中小企業DXをテーマとしたウェブセミナー「時代遅れは許されない!中堅・中小企業がDXで生き残るためのリアルな成功例」が2024年3月13日に開催された。DXソリューションに携わる企業担当者が登壇し、DX事例やソリューションについての講演を展開。本稿では、株式会社Box Japan プロダクトマーケティング部 シニアプロダクトマーケティングマネージャー 武田 新之助 氏による講演「事例で紹介!業務プロセス変革とセキュリティ対策を一挙に解決する『コンテンツ管理』とは?」の模様をレポートする。

ビジネス向けに開発されたコンテンツクラウド「Box」で、情報の検索性向上とセキュリティの強化を図る

Box Japanでは、「人と組織の働き方の変革」をミッションに掲げ、企業と組織のDXを加速させるコンテンツクラウド「Box」を提供している。本セッションに登壇した同社の武田氏は、グローバルで115,000社以上、日本国内においても17,000社以上の企業や組織が利用するBoxの概要について次のように説明する。

「Boxを一言で表すと、“コンテンツを管理するクラウドサービス”、すなわち『コンテンツクラウド』となります。コンテンツとは電子ファイルのことです。見積書や請求書などのPDFファイルや、文書作成ソフトや表計算ソフトで作成されたファイル、デザイン作成ソフトで作ったポスターや、スライド作成ソフトで作ったプレゼンテーション用のファイル、これらの電子ファイルはすべてコンテンツです。Boxは、さまざまなコンテンツを一元管理するクラウドサービスなのです」(武田氏)

  • (写真)武田新之助氏

    株式会社Box Japan プロダクトマーケティング部
    シニアプロダクトマーケティングマネージャー 武田 新之助 氏

武田氏は、「DX、データドリブン経営に取り組む企業では、顧客データや売上データなどシステムのデータベースに保存される構造化データに注目しがちですが、それは企業の情報資産のうちの1割程度でしかありません。業務効率化には、残りの9割を占めるコンテンツ(非構造化データ)を管理することが重要になります」と解説した。

「紙の書類で業務を行っていた頃は、管理が煩雑化しており、契約書を探す作業に時間を取られるといった状況も日常茶飯事でした。ではファイルが電子化され、システムがクラウド化した今、どれだけ改善されているかというと、実はあまり変わっていないというのが現実です。『どのファイルが最新版なのかわからない』『メッセージングアプリに貼り付けたファイルが、クラウドストレージ内にあるのか情報共有ツール内にあるのかわからない』など、デジタル化しても必要なファイルが探し出せない状況のままというケースはめずらしくありません」(武田氏)

コンテンツ管理が煩雑化していると、メールの誤送信による情報漏えいや、メールの添付ファイルからのウイルス感染といったセキュリティ事故も起きやすくなると武田氏。Boxを導入することでコンテンツの一元管理が可能となり、情報の検索性向上、およびセキュリティの強化といったメリットを享受できるようになると語る。

「Boxはビジネス向けに開発されたクラウドサービスです。単にファイルをクラウド上に保存するオンラインストレージではなく、企業が必要とするセキュリティ、コンプライアンス、プライバシーの要件を満たし、安全安心に使えるコンテンツクラウドになります」(武田氏)

老舗の船舶用エンジンメーカーが「Box」導入で実現した5つのDX事例

セッション中盤では、Boxを活用してDXを実現した企業の事例について話が展開された。

「コンテンツ管理の重要性と、Boxの製品概要を理解いただけたところで、次はBoxを活用してDXに取り組んだお客様の事例を紹介したいと思います。この企業は、創業から100年を超える老舗の船舶用エンジンメーカーで、従業員は約400名。テレワークや出張時のコンテンツ管理に課題を抱えており、無駄を削減して業務の効率化を図り、生産性の向上を実現したいと考えていました」と武田氏は語り、この企業が実現した5つのDX事例について解説した。

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DX事例1「社内承認のデジタル化」

「Boxの承認タスク機能を利用することで、承認作業のデジタル化を実現しています。複数の部署や役職者にまたがる承認が必要な場合、書類を回覧して順次ハンコをもらう“ハンコリレー”が発生し、最終承認まで日数を要してしまいます。Boxの承認タスクでは、複数の承認者に対して同時に依頼ができるため、最終承認までの時間を大幅に短縮できたといいます。さらにクラウドサービスであるBoxにはどこからでもアクセスでき、押印のためだけに出社する必要もなくなりました」

DX事例2「承認フローの自動化」

「承認タスクでは、Box Relayという機能を利用し、ノーコードでワークフローを自動化することができます。Boxでファイルを受領すると自動的に承認タスクが生成されるため、担当者から承認者に個別に連絡する必要がなくなりました。さらに紙の印刷やメール添付といった作業も不要になり、業務の効率化に成功しています」

