財務を中心とした各種ソリューション サービスを提供し、企業の経営と業務の改善を支援する、株式会社ミロク情報サービス。全国 8,400 の会計事務所と 17,000 社の企業を顧客に抱える同社は、2016 年 9 月より、新規事業としてクラウド プラットフォーム「bizsky」と、そこで利用できるクラウド サービス「楽たす振込」の提供を開始しました。
これらソリューションのインフラ基盤には、早期のサービス インと、そこからの段階的なコンテンツ拡充が求められるという性質から、クラウドを前提に検討が進められ、「高レベルなセキュリティと信頼性」「優れた開発環境」の 2 点を評価した上で、Microsoft Azure が採用されています。同社は IaaS ではなく PaaS を積極採用することで、早期開発に加えてサービス品質の向上も実現。今後、中小企業の経営課題を解決する総合的なソリューション プラットフォームとして、bizsky と楽たすシリーズの提供を進めていきます。
プロファイル
1977 年に設立され、計算センターやオフィスコンピュータの開発、販売で事業を拡大してきた、株式会社ミロク情報サービス。企業の業務支援を時代にあわせた形で提供し、中堅中小企業の経営と業務改善を長年支え続けてきた同社の製品は、8,400 の会計事務所と 17,000 の企業にて利用されています。2016 年 9 月からは、クラウド プラットフォーム「bizsky」と、そこで利用できるクラウド サービス「楽たす振込」の提供を開始することで、同社のサービス価値をさらに高めていきます。
導入の背景とねらい
クラウドを核とした新たな事業を構築するプロジェクトが発足
会計事務所と中堅中小企業に対し基幹業務システムや経営情報サービスなどを提供する、株式会社ミロク情報サービス (以下、MJS)。会計・税務パッケージ「ACELINK NX-Pro」や ERP パッケージ「MJSLINK NX-I」、「Galileopt NX-I」といった同社の製品およびサービスは、全国 8,400 の会計事務所と 17,000 の企業で採用されており、中堅中小企業の経営と業務改善を長年支え続けています。
さらに 2016 年 9 月には、業務遂行における選択肢を拡げることで顧客へ提供するサービス価値を高めるべく、B to B クラウド プラットフォーム「bizsky (ビズスカイ) 」を構築し、その上で利用できるクラウド サービスの第一弾として、「楽 (らく) たす振込」の提供を開始しています。
「楽たす振込」は、請求元への振込業務を MJS が代行することで、中小企業の業務効率向上とコスト削減の双方を支援するサービスです。初期費用や月額基本料はが発生せず、1 件あたり一律 310 円 (税抜) で銀行振込が行える同サービスは、Web 画面から支払先や請求金額などを入力するだけで利用ができるほか、Excel、CSV データや FB データ (全銀協規定フォーマット) のインポートにも対応しています。
株式会社ミロク情報サービス 製品開発・サポート本部 bizsky事業部長 岩田 悟 氏は、楽たす振込と bizsky の開発意図について、次のように説明します。
「当社のお客様の多くは中小企業と小規模事業者ですが、コスト削減がシビアに求められる昨今、振込手数料の総額をおさえるために時間と手間をかけて手数料が低い ATM を利用しているという話をよく耳にしていました。その場合、たしかにコストは削減できますが、振込作業に多くの時間と手間をとられてしまいます。振込業務を当社が代行すれば、そうした手間とコストの双方が削減できると考え開発したのが、『楽たす振込』です。当サービスのようなクラウドを用いた、『業務とコストの最適化』への企業ニーズは急増しています。このニーズへ総合的に応えるためには、単体ではなく包括的なサービス提供が必要となるでしょう。そこで、楽たす振込をはじめとしたクラウド サービスを提供するプラットフォームとして、bizsky を構築したのです」 (岩田 氏)。
楽たす振込はプラットフォームである bizsky で提供される 1 コンテンツに位置づけられ、今後 bizsky 上ではさまざまなサービスが提供される予定です。2014 年 4 月よりプロジェクトが発足し、2 年半の歳月をかけてサービス インした bizsky と楽たす振込について、株式会社ミロク情報サービス 製品開発・サポート本部 bizsky事業部 bizskyビジネス推進グループ長 課長 森岡 智直 氏は、発足当時について振り返ります。
「プロジェクトの目的は、既存ビジネスとは異なる『クラウド化の加速を見据えた新しい事業』を模索することにありました。そのため、2014 年 4 月の発足当初は、企画化ではなく、まずはクラウド自体の調査検証を行い、クラウドを核とした事業の実現性についてプラットフォーム側の技術要件を整理したのです。さまざまなクラウド サービスを調査検証し、先の実現性が認められた後、2014 年 10 月からは企画検討と開発を行っていきました。当プロジェクトは、メンバーを社内公募するなど、企画や開発、サポートのあらゆる面で従来の事業構築とは異なる体制で進められました」 (森岡 氏)。
システム概要と導入の経緯、構築
社内の調査検証および外部での評価から確信した高い信頼性と、有用な PaaS が実現する工数最適化が決めてとなり、Azure を採用
