無駄な作業、コミュニケーション不全からの脱却を目指す
「当社が改革に取り組みはじめたのは2015年のことです。企業の信頼を揺るがす大きな失敗を経験し、その痛みから学んだことを活かさねばならない、そう考えての改革です」こう語るのは、セゾン情報システムズ 情報システム部 部長の高橋秀治氏だ。
セゾン情報システムズは2015年度、案件の開発遅延を理由とし、150億円もの莫大な損害賠償金を支払うという「事件」を経験した。この事件を契機とし、これまでの業務体制を見直し、無駄な作業の削減、経営判断の迅速化、さらにイノベーションを生み出しやすい社内風土の整備に取り組むようになった。
「経営会議に提出する資料をExcelで作っていたのですが、まずその『資料を作るための資料』を現場が作る必要がありました。非常に時間がかかって無駄なうえ、経営会議に届く頃には情報も古くなっています。しかもExcelの表を見るだけでは状況がすぐにはわかりません」と高橋氏は具体的な「無駄」について一例を挙げる。
社内コミュニケーションについても、従来環境は課題を抱えていた。2017年11月の移転まで本社を構えていた池袋サンシャイン60ビルでは、オフィスが複数のフロアに分かれていた。さらに同一階であってもエレベーターを挟んで南北にフロアが分断されており、「北側」「南側」とお互いが呼び合うようなセクショナリズムが強くなりがちで、両者が対立するような心理すらあったという。
「経営陣のメッセージは社員に届かず、枠にはまった働き方をする企業風土のせいでやらされ感も強い。会議室はいつも満室のようで実際は空予約も多いなど、いろいろな問題がありました。また、仕事場所がオフィスに縛られていたため働き方の選択もできない状況でした」(高橋氏)。
自社ミドルウェア製品を使って新旧のシステムを両立しながらITの柔軟性を高める
こうした問題を解決するためには、社内における人と人との接点を増やし、異なる立場の視点を持つことによる風土の改革がまず必要だ。そして、並行して仕事の仕方を選択できるシステムづくりも不可欠だとセゾン情報システムズは考えた。
「フリーアドレス化によるオープンスペースでの交流がもたらす業務の円滑化、効率化を目指しました。そのため、ファシリティだけでなくITの変革も欠かせません」という高橋氏は「変化を体験させるのが重要です。3ヶ月程度でポジティブな反響、体感を生み出すことができる反応が施策にどんどん取り組んで行くことで、従業員の意識を変えながら働き方改革の実現をめざしました」とも説明。その第一の矢として進められたのが、オンプレミスに存在する基幹システムを活かす形での、クラウドシフトだ。
“いつでもどこでも”を実現するクラウドは、「オープンイノベーション」とも呼ぶべき同社がめざす姿を強力に支援するものだ。しかし、複数の大規模システムからなる既存の基幹システムをそのままクラウドに持っていくことは容易ではなく、相応の時間も要してしまう。
「事業環境に応じた変化とスピードに対応するには、既存のシステムを一旦塩漬け状態にして、従来のシステムを生かしながら、新しい道具立て、例えばクラウドサービスなどのセルフ開発や運用維持が可能な仕組みを利用して、ビジネスの要請に応えていくことが必要です。つまり、テクノロジーの進化により、システム自身も変化していく生命体、エコシステムを目指したのです。そのためには、異なる環境のシステムを素早く抜き差しできるための連携基盤が必要となったのです。その連携基盤こそが「DataSpider」であり「HULFT」だったのです」と高橋氏は語る。このハイブリッドシステムの実現を、セゾン情報システムズでは自社のミドルウェア製品である「HULFT」や「DataSpider」を利用することで実現した。さらに2週間に一度、大変な手間をかけていた資料の作成についても、社内システムから集めたデータをERPを含めるオンプレミス環境のシステムを始め、SaaS型のクラウドサービスまで、多岐にわたるそれぞれの役割に応じた複数の異なるシステムとセルフBIをデータ連携基盤で繋ぐことで、経営会議用の資料を人手で作成することがなくなり、完全な自動化を実現した。これにより、資料作りのための資料を作る手間がなくなっただけでなく、見える化による経営の意思決定スピードが大きく変わったという。
Office365では上手く引き継げない組織情報をネクストセットの「組織ワークフロー」で解決
このクラウドシフトでは、従来利用してきたNotesからOffice 365へと業務システムを移行する取り組みが進められた。ミドルウェアを介することでシステム連携がスムーズに行える環境が整ったとはいえ、カスタマイズ性の強いNotesシステムから文書管理やワークフローといったしくみを移行することは容易ではない。事実、同社でも、この移行に際してまずはじめに手をつけたのは、システム作業的、またユーザーの抵抗感的にも負担の少ないメールやスケジュールといった領域だったという。
