金沢市に本社を置く建設ドットウェブが提供する建設業向け原価管理システム「どっと原価シリーズ」は、発売実績 20 年で導入実績も業界 No.1 と、多くの企業の間で活用されています。同社では、建設業にもクラウド化の波が押し寄せようとしている予兆をいち早く捉えて、クラウド版である「どっと原価NEO クラウド」を開発し 2018 年末にリリースしました。その後、順調な伸びを見せて同社の業績向上にも寄与している「どっと原価NEO クラウド」ですが、そのプラットフォームに使われているのが Microsoft Azure です。Azure を選定した経緯や、開発プロジェクトなどについてお話を伺いました。

建設業専用の原価管理ソフトでシェア NO.1

金沢市に本社を置く建設ドットウェブは、2001 年の設立以来、中小企業の建設業向けの原価管理システムを提供し続けており、現在の顧客は 4,000 社を超えています。製品も当初の「どっと原価」から始まり 2014 年に「どっと原価NEO」をリリース、そして 2018 年 12 月にはクラウド版である「どっと原価NEO クラウド」の提供を開始するなど、着実な進化を遂げてきました。

同社設立メンバーの 1 人であり、現在は製品開発を統括する立場でもある、開発本部所属 専務取締役 兼 開発本部長、岡田 健 氏はこう話します。「建設業は業界が広く、そうした業界内で我々のつくったソフトウェアが普及していくことで、多くのお客様の利益を向上させ、ゆとりある企業体質の構築を支援することを企業理念に掲げ会社を立ち上げました」(岡田 氏)。

  • 株式会社建設ドットウェブ 開発本部所属 専務取締役 兼 開発本部長 岡田 健 氏

    株式会社建設ドットウェブ 開発本部所属 専務取締役 兼 開発本部長 岡田 健 氏

現在、「どっと原価NEO」シリーズは業界 No.1 の導入実績を誇り、全国の建設業で一歩先の原価管理を実現すべく活用されています。

シリーズに共通した特徴として挙げられるのが、様々なニーズに対応できる機能が用意されており、オプション選択式で、企業ごとに最適な構成が行える点です。また、以前より自社で利用していた帳票のレイアウトを Microsoft Excel のシートで作成・編集でき、そのまま「どっと原価NEO」の印刷書式として利用できるのも大きな特徴となっています。

こうした機能面の特徴に加えて、顧客のシステム導入目的や必要要件、業務フローを確認するなどの導入前の分析サポートも提供しており、どっと原価NEO の運用提案や、オンプレ版では必要に応じたカスタマイズの提案も受けることができます。

「これだけでなく、提案から運用サポートまでのフェーズにわたり、日本全国の販売・ユースウェアパートナー様がお客様の活動をサポートするので、安心して導入いただけます」(岡田 氏)。

  • 「どっと原価NEO クラウド」の画面

    「どっと原価NEO クラウド」の画面

Windows 環境との親和性の高さなどからプラットフォームに Azure を選定

2023 年 10 月より正式にスタートするインボイス制度や、さらにその 3 カ月後の 2024 年 1 月に施行開始する電子帳簿保存法への対応は、建設業においても最優先課題となっています。

そんななか、以前より建設ドットウェブには、どっと原価NEO のクラウド版についての問い合わせが一定数寄せられていました。また、連携する会計ソフトなどのクラウド化が先行して進んでいたため、どっと原価NEO 側におけるクラウド対応のニーズは高まり続けていたのです。

「クラウド化の必要性は感じつつも、弊社のソフトは Windows のデスクトップアプリであり Web 系アプリではないため、クラウド移行はハードルが高いのも事実でした」と、岡田 氏は振り返ります。

そこでまずはどっと原価NEO クラウド版のプラットフォームを検討した結果、Microsoft アプリケーションとの親和性が高く、連携する会計ソフトメーカーの多くが既に利用していた Microsoft Azure(以下、Azure)を採用することにしました。

「パートナーをはじめ周囲の声を聞いて Azure を選びました。とはいえまるで知見がありませんでしたので、スキルをどう身につけていくかが課題でした。そうしたなかちょうど以前より社内の PC の調達などで付き合いのあったダイワボウ情報システム株式会社がマイクロソフト ディストリビューターとなったと聞いて声をかけたのです。すると、同社がマイクロソフトとの接点となってくれて、定例的な勉強会を無償で開催してくれるなど親身なサポートをしてくれた結果、既存の内容をあまり変えない構成でリフトアップしていくことができました」(岡田 氏)。