プロジェクトの初期段階ではまず、プライベート クラウドとパブリック クラウドのどちらで構築すべきかが議論されたと、岩田 氏は語ります。
「 (自社データセンターでの) プライベート クラウド環境であれば、セキュリティと信頼性を高いレベルで維持でき、運用フローも現在の方法を踏襲できます。しかし、新規事業とはいえ早期の利益化が当然求められますので、ハードウェアの調達に要するコストと期間は大きな課題だったのです。一方、いくつかのパブリック クラウドを既に調査検証していたこともあり、クラウド サービスの有効性については理解していました。当プロジェクトのように早期にサービス インし、そこから段階的にコンテンツを拡充していくようなサービスの場合はスモール スタートの方が適しており、初期費用がかからず柔軟にスケール アウトできるクラウド サービスにて検討を進めることになりました」 (岩田 氏)。
その後、企画検討にて議論と試行が重ねられ、2015 年 8 月には bizsky をプラットフォームとした第一弾のサービスとして楽たす振込を提供することが決定し、必要となるインフラ基盤の検討を開始しました。
インフラ基盤の検討においては、自社データセンターのセキュリティ要件を満たす「セキュリティ、信頼性」と、早期サービス インへ向けた「優れた開発環境」の 2 点を重要視し、Microsoft Azure と米国に本社をおくパブリック クラウド ベンダーの 2 種で比較検討をおこなった結果、Azure の採用を決定したといいます。サービス開発を担当する、株式会社ミロク情報サービス 製品開発・サポート本部 bizsky事業部 bizskyシステム開発グループ 課長 石田 順子 氏は、Azure に決定した理由を次のように説明します。
「調査検証ではクラウドを利用している外部企業や調査機関へのヒアリングも行ったのですが、セキュリティと信頼性の面で Azure への評価が高かったです。サービス提供企業としての信頼性も加味すれば、当社の求めるセキュリティ要件は十分に備えていると感じました。また、当社ではこれまで、.NET Framework 技術を使った Windows アプリケーション開発を中心に行ってきましたが、既存の開発環境を生かしながら高いスピード感でサービス開発と実装を行っていくためには、Windows との親和性が高い Azure が最適だと考えたのです。さらに、Azure は開発や運用の効率を高めるための PaaS が充実しています。IaaS ではなく PaaS を提供基盤に採用すれば、インフラ管理は Azure 側にまかせることができますので、開発スピードだけでなくサービスの安定性や信頼性の面でも、IaaS より優れた水準を実現できると期待しました」 (石田 氏)。
2015 年 9 月より開始された開発では、bizsky を構成するシステムとして 4 つ、楽たす振込 用のシステムとして 1 つ、合計 5 つのシステムが、Azure 上で構築されることになりました。
「bizsky を構成する要素としては、メール配信やストレージといった bizsky のベース機能を提供する『共通サービス』に、アカウント データベースや認証ゲートウェイといった機能を提供する『認証基盤』、スケジュールやタスク管理機能を提供する『カレンダー・タスク管理』、電子化された証憑を管理する『証憑 BOX』、以上 4 つのコンポーネントがあります。加えて第一弾コンテンツとして提供する 楽たす振込 用のシステムを Azure 上に構築しましたが、ユーザーの増加やアクセスの負荷に応じた最適化が行えるよう、それぞれを独立したマイクロ サービスとして実装しており、Azure Web Apps のオート スケールが可能な構成にしています」 (石田 氏)。
「証憑 BOX のように、安全性や管理性が特に求められるコンポーネントについても、リソースの異なる独立したサービスとして構築することによって対応しています。リソースは異なっていても、ユーザーが利用時にプラットフォームやコンテンツの構成について意識する必要はなく、スマートフォン上でアプリを起動させるのと同じ感覚で、bizsky 上でアプリケーションを利用することが可能です」 (岩田 氏)。
MJS では 同システムの開発と実装を 2016 年 1 月に完了し、数か月のテスト期間を経て 2016 年 9 月より、正式にサービスを開始しました。
bizsky と楽たす振込では、Azure Web Apps や Azure SQL Database、Azure Web Role といった PaaS を積極的に採用することで、開発と運用工数の最適化に成功している |
導入ソフトウェアとサービス
- Microsoft Azure
導入メリット
Windows との親和性の高い Azure を採用したことで、既存の開発環境を最大限に生かすことができ、スムーズな開発を進めることができた
豊富な PaaS を積極利用することで、開発の工数が削減でき、早期のサービス インを実現することができた
PaaS の活用によりインフラ側の管理を Azure にまかせることができ、セキュリティ面の向上と運用工数が削減できた
導入の効果
早期開発の実現だけでなく、運用工数の削減が品質向上をもたらす
