あらゆるビジネスでITニーズが高まる一方、IT人材の確保はますます難しくなっている。限られた人員で運用を進めていくため、業務効率化の取り組みはもはや必須だ。そうした中、いま仮想化市場でパワーバランスの大きな変化が起きており、自社で独自のハイパーバイザーAHVを持つNutanix HCIが再度注目されている。ハイブリッド/マルチクラウドを展開するNutanixと、そのパートナーであるSCSK。この両社のシナジーが開発現場にもたらす多大なメリットについて、SCSK株式会社 プロダクト・サービス事業グループ ITインフラ・ソフトウェア事業本部 サーバ・ストレージ部 営業第一課の山野 広貴氏と、ニュータニックス・ジャパン合同会社 パートナー営業統括本部 ストラテジックパートナー営業本部の原田 欣次氏に伺った。
仮想化市場におけるかつてない変化
直近の仮想化市場で発生した誰もが注視する出来事といえば、なんといっても多くの企業がそのソリューションを採用している大手企業の買収だ。これまでオンプレミスで仮想環境を構築する際の選択肢に大きな変化が生じている。
この状況を受け、Nutanixの引き合いがいま増えているという。2023年末に緊急開催された「Nutanix AHVへの移行セミナー」には1,000人を超える参加登録があり、注目の高さは疑う余地がない。つまり、Nutanixが代替手段として期待を集めているということだ。ニュータニックス・ジャパンの原田氏が語る。
「パートナーやエンドユーザーからは、AHV環境への移行の安定性について期待の声をいただいています。実際に導入した企業では、スケーラビリティやパフォーマンスの向上、運用コスト削減といった成果をすでに実現しており、私たちも自信をもってオススメしています。代替となるソフトウェア機能はもちろん、Nutanixに移行するツールも用意しているので、安心してNutanix環境を選んでいただけます」(原田氏)
IT業界を取り巻く、空前絶後の人材不足とビジネス変革
こうした市場の変化が起きる以前から、SCSKは「プラットフォームエンジニアリング」の観点でNutanixとの協業を進めてきた。SCSKが提唱するプラットフォームエンジニアリングとは、ITインフラを単なる基盤ではなく、アプリケーション基盤を支えるプラットフォームとしてとらえる考え方だ。SCSKではその考え方のもと、コンテナ開発を促進すべく「NebulaShift」ブランドを展開している。
「NebulaShift」はクラウドネイティブに注力しコンテナに焦点を当てたプラットフォームエンジニアリングの一サービスだ。前述した仮想化基盤についても、従来のゼロからの構築で生じる課題を解決できるだけでなく、運用効率化の課題解決にもアプローチしている。
この協業の背景にあるのが、IT業界を悩ませる深刻な人材不足だ。その状況はまさに空前絶後とさえ言えるほど。それはSCSKにおいても例外ではないと山野氏が内情を明かす。
「本格的なDXニーズの高まりもあり、IT技術者の不足はどの会社でも表面化してきています。IT業界の人材不足はいま始まったことではなく、さまざまな企業がすでに対策に向けて動いています。こうした背景もあり、従来の受託型ビジネスから知財型ビジネスへの変革という大きなうねりがいま起きているのです」
受託型ビジネスとは、顧客から要望を聞いてゼロから作り上げるフルスクラッチ型の開発だが、近年のDX(デジタルトランスフォーメーション)需要で業界各社は前述のようにリソースが逼迫。要はビジネスとして回らなくなってきている。そこで、共通化したソフトウェアと、特定業務に関する知見等を組み合わせる提案型ビジネス、すなわち知財型ビジネスへの変革が必須になったといえる。
こうした事情からも、「プラットフォームエンジニアリングは遅かれ早かれ取り組まなければならないことでした」と山野氏。プラットフォームエンジニアリングでは、コンサルティングやミドルウェア、コンテナなどさまざまなサービスを組み合わせ、提案や構築のスピードを高めて、セルフサービス機能とインフラ運用の自動化を実現。それにより開発者のエクスペリエンス最適化と生産性向上、デリバリーのスピードアップをサポートする。その分、IT技術者はより特定の業界や分野の知見を活かした業務にシフトすることができる。つまり、プラットフォームエンジニアリングは、知財型ビジネスを加速させるうえで重要なカギを握っていると言えるのだ。
その点、Nutanixはソフトウェアの共通化部分ですでにバックエンドの仕組みを持っている。SCSKの知財や取り扱いソリューションを組み合わせ、提案型で提供するビジネスにマッチするというのがSCSKの考えだ。
