2023年12月14日に発表された第5世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー、開発コード「Emerald Rapids」。大きな期待を持って各媒体が報じたので、その進化についてはすでに多くの人が知るとことなった。サーバー業界にとっても大きな発表だったのか動きも早く、さっそくEmerald Rapids搭載の製品が続々とリリースされてきているため、今回はEmerald Rapidsのおさらいと、各ベンダーの最新モデルを紹介していきたい。

第5世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーのおさらい

各ベンダーがリリースした最新サーバー製品の紹介をする前に、まずは第5世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー「Emerald Rapids」がどのようなモデルなのか、改めておさらいをしておきたいと思う。

新サーバーの導入、あるいはリプレイスを考える際、Emerald Rapidsが基本的には第4世代「Sapphire Rapids」の進化版であることにまず注目がいくはずである。なぜなら、Emerald Rapidsが随所に大幅な進化を確認できるモデルでありながら、Sapphire Rapidsと同じプラットフォームがそのまま利用可能になっているからだ。プラットフォームの変更を無しにプロセッサーを載せ替えることでサーバーのパフォーマンスを向上させられるというのは、サーバーの運用担当者はもちろん、経営層などにも大きなメリットを提供できるだろう。

どれほどパフォーマンスが向上しているかというのは、下記のインテル発表資料からも想像でき、同じプラットフォームを使った場合、汎用コンピューティングで1.21倍、AIで1.42倍、HPCの領域で1.4倍、スループットで1.7倍とそれだけでも大きな進化を見て取れる。

さらに、直近で大きな注目を集めているAIの領域においては、サーバープラットフォームごとのアップグレード、つまり第3世代Xeonからのアップグレードを行った場合には、実に14倍ものパフォーマンス向上が得られている。ここだけを見ても、第3世代以前のXeon搭載サーバーの利用者には、リプレイスを考える時期が近づいてきていると言えるのではないだろうか。

もちろん、そのほかの領域においてもプロセッサーのみのアップグレード時と比較して、サーバープラットフォーム全体のアップグレード時の方がパフォーマンスアップは著しいため、リプレイスするのであれば第5世代Xeonを採用したサーバー製品を導入したほうが効率的なのは間違いない。

ちなみにAIに関しては第4世代にも採用されていたインテル® AMX(インテル® Advanced Matrix Extensions)というアクセラレーターがEmerald Rapidsでも搭載されている。先ほどの14倍という数字は、AMXで推論をする際の適切な消費電力配分や、キャッシュ/メモリ帯域の効率化などにより、その機能を大きく向上させた結果であり、今後ますますニーズが高くなるAI領域において、Emerald Rapidsは十分な実力を発揮するのは確実だろう。

性能と電力効率の向上によりTCOの削減を目指したユーザー目線の設計

Emerald Rapidsには様々なアクセラレーターが採用されており、これにより消費電力あたりのパフォーマンスが大きく向上しているのも特長だ。細かい説明はここでは省くが、消費電力あたりの性能は最大で10倍にもおよぶとインテルは発表している。

この消費電力の効率化はサーバー運用者の目線でみるとさまざまなメリットを生み出してくれる。例えば、3~40%の負荷レベルにおいて運用されている場合、稼働時の消費電力が第4世代と比較して最大110Wも削減できるのだ。これを月間、年間にするとかなりのTCO削減となり、ケースによっては早期に新サーバーへの投資を回収することも可能だろう。

また、インテルでは面白い試算もしており、第3世代Xeonを搭載したサーバー50台を使用した際の消費電力と同じ値を実現するには、Emerald Rapids搭載の新サーバーが何台必要かという検証結果も発表している。それによるとWebサーバー用途の場合は29台、AIにおいては10台と、最大で1/5の台数削減効果が得られるとのことだ。もちろん、これはひとつの参考値ではあるが投資対効果を考えるうえで役に立つ数値といえるだろう。

Xeonが変わらずに提供し続ける洗練されたセキュリティ

Emerald Rapidsを含むXeonシリーズはパフォーマンスだけでなく、セキュリティ機能も充実している。機密情報領域を保護し、外部からのアクセスや改ざんを防ぐことができる、「 インテル® SGX (インテル® Software Guard Extensions)」や、各VMを個別キーで暗号化する「インテル® TDX(インテル® Trust Domain Extensions)」などをこの世代から正式にサポートしている。

