三菱ケミカルホールディングスのなかで、ヘルスケア事業を手がけるLSIメディエンス。同社は多彩な医療関連事業を展開しているが、なかでも最も有名なのは臨床検査業務だろう。4000項目を超える信頼性の高い臨床検査の実施を可能とするLSIメディエンスは、日本3大臨床検査企業のひとつに数えられ、業界内で強いプレゼンスを示しつづけている。
NotesからOffice 365へ情報系サービスを移行
血液や尿、便、細胞などを採取し身体の健康状態を調べる臨床検査。これを提供する臨床検査サービスは、それそのものが「IT関連サービス」だといえる。申し込みを受け付け、多彩な機器でさまざまな検体を扱い、取得したIDは繊細な個人情報として管理し、迅速に結果を送りだす。このように、臨床検査のあらゆるプロセスでITが介在しているからだ
「日量で10万ID以上をあつかう検査センターは日本に数えるほどしかありません。市場自体が限られているため、臨床現場で使用するシステムはパッケージ製品が存在せず、どうしてもすべてスクラッチ開発になります」
こう語るのは、LSIメディエンス 執行役員 ICT部門長の岩崎 隆氏だ。
「このシステムは、その性能や機能が、臨床検査の正確性、結果報告までに要するリードタイムなど、サービスの品質に大きな影響を及ぼします。つまり、LSIメディエンスのサービス価値を握るシステムともいえるわけです。選択と集中の観点でいえば、集中側に割り当てるべき本流のシステムであり、関連するシステムをこの本流側へ集中させるべく、現在社内の最適化に取り組んでいる」と岩崎氏は語る。
「最適化の対象としたのは、情報系サービスです。当社はこれまで、オンプレミスに構築したNotesのもとで情報系サービスを提供してきましたが、ライセンスや物理ハードウェアなどで大きなコスト負荷がかかっていました。メールやスケジューラはサービス間で『できること』の差異がありません。それであれば、クラウドサービスなどへ移行して所要コストを2割強ほど削減できないかと考えたのです」(岩崎氏)
ワークフローのアドオン製品導入を実現
LSIメディエンスでは従来、Notesをベースにカスタマイズやアドオンを加え、情報系サービスを提供してきた。しかし、このNotesのライセンス更新期限が2018年3月に迫っていたことから、同社ではそこを期限としたシステムの刷新を計画。移行先のサービスにOffice 365を選定し、2016年10月より移行プロジェクトをスタートした。
LSIメディエンスがNotes上で稼動していたDBは700を数える。同社 ICT部門 ICT部長の冨田 偉久氏は「レコード数は膨大でしたが、メールやスケジュール、組織カレンダーといった機能は、NotesとOffice 365で大きな差異がないため、データ移行や簡単なガイドラインを展開すれば、それほど苦労なくシステム、業務の移行を進められると考えた」と語る。ただし、ここにはひとつ、大きな課題が存在していたと同氏はつづける。
「ワークフローについては、Office 365の標準機能では当社の要求に対応することができませんでした。というのも、日々使い慣れた様式をある程度まで再現しなければ、業務を大きく滞らせるリスクがあるからです。当社ではこの様式を100種ほど用意しており、アドオンの導入、カスタマイズによる様式再現が採用の必須項目となっていました」(冨田氏)
カスタマイズが可能なこと、そして同プロジェクトの本旨であるコストメリットを有すること、この2点を比較項目に、同社ではOffice 365のアドオン製品を検討、ネクストセットの提供する「ネクストセット・ワークフロー for Office 365」を導入した。LSIメディエンス ICT部門 基盤システムグループ グループリーダーの矢作 栄一氏は、「ネクストセットのアドオンは、市場にある製品のなかで最もコストメリットがあり、またNotesで用意していたワークフロー様式の再現性もおおむね担保できていたため、従来のワークフローに近い環境をユーザーへ提供可能だと判断しました」と、採用の理由を明かした。
使い勝手を9割近く再現、大きな混乱もなく2割以上のコスト削減を実現
同社では、前述した「ネクストセット・ワークフロー for Office 365」に加え、メールとスケジュール機能に適用する「ネクストセット・組織アドレス帳 for Office 365」も活用している。2017年8月に組織アドレス帳を利用した形でメールとスケジュール機能を先行的に導入し、2018年1月には、ワークフロー機能もサービスイン。同年4月、Office 365に一本化する形で、情報系サービスの提供を開始した。
このプロジェクトの構築を支援したメディカルシステム研究所 システム本部 システム開発部 SIグループの堤 義則氏は「メールやスケジュールの移行はスムーズにおこなえました。組織アドレス帳や組織カレンダーもユーザーは特に学習を必要とせず、すんなりと使えているようです」と、Office 365およびアドオンである組織アドレス帳について評価する
一方、ワークフローの移行については、多種多様な様式があるため苦労があったという。
「ある程度の再現性が可能とはいえ、仕組み自体が変わる以上、100%再現することは不可能です。権限設定や承認フローなど、どのようにカスタマイズ、設計すれば以前に近い感覚で使えるようになるのか試行錯誤し移行をすすめました。またこうした作業と並行し、ユーザーに対する理解獲得にも努めました」(堤氏)
堤氏が触れたように、システムの移行においては、以前とまったく同じ使い勝手を踏襲することは不可能だ。それゆえ移行後に「使い心地がちがう」「わからない」という苦情がユーザーからあがるケースは少なくない。しかし、LSIメディエンスの場合、2018年1月の移行後にこうした苦情は想定より少なかった。その理由について岩崎氏と冨田氏は次のように説明する。
「ひとつは、ユーザーに対してしっかりと理解を得るため動いたことでしょう。コストメリットや企業側の狙いといった事情を説明し、理解を求めることで、多少の使い勝手の変化を事前に了承いただきました。また、もうひとつの理由は、想定以上に高い再現性が実現できたことにあります」(冨田氏)
「決して完全ではありませんが、100種類以上ある様式のもとでおこなわれてきたワークフローのうち、9割近くはもとの使い勝手を再現できていると感じています。ギャップが1割に満たない環境を提供したことにより、ユーザー理解をスムーズに得られたのではないでしょうか。情報系サービス全体としては、当初の予定どおり2割強のコスト削減を見込んでいます。その意味で、ネクストセットのアドオンを活用してOffice 365移行を実施たことは、大きなコストパフォーマンスがあったと考えています」(岩崎氏)
本流たる臨床検査システムへ投資を強化
アドオン活用、ワークフローにおける以前の使い勝手を再現しながらのOffice 365への移行を実現したLSIメディエンス。Office 365への移行によって新たにできるようになったこともあると語る。
「スマートデバイスへの対応性を向上できたことは、コストメリットの創出と並ぶ本プロジェクトの成果だと考えています。これまでもスマートデバイスから利用することはできたのですが、UIが最適化されておらず、機能的な制限もありました。また、認証基盤がNotesとは別の基盤にあったためログインが面倒なシステムとなっており、なかなか外出先での利用がなかったのです。Office 365では同サービスの備える認証の仕組みを活用することで、ユーザーにとって簡単に利用できるサービスになったと感じています」(矢作氏)
LSIメディエンスはいま、2015年から開始した5ヵ年計画のさなかにある。そこでIT部門に課せられている命題は、本流のビジネスへの投資を強化するための「選択と集中」だ。NotesからOffice 365への移行は、まさにこれを体現した取り組みといえるだろう。当プロジェクトによって生まれたリソースは、本流の業務に割り当てることで臨床検査システムの投資開発へむけられることが期待されている。今後、LSIメディエンスの企業価値は、いっそう高まっていくことだろう。
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