契約書、見積書、申込書、発注書、発注請書、納品書、請求書……営業現場では、顧客との取引業務で日々多数の書類を取り扱っている。その書類の量は膨大で、現場の負荷につながってしまう。この営業現場の書類多すぎ問題について本記事では、具体的な事例を交えながら紐解いていく。そして、これまで数多の営業DXを支援してきた弁護士ドットコム株式会社の小川和樹氏に現状と課題、そして解決策を伺った。

  • 弁護士ドットコム株式会社 クラウドサイン事業本部 営業部 マネージャー
    小川和樹氏

膨大な書類に異なるプロセス……営業担当が直面する取引業務における悩み

企業や業種によっても異なるが、1案件の取引で扱う書類は10種に及ぶこともあるという。取引業務にまつわる問題は書類の数だけではないと、小川氏は以下のように話す。

「見積書はSFAやCRMを使って作成・発行をします。商談が進むと今度はそのデータをもとに、電子契約システムから申込書を発行するなど、書類ごとにプロセスが異なることも多く、営業担当には大きな負担がかかっています」(小川氏)

例えば各システムがつながっていないと、SFAに取引先の顧客情報を入力して見積書を作成しても、請求書を作成する際は別システムやWord、Excelに同じ内容を再度入力する必要がある。こうした非効率が発生するのはもちろん、人為的ミスが生まれる可能性も高い。また管理職もシステムごとに進捗を確認せねばならず、書類発行・受取のヌケモレを見落としやすくなってしまう。

また、紙書類で取引をする企業はいまも多く、以下のような事例があるという。

あるクラウドファンディングサービス運営会社(以下、A社)は、ファンディング支援者を募集する実行者からの申込を紙の書類で回収していた。

A社では申込書をPDFでオンラインストレージに格納し、URLを実行者にメールで送信。実行者はそのURLから申込書をダウンロードし、印刷したものに内容を手書き、スキャンしてPDFをメール返信……というフローを踏んでいた。実行者の顧客体験も良くなく、こうした環境下で申込書数は月に650件と膨大で、現場の負担も大きかった。

営業担当はファンディング開始前の期日までに申込書を回収しておく必要があるが、メールのやりとりだと書類取引のステータスが把握できずミスコミュニケーションが発生したり、申込書に不備があり修正を依頼するものの実行者側の対応にも時間がかかり、期日に間に合うかどうかハラハラすることもあったという。また、期日に間に合わせるため営業担当は急いで作業しなければならず、それがまたミスにつながる事態も起きていた。

デジタル化が当たり前になったいま、なぜ営業現場の取引業務はいまだに大変なのか

DX推進の掛け声のもと、多くの企業があらゆる業務においてデジタル化・ペーパーレス化を進めている。それによって業務は効率化されているかと思いきや、営業現場では書類多すぎ問題に悩まされている。

その理由として、ペーパーレス推進が業務効率化において有効に機能していないことがあげられると小川氏は言う。

「社会全体で見るとペーパーレス化が進んでいるのはたしかなのですが、 ペーパーレスの目的が営業現場の生産性を高める”営業DX”に終着していない場合も多いです。どういうことかと言いますと、コロナ禍におけるテレワークの普及や、電子帳簿保存法対応といった目的から部分最適でペーパーレス化を実施しているので、営業の業務フローは改善されていないということです」(小川氏)

「一部のプロセスだけのデジタル化はタイムラグを生んだり、かえって現場の負担を増幅させるリスクがあります。SFAやCRMを入れていても、申込書を印刷、押印してスキャン、再度PDF化して送信するとなれば、せっかくのデジタル化が分断されるわけです」(小川氏)

部分最適でペーパーレス化が進められた結果、契約締結などのプロセスはアナログのままであるケースが多い。TECH+の調査によると、営業現場で扱う全書類をペーパーレス化している企業はわずか9.3%にとどまった。デジタルとアナログが混在することで、さらに取引業務のプロセスが煩雑になり営業担当の負荷が高まっているのが現状だ。

取引業務が効率化されず、取引状況が可視化されていないと、会社全体にも影響が及ぶ。取引業務の煩雑なぶん顧客と向き合う時間を削がれることにつながり、長い目で見れば売上に響く。また、契約業務の遅延が売上に影響したり、業務の煩雑さゆえ入力ミスが生じて正確な売上進捗を把握できないと戦略立案の難航にもつながる。営業現場のこうした課題を経営層が把握していないケースも多いという。

