ビジネスにおける生成AI活用は今、ネクストステージに入っている。多くの企業が生成AI活用を進めているが、思うような成果を出せていないという声もしばしば耳にする。原因はさまざま考えられるものの、前提となるデータ整備が十分に行えていないことがひとつ挙げられる。データ分析プラットフォームをはじめとした多彩なITソリューションを提供するアバナード株式会社の玉水 大貴氏に、生成AI活用を成功に導くデータ整備のヒントを伺った。

「思うような成果が出ない…」生成AI活用の悩み

‐‐まずはアバナードについてのご紹介をお願いします。

玉水氏:アバナードは、アクセンチュアとマイクロソフトの出資によって誕生した戦略的合弁企業で、テクノロジーのコンサルティングとシステムインテグレーションを事業の柱としています。

マイクロソフトのソリューションに関する高度な技術力と、アクセンチュアが培ってきたビジネス知見を最大限に活かし、DXに向けたアドバイザリーサービスや各業界向けソリューションの提供などを行っています。

私はディレクターという立場で、主に生成AIを活用したソリューションの提案やデリバリー、コンサルティングを担当しています。

  • アバナード株式会社 ディレクター
    玉水 大貴 氏

‐‐データ活用がマストとなるなか、とりわけ生成AIの注目度が高まっていますが、現時点の企業の課題やニーズを教えてください。

玉水氏:「自社環境に生成AIを使える環境を整備しよう」というフェーズはすでに過ぎ、「実際に生成AIを企業固有のデータと連携させてどのような成果を得るか」という段階にきています。そうしたなかで、ChatGPTに代表される対話型インターフェースを用いて、社内の情報を検索するという使い方がスポットライトを浴びています。

そこで浮上してきた課題として、「思ったように情報を引き出せない」「検索精度が低く、期待していたほど業務を効率化できていない」といった悩みが挙げられています。

‐‐生成AI活用が思うように進まない原因はなんでしょうか。

玉水氏:社内データを一元管理できていない、また非構造化データが多いため検索が機能しないということが言えますが、大きく4つのケースが考えられます。

1つ目は社員が必要とするナレッジが探しやすいところに集まっていないことです。社内に眠る過去の文書や業務の参考になる資料、個人が培ってきたノウハウなど、ナレッジは多岐にわたり散在しています。

2つ目は社員間・部門間で共有できる場がそもそもないことです。これには知見・スキルが属人化していたり、部門ごとの縦割り、いわゆるサイロ化によって他部門のナレッジにアクセスできなかったりといった背景があります。

3つ目は、ナレッジを探す検索ツールの精度が低いため、探したい情報に行き着かないパターンです。例えば、キーワード検索した際に雑多な情報が大量に表示され、本当に欲しい情報がどれかわからない、見つけられないというのも、データ活用が進まない一因になっています。

そして4つ目が、ナレッジが古いため最新の情報がわからない、せっかく情報取得しても古すぎて役に立たない、といったケースです。

‐‐非構造化データの問題について、より詳しく教えてください。

玉水氏:どの会社においても社員のナレッジの多くは、データ活用向けに適切に整形されていない非構造化データに埋まっています。例えば、Q&Aのやり取りがメールで行われていると、中身が平文で書かれているので、一定の形式で構造化されておらず、キーワードや重要な部分がわかりません。

またデータフォーマットも多種多様で、PowerPointやExcel、Word、あるいはメール、イントラの社内掲示板に記述されているなど、システムが処理できる形になっていません。このように構造化データとして整備されていない状態でAI活用を始めようとしても、AIが適切な答えを見つけ出せず、当然ながら成果にもつながらないわけです。

‐‐誰もがデータ活用の必要性を感じながらも、その基盤としてのデータが整備されていないのはなぜでしょうか。

玉水氏:データを整備しようという意識が浸透していないこともありますし、ツールが整備されていない、ツールの機能が追いついていないこともあるでしょう。そもそも何をどうすればいいのかわからないという話も聞きます。

