コロナ禍をきっかけに、リモートワークやハイブリッドワークはビジネスシーンに一気に浸透しました。さらに企業のグローバル進出の波もあり、いまやオンラインでのビデオ会議はどの企業にとっても必要不可欠なものとなっています。

一方で、そんな時代だからこそ「会議」のあるべき姿も問われているといえます。ビデオ会議の仕組み上、リアクションが見えづらかったり、音声が聞き取りにくかったりといったストレスが積み重なり、コミュニケーションを阻害する要因になっていることも少なくありません。そのような状況にもかかわらず、不便さを当然のものとして受け入れ、環境を改善する必要性を見出だせていない企業が多いことも事実です。

そこで今回は、多くの企業の働き方改革を支援されている株式会社クロスリバー 代表取締役社長・越川慎司氏と、革新的なビデオ会議デバイスを提供するNeatframe株式会社 代表・柳澤久永氏による対談を実施。リモート時代の今だからこそ考えたい、会議やコミュニケーションのあるべき姿について語っていただきました。

  • (写真)Neatframe株式会社 代表取締役 柳澤 久永氏と株式会社クロスリバー 代表取締役社長 越川 慎司氏

    (左)Neatframe株式会社 代表取締役 柳澤 久永氏、(右)株式会社クロスリバー 代表取締役社長 越川 慎司氏

対談者プロフィール

    株式会社クロスリバー 代表取締役社長
    越川 慎司氏

    2017年に株式会社クロスリバーを設立。働き方デザイナーとして民間企業や公的団体など800社以上の働き方改革の支援に携わる。メディア出演や講演、著書多数。『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』は世界各地でベストセラーに。



    Neatframe株式会社 代表取締役
    柳澤 久永氏

    Black BerryのMinaging Director、Nutanix、VM ware、Ciscoなど外資IT系企業の要職を経て2020年よりNeatframe(通称Neat)の日本法人を立ち上げ、代表取締役を務める。

コロナ禍を経てビデオ会議は完全に定着、一方で課題も浮き彫りに

―いまやビデオ会議はどのような企業でも必要不可欠なものとなりました。現在のビデオ会議のトレンドやトピックについて教えてください。

越川氏:まず言葉の定義からさせてください。「ビデオ会議」とは映像を伴う会議のことで、PCで使うTeamsのようなソフトウェア型のビデオ会議もあれば、昔から企業が会議室に据え付けていたハードウェア型のシステムもあります。前者をオンライン会議システム、後者を専用端末型ビデオ会議システムと呼びましょう。

両者を合わせると、現時点で97.6%の企業がビデオ会議を日常的に使っています。コロナ前と比べて利用率が大幅に伸びているのはオンライン会議システムのほうです。一方で、専用端末型ビデオ会議システムを使うユーザーも増えてはいて、その一部は今までのシステムに不満を抱き、Neatのようなシステムを導入し始めているのが現状といえます。

柳澤氏:オンライン会議システムと専用端末型ビデオ会議システムの伸び率の違いは興味深いです。前者が伸びたのはコロナ禍でリモートワークが一気に普及したからでしょう。ノートPCを持ち帰って自宅から会議に参加するには、ソフトウェア型のほうが便利ですからね。一方で、現在はリモートワークから出社に戻す企業もかなり増えています。

越川氏:幹部層や中間管理職からすると、目の前に部下がいてくれた方が管理しやすいというのが本音ですからね。一方で従業員のほうに目を向けると、リモートワークによる孤独感や孤立感が問題になっています。自宅のワンルームで一日中ずっと仕事をしていると、精神的にも参ってしまう若年層が多いようです。そういった背景もあり、出社することで孤独感を解消し、組織としての一体感を作ることの価値が今まさに問い直されているといえます。

柳澤氏:リモートワークから出社に戻す企業もかなり増えています。とあるお客様は当初、週1の会議をオンラインで開催していたものの、だんだん出社する人が増えたことで、「会社の会議室とリモート参加」というハイブリッドな形での会議になりました。また、リモートワーク以外にも出張先や地方・海外の拠点から参加するならビデオ会議を使うでしょうし、コロナ以降は特に商談にもビデオ会議は当たり前に使われるようになりました。

―これだけビデオ会議が普及すると、課題も見えてきそうです。

(写真)クロスリバー 代表取締役社長 越川 慎司氏

株式会社クロスリバー 代表取締役社長 越川 慎司氏

越川氏:ビデオ会議ならではの課題はさまざまあります。たとえば、従業員1000名以上の企業でいうと、以前は働く時間の43%が社内会議に費やされていました。コロナ禍を経てビデオ会議が普及したことで、実はこの数字が45%と増えてしまっているんです。この理由は、オンライン会議であれば会議室を予約する必要がないからです。以前は会議室を予約するのが大変で会議が開けなかったけれど、今はオンラインなら会議室が不要なので「ちょっと会議やろう」が増えてしまっているんです。