DX事例3「取引先とのファイル共有」

「ファイルのやり取りは社内だけに限らず、本事例のお客様は社外の取引先とのやり取りもデジタル化しました。Boxのコラボレーション機能を利用することで、取引先とのファイルのやり取りを効率化。Boxのフォルダを取引先と共有することで、紙ベースでの問い合わせや、FAXでのやり取りがほぼゼロになったといいます。Boxではファイルのアクセス履歴も確認できるため、書類の受領を知らせる受領書の発行も不要になりました」

DX事例4「現場、外出先での情報共有」

「Boxのスマートフォンアプリを利用すれば、いつでもどこでもファイルにアクセスすることができます。工場では図面や資料を確認するために、わざわざパソコンがある事務室まで移動する必要がなくなり、印刷した資料を持ち運ぶ必要もなくなりました。また出張前に、パソコンのローカルディスクに業務のファイルをコピーしなくてもよくなりました。現場では、撮影した写真をその場で共有できる機能が好評とのことです」

DX事例5「外部メディアでのデータ授受の廃止」

「大容量ファイルの授受も、Boxなら簡単に行えます。本事例のお客様はメールに添付できないCADや図面データをDVD-RやUSBメモリにコピーして郵送していましたが、Boxを導入することで、容量を気にせずに大容量ファイルの送受信が簡単に行えるようになり、郵送料やメディアのコストを削減できました。さらに、メディアの紛失やメールの添付ファイルからのマルウェア感染といったセキュリティリスクも軽減できたといいます」

「Box」が実装するセキュリティ対策機能は、ランサムウェアの脅威にも対応できる

DX事例に続いて紹介されたのは、デジタル化・クラウド化に伴うセキュリティリスクに対処する、Boxのセキュリティ対策機能だ。武田氏は、数多くあるサイバー攻撃のなかから、昨今、多くの企業を脅かしているランサムウェアによる被害をピックアップ。「警察庁の発表(※1)によると、2022年に報告されたランサムウェアの被害件数は、前年の1.5倍以上となる230件で、その半数以上が中小企業を狙ったものでした。情報処理推進機構が今年1月に発表した「情報セキュリティ10大脅威 2024」(※2)においてもランサムウェアが第1位となっており、ランサムウェアによる被害が年々増加していることがうかがえます」と語り、どの企業がいつ被害に遭ってもおかしくない、いわば“くじ引き状態”になっていると警告を口にする。

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講演では、ランサムウェア被害の典型例を紹介。メールに添付されていた請求書ファイル(表計算ソフトのマクロファイル)を開いたところ、ファイルサーバーに保存されているファイルが暗号化され、PC上には身代金を要求する画面が表示。ファイルを開いた本人のPCからネットワークを通じて被害が拡大していくといったランサムウェア感染の流れが語られた。

Boxを使えば、ランサムウェアの感染を予防し、被害の拡大を防ぐことができると武田氏。「Box上のファイルは暗号化して保存されているため、ランサムウェアはBox上のファイルを操作することができません。万が一、ランサムウェアが仕込まれているファイルを開いたとしても、Boxのファイル閲覧はプレビュー表示で、ファイル自体は開かないため、ランサムウェアが実行されることはありません」と語り、仮にランサムウェアによってファイルが暗号化されたとしても、Box上のファイルはバージョン履歴が記録されているため、感染前のファイルに戻すことができると説明する。

「また、Boxのファイルリクエスト機能を利用してファイルを受領するようにすれば、メールへのファイル添付が不要となり、ランサムウェアの経路を塞いで感染リスクを減らすことができます」(武田氏)

生成AI機能も実装された「Box」は、DXを実現したい企業にとって最適なソリューション

コンテンツ管理を担うBoxを利用することで、DXの推進、及びセキュリティ強化が図れることが解説された本講演。セッション終盤では、“Boxを活用した一歩進んだ新しい働きかた”として「Box AI」の活用について語られた。

「生成AIは、その話を聞かない日がないくらい世界中で話題となっており、リスクや危険性が議論される一方で、活用事例は枚挙にいとまがありません」と語った武田氏は、企業が安心安全に利用できる生成AI機能として「Box AI」に言及。24ページにわたる決算報告資料の要約や、新製品発表のブログ原稿作成のデモンストレーションを行い、講演を締めくくった。

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「Box AIではコンテンツを簡単に生成することができます。ここまで話してきたように、Boxは業務プロセスを変革し、セキュリティを強化し、生成AIも活用できる、まさにDXの実現に最適なソリューションです。本講演を視聴してBoxに興味を持たれた方は、ぜひ弊社が開催しているBox製品セミナーに参加し、Boxの価値・機能・事例を確認してください。本日はご静聴ありがとうございました」(武田氏)


※1 出典:
警察庁「広報資料(令和5年3月16日)」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R04cyberjousei.pdf

※2 出典:
情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2024」
https://www.ipa.go.jp/security/10threats/10threats2024.html


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