最先端AIと独自ロジックで非構造化データを構造化するフレームワーク

‐‐ここまで伺ってきたデータの課題に対して、アバナードが提供するソリューションはどのようなものですか。

玉水氏:こうしたナレッジ管理、データ整備の課題を解決するのが、ナレッジマイニングソリューションです。ナレッジマイニングソリューションは、散在するナレッジから価値あるものを抽出して1つのプラットフォームに統合し、従業員が必要な情報に簡単かつ迅速にアクセスできるようにします。最新の検索アルゴリズムとAIによって、情報取得の時間が削減され、業務効率化・生産性向上を促します。

当社が提供するナレッジマイニングソリューション「Avanade Insight Discovery」は、データの蓄積・整理とカタログ化を担うフレームワークです。検索対象となる非構造化データを質高く構造化することを可能にする技術を兼ね備えています。

‐‐他社ソリューションと比べて強みになるポイントと、開発の経緯を教えてください。

玉水氏:マイクロソフトの最先端AI技術と当社独自のロジックをフル活用している点、企業ニーズに応じてカスタマイズできるところですね。加えて、当社は技術者個人のスキルが高いと自負しており、課題解決を支援する提案力・サポート力にも強みがあります。

開発のきっかけとなったのは、求人企業と求職者の質の高いマッチングを目指したAI活用でした。候補者の職務経歴書にはスキルや業界経験などが記されていますが、平文のままではデータ活用が難しいので、構造化する必要が出てきたのです。

このときに開発した仕組みが、のちのAvanade Insight Discoveryの核となりました。それをさらに発展させ、企業の多様なユースケースに適用できるフレームワークとするため、データマッチングを磨いていったのがAvanade Insight Discoveryです。

実は、ChatGPTが登場する以前から自然言語処理の限界に挑戦しており、その取り組みも現在のノウハウにつながっています。

‐‐企業が保有するデータには社外秘のものも多くありますが、セキュリティ面ではどのような配慮がなされていますか。

玉水氏:Avanade Insight DiscoveryはAzureのプラットフォーム上で動くことを前提に設計しているので、Azureの強固なセキュリティ機能で保護されるようになっています。加えてアバナードとしても、マイクロソフトの技術を活かせる強みとセキュリティに関する専門知識をもとに、あらゆるお客様に高度なセキュリティ体制を提供できるよう仕組みを整えています。

Avanade Insight Discoveryでデータ活用高度化の礎を固める

‐‐Avanade Insight Discoveryの採用事例を教えてください。

玉水氏:自動車部品メーカー大手のデンソー様では、Avanade Insight Discoveryを用いてデータ利活用の支援を行っています。手書き、PDF、Excelといったさまざまなフォーマットで散在する技術情報のQ&Aや技術論文などを構造化し、アクセスしやすいようデータカタログ化する取り組みを行っています。

ある化学メーカーでは、世の中にある特許や論文を構造化することで、誰がどのような技術を持っているかを見つけ出す、いわゆるKnow-Whoデータを作りました。また、あるエンジニアリング会社では、設備の定期点検記録やトラブル報告書のデータが膨大な量になり、効率的に検索できなくなっていたため、過去のトラブル対応のナレッジを簡単に見つけられるように整備を行いました。

そのほか、社内満足度調査の回答で記されるフリーコメントから直接的には見えない本音を見つけ出し、ネガポジ分析を行った結果をわかりやすく可視化する仕組みも作っています。

‐‐今後、Avanade Insight Discoveryをどのようなお客様に提供していきたいですか?

玉水氏:「データ活用を進めたい」「自社のナレッジを体系化して、社員が手軽に適切な情報にアクセスできるようにしたい」と考えながらもうまくいかず、悩んでいるお客様のサポートをしていきたいと考えています。膨大なデータが散在して一元化が難しい大企業はもちろん、中堅中小企業の方も、データ整備・活用に課題を感じていたらぜひご相談ください。

また、今後はユニークな技術やアイデアを持つ企業と、私たちの知見と組み合わせ、共同でさらなる価値を創出したソリューションを生み出していきたいと考えています。

アバナード株式会社
アバナードの生成AIソリューション

[PR]提供:アバナード