2023年12月13日から15日にかけて、国内最大級の半導体展示会「SEMICON Japan 2023」が東京ビッグサイトで開催された。 本稿では、SEMICON Japan 2023に出展したSCREENセミコンダクターソリューションズの展示内容をレポートする。今回、ブースの運営をおこなった同社マーケティング部の前田 主悦 氏と岩本 花子 氏に話を伺い、今回の展示会にかける思いを明らかにした。
活況となった、SCREENセミコンダクターソリューションズのブース
今年で47回目を迎えた、SEMICON Japan 2023。昨今における半導体への注目度の高まりを背景に、昨年よりも出展社数・出展小間数・出展国数が大きく引き上げられた。
世界トップクラスのシェアを誇る半導体製造装置メーカーのSCREENセミコンダクターソリューションズは、第1回のSEMICON Japanから出展している。前田氏は今回の出展について、「当社は国内の半導体製造装置企業としてのプレゼンス向上や新製品の発表、また既存顧客のおもてなしを目的として、今回も24コマと大型のブースを設置しました」と意気込みを語った。
岩本氏は「日本半導体製造装置協会(SEAJ)と協力して、学生向けのイベントを行うなど、学生の方に向けて半導体を知ってもらえるような展示会づくりも意識しました」と述べ、リクルートを意識した活動についても言及。
今回の展示では、メイン題材として「SCREENグループ創立 80周年」という節目の年であることが大々的にアピールされている。さらにSDGsという観点で、業界全体の課題となっている環境負荷低減の取り組みに関する展示物やコータ・デベロッパの新製品「RF-200EX/RF-300EX」の製品コンテンツが、大きな三つの柱となっていた。本稿ではこの3つのブースを順に紹介していく。
時代を先取りする半導体製造装置をリリースし、業界をリードしてきた80年の歴史
展示会では、前身の大日本スクリーン製造株式会社(現:SCREENホールディングス)が設立してから現在に至るまでの80年間の年表が展示されていた。
創業当初である1943年は、写真製版用ガラススクリーンの国産化に成功し、大日本スクリーン製造株式会社が設立された。半導体製造装置市場に参入したのは「ウェーハ腐食機 EMW-322/411」を開発した1975年からだ。
グループ企業が保有する表面処理技術、直接描画技術、画像処理技術の3つのコア技術と、既存の技術を他の分野に大胆に挑戦する姿勢から、たゆまぬイノベーションによって常に時代を切り開く製品を投入している企業であることがうかがえる。その結果として半導体洗浄装置の分野ではグローバルシェアNo.1(会社調べ)の地位を長年維持している。80年の歴史において、単に新製品を投入しているのではなく、継続的にイノベーションを繰り返し、次の時代を見据えた製品を投入しているという。
環境負荷を軽減する半導体製造に向けた4つの取り組み
資源を節約するという機運は半導体業界においても例外なく高まっており、SCREENグループでは、持続可能な社会の実現とSustainable Value向上を目指した中期計画「Sustainable Value 2023」を策定している。ブースではSCREENセミコンダクターソリューションズが進める業界全体と独自の取り組みそれぞれ2つの施策がパネルで紹介されていた。
まず、業界全体の取り組みとして、先進的な気候変動対策を推進する「半導体気候関連コンソーシアム(SCC)」にSCREENセミコンダクターソリューションズは創設メンバーとしてリーダーシップレベルで参画。気候変動課題への効果的な半導体エコシステムの取り組みを提言していく。
次に、ベルギーの研究機関であるimec(Interuniversity Microelectronics Centre)が進める環境負荷低減に関する新たな研究プログラム「SSTS」にも参画しており、半導体製造装置において環境対応開発を加速させ、環境性能の高い装置を業界へ提供する予定だ。
さらに、環境負荷軽減という目標を実行するためには「見える化」が欠かせない。そこで同社は、半導体製造装置業界初の試みとして、温室効果ガスの排出量を算定・可視化するクラウドサービス「zeroboard(ゼロボード)」を導入している。これによって得られたデータをベースに、半導体製造装置の効果的な環境対応開発を行うことで、環境性能の高い装置を業界へ提供する。
