従来は公的サービスや金融・保険といった一部の業種で行われていたインターネット上での本人確認(以下、eKYC:electronic Know Your Customer_電子本人確認)。昨今では、フリマアプリやマッチングサービスといったCtoC(Consumer to Consumer)領域においてもその必要性が増しているという。ここでは、さまざまな方式の本人確認に適応するショーケースの「ProTech ID Checker」に加え、TISが提供する「マイナンバーカード本人確認サービス」を活用したマイナンバーカードを用いた本人確認―いわゆる「公的個人認証サービス(ワ方式)」に対応するうえでの双方が持つメリットを紹介したい。
eKYCをマイナンバーカードで
eKYCは、従来は公的機関や金融といった一部の業種において、サービスの利便性を高めることを目的に取り入れられた仕組みである。これが情報化社会の浸透にともない、さまざまな業種においてもeKYCを含む本人確認そのものを行う必要性が増している。
なかでも、携帯電話販売、古物商(リユース事業)などはすでに法令で本人確認が義務づけられているほか、義務づけが求められていない分野でも事業者の判断で本人確認を実施する例が増えている。
たとえば、スキマバイトなどの労働者派遣事業、フリマアプリなどのシェアリングエコノミー、マッチングサービスなどのインターネット紹介事業などだ。この背景には利便性の追求のみならず、続発する詐欺や不正転売、闇バイトなどの問題が大きく関係している。
マイナンバーカードは、それ1枚で本人確認ができる唯一のカード。公的な証明書の発行だけでなく、すでに健康保険証としての利用が進んでおり、また2025年3月24日からは運転免許証の一体化も始まる。
交付枚数は、2024年11月末時点で約1億413万枚であり、人口に対する割合では83.4%にあたる(総務省:マイナンバーカード交付状況について)。これに呼応するように、デジタル庁も2022年ごろよりマイナンバーカードを使った本人確認に手法の一本化を進めている状況だ。
公的認証サービス“ワ方式”への一本化を図るデジタル庁の狙い
eKYCが正式な本人確認方法として認められたのは2018年のこと。大きく5つの方式があり、それぞれ「ホ方式」「ヘ方式」「ト方式」「ワ方式」「チ方式」と呼ばれている。
現在、デジタル庁が一本化を図っているのは「ワ方式」となり、マイナンバーカードの公的個人認証サービス(JPKI)(※1)の電子署名を利用する方法だ。具体的には、マイナンバーカードのICチップ内に記録されたJPKI-AP(「署名用電子証明書」と「利用者用電子証明書」)の基本4情報(氏名/住所/生年月日/性別)を確認して本人の照会を行う仕組みとなる。
ワ方式のメリットは、偽装やなりすましが難しいだけでなく、「スマートフォンやICカードリーダーでマイナンバーカードを読み取らせる」「パスワードを入力する」という2ステップでeKYCを実現できることにある。
(※1)公的個人認証(JPKI)とは
公的個人認証(JPKI)とは、マイナンバーカードに搭載された「署名用電子証明書」や「利用者証明用電子証明書」などの電子証明機能を活用し、なりすましやデータ改ざんを防止するための本人確認を行う手法。スマートフォンでマイナンバーカードのICチップを読み取ることで、本人確認を行うことができる。マイナンバーカードを用いることにより個人を特定しやすく、スマホで簡単に本人確認が行えることから、今後は公的個人認証がeKYCの中心になると考えられている。
この本人確認手法の一本化にいち早く対応したのが、ショーケースだ。同社はSaaS型の本人確認プラットフォーム「ProTech ID Checker」により、eKYCを実現。すでに金融機関や古物商をはじめとした多数の導入事例があり、累計250社以上が導入を開始している。
ProTech ID Checkerはどのような特長を持ち、これを導入するサービス事業者とユーザーは、それぞれどんなメリットを得ることができるのだろうか。
ProTech ID Checkerの導入メリット
