2023年11月15日、オンラインイベント「TECH+ EXPO 2023 Autumn for データ活用 データで拓く未来図」が開催された。各業界からの登壇者が、それぞれのビジネス領域におけるデータ利活用の重要性や、ビジネスに与える影響について語ったが、本稿ではその中から「生成AIのビジネスへの応用とその可能性」をテーマに、別所 貴英 氏(株式会社サテライトオフィス 取締役)が講演した「AI活用で実現する業務改革! 企業が求めるセキュリティとデータ活用」の概要を紹介する。
講演者
別所 貴英 氏 |
ChatGPTを利用しない企業は、淘汰される?
サテライトオフィスは、Google workspace、Microsoft 365など各種クラウドサービスの販売や導入支援、クラウドで利用可能な各種アドオンサービスの提供などを国内外で展開している。2023年10月現在クライアント企業は68,000社、アカウントは約2,000万にも上るという。
今回の講演で別所氏は、生成AI、特にChatGPTにフォーカスを当て、そのメリットとリスクについて語った。ChatGPTと言えば、情報の検索やまとめ、アイディア出し、文章の要約などに使う利用方法が話題となっているが、実はエンジニアが数時間かけなければ書けないプログラムも、わずかな時間でつくることができる。別所氏はChatGPTにつくらせた「ブロック崩しゲーム」を見せながら、「トップエンジニアの100倍ぐらいの仕事を、ChatGPTなら無償もしくは低コスト(有償版の月20ドル)でできてしまいます」と、IT人材不足やコスト低減にも貢献することを示した。
ChatGPTは最近、マルチモーダルに対応してテキストだけでなく、画像や音声を入力したり、出力を画像で行ったりできるようになるなど進化を続けているが、その生成のベースとなるのはインターネット上の情報だ。それゆえChatGPTが提示する情報というのは必ずしも正確とは言えない。そのことを念頭に、最終的なブラッシュアップや確認は人間が行う必要があると、別所氏は注意点を説明する。
とはいえ、これまで人間が行ってきた作業を短時間・低コストでこなしてくれるChatGPTのビジネスでの利用はますます進み、「利用しない企業は、残念ながら淘汰されていくと予想されます」と述べた。
企業でChatGPTを利用するにあたっての2つの問題点
「『じゃあ今日から私達の会社でも使おう』となったとすると、実は大きく2つの問題が出てきます。一つはセキュリティです」と別所氏は言う。ChatGPTは自己学習するAIなので、たとえば自社の技術開発に関する機密情報をうっかり入力すると、ChatGPTがその情報を「●●という技術が研究されています」のように、他ユーザーへの回答に利用してしまうリスクがある。また、ChatGPTの業務利用を企業として許可した場合、適切な情報管理が行き届かない状態、いわゆるシャドーITになってしまうリスクもある。
もう一つの問題は、従業員が機能を十分に活用できるかどうかという点だ。AIに質問や指示(プロンプト)を出すには、それなりのコツ、スキル(プロンプトエンジニアリング)が必要となる。全従業員がそうしたスキルを身に付けることは難しいため、一部の有識者がブラッシュアップしたプロンプトを社内で共有できるような環境をつくらなければ、効率的な活用を実現できないかもしれない。
セキュリティを最重視した「サテライトAI」
こうした不安要素を払拭し、ChatGPTのより便利かつ安全な活用を支援するために、サテライトオフィス社では「サテライトAI」というサービスパッケージを提供している(図1)。
「サテライトAIの設計思想として、一番重要視しているのがセキュリティです」と別所氏は、サテライトAI開発における3大ルール(図2)を説明した。ルールの1つ目は「入力内容をChatGPTに学習させない」ことだ。先に述べた通り、一般ユーザー向けのChatGPTでは入力されたデータをAIが学習して、他ユーザーへの回答に2次利用してしまうリスクがある。そこでサテライトAIでは、利用規約で「データが確実に保護され、AI学習されることはない」と明記されているOpen AIもしくはMicrosoft AzureのAPIを利用しているという。