「変化の受け手の初期の反応は、変わりたくないという心理があろうかと思います。それは、今までやったことのない未知の領域であれば、なお更強いものとなります。例えば、本社移転での固定席からフリーアドレスへ、固定電話からSkypeに、荷物も収納するスペースもボックス1個でほとんどなくなってしまう。失ってしまうことへの抵抗。絶対うまくいくはずがないという感情的なものに変化していくのです。システムの移行も同様です。だから、変化を受け入れてもらうために徐々に体を慣らすために体感してもらう。そうすると、今までできないと決めつけていたことが、やってみると意外に簡単にできる。しかも明らかに便益が上がっていることを体感するのである。そして、「いや、私は初めからうまくいくと思っていましたよ」と言うまでに意識が変わるのです」と説明する。事実、メール、スケジュールの移行に際しては、心配していたような問題は何も起こらなかったという。「体験してみると意識が変わる。だからこそ、まずは体験してから次へ進むという繰り返しを選択しました」と高橋氏はこの点を強調する。
こうした経験を経て迎えたワークフローとNotesDBの移行。このふたつは、“いつでもどこでも”という仕事の仕方を阻害するボトルネックであったと同時に、社内における3大ITコストのひとつでもあった。ただ、ワークフローという業務の根幹をなす領域を含むゆえに、単純にOffice365へ移行すればいいというわけでもない。
「SharePointへ移行したいわけですが、既存の組織情報を上手く活用できないのが問題でした。自分の上長が誰であるかというような情報がつけられないため、承認フローを作るのに問題があったのです。もちろん手作業で移行することは可能ですが、それでは手間がかかりすぎる。そこでネクストセットの組織ワークフローを導入し、これを解決しました」と語るのはセゾン情報システムズ 情報システム部の佐々木貴雅氏だ。
ネクストセットの組織ワークフローを利用することで、既存社内データをうまく活用して自動的な処理が行えるため、移行作業の負担は大きく低減された。
「移行にあたっては業務フローの見直しや、存在はしても使われていないデータを削除することなどを行い、ワークフローは236個から69個、DBは513個から126個へと大幅な削減を実現できました。ですが、エンドユーザーはほぼ変化を意識せずに仕事ができていると思います」と移行作業を担当したセゾン情報システムズ 情報システム部の吉村昌治氏は説明する。
5割以上のコストを削減、外出先での承認が可能になり現場での評判も上々
2017年11月、セゾン情報システムズは赤坂インターシティAIRへとオフィスを移転。これを機に、フリーアドレス化などハードウェア面の新システムへの移行が実施されている。また、2016年7月にメール、スケジュールを先行導入し、2018年3月までにワークフロー、ノーツDBを含む全て移行が完了、長年同社で活躍してきたNotesの終了を迎えることができた。小さなステップを積み重ねた移行を実施した結果、現場では大きな混乱もなくスムーズに新しいシステムが機能しているという。
「ネクストセットの組織ワークフローを活用することでOffice 365への移行を実現できました。画面レイアウトなど少々不満はあるものの、外出先でも承認作業ができるというのは非常に大きな導入効果だと感じています。コスト面でも5~9割減と大きく抑えることができました」(高橋氏)
同氏も触れたように、画面レイアウトなど少なからず使い勝手は変化した。しかし、小さな成功体験を積み上げる形を選択したことで、従業員はこうしたファシリティ、ITの変革を前向きに受け入れているという。
「フリーアドレスはうまく回り出していて、今は朝10時から午後3時くらいまではかなり賑やかです。社内利用のための会議室をもうけなかったため、オフィスで話したい相手をちょっとつかまえて話すというスタイルになっていますし、事業部ごとの枠を超えたコミュニケーションがとれるようになってきています」と改革の成果がすでに現れていることを高橋氏は笑顔で語った。
変化への対応力やスピード感の重視など、ネクストセットとは考え方が近い
セゾン情報システムズの情報システム部門がめざすのは、従業員をユーザー、顧客と据えた、より高い品質のサービス提供だ。
「セゾン情報システムズという企業に属してはいますが、情報システム部門はその中でもひとつの企業のようなものだと考えています。私も含めここに所属する8名は、セゾン情報システムズのITを支援するベンチャー企業のようなものなのです。どうやってスピードや変革に対応するサービスをエンドユーザーに提供するか、また利用されるサービスが700人ほどのユーザー規模に耐えられるものなのか。こういったことを率先して考える立場であるべきだと感じています」(高橋氏)
そしてこの考えに近しい理念をネクストセットが持っていることが、今回の改革に際して同社製品を採用した理由だったとも語る。 「商談の中で、ネクストセットは単に我々が必要とする機能・コスト要件を満たしていただけでなく、私たちと考え方が近いと感じました」と高橋氏は話す。そして取材の終わり、同社への期待を語ってくれた。
「アドオン製品は大手企業向けと小規模企業向けといった形で分かれていて、その中間が足りていないように感じます。ちょうど私たちがデータ連係基盤を作ってシステムの真ん中に立とうとしているように、大手からベンチャーまですべての企業が幸せになれる仲立ちのような立場になってくれたらと、ネクストセットには期待をしています」(高橋氏)
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