これらは、年々巧妙化を続けるサイバー攻撃に対するセキュリティ機能を付与するうえで大きなアドバンテージとなる。近年ではファームウェアを狙う攻撃も増えつつあり、ハードウェアがそのための防御機能を提供することでOSに依存しない、より堅牢なセキュリティシステムの構築を実現し、これにより機密情報や大量のデータを扱う上でより安全な運用を手助けしてくれることになるだろう。

さて、ここではEmerald Rapidsについて、再度抑えておきたいポイントのみに絞って紹介したが、より詳しくEmerald Rapidsについて知りたい方はこちらの記事も並行して確認していただくとよいだろう。それではここから、各ベンダーが新たに市場投入した、第5世代 インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー搭載サーバー製品を紹介していきたいと思う。

OEM各社から発表された新サーバーをご紹介!

デル・テクノロジーズ株式会社

Dell PowerEdge
  • Dell PowerEdge R760,

Emerald Rapids搭載モデル:PowerEdge R660, R760, MX760c, C6620, R760xd2, R760xa, T560, R660xs, R760xs, HS5610, HS5620

最新世代のDell PowerEdgeサーバーは、第5世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載し、下記4つの特長を有しています。

  1. AIやエッジ、クラウド事業者向け含めたワークロードごとの専用設計
  2. iDRAC(アイドラック)、OpenManage(オープンマネージ)、CloudIQ(クラウドアイキュー)といったツールによる運用管理の自動化
  3. ゼロトラスト戦略を加速させるサイバーレジリエントアーキテクチャ
  4. EPEAT(イーピート)への対応含めたサステナビリティ対応の強化

これらの特長・機能により、Dell PowerEdgeサーバーはあらゆる場所でお客様のイノベーションの推進を支援します。

発売日:2024年2月

日本電気株式会社

Express5800シリーズ
  • Express5800/R120j-2M(2nd-Gen),

各種モデル:R120j-2M(2nd-Gen), R120j-1M(2nd-Gen), R110k-1M(2nd-Gen), T110k-M(2nd-Gen)

データドリブン経営の礎となるデータベースシステム、今や当たり前のように使われている大規模言語モデル(LLM)を始めとしたAI、快適なテレワークを実現する仮想デスクトップシステムなどの様々なワークロードでは、さらなる高速処理・拡張性に加えて、クラウドとの高い親和性、安定稼働・シンプルな運用管理が求められています。

これら市場の声にお応えするのが、第5世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーを搭載し、卓越したパフォーマンスを発揮するExpress5800シリーズです。お客様のDX推進を強力にバックアップいたします。

発売日:2024年5月より順次

日本ヒューレット・パッカード合同会社

HPE ProLiant Gen11
  • HPE ProLiant DL380 Gen11 HPE日本 OID1014696069,

各種モデル:DL560, DL380, DL360, DL320, DL380a, ML350, ML110 および HPE Synergy, HPE Cray

増大を続けるデータを戦略的資産として活用する動きが活発な昨今、AI、分析、クラウドネイティブアプリケーション、グラフィック集約型アプリケーション、機械学習、仮想デスクトップインフラ(VDI)、仮想化などのモダンなワークロードに対応するIT基盤の強化が求められます。

HPEは、ワークロードのパフォーマンス最適化を実現し、第5世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを最大限に活用できるよう、HPE ProLiant Gen11サーバーを強化し、直感的で信頼性に優れた最適化されたコンピュートリソースを提供します。

HPE ProLiant DL380 Gen11はGen11のフラグシップサーバーとして高性能・可用性・拡張性に優れ、最新のGPUソリューションニーズにも対応します。

発売日:2024年1月25日

富士通株式会社

Fujitsu Server PRIMERGY

各種モデル: TX2550 M7, RX2530 M7, RX2540 M7, GX2560 M7, CX2550 M7, CX2560 M7

第5世代 インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載するPRIMERGY 2WAY M7シリーズはお客様のデジタルイノベーションを支えます。
大容量ファイルサーバや高性能エッジコンピューティングなどの様々な用途で使えるタワー型サーバ、クラウド基盤、テレワークやデータベースでCPU性能を最大限に活かせるように設計を一新したラック型サーバ、大規模シミュレーションや生成AI向けモデル、サーバ環境をスリム化する省スペースモデルといった特定ソリューションに最適化されたものまで、豊富なラインナップを提供します。

また、複雑化しがちなITインフラ管理をシンプルにし、AIでシステム管理の負荷を軽減するソフトウェア「Infrastructure Manager」で、サーバ運用面でもイノベーションを支えます。

発売日:2024年4月下旬以降順次

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