新型コロナウイルス感染拡大によって働き方が大きく変化する中、世界中の企業・組織の間でリモートワークが取り入れられるようになった。では、これからの“アフターコロナ”の時代に向けて、リモートワークのあり方はどのように変わっていくのだろうか。そこで本連載では、「未来のリモートワーク」にフォーカスし、「一歩先を行くリモートワーク」とはどのようなものなのか、各業界のトップランナーに見解を求めていく。

第一回目となる今回は、企業向けリモートデスクトップソリューション「Splashtop」をグローバルで展開する米国スプラッシュトップのCEO、マーク・リー氏に、リモートワークの現状と課題や、Splashtopの特徴、未来の働き方に向けて実現したいことなどについて話を聞いた。

初の“ブラウザOS”の企業として誕生後、企業向けリモートアクセスのトップベンダーに

──まず始めに、スプラッシュトップとはどのような企業なのか、展開している事業を教えてください。

私達は、設立以来ずっと米国カリフォルニア州サンノゼのシリコンバレーに本社を置いており、現在は約340人の社員を擁しています。主な事業は、リモートアクセス、リモートサポートなどのソフトウェアである「Splashtop」の開発であり、リモートアクセスについてはさまざまなパートナーシップのもとバックアップサービスも提供しています。さらに今後は、セキュアなアクセスを実現するための各種セキュリティソリューションも提供するべく準備を進めているところです。

スプラッシュトップCEOのマーク・リー氏

スプラッシュトップCEOのマーク・リー氏

──マークさんが会社を立ち上げた経緯から現在までの経緯についてお聞かせください。

もともとはリモートアクセス系ではなく、前例のないブラウザOSを開発・提供する企業として立ち上げました。当時はネットブックの波が押し寄せており、HPやDELL、ASUS、LG、レノボ、Acer、東芝、ソニーといったネットブックメーカー向けにブラウザOSを提供していたのです。

しかしその後、スマートフォンやタブレット端末が普及したことで、我々もまた変化する必要性を感じたため、モバイルデバイスとPC等との“橋渡し役”を目指すことにし、Splashtopを開発しました。まず2011年にApple環境でのリモートアクセスツールをローンチし、その後はGoogle Playでもトップセラーに輝いています。当初は主にコンシューマを対象としていましたが、その後ビジネスカスタマーに注力し、現在では売上の95%以上を法人顧客が占めるようになっています。

リモートワークで課題となるセキュリティ

──リモートワークの現状について、マークさんが感じている課題とはどのようなものでしょうか。

ご存知の通り新型コロナウイルスの感染拡大によって世界的にリモートワークが普及することとなりましたが、そこでの最大の課題としてサイバーセキュリティ上のリスクの増大、とりわけランサムウェア攻撃の急激な増加が挙げられます。

このため、リモートワーク環境におけるセキュリティをいかに確保するかが、多くの企業にとって喫緊の課題となっているのです。とは言え、リモートワーク環境のセキュリティ対策というのは、より複雑になりがちですので、IT部門による設定ミスが発生するなど、逆にセキュリティホールを生じやすくなるケースも多いのが実際のところです。

また、リモートワークのためのセキュアなアクセス手段として一般的なVPNにも、接続元のコンピュータから情報を転送することによるセキュリティリスクが、その仕組み上どうしても生じてしまいます。

  • カリフォルニア州サンノゼのスプラッシュトップ本社

    カリフォルニア州サンノゼのスプラッシュトップ本社

世界中の企業が利用し評価しているリモートデスクトップ「Splashtop」

──リモートデスクトップツールである「Splashtop」の概要や特徴について紹介してください。

リモートデスクトップ「Splashtop」は、タブレットやスマートフォン、PCなどの様々なデバイスから遠隔のコンピュータに高速アクセスするソフトウェアであり、いま世界で3,000万人以上のユーザーが愛用しています。社内のPC等への遠隔アクセスはもちろんのこと、クラウドベースでのサービスも提供しているので、それぞれのニーズに応じたかたちで利用が可能となっています。日本国内においても多くの企業や個人によるリモートワークやテレワークで活用いただいており、当社日本法人でも新しい働き方改革の実現をサポートしています。現在、国内では映像制作関係をはじめ、金融関係、製造関係、建築関係、教育関係、医療関係など幅広い業界で採用されています。

そんなSplashtopは他社のリモートデスクトップ製品に対して多くの優位性がありますが、なかでも特徴的なのが、1秒あたり30フレームでリアルタイムという高速描写でしょう。これにより、画面遅延のないストレスフリーな操作性を実現しており、会社で作業するのと変わらない操作性が得られるため業務効率低下の心配もありません。より繊細な画面操作が求められる映像制作の現場でも幅広く導入されているのもこのためです。自宅に居ながらにして“ラボ”と変わることなく快適に映像編集が行えるのも、Splashtopならではと言えるでしょう。実際、アメリカではNetflix、Amazonプライム、CBS、NBC、ディスカバリーチャンネル、そしてイギリスのBBCでも利用されており、そのパフォーマンスはグローバルのメディアからも評価いただいております。

