理、履修実績データ管理に最適な基盤であること、これらを取りまとめてサービスとして提供できることを条件とし、複数ベンダーを対象とする入札を実施。各社より案内された提案を比較検討した結果、株式会社日立産業制御ソリューションズが提供する、Azureの各種PaaSを基盤とした医療研修者向けクラウドサービスを採用することに決定しました。

株式会社日立産業制御ソリューションズ 産業情報本部 産業情報第一設計部 第一グループ 主任技師 釘田 亮治氏と、同じく第一グループ 技師 伊東 光氏は、Azureをプラットフォームに採用したサービスを提案した理由として、高いセキュリティ水準と、豊富なPaaSの存在を挙げます。

「パブリッククラウドに対して『構築や維持管理の工数を抑えられる』というイメージをお持ちの方が多いかと思います。確かにハードウェアの管理が不要となることは、パブリッククラウドの大きな特長でしょう。しかし、IaaSベースで構築を行う場合、インフラ面の構築と維持管理にはどうしても一定の工数が発生します。Azureはデータベースや認証基盤、Webアプリケーションなど多種多様なPaaSを備えています。これらを有効に活用することで、構築や維持管理の工数を抑えることが可能です」(釘田氏)。

「グローバルレベルのセキュリティが実装されていることも、Azureの大きな優位性だと思います。オンプレミスで提供基盤を構築する場合、セキュリティの担保に巨額の投資と膨大な運用工数が必要となります。ですがAzureであれば、これらを不要としながら高いセキュリティレベルが維持できます。削減できたコストや人的リソースを、新たな機能の企画、開発などへ割り当てることも可能であり、これはスモールスタートという段階において特に有効に機能することが推測されました」(伊東氏)。

さらに、株式会社日立産業制御ソリューションズ 企画統括本部 事業開拓本部 パートナー事業推進センタ 技師 安武 大輔氏は、Azure Media Servicesの存在が、Azureの提案を決定付けた大きな要因だと続けます。

「Azureの中でも特にユニークなPaaSとして、Azure Media Servicesが挙げられます。クラウド上で映像管理を行う場合、仮想マシン上でゼロからのシステム構築が必要です。さらに、ユーザーのデバイスやOSのバージョンにも配慮する必要があります。Azure Media Servicesは、この機能をPaaSとして提供しており、構築に関するコストの削減と期間の短縮ができるだけでなく、運用面で多くの自動化が可能です。また、Azure Media Services、Azure SQL Database、Azure Web Appsによりデータベースと連携したアーカイブ映像管理、履修実績管理といった必要な機能をPaaSを用いて実現できること、高いセキュリティ、Office 365との親和性、拡張性を持たせたうえでスモールスタートできる点などを総合的に考え、当社サービスにAzureを選択しました。そして、マイクロソフトのビジョンやクラウドへの取り組みが、今後のKS-Labの将来展望にもマッチしており、当社のサービス含め成長させていく際にも、パートナーとして最適と考えています」(安武氏)。

株式会社日立産業制御ソリューションズ 産業情報本部 産業情報第一設計部 第一グループ 主任技師 釘田 亮治氏

株式会社日立産業制御ソリューションズ 産業情報本部 産業情報第一設計部 第一グループ 技師 伊東 光氏

株式会社日立産業制御ソリューションズ 企画統括本部 事業開拓本部 パートナー事業推進センタ 技師 安武 大輔氏

導入の効果
Azure Web Appsによる ユーザーインターフェイスの統一、Azure Media ServicesによるマルチOS対応により、高い教育効果を生み出す利便性を実装

Azureをベースとしたサービスの利用を決定後、KS-Lab では 2016 年 7 月より、導入を開始しました。Azure Media Services や Azure SQL Database、Azure Web Appsといった PaaSを全面に採用したシステム構成により、わずか 3 か月後の10月には全国のKKRグループ33病院が一同に集う共済医学会にて、遠隔地のグループ病院と連携したシンポジウムを実現しています。

KKR Labo Portalのシステムイメージ図。受講者はAzure Web Appsを介して、Azure上の各種アプリケーションやOffice 365のSkype for Businessを利用する

機能面においても、Azure Media ServicesやAzure SQL Database、Azure Web Appsの連携により、ライブ配信やデータベースと連携したアーカイブ映像管理、履修実績データ管理を実現し、これまでは個別管理であった受講者の実習映像や履修実績を統合して管理できるようになりました。これにより、受講者による振返り学習なども可能となっています。 また、AzureとOffice 365が連携する新たなサービス環境では、運用負荷の軽減に加え、ユーザーインターフェイスの統一やマルチデバイス、マルチOSに対応したことで、サービス自体の利便性も大きく向上しています。

