巨大な3D映像が宙に浮かび、2階建ての洗練された展示スペースが来場者の目を引く。精密な装置模型が並ぶ展示台の前には、次々と足を止める業界関係者の姿があった。
12月11日~13日、東京ビッグサイトで開催された「SEMICON Japan 2024」において、SCREENグループは、環境負荷低減と生産性向上という半導体業界が直面する2つの課題に対する包括的なソリューションの数々を革新的な展示とともに披露した。半導体製造装置の新工場「S3-5(エス・キューブファイブ)」の本格稼働や、200mmウェーハ対応の新製品投入など、着実な進化を遂げる同社の取り組みに多くの来場者が熱い視線を送っていた。本稿では、SCREENグループのブースの模様と、担当者にインタビューした内容を紹介する。
来場者を魅了する革新的なブース設計
SCREENセミコンダクターソリューションズのブースは、3D映像による迫力ある演出が特徴的だった。上部に設置された大型スクリーンでは、同社のロゴや製品コンセプトが立体的に浮かび上がり、多くの来場者が足を止めて見入っていた。
2階建て構造を採用したブースは、1階に製品展示と商談スペース、2階にカフェのような雰囲気のオープンな商談エリアを配置。2階からは展示会場全体を見渡すことができ、会場の活気を感じながらビジネス談義を行える工夫が施されていた。
展示の目玉となったのが、同社の主力製品を縮小した精密な模型群だ。従来の壁面パネル展示とは異なり、展示台に装置模型を配置することで、来場者が360度から製品を観察できる工夫が施されていた。各模型の横には人物模型も配置され、実際の装置の大きさを直感的に理解できるようになっている。
「装置は大きすぎて実物展示が難しく、写真だけではサイズ感が伝わりにくいですが、模型があることで、お客さまとの対話もスムーズになりました。基本的な形状が似ている装置が多いなか、あえて特徴的な形状の製品を選んで展示することで、デザインの多様性も表現しています」(岩本氏)
SCREENグループが取り組む、環境負荷低減への包括的アプローチ
半導体製造における環境負荷低減は、特に欧州を中心に世界的な要請が高まっている。大手テクノロジー企業が取引先に対して厳格な環境基準を求め始めるなど、業界全体で待ったなしの課題となっているなか、SCREENグループは環境配慮と収益性の両立という難題に挑戦している。
同社のサステナビリティへの取り組みは、3つの軸で展開されている。まず業界団体への働きかけを通じた規制面での取り組み。次に工場全体での水使用量・CO2排出量の可視化。そして装置自体の環境負荷低減機能の強化だ。
展示では、これらの取り組みを階層的なグラフィックで表現。特に2022年に販売を開始した枚葉式洗浄装置「SU-3400」での環境負荷低減機能の強化や、水管理アプリケーションによる水資源の効率的活用など、具体的な施策が紹介された。「環境負荷低減は、もはや選択肢ではなく必須の要件です。当社は、コストと環境負荷の両立を図りながら、お客さまに価値を提供しつづけていきます」と、岩本氏は話す。
新工場の稼働により、生産能力の向上と効率化を実現
2024年1月から稼働を開始した新工場S3-5により、年間5000億円規模の生産体制が整備されたSCREENセミコンダクターソリューションズ。注目を集めたのは、S3-3、S3-4、S3-5の3工場を活用した効率的な生産体制だ。人の介在を最小限に抑えた自動化システムや効率的な動線設計により、安全性はもとより、生産性の大幅な向上を実現している。「単に工場を増設するのではなく、既存のS3-3、S3-4との効率的な連携を重視しました。将来の需要変動にも柔軟に対応できる体制を整えています」と岩本氏は説明する。
生産体制の強化に伴い、サービス体制も充実化。国内では熊本や北海道など半導体産業の新拠点に合わせてサービス網を拡大し、海外でもお客様の各製造拠点近くでの迅速なサポート体制を確立している。
「生産は日本で行っていますが、サポート体制はグローバルに展開し、お客さまの近くで迅速なサービスを提供できる体制を整えています」(岩本氏)
新製品投入によるラインナップ拡充
新製品として注目を集めたのが、200mm対応ウェーハ洗浄装置「SS-3200 for 200mm」だ。300mmウェーハ対応モデルで培った技術を活かしながら、200mm市場特有のニーズに応える製品として開発された。
ブース奥には検査・計測装置の専用展示エリアも設置。特に国内市場で強みを持つ検査・計測分野の製品群について、刷新された製品紹介映像とともに詳しく紹介していた。
グループのシナジーを追求し、後工程市場での存在感を高める
SCREENホールディングスブースでは、半導体パッケージ関連機器をはじめとする半導体後工程向けの装置が展示されていた。前工程向けのイメージが強い同社グループだが、「当社グループはSCREENセミコンダクターソリューションズ、ファインテックソリューションズ、PEソリューションズなど、各社が持つ多様な技術を活かし、幅広い工程に対応できます」と、SCREENホールディングスの川島氏は説明する。
特に、半導体先端パッケージ専用の塗布乾燥装置「Lemotia」は、2024年4月の発売以来、高い注目を集めている。さらに、彦根事業所の新棟に設置予定の後工程向けデモンストレーションスペースについても、本展示会で初めて公開された。
「半導体後工程も、着実に微細化・精細化が進んでいます。私たちは露光機や塗布装置など、各工程でより高精細・高性能な装置を開発・提供していく計画です。さらに、後工程全体を見据えたトータルソリューションの構築に向け、市場調査も進めています」と、川島氏は今後の展開について語った。グループの総合力を活かしながら、後工程市場でも存在感を高めていく戦略が明確に示された展示となった。
半導体製造の持続可能な未来を見据えて
3日間の展示会期間中、SCREENグループのブースには多くの来場者が訪れ、前年比でおよそ25%増加したとのこと。環境と生産性の両立という課題に対する同社の取り組みに高い関心が寄せられていたという。「今回の展示会を通して、サステナブル開発への注目度が高まりつつあることを感じました」と岩本氏は手応えを語る。
「洗浄装置世界シェアNo.1ということで、業界的には洗浄装置開発のイメージが強いですが、洗浄以外の工程に関わる装置の開発にも取り組んでいます。我々も、そうした取り組みの発信に力を入れていますので、ぜひご覧いただければと思います」(前田氏)
半導体産業の持続可能な発展に向けた同社の取り組みは、今後も注目を集めていくだろう。
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