ビジネス モデルの調整や法制度への対応など、本プロジェクトにおいては、開発以外で工数のかかる事項が多くあったといいます。それゆえに、Azure を採用したことで、目論見どおり開発期間が短縮できたことは、非常に大きなメリットになったと岩田 氏は語ります。
「社内の Visual Studio を使って開発したソース コードを Team Foundation Server (TFS) を用いて管理し、そこから Azure 上にデプロイするという流れで進めました。既存の開発環境を最大限に生かすことができたことはもちろん、PaaS を活用したことで、工数は大幅に削減できたといえるでしょう。新規ビジネスの構築においては、法制度といった面にも気を配り、適宜、仕様の調整などを検討し実装する必要があります。その際、開発やチューニングに工数がかかっては、プロジェクト全体に大きな支障を及ぼしかねないのです。さらに、パブリック クラウド上での本格的な開発は、当社にとって初めての取り組みでした。そのような背景下でスムーズにサービス インまで辿りつけたことからも、Azure を採用したことが正解だったのだと実感しています」 (岩田 氏)。
また、クラウド サービス開発に向けた開発環境が確立できた点も ひとつのメリットだといえます。これまで MJS では、社内ポリシーにより、事前に定められたネットワーク以外へのデプロイには制限がありましたが、今回の Azure 採用による成功例を受けて社内ポリシーが見直されることとなったと、石田 氏は語ります。
「今後は社内環境だけではなく、Azure 上で直接開発することも視野に入れています。また、開発メンバーの、クラウド技術への意識や姿勢にも変化が表れています。ツール活用といったクラウド関連の議論が数多く交わされるようになり、知見やノウハウが個々人に蓄積され、かつそれがシェアされているのです。基盤が整ったことで社外との連携が図りやすくなったこともありますので、開発のスピードは今後、もっと向上するでしょう」 (石田 氏)。
さらに、森岡 氏は Azure の採用によって、セキュリティ面や運用の管理工数が削減できた点も、期待どおりの効果が出ていると続けます。
「bizsky にかかわる業務は、ユーザー サポートからサービス インフラの管理にいたるまで、すべてを同じ事業部内で行う必要があります。PaaS を採用し管理業務の多くを Azure 側にまかせることができたことは、限りある人的リソースでサービス品質を担保するために、非常に重要だったと感じています。運用と管理に係わるすべてのメンバーが IT リテラシーに長けているわけではありませんので、Web の GUI を使って負荷分散の設定やインスタンスの立ち上げを行うことができる点も、大きな評価点といえるでしょう」 (森岡 氏)。
今後の展望
中小企業の経営課題を解決する、総合的なソリューション プラットフォームへ
Azure の採用により、早期開発の実現とサービス品質の向上に成功した MJS。同社が提供する bizsky 上では、今後、楽たす振込 に続く新サービスが順次提供される予定です。
「請求書発行や入金消込、アカウント アグリゲーションなどを『楽たす』シリーズとして順次追加していく予定です。まずはキャッシュフローの見える化を行うサービスを bizsky 上で展開し、そこからソリューションの範囲を広げていきます。また、自社サービスだけでなく他社製品の取り扱いも進めることで、B to B クラウド マーケット プレイスとしての価値を高めることも大きなテーマです。将来的には、MJS グループが長年培ってきた財務会計や ICT のノウハウを基に、中小企業の経営課題を解決する総合的なソリューション プラットフォームへと発展させていきます」 (森岡 氏)。
「AI、機械学習といったテクノロジーがアプリケーションやサービスの中に組み込まれるようになってきています。Azure でも提供されていますが、これらを FinTech にも採用できないか検討を重ねています。こうした先進技術の採用は、当社だけでは実現が難しいこともありますので、日本マイクロソフト様にも有効な実績情報を伺いながら、すすめていきたいと考えています」 (岩田 氏)。
クラウドをはじめとした最新テクノロジーの活用は、ユーザー企業に対して大きなビジネス メリットを生み出します。単体でのサービス提供ではなく、総合的なソリューション プラットフォーム提供を目指す、MJS の bizsky と楽たすシリーズは、今後、多くの企業にとって力強い味方になるでしょう。
ユーザー コメント
「新規ビジネスの構築においては、法制度といった面にも気を配り、適宜、仕様の調整などを検討し実装する必要があります。その際、開発やチューニングに工数がかかっては、プロジェクト全体に大きな支障を及ぼしかねないのです。さらに、パブリック クラウド上での本格的な開発は、当社にとって初めての取り組みでした。そのような背景下でスムーズにサービス インまで辿りつけたことからも、Azure を採用したことが正解だったのだと実感しています」
株式会社ミロク情報サービス
製品開発・サポート本部
bizsky事業部長
岩田 悟 氏
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