シンプルな操作性で使い勝手とセキュリティを両立

──「Splashtop」であれば、先ほどお話されたリモートワーク環境におけるセキュリティ上の課題をどのように解決できるのでしょうか。

「Splashtop」は高いセキュリティを確保しながらも、とてもシンプルなソリューションとなっています。このため先ほど述べたようなIT部門による設定ミスなどが生じにくく、さらにはエンドユーザーにとっても非常に使いやすいため、ユーザーは特に意識しなくともセキュリティを確保できるわけです。このようにユーザーエクスペリエンスを可能な限りシンプルにすることで生産性の向上を実現し、また同時に強固なセキュリティも実現できるSplashtopだからこそ、快適かつ安心・安全なリモートワーク環境を構築できるのです。

こうした考え方は、ブラウザOSを開発していた頃から一貫したものであり、シンプル、利便性、セキュリティのすべてを担保できるよう常に取り組み続けています。そして、Splashtopの仕組みであれば、VPNのように接続元コンピュータからの情報転送もありませんので、現状VPNが抱えるセキュリティ上の課題も解決できます。

日本主導で開発された「リモートUSB」「リモートスタイラス」とは

──ワコム社からの技術提供などを受けて日本主導で実装された「リモートUSB」や「リモートスタイラス」について、概要や開発のきっかけなど教えてください。

まず「リモートUSB」機能を使うことで、接続元コンピュータ上のUSBデバイスを接続先PCにリダイレクトすることが可能となります。リダイレクトされたデバイスは、接続先コンピュータ上で、USBデバイスが直接接続されているかのように動作します。

一方の「リモートスタイラス」は、リモート環境でペンタブレットが使用できる機能であり、ワコム社のペンタブレット等を利用し接続先PC上のペイントソフトでイラスト作成、画像、映像編集などのクリエイティブ業務が行えます。世界屈指のアニメーションなど独自のクリエイター文化を持つ日本が主導で開発を進めた結果、ペンタブレットをリモート環境で使用する際にも微妙な筆圧や傾きを感知し、かつ低遅延で利用できるという画期的な性能が実現できました。

  • リモートスタイラス

    リモートスタイラス

そしていずれの機能も、顧客からの声に耳を傾けてきた結果として実装したものです。トラフィックはすべて暗号化されており、クラウドでもオンプレミスでも利用できます。導入企業のニーズに合わせたカスタマイズも可能であり、導入企業が自社のデータセンターでサーバーを稼働しているようなケースもあります。

リリース間近の「パフォーマンスパック」でさらなる利用環境の改善を

──近日中に日本でも正式リリースが予定されている「パフォーマンスパック」について紹介してください。

ビジネスアプリの設定画面における「最適化」項目の設定を総称して「パフォーマンスパック」と呼んでいます。リモート接続中に色の違いを感じたり、リモート接続中のカーソルがずれてしまったり、リモート接続中に稼働性能が悪いと感じる、などの問題を感じる方には、ぜひパフォーマンスパック機能の利用を推奨します。例えば、ウルトラハイフレーム機能を使えば、リモート接続中のメニュー画面にて最大値で60FPS/秒という「ウルトラハイフレーム」環境で利用できるようになります。また、インターネット環境が悪い場合には品質オプションを用いることで、画質優先、レスポンス優先といった必要に応じて最適な環境の選定が行なえます。

加えてパフォーマンスパックを利用することにより、さまざまなハードウエアへのオプティマイズも可能となります。例えば最新のNVIDIA製グラフィックカードなどにも対応しています。このように当社としては常にパフォーマンスにフォーカスすることで、ユーザーエクスペリエンスの改善に注力しているのです。

ハイパワーでセキュアなサービスを提供し続けていきたい

──今後の働き方はどのように変化していき、それに対して企業はどのように対応していくべきだと考えますか。

国を問わず今の若い世代の人々は、リモートワークやリモートラーニングにすっかり慣れてしまっていると言えるでしょう。これは私の子供を見ていても実感します(笑)。そしてこれからの世代には、ますますフレキシブルな働き方が求められるのは間違いなく、QOLの実現もさらに重要なテーマとなっていくことでしょう。このため企業としても、新しい世代にも受け入れてもらえるよう、リモートワークをはじめとしたよりフレキシブルな働き方を前提とする必要があると言えます。

そうした中で、高いセキュリティとパフォーマンスを実現するSplashtopのようなソリューションは、ますますニーズが高まっていくことでしょう。そのためにも、我々としては引き続きユーザーエクスペリエンスとセキュリティにフォーカスしながら更なる進化を続けていく構えです。

──最後に今後、リモート技術で実現したいことがあれば教えてください。スプラッシュトップのソリューションで、将来はどのような働き方を実現していきたいかについても教えてください。その働き方にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

やはりキーワードの1つは「セキュリティ」です。先ほどのQOLを高めるためのフレキシブルな働き方の実現においても、セキュリティは欠かせない要素です。しかしながら、現状のサイバー世界にはあまりにもリスクが多いと言えます。我々としても、将来的にはすべてのユーザーがパスワードを使わずに安心・安全を手に入れられるような世界を実現していきたいですね。そのためにも、まずはSplashtopを通じてセキュアなリモートワークの環境を提供していきます。これは我々にとって、世界中のユーザーに向けてハイパフォーマンスでセキュアなサービスを届け続ける壮大な旅なのです。

関連情報

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