はじめに
こんにちは。NTTデータ システム技術本部 クラウド技術部です。 近年CO2排出量削減を目標としたグリーン化が注目を集めています。特にデータセンタの電力消費は非常に大きいため、データセンタ事業者やクラウドベンダにおけるサステナビリティの取り組みがより重要になっています。パブリッククラウドベンダとして高いシェアを誇っているAWSも当然サステナビリティの活動を推進しています。 今回はAWS re:Invent 2022参加報告レポート第5弾として、サステナビリティをテーマにKeynoteやセッション内容をご紹介します。
Keynoteから分かるAWSのサステナビリティ に関する取り組み
上述した通り、AWSはサステナブルなITシステム構築に積極的に取り組んでいます。AWS CEOのAdam Selipsky氏によるKeynoteは、AWSがサステナビリティの取り組みに力を入れていることを示す始まり方でした。Adam氏は冒頭にAWSのサステナビリティ活動の紹介や目標の説明から始め、2025年までにAWSのデータセンタで消費する電力を100%再生可能エネルギーで賄うと発表しました。また、2030年までにウォーターポジティブ(事業で消費する量以上の水を供給すること)を達成することもアナウンスされています。続く事例紹介の中では、再生可能エネルギーを扱うフランスの電力会社Engie社のCIOが登壇し、AWS上でのAI/機械学習を用いた電力管理の取り組みを説明していました。
筆者には、上述のようなサステナビリティ観点のテーマからKeynoteが始まること自体が印象的であり、改めてサステナビリティという技術トレンドが目前に迫っていることを実感させられました。
AWSを使ったグリーンITを達成するには?
AWS re:Invent 2022では、サステナビリティをテーマにしたセッションも多数開催されていました。筆者が参加した「Delivering sustainable, high-performing architectures (SUS303)」では、サステナブルなアーキテクチャを実現するためのベストプラクティスが説明されていましたので、簡単にご紹介します。
AWSは自身の持つデータセンタの消費電力を抑え、CO2排出量削減に貢献しています。そのため、AWSのインフラストラクチャを活用すること自体がグリーンITの第一歩です。
一方、AWSの責任共有モデルに照らし合わせると、アプリケーションやデータ・システムアーキテクチャといった領域におけるサステナビリティの考慮はユーザ側の責任範囲です。ユーザはAWS Well-Architected Framework - Sustainabilityの柱に記されたプラクティスに沿ってシステムを設計することが求められ、主に次の6つに留意する必要があります。
- リージョン選択 再生可能エネルギーを活用しているリージョンなど、エネルギー消費量に対してCO2排出量が少なくなるリージョンを選択することで、排出量削減に繋がります。 日本国内のシステムだと、他のコンプライアンス要件から東京リージョンや大阪リージョンを選択することが多いですが、自由にリージョンを選択できる場合には考慮に入れるべきです。
- エンドユーザの振る舞い 負荷に応じてオートスケーリングするシステム設計や、ビジネス要件に対して過剰でないSLA設定など、ユーザの振る舞いに適したアーキテクチャとすることで、CO2排出量を改善できます。
- ソフトウェア 非同期アーキテクチャを取り入れたり、処理時間のかかっているコードを最適化したりすることで、ソフトウェアが使用するリソース量を低下させることが可能です。
- ハードウェア 必要最低限のインスタンスタイプを選択し、電力消費やCO2排出量を最低限に抑えましょう。また、AWSが最適なハードウェア管理を行っているマネージドサービスの積極活用も重要です。
- データ データのバックアップやライフサイクルポリシーを適切に設定し、不要なデータを残さないことがデータ保持にかかる電力消費を抑えることに繋がります。ネットワーク上のデータのやり取りを減らすことでも消費電力を削減することができます。
- 開発およびデプロイ 後述しますが、システムのCO2排出量や電力消費量を確認して、定期的に改善を行うことが重要です。そのためにも、開発プロセスやデプロイ環境を整え、アプリケーションやアーキテクチャを最新に保ちましょう。
システム開発の段階でサステナビリティの考慮が必要ですが、運用中にシステムのCO2排出量を確認できることも重要です。CO2排出量のマスボリュームとなっているITコンポーネントを見つけ、システム改善のアクションプランを立てる必要があります。 CO2排出量の確認や分析のためには、AWSのCustomer Carbon Footprint ToolやAmazon CloudWatch メトリクス、AWS Cost & Usage Reportなどをインプットに、サステナビリティに関するKPIやメトリクスを監視するダッシュボードを作るとよいでしょう。
作成したダッシュボードにてCO2排出量の定期的な確認と分析を行うことで、よりグリーンなITシステムへと向かう示唆を得ることができます。
まとめ
本記事ではサステナビリティをテーマに、AWS re:Invent 2022のKeynoteやセッションの内容を紹介しました。当社もクラウドコンサルティングやシステム開発を行う中で、お客様のグリーンITをご支援いたします。 次回はNTTデータも出展したExpoに関しての記事を投稿する予定です。お楽しみに! NTTデータの取り組みの詳細はこちら
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