順調な伸びを見せ今では“クラウドファースト”な提案に

クラウド版どっと原価NEO の開発プロジェクトは、岡田 氏を責任者とする 4、5 名のチームで推し進められました。こうして 2018 年 12 月にリリースした後は、コンスタントに機能追加を行い、バージョンアップを続けています。

そんなどっと原価NEO クラウドは、サーバーレスで管理者不要、導入しやすいサブスクリプションモデルにより高い導入効果を実現することができます。フルオプションにも対応しており、人気の高いカスタマイズ事例をテンプレート化した解決テンプレートも選択可能となっています。

岡田 氏はこう話します。「クラウドになるとデータも合わせてこちら側で管理しているので、お客様の側で何か問題が生じたときの原因の特定がしやすくなりました。そうしたお客様へのフィードバックのスピード感はクラウドだからこそだと実感しています」(岡田 氏)。

既に 300 社ほどの導入実績があるなか、現在では毎月約 20 社ずつ導入企業が増えており、どっと原価NEO 全体のうち、オンプレミス版が約 6 割、クラウド版が約 4 割と、当初の予想どおりの伸びを見せています。

「今年の年間計画でも、35 ~ 40 %ぐらいをクラウド版が占めるとしていたのでほぼ予想通りとなっています。クラウド版の比率は毎年順調に上がってきていて、近いうちにオンプレミスを上回ると見ています」と、岡田 氏はコメントします。

建設ドットウェブでは、どっと原価NEO クラウドを導入しているユーザーのみが追加できるオプション「+Bizシリーズ」も提供しています。そこでは、スマートフォンからアクセス可能で現場からそのまま日報が提出できる「+Biz日報入力」や、出退勤の打刻により自動でどっと原価NEO クラウドに時間が反映され原価が発生する「+Biz勤怠打刻」といった、最新のテクノロジーを使った運用形態を可能としています。

同社 開発本部 開発1グループ所属 マネージャーの門 昌和 氏は、顧客から寄せられた声についてこう語ります。「建設業の場合、外出先から日報を入力しなければならないケースが多いのですが、システムがオンプレミスだとリモートデスクトップなどでの接続が必要となり環境構成が複雑になりがちです。しかしどっと原価NEOクラウドならば、ネットワークにさえつながれば簡単に現場から日報を入力できますし、管理職からしても日報がリアルタイムでアップデートされることのメリットは大きいといった評価をいただいております」(門 氏)。

  • 株式会社建設ドットウェブ 開発本部 開発1グループ所属 マネージャー 門 昌和 氏

    株式会社建設ドットウェブ 開発本部 開発1グループ所属 マネージャー 門 昌和 氏

同社 開発本部 開発1グループ所属 リーダーの東野 駿 氏もこう続けます。「やはりクラウドでないとダメというお客様が以前よりも確実に増えましたね。なので、もしも今どっと原価NEOクラウドがなかったとしたらビジネスの土俵にすら上がれなかったことでしょう」(東野 氏)。

  • 株式会社建設ドットウェブ 開発本部 開発1グループ所属 リーダー 東野 駿 氏

    株式会社建設ドットウェブ 開発本部 開発1グループ所属 リーダー 東野 駿 氏

「それにどっと原価NEO の連携先となる各種ソフトウェアのメーカーも一斉にクラウドファーストを打ち出していますから、今では当社としてもまずはクラウドファーストで提案しています。また、クラウドはある意味強制的にバージョンアップを行えるので、保守という見地だとお客様に対して安定したサポート体制を整えることができるという安心感は確実にありますね」と、クラウド化のメリットについて岡田 氏は語ります。

  • システム構成図

    システム構成図

常に努力を惜しまずさらなる進化を

このように、どっと原価NEO クラウドの開発をスムーズに成し遂げ、リリース後のビジネスも順調な成長を見せている建設ドットウェブでは、今後もさらなる機能追加や性能向上に努めていく構えです。

「現場での使いやすさを追求していく中では、場合によっては Web 版のほうがいいということもあるかもしれません。お客様にとっての選択肢を増やしていくための検討はしているので、その時々のニーズを踏まえて絶え間ない進化を続けていきます」と、岡田 氏は力強く語ります。

建設ドットウェブの挑戦を、マイクロソフトは今後もサポートし続けます。

[PR]提供:日本マイクロソフト