ProTech ID Checkerは、他社に先駆けてワ方式を採用したサービスだ。特長としては「ワ方式」の公的個人認証サービスに対応していることはもちろん、セルフィーの撮影、各種証明書や明細書などのアップロードなどにも対応していること。送信されたデータを簡単に確認できる審査用のコンソール画面を無料で提供していること。申し込み情報や提出書類を突き合わせて本人確認を行う際、これをAIが手助けしてくれる機能を備えていることなどがあげられる。
加えて、ProTech ID CheckerはSaaSとして展開されており、開発に大きな手間をかけることなく既存のサービスに導入できるということも強みといえよう。ゆえに拡張性に優れており、コンソール画面上での設定変更も容易なため、法改正などによる本人確認の仕組みが変わっても、既存の環境を変えることなく対応することができる。
たとえば、契約者本人の契約をeKYCで行ったあと、家族の契約を証明する書類などを提出する場合、ほかの多くのサービスはそのままでは対応できない。しかし、ProTech ID Checkerならひとつのサービスですべて完結することが可能だ。
これらの特長はエンドユーザー、サービスを利用する生活者にもメリットをもたらしている。それがよくわかるのが完了率だ。これは本人確認のための作業を始めたエンドユーザーが最後まで手続きを終えた割合を示しているが、ProTech ID Checkerにおいては完了率が95%(※2)を超えている。
(※2)2024年12月 ショーケース調べ
また、手順ごとにガイダンスを表示するため、間違ったデータが送信されたり、手続きをやり直したりする割合も減ったという。結果として導入している企業も成約率をあげることができる。
マイナンバーカード本人確認サービスとの連携はワ方式対応のベストプラクティス
ワ方式における公的個人認証サービスへの照会で忘れてはならないものが、TISが提供する「マイナンバーカード本人確認サービス」だ。これは、マイナンバーカードの署名用電子証明書の有効性をサービス事業者に代わって公的個人認証サービスに照会し、検証結果をサービス事業者へと連携するものとなっている。
ショーケースとTISは2023年6月、eKYCへの対応が早期に求められた金融業界への導入支援を皮切りに協業を開始。ProTech ID Checkerが持つICUチップを活用した仕組みやノウハウに対し、デジタル庁に認定された公的個人認証サービスのプラットフォーム事業者21社(※3)に選定されているTISが、金融業界を中心に販売チャネルを提供するかたちで両社間には二人三脚の関係が成り立っている。
(※3)2024年11月19日時点
現在、金融業界と古物商は『犯罪による収益の移転防止に関する法律』に準拠して本人確認を行っているが、これ以外のCtoCサービスおいてもeKYCを行わないと、知らぬ間に反社会的勢力が関与し犯罪者に高収益を渡してしまいかねないだけでなく、セキュリティインシデントが発生する可能性もある。ショーケースとTISも、ますます啓蒙を進めていきたいとする。
また今後は、現在社会問題のひとつとなっている「転売」対策としても導入が求められるだろう。たとえばチケット販売にeKYCを利用すればエンドユーザーを特定できるため、転売防止に繋げることができるはずだ。
企画を検討し始めた2022年ごろのマイナンバーカードの取得率は50%以下だったが、前述したとおり現在は80%を超えている。「すぐにみんなが持つことになる」と予想して開発を進めたショーケースとTISは先見の明があったと言えるだろう。
いま、金融業界や古物商はもちろんのこと、EC、マッチングサービス、シェアリングエコノミーなど、世の中のさまざまなサービスでセキュリティの高さが求められている。これはオンラインサービスが日常化したなかで、安全にサービスを利用したいというエンドユーザーの気持ちの表れでもあるだろう。
eKYCに際して利便性を武器とする「ProTech ID Checker」と、ワ方式に対応するうえでの実績と信頼性を提供する「マイナンバーカード本人確認サービス」。この組み合わせがeKYCを必要するサービス事業者にとって、有効な選択肢となることは想像に難くない。
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