取引業務における一連のフローを電子化し、営業の生産性を向上させてゆく

前出のA社でも、営業担当の取引業務の負荷をなくすために、一連のフローの電子化を目指した。そこで、CRMにファンディング実行者の情報を蓄積し、その情報をもとに電子契約を実現する仕組み構築の業務改善に取り組んだという。

「結果として、申込書の送付から回収までの工程をもれなく電子化できたのはもちろん、申込書の締結ステータスを可視化・一元管理できるようになり、営業担当だけでなく管理職や管理部門が進捗状況を常に把握できるようになりました。A社は請求書も電子化し、請求業務だけでなく入金有無を確認する業務も効率化されたと聞いています」(小川氏)

加えてCRMへの顧客(実行者)情報入力作業についても、Webフォームを用意して実行者に入力してもらうフローに変更。それにより情報の誤りがなくなったという。この情報は申込段階にとどまらず請求書まで一気通貫で利用されるため、営業担当のCRM入力作業とシステムごとに複数回入力していた手間を削減できた。

これまで、回収までに数週間かかっていた申込書関連作業が大幅にスピードアップし、営業の生産性は間違いなく上がったという。加えて、ステータスを確認できるのは実行者側にもメリットがあり、取引に安心感が生まれたとのことだ。

「目指すは、“デジタルとデジタルをつなぐこと”です。そうすることでワンストップ化を実現でき、業務効率化が図れるだけでなく、データの整合性が取れるため正しい数字を把握できるようになります。また、一連の取引業務をSFAやCRMの画面から確認でき、コンプライアンスやガバナンスの面で経営側もメリットを感じられるでしょう」(小川氏)

営業の取引業務がデジタルで連携されれば、営業担当が顧客と向き合う時間の捻出につながり、副次的な効果として売上向上も期待できる。経営層がその気づきを得て、一部の書類やプロセスだけでなく取引業務全体を電子化することが重要だ。

では、取引業務フロー全体をデジタル化するにはどのようにアプローチしていけばよいのだろうか。その答えはひとつのプラットフォームへの集約であり、A社も導入したという 弁護士ドットコムが提供する「クラウドサイン」だ。

クラウドサインと聞くと、契約書や申込書などの電子署名をクラウド上で行える電子契約サービスという印象を持っている人も多いと思うが、実はそれだけではない。フローを一気通貫でデジタル化する取引業務プラットフォームとしても利用でき、代表的なSFA、CRM、ワークフロー製品、オンラインストレージをはじめとして、100を超えるシステムとの連携が可能だ。

「各システムをすべてデジタルでつなげることで、同じ情報を何度も入力する手間はなくなりますし、その分ミスも起こりにくくなって、生産性が大幅に向上します」(小川氏)

セキュリティ、法対応、あらゆるノウハウを有する弁護士ドットコム

電子契約においてとくに重視されるセキュリティ面でも、クラウドサインは優位性が高いという。ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)に関する国際認証を取得しているのはもちろん、政府のクラウドサービスセキュリティレベルの評価基準であるISMAPにも認定されている。現時点でこの双方を満たしている製品は、クラウドサインも含めて日本に2つしか存在せず、官公庁や金融機関など個人情報にセンシティブな組織でも利用されているという。

さらには運用ルールの策定や仕組みの説明などのサポート面も充実している。

「当社は営業担当に加えて、企業様の専任のカスタマーサポート担当とAPI連携担当といった3人体制です。企業に導入されているシステムを深く理解したうえで効果的に利用されていない部分を見つけ、クラウドサインとのベストマッチを提案します」(小川氏)

法律相談ポータルサイトに端を発する弁護士ドットコムは、法対応の深いノウハウを有しているのも強み。A社も、無権代理承認を防ぐ方法を模索していたところ、弁護士ドットコムからオペレーションのアドバイスを得られ、アドバイザーとしても高く評価しているという。

「単に電子契約を導入するだけでは、印鑑が電子署名に変わるだけで、DXとまでは言えません。システムとシステムをつなげてワンストップな環境を構築することが、現場の取引業務の煩雑さを解消し、営業DXを実現します。営業DXは現場の効率化や働き方改革にとどまらず、会社全体の売上に直結するテーマであると認識していただきたいですね。取引業務の悩みはぜひ当社にぶつけていただければ幸いです」(小川氏)

営業プロセスを効率化
クラウドサイン

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