また、私たちの調査ではビデオ会議で“内職”している人が41%もいることがわかっています。たとえば日本人メジャーリーガーがホームランを打った瞬間に発言が減ったりするんですよ(笑)。なぜ内職してしまうのかというと、当事者意識のない人が会議にただ参加するだけになっているからです。ほかにも、参加しても映像をオンにしない人も多いです。なんと、ビデオ会議で映像をオンにする人は全体の21%しかいないんです。

ビデオ会議が当たり前になったことで、こうした問題点が浮き彫りになりました。どうやってそれらを改善していけばいいのかを企業が真剣に考え始めたのが2023年後半頃からのことです。

柳澤氏:映像をオンにする人が21%しかいないというのは衝撃的ですね。「メラビアンの法則」によると、コミュニケーションにおいて視覚情報が与える影響は全体の55%もあるそうです。特に日本人は表情で相手の意図を読むハイコンテクストな文化ですから、ビデオ会議で映像を出さないのはすごくもったいないと思います。

情報共有の前に「感情共有」することで会議の質は大きく向上する

―そもそも「会議のあるべき姿」とはどのようなものなのでしょうか。

越川氏:なぜ会議をやる必要があるのかに立ち戻って考えてみましょう。社内会議を行う理由は1つだけ。「決定者と実行者が違うから」なんです。決定者と実行者が同一であるなら、会議なんてやる必要はないですから。大企業で会議が多いのは、企業規模が大きくなればなるほど決定者と実行者の距離が離れているからです。だから、“会議のための会議のための会議”が発生してしまうわけです。

社内会議の目的には3種類しかありません。「情報共有」「意思決定」「アイデア出し」です。実は日本企業の社内会議は「共有」がもっとも多く、64%も占めています。本来、会議とは「情報共有」を減らして、「意思決定」と「アイデア出し」を増やすべきです。その方が現場の行動量と行動速度が上がり、ビジネスに良い影響が出るからです。

ではなぜ「意思決定」と「アイデア出し」の会議が増えないかというと、これらの会議は社員同士の関係性構築、すなわち「感情共有」が重要だからです。ビデオ会議で映像をオンにせず、変に空気を読んで発言もしない、当事者意識もなく参加しているだけ。これではとても感情共有はできません。全員がオンライン参加の会議ならしっかりと映像をオンにして顔を見せたり、リモートと出社のメンバーによるハイブリッド会議であればリモート参加者が孤立感を抱かないように対処したり、そうした工夫によりまず感情共有することが求められているのです。

柳澤氏:おっしゃるとおりですね。出社する人は確実に増えていますが、同時に働き方の多様化も進んでいます。子育てや家事をやりながら働く人、在宅の方が集中できて効率が良い人など様々です。様々な立場の人がそれぞれ離れた場所にいてもチームで感情を共有して一つの方向に向かうことは、これまでになかった重要な経営課題だと言えると思います。

単なるビデオ会議デバイスではなく「感情共有」を可能にするソリューション

―越川さんがおっしゃった、「感情共有」をオンライン会議でもスムーズに実現するのがNeatのビデオ会議デバイスかと思います。ここからは越川さんにNeatの製品をご体験いただきます。

(写真)Neatframe株式会社 代表取締役 柳澤 久永氏

Neatframe株式会社 代表取締役 柳澤 久永氏

柳澤氏:まず、簡単にNeatについてご紹介します。Neatはノルウェーに本社を置く企業で、2019年に設立しました。設立からまだ5年弱ですが、すでに世界で23万台以上の出荷実績と1万2500以上のお客様を抱えています。私たちは単にビデオ会議デバイスを販売しているだけではなく、共同作業を通して新しいものを作り出す場を提供すること、そして働き方や会議のやり方についても再定義することを目指しています。

では、実際に越川さんにNeat独自のテクノロジーであるNeat Symmetry(ニート・シンメトリー)をご体感いただきます。

Neat Symmetryは、1つのカメラがとらえた映像の中にいるメンバーをAIで認識し、画面を分割したうえで一人ひとりにズームアップし、同じくらいの大きさで表示する機能です。このような視覚情報が重要なのは、参加者の表情やうなずき、ジェスチャーなどの非言語によるコミュニケーションを伝えることができるからです。これにより、リモートで参加していてもまるでメンバーと同じ場所で会話しているような感覚を得ることができます。