2つ目は「機密情報を入力させない」だ。サテライトAIには禁止ワードをデータマスキングする機能が備わっている。クレジットカード番号、個人情報、リリース前の企業製品名のように漏洩すると大きな問題になる情報や、ヘイトハラスメントと捉えられるような不適切表現をフィルターで検知し、入力を防ぐことができる。
3つ目は「AIとのやり取りを消さない」、つまりログをとるということだ。一般のChatGPTをそのまま企業で利用する場合、管理者がいないため、誰がどんな内容を入力しているかを企業が把握できなくなり、セキュリティガバナンスが機能しないのと同じ状態になってしまう。サテライトAIでは、ユーザーが入力した情報はログとして保存されるので、退職したユーザーも含め、誰がいつ、どんな内容を入力していたかを確認することができる。万が一の際には入力内容をトレースしたり、ChatGPTの不用意な利用を抑止したりするのに役立つ。
2タイプの「サテライトAI」、それぞれのメリット
サテライトAIにはSaaSモデルとAzure統合モデルの2つがある。基本的にはどちらも同じ構成だ。SaaSモデル(図3)では、ユーザーがブラウザやチャットツールから質問すると、その内容はサテライトAIを通って、ここで禁止ワードチェック、ヘイトハラスメントなどの不適切表現のフィルターを行って、それをChatGPTに渡す。先述の通りデータ保護が担保されたAPI(OpenAI、Microsoft Azure用API)を利用するので安全性を保つことができる。 そして、すぐにサービスを利用できることがメリットだ。
一方のAzure統合モデルでは、構成はSaaSモデルと同じだが、接続先がユーザー企業のAzure環境になる。ユーザー企業の管理領域となるため、Azure上に置いてある社内情報をChatGPTで扱える。例えば「社内規定で●●はどの条項に定められているか、探して」といったローカルな質問にも、ChatGPTの機能を利用できる。また、ユーザー企業のAzure環境のため、サービス利用回数に応じた費用課金も必要ない。
機能・利用方法の紹介
また、講演では別所氏がデモを交えながら、次のような機能・利用方法を紹介した。
・プロンプト(質問文や指示文のテンプレート)の共有機能
・過去の質問の全文検索
・禁止ワードのフィルタリング
・ログ管理(CSV形式なのでExcelなどでの統計処理が簡単)
・社内で利用しているグループウェアのチャット機能から、ChatGPTに質問を投げられる
・メールでChatGPTに質問し、メールで回答をもらう(CCをつければ、社内外含めて質問・回答を共有できる)
・Word、PowerPoint、PDFなどのファイルをサテライトAIにアップロードし、ChatGPTで扱う
・社内ポータル(Microsoft Sharepointに対応)の投稿記事やドキュメントを、ChatGPTで扱う
・PC用からChatGPTを音声で利用
・スプレッドシート用の関数が用意されており、それを利用することで、ChatGPTの回答をスプレッドシート内に記載させることができる
別所氏は最後に、次のように語って講演を締めくくった。
「ChatGPTによって、生産性の高め方がより効率化されるだけではなく、働き方そのものが変わります。あらゆる企業が、今までと全然違う仕事のスタイルをとることになるわけですが、セキュリティやデータ活用の面で課題もあり、そのままだと利用が難しいところもあるでしょう――そんな時に我々のサテライトAIをご利用いただければと思います」
サテライトオフィス
■AI関連/クラウド関連に特化したインターネットソリューションベンダー■
さまざまなビジネスモデルに最適なソリューションパッケージを開発し、ユーザー目線に立った戦略の企画・提案を行っています。業界トップクラスの導入実績を持つGoogle WorkspaceやMicrosoft 365、LINE WORKS、ChatGPT など、AI関連ならびにクラウドコンピューティングに関わるビジネスの可能性を追求しています。
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