Nutanix側もプラットフォームエンジニアリングに強く共感し、ソリューションを提供している。原田氏は「当社のプラットフォームエンジニアリングは、自動化と統合に焦点を当て、ITインフラ管理を効率化します」と話す。
人材不足を解決し得るNutanixのソリューションとプラットフォーム戦略
運用効率化はもちろんのこと、人的リソース不足の状況を打破する解決策としてもNutanixは有効だ。
Nutanixのプラットフォーム戦略は、HCIとクラウドの融合に基づいている。Prism Centralと呼ばれる統合管理プラットフォームによって、運用が一元的かつ直感的に行えるようになり、運用タスクの自動化を実現できる。このように従来IT技術者が抱えていた工数を大きく削減することができるのだ。
「スケーラビリティと運用の簡便性を提供し、ビジネスの成長に柔軟かつ効果的に対応します」と原田氏。さらにセキュリティも重視されており、統合されたプロテクション機能でデータを保護することで、エンジニアリングチームはより効果的な意思決定と効率的な運用が可能になるのだ。
さらには、自動化と統合された管理により、開発と運用のシームレスな連携も実現でき、統合でアジャイルな開発サイクル、効率的なスケーリングも可能になる。総じて、エンジニアリング業務の合理化とリソース最適化によりITインフラ運用を革新的に向上できるといえるだろう。
SCSKとNutanix、そのシナジーがもたらすものとは
SCSKでは、「NebulaShift」をプラットフォームエンジニアリングの中心とした、エコシステムの拡大を進めている。
その取り組みの一つとして推進しているのは、Nutanix HCIを活用した社内向け検証環境の導入である。本環境では、Nutanix HCIをSCSKデータセンターに配置し、社内の開発・運用メンバーが本環境上にあるアプリケーションや自動化ツールを利用できる環境を提供する。また、社内のセキュリティ、AI/MLといった社内ソリューションとの連携を強化し、SCSKのプラットフォームエンジニアリングの中心である「NebulaShift」のエコシステム拡大を進める。例えば、SCSKのデータセンターのマルチクラウド接続サービスであるSCNXと組み合わせ、低遅延なハイブリッドマルチクラウド環境を実現するなどだ。このようにSCSKの持つ知財とソリューションの連携を検証できる環境を設けることで、知財型ビジネスにおける提案の選択肢を増やしていくことが狙いだ。
また、SCSKでは、セキュリティ領域のグループ会社であるSCSKセキュリティ株式会社を設立し、セキュリティ領域への注力も開始している。「NebulaShift」においてもその流れを汲み、セキュリティ領域のエコシステムを拡大し、セキュリティに特化したプラットフォームエンジニアリングも今後さらに推進していく予定だ。
すでに連携を強めているSCSKとNutanixだが、今後はさらに双方の強みを活かし、顧客への支援を行っていくという。
「NutanixとSCSKのソリューション連携で、自動化とクラウドネイティブなアプローチを統合し、柔軟でスケーラブルな開発環境を提供します。これにより、開発者は効率的にハイブリッドクラウドやエッジでアプリケーションを構築でき、一元的な管理とセキュリティを確保できます。共同開発プロジェクトでは、迅速なデプロイメントと強化された協力が可能で、ビジネスのイノベーションが促進されます」と原田氏は力を込める。
最後に山野氏は、2社の連携で叶えたい理想像について次のように語った。 「当社のNebulaShiftを中心としたプラットフォームエンジニアリングにおいて、Nutanixは、有効な選択肢の一つと考えております。今後、Nutanix社とも協業領域を拡大し、プラットフォームエンジニアリングを推進していくことで、当社の強みでもあるアプリケーション開発ともよいシナジーを生んでいければと思います」
SCSKとNutanixが推進する「プラットフォームエンジニアリング」の取り組み
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ニュータニックス・ジャパン合同会社 |
関連リンク
SCSK株式会社
https://www.scsk.jp/
ニュータニックス・ジャパン合同会社
https://www.nutanix.com/jp
NebulaShift
https://www.scsk.jp/sp/nebulashift/
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