越川氏:事前にサイトや動画でチェックしてきたのですが、こうして実際に拝見するとすごい技術だなと思います。特にNeat Symmetryで参加者一人ひとりがズームアップされるのは、リモートで参加していても場の空気を理解するうえでとても役立ちます。

  • (写真)Neat Symmetryを体験している図

    リモートでも会議室の参加者の様子がよくわかるNeat Symmetryを体験

柳澤氏:さらに、映像と同じくらい重要なのが音声です。Neatのデバイスはマイクをテーブルに設置する必要はありません。前面に設置されたNeat のデバイスにマイクは内蔵されています。それでいながら、マイクから離れている参加者の声もクリアに拾います。マイクが声の方向を認識し、その都度ビームフォーミングで集音するためです。また、紙をめくる音やボールペンのカチカチ音など、会議中に発生しがちなノイズを自動で軽減する機能も持っています。

越川氏:映像もすごかったのですが、Neatの音声技術にも感動しました。音声に関しては、一般的なビデオ会議でもよく問題になる点です。ほとんどのビデオ会議の第一声、何から始まるかご存知ですか? 「聞こえてますか?」です(笑)。これだけビデオ会議が浸透した2024年になってもそうなんです。これは、ビデオ会議の多くがノートPCを持ち寄って話しているから起きる問題でもあります。外付けマイクではなく内蔵マイクを誤ってセットしてしまい、ハウリング問題も多発。さらに映像もオンにしないとなると、もう誰が喋っているのかすらわからなくなります。また、ノイズキャンセリングも重要な機能だと思いました。特にビデオ会議では、ボールペンのカチカチ音やマウスのクリック音のようなノイズが入るとぜんぜん話に集中できなくなるんです。会議の最初の10分間にノイズが聞こえた瞬間、リモートで参加したメンバーのうち6割が会議を真剣に聞かなくなるというデータがあるほどです。

柳澤氏:話は変わりますが、日本人はもともと、自分が我慢してでも相手が快適に過ごせるように気を遣う性質があるはずですが、ビデオ会議にそこまで考えを及ぼす経営者はまだ多くはありません。一方で、離れた場所にいる相手と自然に打ち解けやすい雰囲気がつくれる環境整備には投資すべきだという経営者は確実に増えています。また、今後ビデオ会議はさらに重要性を増していくでしょうし、現代の子どもたちは授業で先端のビデオ会議技術を当たり前に使うことに慣れているってきた世代です。そうした世代が就職するようになってきており、当然の結果として採用面接などでもビデオ会議の快適さを重視しているようです。

  • (写真)Neat Centerを体験している図

    360°カメラと無指向性マイクを搭載したNeat Centerを体験

“しなやかに変化に対応する”組織を目指して

―「会議のあるべき姿」の実現に向けて、企業はどう取り組んでいけばいいのでしょうか。

越川氏:日本の企業が取り組むべきは、誰がどこにいても「感情共有」ができる環境を整え、「意思決定」と「アイデア」出しの会議を増やして行くことです。また、昔のように「上司だから偉い」とか「お客さんだから偉い」という時代ではありません。むしろ上司も若い世代からどんどん新しいものを吸収して、イノベーションを起こしていく必要があります。ビデオ会議は会議をフラットにしてくれるので、そうした階層による壁を壊すことにも貢献してくれるでしょう。

うまくいっている組織や人に共通するのは、業務遂行能力が高いということではないんです。変化にしなやかに対応しているだけなんですよ。変化に対応するには、いかに行動実験をたくさん行って自分の選択肢を増やすのかが大事です。この記事を読んだ方も、「よさそうだな」で終わっては意味がありません。まずは取り組んでみてほしいですね。

柳澤氏: Neatは創業当初から、離れた場所にいるメンバーが一体となって働ける環境そのものを提案しています。また、イノベーションという点では、ZoomやMicrosoftのようなAIをクラウドで活用して要約や議事録作成を行うような最先端の仕組みともシームレスに連動するのがNeatでもあります。越川さんが言われたように、しなやかに変化に対応するためにも、ぜひNeatの製品で感情を共有できる会議を実現することで得られる直接的、間接的なビジネス上の効果を想像して、実現していただきたく思います。

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越川氏と柳澤氏の対談を通して見えてきた、ビデオ会議の役割とあるべき姿。企業がこれから先も続くハイブリッドワーク時代を生き抜いていくには、多様な働き方に対応しながら誰がどこにいても感情共有ができる最先端の環境を整えることが急務といえます。ビデオ会議に関する革新的な機能を備えたNeatの製品は、そうした新たな時代に欠かせない存在になるかもしれません。

※文中に登場する調査結果は、株式会社クロスリバーの調査によるものです。

関連リンク

Neatframe株式会社 https://neat-japan.com/

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