最後に、半導体製造過程においてはプロセス技術の進化に伴い工程数が増加し、純水の利用量も増加傾向にあるため、水のリユース、リサイクルを推進する事で水資源の利用を減らすことは重要な開発テーマだ。 このため、水管理の可視化を実現するFTD solutions社の水管理アプリケーション(WMA)を彦根・プロセステクノロジーセンターに導入。クリーンルーム全体の純水・薬液の使用量、排水、排液の見える化/利用低減に貢献するという。 今後はこれらのデータを顧客に提供することで、顧客工場内における水管理の最適化を狙うとともに、サステナブルな開発を加速させていく。環境性能の高い装置を開発することで業界全体での地球温暖化対策を実現し、持続可能な社会を実現していくという。
コータ・デベロッパにおけるIoTやパワーデバイス向け最新製品RFシリーズ
次に、今回の目玉コンテンツでもある、コータ・デベロッパの新製品RF-200EX/RF-300EXが紹介されていた。 コータ・デベロッパとは半導体の回路や配線を形成する、製造の前工程で使用する装置だ。パターンを作るフォトレジストを塗る工程(コータ)と露光過程を経て不必要なレジストを取り去る工程(デベロッパ)が一体となっている。
RF-300EXは、現在主流となっている300mmウェーハに対するバリュー製品となり、パワーデバイス等に対応するために多くの薬液と薄ウェーハにも対応する。モールド樹脂と半導体チップの熱膨張率の差により生じる割れや配線ズレを防ぐために、柔軟で耐熱性があり樹脂との密着性にも優れたポリイミドを使用するが、その際に求められる厚膜塗布にも対応し、フレキシビリティに富んだ装置だ。
一方で国内ではまだ150/200mmウェーハを使用する工場も多い。RF-200EXは300mm製品で培った多段構成技術を150/200mm専用プラットフォームに搭載することで、高い生産性と省フットプリントの両立を実現している。ウェーハへの塗布処理時におけるレジスト消費量の大幅な削減、装置の稼働時における消費電力低減など、環境に配慮した装置となっているのも特徴だ。
会場では製品説明だけでなく、開発者のインタビュービデオも放映されていた。
RF-200EXの電気設計では、現場作業者とコミュニケーションをとることで改善点を見出したという。RF-200EX/RF-300EXの機械設計では従来よりもフットプリントが小さく、かつメンテナンス性がよい製品づくりを目指している。ビデオの最後には開発リーダーが登場。RF-300EXの本体開発は完了したものの、これはベースに過ぎないという。
同社の製品は顧客に合わせてカスタマイズを行うため、同じ機種でも納入先企業によって仕様が異なる。これがSCREENセミコンダクターソリューションズ製品の強みだ。そのためにエンジニアが顧客工場に出向き、カスタマイズに対応する。同社の製品は世界の主要半導体工場で使用されているため、グローバルな人材が必要で、人材育成・確保に注力していきたいと開発リーダーは言及していた。
新展示方法を加えた今回の展示会には明確な手ごたえ
今回のブースは間口を広く取り、入りやすくしたことに加え、製品模型を展示したことで多面的に装置をとらえられるようになるなど、さまざまな工夫が凝らされていた。
前田氏は、「SEMICON Japan 2023全体として前年よりも来場者数が増えていますが、当社のブース来場者数もコロナ禍前よりも増加しました。新製品に関しては、とくに省スペースで多種多様なプロセスに対応し、環境配慮性を向上させたRF-200EXに対する興味を持つ方が多くいらっしゃいました」と振り返る。
今後も展示会や学会などの多くの場で新製品や環境への取り組みなどの情報を発信し、半導体業界の関係者だけでなく、学生にもアピールしていくという。そうした活動は、10年後のありたい姿を定めた「経営大綱」でも掲げている、売り上げ1兆円(2033年3月期)に向けたもので、人材の獲得・育成・リテンションを行うという狙いがある。
SCREENセミコンダクターソリューションズは、創業当初から常に次の時代を見据えた製品開発を手掛け、長年にわたり半導体業界全体を支えてきた。昨今、業界全体の課題となっている環境負荷低減においても、次の時代に向けて真摯に向き合う同社の姿勢が今回の展示からうかがえた。今後も同社は長年培ってきた技術力と先導力で、業界を力強くリードしていくだろう。
企業プロフィール
株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ
〒602-8585 京都府京都市上京区堀川通寺之内上る四丁目天神北町1−1
TEL:075-414-7111
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