リモートワークに象徴されるように、働き方が多様化しクラウド活用も一気に進んだいま、それを支えるネットワークとセキュリティに課題を感じる企業が増えている。とりわけ中堅中小企業では人手不足も重なり、解決に悩むところは少なくないはずだ。NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)はそうした企業に向けて、NTTドコモ、NTTコムウェアとのドコモグループ3社で統一展開する新法人事業ブランド「ドコモビジネス」のもと、セキュリティ一体型の統合ネットワークサービス「docomo business RINK」の提供を2023年11月にスタートした。今回は、同社担当者にこのサービスの特徴や強み、ユースケースなどを聞いた。
在宅でも出社でもWeb会議がスタンダードとなった今、回線逼迫が課題に
コロナ禍を経て多様な働き方にシフトする中、在宅勤務に代表されるオフィス外での業務に加えて、オフィスに出社し仕事をする場合も、インターネット経由でのWeb会議や各種SaaSなどクラウドサービスの利用が当たり前となった。Web会議に至っては、在宅勤務の社員だけでなく、社内でも異なるフロアで勤務する社員間でやり取りする際にも用いられ、ビジネスにおけるコミュニケーション方法のスタンダードになったようにも思える。
「クラウドサービスの快適利用を実現していくには、安定性を陰で支えるネットワークのパフォーマンスすなわち『通信トラフィックの確保』と、安全性を担保する『ゼロトラストのセキュリティ対策』が必須です」と、NTT Comのクラウド&ネットワークサービス部で中堅中小企業顧客をサポートする稲田遼氏が語る。
ところがクラウドサービスを積極的に使う企業は、ネットワークとセキュリティの観点で大きく3つの課題に直面していると、稲田氏と同部門の酒井遼子氏が指摘する。
「1つ目が、クラウドシフトでトラフィックが増大し、インターネットにつながりにくい、Web会議やSaaSアプリが思うように動かないという事態が起きていることです」
Web会議をベースとする業務スタイルが急速に浸透したことで、ネットワーク帯域が逼迫し、酒井氏が話すようにインターネットを快適に利用できないケースが出てきた。これではせっかくの多様な働き方も、生産性向上や新たな価値創出には結びつかないだろう。
「2つ目の課題は、サイバー攻撃の巧妙化を受けてセキュリティ対策が日々高度化する中、現場の人手不足やコストの問題で十分に対応できない、あるいは運用負荷が著しく高まっていることです。そして3つ目は、スピードです。一時的に店舗や事務所を設置したい場合、ネットワークサービスを短期間で利用したいにも関わらず、申し込みが煩雑であったり、使用開始までに時間がかかったり、最低利用期間が設定されているなど、効率的な利用ができないという課題です」
NTT Comは従来、ビジネス向けにIP-VPNやインターネット接続といったネットワークサービスを提供しているが、「それぞれのサービス単体では、こうしたお客様のニーズにアプローチし、課題を解決することは難しいと考えています」と稲田氏。そこで「ドコモビジネス」ブランドのもと、サービス単体ではなく同社及びドコモグループが有するリソースをフル活用し、ネットワークとセキュリティを統合した新たなサービスとして提供する必要があると考え、「docomo business RINK」というセキュリティ一体型ネットワークサービスの開発に至った。
“選べるネットワーク、選べるセキュリティ”で、
業務環境に合わせたインフラ構築を叶える「docomo business RINK」
「docomo business RINK」は、多様なネットワークとクラウド型セキュリティを一つに融合したサービスだ。SD(Software-Defined)技術を活用し、ネットワークとセキュリティの双方をクラウドサービスのようなスタイルで提供する「NaaS」(Network as a Service)を実現している。
「個別サービスとして提供していたインターネットのようなオープン接続とIP-VPNのようなクローズド(閉域網)接続、モバイルアクセスと固定アクセス、そして各種セキュリティ対策のすべてを、『docomo business RINK』で一つのサービスとして利用できるようになります」と稲田氏。とはいえ、さまざまなネットワークとセキュリティ機能があらかじめパッケージのような“詰め合わせ”にされているわけではなく、自社のニーズに応じて柔軟に選択できるのがポイントだ。「“選べるネットワーク、選べるセキュリティ”がコンセプトです」と稲田氏は強調する。
