AWSパートナー企業のなかから優れた若手エンジニアを選出するプログラム「Japan AWS Jr. Champion Partner Program」。初年度となる2023年には、TIS株式会社 (以下TIS) から2名の若手社員が選出された。
こうした背景には、TISの優秀なエンジニアを輩出するためのサポートやカルチャーがある。その具体的な取り組みについて、2023 Japan AWS Jr. Champion (以下AWS Jr. Champion) の村松氏と矢儀氏、そしてIT基盤技術事業本部 の人材育成を担当する坪内氏、日本でNo.1のAWS Top Ambassadorであり2023 Japan AWS Top Engineerでもある横井氏に話を伺った。
優れた若手エンジニアを選出するAWS Jr. Champions。重視されるのは“積極的な取り組み”
AWS Jr. Championsとは、AWS パートナーネットワーク(APN)参加企業のうち、社会人歴1-3年目で突出したAWSにフォーカスした活動実績を持つ若手エンジニアを表彰する制度であり、2023年からスタートした新たな取り組みである。
選出者の条件として、入門者向けの「AWS認定クラウドプラクティショナー」に加え、その他2種類以上のAWS認定資格の取得が求められる。選出当時、村松氏は6種類(現在は12種類)、矢儀氏は10種類(現在は12種類)の認定資格を保有していたが、選出者のなかにはその当時から12種類のAWS認定資格をすべて保持している“全冠”エンジニアも多数だったという。
ただし、AWS Jr. Championsでは認定資格の保有数だけでなく、社内外で技術力を発揮して活動した成果が重視される。矢儀氏は「資格取得や情報収集に努めていることは当たり前として、AWS Jr. Championsで求められるのは、いかに周囲を巻き込み、影響を与えられているか」と説明する。実際に両名とも選出前から、社内での勉強会や技術情報発信・収集などを積極的に行っていたという。
「チームメンバーのアウトプットに好意的な意見を述べたり、新しい技術情報を得たら『こういう使い方がありそう』といった投稿を社内のチャットツールにポストしたりするなど、チーム内での積極的なコミュニケーションを心がけていました」(村松氏)
“AWS Jr. Champions”という肩書がもたらすもの
AWS Jr. Championsに選出されたことで、何か変化はあったのだろうか。村松氏と矢儀氏はその影響についてそれぞれ次のように話す。
「AWS Jr. Championsという肩書がなければ、ただの入社3年目の一若手社員でしかなかったと思います。肩書があることで、上司から逆に質問をいただくことが増え、社内で頼られる存在になったと感じます。また、他社のAWS Jr. Championsとの交流のなかでは、私が普段気付いていないサービスの使い方や考え方を教わることが多く、大きな刺激となっています」(村松氏)
「以前から自身のブログで技術情報の執筆活動をしていましたが、AWS Jr. Championsに選出されたことで、より高いクオリティのアウトプットを意識するようになりました。また、肩書を得たことで、勉強会開催の提案などの意見を、自信を持って出せるようになったと感じています」(矢儀氏)
人材育成施策を提供する立場である坪内氏からみても、AWS Jr. Championsは「後輩社員へのよい刺激にもなっている」と好評だ。
「2023年度の新人研修では、村松さんにAWS Jr. ChampionsとしてTISインテックグループの新人約350名に向けてAWS Jr. Championsになって変わったことなどについて発信してもらいました。年次の近い先輩が社内外で活躍している姿を目の当たりにして、刺激を受けた新人も多いはずです。まずは第一歩として資格取得にチャレンジし、ゆくゆくはAWS Jr. Championsを目指すという、若手社員の“ロールモデル”になると考えています」(坪内氏)
社員の自発的・積極的な活動に対し、手厚いサポートを提供
TISは近年、若手エンジニアがよりいきいきと活躍できるような人材育成制度の整備を強化している。
その一つとして特に大きな効果をもたらしているというのが、社員のAWS認定資格保有数をランキング形式で可視化して、全社に公開する仕組みだ。この仕組みの狙いとして横井氏は「トップダウンで資格取得を強制するのではなく、多くの社員が自発的に取りたいと思えるようにしていくことが大事」と述べた。当初はIT基盤技術事業本部が中心だった認定資格の取得活動は、全社から注目されるようになり、結果として、部門内や同期社員間での競争心に火がつき、切磋琢磨してスキルアップに励む環境が醸成されていったという。2023年9月に、TISはAWS認定資格保有数が2,000を超え、AWSから「AWS 2,000 Certified」の認定を受けている。