こうした利便性の向上は、KKR Labo Portalによる教育効果の最大化につながると、大森 氏は笑顔で語ります。

「いかに教育コンテンツが充実していたとしても、それがユーザーに利用されなければ教育効果は激減します。有効な教育をユーザーへ提供するという意味で、これまで各種機能ごとで異なっていたユーザーインターフェイスをAzure Web Appsで統一したことは非常に大きな意義を持つといえるでしょう。また、Azure Media Servicesはマルチ デバイス、マルチOSに対応するため、受講するデバイスを問うこともありません。数年先を見据えた場合、スマートフォン世代のユーザーが増加していくことは容易に想像でき、『BYOD』への対応も必要です。そういったユーザーの変化にも対応する提供基盤が整備できたことは、本格展開を進めて行くうえで不可欠だったと考えています」(大森氏)。

スマートフォン上でも動画が閲覧可能。空き時間に KKR Labo Portal を利用するといった場面でも有効に機能する

Azure Media Servicesによるライブ配信のようす

ユーザー側の利便性向上に加え、今回の取り組みは運用側にも多大なメリットをもたらしています。この点について坪谷氏は、次のように説明します。

「Azure Active DirectoryのB2Bコラボレーション機能を利用することで、KKRのOffice 365ユーザーは シングル サインオンで KKR Labo Portalを利用できます。それ以外のユーザーも、KKR Labo Portal独自のAzure Active Directoryで新たなアカウントを発行する事で、KKR Labo Portalの利用が可能です。このようにAzureでは、PaaSで構築したサービスをつなぐだけで柔軟にシステムを構築することができ、新たに開発、検証したサービスも、既存のKKR Labo Portalへ容易に組み込むことができます。KKR内だけでなく地方や海外も対象として教育を提供していくうえで、たいへん有用な提供基盤が整備できたと考えています」(坪谷氏)。

今後の展望
ユーザー数の拡大により、全国の医療水準を高めていく

坪谷 氏が語る拡張性を武器に、KS-Labでは今後、KKR Labo Portalの発展をさらに計画していきます。大森氏は、2019年に控えた 虎の門病院本院(東京都港区)の新設をひとつの契機と定め、ユーザー数の拡大や機能強化などを進めていくと語ります。

「2019年5月に、虎の門病院は新設を予定しており、KS-Labも同時期に現在の虎の門病院分院(神奈川県川崎市)から移設します。以後は、いっそう遠隔教育を活用し、教育研修の知見を全国のKKR病院に反映できるようになるでしょう。新虎の門病院の開院後は、まず約20,000人の全KKRグループ病院の医療従事者にまでユーザー数を拡大し、そこでのユーザーからのフィードバックを機能開発などに反映することで、全国のKKR病院での医療教育水準を引き上げていきたいと考えています。もちろん、対面型の教育にもこれまでどおり力を注いでいきます」(大森氏)。

こうした機能開発においては、Microsoft Cognitive Servicesによる映像解析や、Power BIによる教育効果の見える化なども有効に活用できるのではないかと、大森氏は期待を寄せます。

ところで、新虎の門病院では、教育の場であるシミュレーション・ラボセンターが、大規模災害やテロが発生した際には、隣接する講堂およびER(救急救命室)とともに一体化し、拡張ERとして機能する「災害医療エリア」として運用できることも計画しています。

自らも虎の門病院の副院長を務める井田氏は、この構想においてOffice 365やKKR Labo Portalが、その場合のコミュニケーションを支える重要な役割を担うと語ります。

「予知できない不測の事態へ迅速に対応できるかどうかは『情報の共有』と『適切な指示、連携』にかかっています。当然のことながら災害時の医療活動においても同様のことがいえるでしょう。災害医療を見据え、その対応ができる機能を備える新虎の門病院では、こういった情報共有と指示ルートを平時から確立し運用しておくことが特に求められます。こと、昨今では物理的な情報共有だけでなく、ICTを活用した遠方間での共有、指示、連携が必須といえるでしょう。仮に災害時専用のシステムを整備したとして、普段利用していない同システムが有事の際に機能するとは考えられません。Office 365やKKR Labo Portalには、遠隔教育時において『普段利用しているコミュニケーション基盤』として機能するからこそ、災害時にもしっかり役割を果たすと期待しています」(井田氏)。

シミュレーション教育を積極的に推し進め、医療格差と医療事故の改善に努めてきたKS-Lab。同センターは今後も、より優れた医療の提供と医療従事者の教育に向け、日々研究と実践を続けていきます。

「いかに教育コンテンツが充実していたとしても、それがユーザーに利用されなければ教育効果は激減します。有効な教育をユーザーへ提供するという意味で、これまで各種機能ごとで異なっていたユーザーインターフェイスをAzure Web Appsで統一したことは非常に大きな意義を持つといえるでしょう。また、Azure Media Servicesはマルチデバイス、マルチOSに対応するため、受講するデバイスを問うこともありません。数年先を見据えた場合、スマートフォン世代のユーザーが増加していくことは容易に想像でき、『BYOD』への対応も必要です。そういったユーザーの変化にも対応する提供基盤が整備できたことは、本格展開を進めて行くうえで不可欠だったと考えています」

国家公務員共済組合連合会
シミュレーション・ラボセンター
ラボマネージャー
虎の門病院
臨床工学技士 大森 正樹氏

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