「docomo business RINK」の強みとしては、稲田氏が「快適性」「コスト最適化・スピード経営」「運用負荷軽減」の3点を挙げた。
1点目の快適性は、Webポータルからさまざまな設定を簡単に行えるようになっており、例えばWeb会議の利用頻度に応じた利用帯域の拡張や、特定通信のローカルブレイクアウトもクリックだけで手軽に実現できる。必要なときに帯域を拡張すれば利用集中による回線逼迫を避け、快適利用を継続できるだろう。またWeb会議の通信をブレイクアウトすることで、他のインターネットも快適に利用できる。
2点目は経営面でアピールになるところだ。まずコスト最適化については使った分だけの従量課金を採用し、最低利用期間もないため、分単位で帯域を増減でき、自在なサービス利用を可能にしている。一方のスピード経営の観点ではこうした料金体系が臨時施設等でも効果を発揮するほか、新規施設でネットワークを準備するケースでは、固定回線の敷設まで5Gモバイル回線を利用可能で、それも最短10営業日で提供される。
そして3点目の運用面では、難しい専門用語を避けUXを意識した使いやすいWebポータル上から、上述の帯域拡張だけでなくリソースの追加・変更をオンデマンドで完結できることだ。運用負荷軽減に加えて人材不足の解消にもつながる特徴だ。
クラウドサービスのスタイルで利用できることのメリットについては、稲田氏が解説する。
「メリットは大きく2つあります。まずはセキュリティ面です。とりわけ中小企業のお客様からすると、セキュリティ対策には高度な知識やスキルを持った人材が必要であり、とかく導入や運用ハードルが高いものです。その点、セキュリティ一体型のネットワークになっていることで、設計・構築や運用にかかる稼働を大幅削減できます。またコストの観点でも、使った分だけ支払うという概念で成り立っているので、クラウドサービスと同様にコストを最適化・効率化できるのがメリットです」
最短10営業日で利用可能!スピードが求められる新店舗準備にも安心
「docomo business RINK」のユースケースを、酒井氏がいくつか提示した。最初はスーパーなど多店舗展開する小売業のケースだ。
「新店舗設置時など短納期ですぐ使える回線がほしいとのニーズをよく聞きます。最短10営業日で利用開始できる5Gモバイル回線でまず業務を始め、固定回線が開通したら切り替えるという使い方が最適でしょう。最低利用期間がないので、ポップアップ店舗などでの一時的な利用にも向いています。またモバイル回線の通信量は無制限なので、月末に容量制限を超えて速度が落ちることもありません」
次は製造業である。「各拠点の工場間でWeb会議の利用が広がり、トラフィックが逼迫しているケースでは、Web会議の通信をブレイクアウトしてインターネットゲートウェイから通信を分離し、回線の逼迫を回避できます。インターネット向け通信については、帯域を拡張するプランを必要なときだけWebポータルから申し込み、必要がなくなったらプランを解約するという使い方もできます」
導入した顧客から「Web会議や業務でのインターネット利用が快適になり、ストレスがなくなった」「ネットワークとセキュリティの運用が本当に楽になった」といった言葉が聞けたらうれしいと稲田氏。喜びの声はもちろん、「お客様のフィードバックを随時取り入れ、真摯に応えながらサービスを進化させていきます。柔軟に機能改善していくところもこのサービスの大きな特徴です」と話す。
「docomo business RINK」は、2024年夏をめどにギャランティ(帯域確保型)のアクセス回線を追加し、帯域を必要に応じて増減できるようになる予定だという。さらにはWebポータル機能の強化や、アプリ単位でのトラフィックを可視化することで、適材適所で振り分けできる運用も実現していく。
将来的にはオフィスのICTに限らず、IoTや工場のOTも「docomo business RINK」で結び、強固なセキュリティのもと、より安心・快適に利用できるサービスへの進化をNTT Comでは目指している。
関連リンク
●docomo business RINK
https://www.ntt.com/business/services/rink.html
●TECH+記事
「NTT Comがクラウドライクなネットワーク「docomo business RINK」を提供開始」
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20231004-2785012/
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