また、新人向けAWS研修で得た知識を定着させるための施策として、AWS認定クラウドプラクティショナーの受験を2023年度より必須化した。
「新人のうちにクラウドプラクティショナーに合格し成功体験を得ておくことは重要で、実際に合格したことで、上位資格を狙う人も出てきています。また、若手が資格取得を頑張っていることが周囲に対しても資格取得への良いプレッシャーになります。私自身も研修担当として勉強しておかなければと思い、クラウドプラクティショナーを取得しました」(坪内氏)
より受験しやすい環境づくりとして、受験の度に行っていた経費精算の手間を省くため、IT基盤技術事業本部の予算で希望者全員の受験バウチャーを購入するなど、受験のハードルを下げる工夫も施している。
エンジニアの育成には、カルチャーも大きく影響する。TISでは、自ら手を上げた人にとって活動しやすい環境や文化ができあがりつつある。たとえば、TISが運営するクラウドとセキュリティに関する情報発信を行うオウンドメディア「Platform Square」では、エンジニア個人の活動の成果に関する情報発信を推奨しており、同メディアでは、TISのエンジニアたちが技術情報記事の執筆に励んでいる。また、2023年4月から始まった新人事制度では、社内外での情報発信や勉強会開催、メンバーの育成など、周囲に良い影響を与える活動が評価されやすくなっている。
とりわけAWSに関していえば、TISの社内AWS技術者コミュニティ「TAWS-UG(とーずゆーじー)」に社員数の40%を超える約2,500名が所属しており、組織の壁を越えて様々な情報交換や課題解決を行える場が設けられている。こうしたコミュニティのなかで、AWS Top Ambassadorsの横井氏を含めベテランのAWSエンジニアはロールモデルとしての役割も果たしている。坪内氏は「AWS Jr. ChampionsやAWS Top Ambassadorsは若手のAWSエンジニアにとって憧れの存在であり、実際に彼らを目標にしたいと前向きに捉えている人も増えてきています」と話す。
横井氏は、今後も若手エンジニアによる主体的かつ積極的な取り組みが評価される仕組みづくりを継続していきたいという一方で、「若手エンジニア自身が名を上げていくためには、自分自身の評価だけにこだわらず、他者に対して良い影響を与えることを意識した活動が重要」と期待する。
「ゆくゆくは会社の看板を背負って、技術力を武器にしてビジネスおよびコミュニティ活動を広げる役割を担えるようになってほしいと思っています。そのためには、与えられたプロジェクトで活躍することに加え、社内外にその成果をアピールできる機会も大切です。今後もその土壌づくりを進めていきます。」(横井氏)
技術者コミュニティを盛り上げるエンジニアを目指して
TISの初代AWS Jr. Championsは今後、どのようなエンジニアを目指していくのだろうか。村松氏と矢儀氏は次のように語ってくれた。
「私は、技術で頑張りたいと考えている若手社員の居場所を作るエンジニアになりたいです。エンジニアのコミュニティはさまざまありますが、そこに入ることにハードルを高く感じてしまうケースも多いと感じます。コミュニティへの入り方がわからない人たちをサポートしたり、コミュニティで得られたものを社内で広めたりすることで、エンジニア同士が気兼ねなく会話でき、スキルアップできるようにしたいと考えています」(村松氏)
「TISは大きな組織なのでどうしても部門間に壁を感じてしまうこともあるのですが、社内勉強会などの取り組みによって、その壁を越える活動ができる存在になりたいです。また、個人として次に目指したいのはAWS Top Engineersです。AWS Top Engineersのコミュニティで更に高度な知見を学び、所属部署に持ち帰り、ビジネスにつなげていきたいと思います」(矢儀氏)
初代AWS Jr. Championsとして自信を深め、コミュニティとビジネスの発展に向けた意気込みを新たにする村松氏と矢儀氏。TISが取り組む、若手社員の自発的な活動を支援する育成プログラムは、今後も次世代を担う優れたエンジニアの創出を後押しするだろう。
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