インターネットは現代社会で不可欠な役割を果たしており、ドットコム企業の市場は拡大し続けている。Webアプリケーション・サービスが早く動作し、快適に使えることが顧客や従業員の“エクスペリエンス(体験)”の向上に直結する。さまざまな場所、デバイスからのアクセスを想定し、快適かつ継続的なサービスを提供できる環境を構築することが極めて重要だ。
本稿では、VDI、DaaSソリューションやネットワーク製品をグローバルに展開するシトリックス・システムズ・ジャパン株式会社と、ITディストリビューターである株式会社ネットワールドに話を伺い、ADC(アプリケーション・デリバリ・コントローラー)の導入によりドットコム企業・エンタープライズ企業が得られるメリットについて確認していく。
日本のクラウド移行の現実。複雑化するITインフラがコストとセキュリティリスクの増大を招く
サービスプロバイダ、コンテンツプロバイダ、データセンターなどをビジネスとする、いわゆる“ドットコム企業”において、継続的で安定したサービス・コンテンツデリバリの提供は最優先のミッションであるといえる。アプリケーションにアクセスできなかったり、遅延が発生したりするとユーザーの満足度は低下し、サービスから離れてしまう可能性が高くなるからだ。
「近年ネットワーク負荷が高い動画などのコンテンツが増えているなかで、ドットコム企業のコアビジネスでは、“1ms”のなかでどれだけ多くのデータを取り扱えるのかが重要になります」と語るのは、グローバルな視点でドットコム市場とサイバーセキュリティの領域に携わる、シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社でプリンシバル・システム・エンジニアを務める足立 徹 氏だ。
「ドットコム市場をはじめ、あらゆる業界でインターネットの活用が加速し、クラウドネイティブへの移行が進んでいます。とはいえ実は日本国内ではクラウド移行に成功した企業は半分にも満たず、既存の環境とクラウド環境が混在するなどシステムが複雑化しています。また昨今では、ユーザーが多様な場所とデバイスでアプリケーションにアクセスすることが当たり前となり、アクセス経路も複雑化しています。このように複雑化したITインフラは、運用負荷及びコストの増加に加え、セキュリティのリスク増大も招くことになります」(足立氏)
ITインフラの課題を解決するため、ネットワーク製品やセキュリティ製品などを多段に組み合わせて対応するといったアプローチでは、さらなるシステムの複雑化を招いてしまう。その結果、運用リソースが増大してコアビジネスに注力できない状況に陥ると警鐘を鳴らし、「ITインフラをできるだけにシンプルにし、運用を自動化していくことがユーザーの満足度向上につながります」と話を展開する。
業界をリードするNetScaler、ハイパフォーマンスと強固なセキュリティを両立
こうしたシステムの複雑化を解消し、アプリケーション・サービスへの快適かつ継続的なアクセスを実現するためのソリューションとして注目されているのがADCだ。L4(トランスポート層)-L7(アプリケーション層)のロードバランサー機能を中心に、高速化やセキュリティ強化といった機能を包括的に提供する。
なかでもシトリックス・システムズが提供するADCソリューション「NetScaler」は、インターネット黎明期から提供され、高速化・可用性・セキュリティ面で多様な機能を備えている。20万以上のWebサイトの導入実績を持ち、大手ECサイトやトレーディングサイト、ニュース配信サイトなどの快適化に貢献している。1997年にHTTPアクセラレーター「WebScaler」としてリリースされてから進化を続け、高速化の技術は業界トップクラスを誇る。
NetScalerはms単位での膨大なトラフィック制御を実現する。ロードバランサー(負荷分散装置)としての機能はもちろん、ネットワークの可視化やアプリケーションのパフォーマンス監視といった機能も実装。さらにアプリケーションとAPIのセキュリティを強化するための機能も網羅している。足立氏は、NetScalerのセキュリティ機能について次のように語る。
「NetScalerは企業のネットワークトラフィックを監視・制御し、どのような端末をどのような状態で使っているのかを調べることが可能で、他社のセキュリティ製品と組み合わせたエコシステムのような形で対策を講じることができます。ゼロトラストを実現するための機能も充実しており、Citrixが提供するDaaS+SPA(Secure Private Access)との連携により、さらに大きな効果が期待できます」(足立氏)
NetScalerは、物理アプライアンス、仮想アプライアンス、コンテナベースプラットフォームなど、企業のニーズに合わせて豊富なラインナップを用意している。すべての利用形態は1つのソフトウェアコードで提供されるため、異なるプラットフォームを統合的に管理することが可能だ。ハイパフォーマンスを実現し、ユーザー満足度を向上させるとともに、インフラ運用の負荷を軽減することで、さらなるサービスの品質向上などコアな業務に専念できるようになる。
さらにNetScalerはインフラ運用形態の変化に合わせて自由に付与できる柔軟なライセンス形態の提供を予定しており、クラウド移行により発生するライセンスコストの増加も抑制できる。
スピードと継続性を実現し、多くの企業のコアビジネス成長を後押し
ここまで述べてきたように、NetScalerはすでに多くの企業に導入されている。たとえば海外の大手ショッピングサイトでは、ADCやセキュリティ対策を含んだシステムを自社開発したことでサービス品質が低下してしまい、運用負荷も増大していたところ、NetScalerの導入により課題を解決。ADM(Application Delivery Management)でネットワーク状況を可視化することで、遅延時間を約10分の1に改善したほか、サービスの可用性向上も実現している。
またGPSサービスを提供している事業者など、セーフティクリティカルなビジネスにおいても、トラフィックを監視することで継続性を担保するNetScalerは見逃せない選択肢といえ、導入企業は増加傾向にあるという。
このほかにも、従来のL4ロードバランサーの性能に限界を感じていたコンテンツプロバイダがNetScalerを導入し、HD映像配信のサービス品質向上と、消費電力やラックスペースの抑制によるコスト削減を実現した事例や、サイロ化したアプリケーションインフラの効率化を実現した事例など、多くの企業がNetScalerのメリットを享受している。
NetScaler再始動。ブランド回帰に込められた思い
グローバルでは知名度の高いNetScalerだが、日本国内においてはVDIソリューションなどCitrix製品向けのADCという印象が強かった。2018年から「Citrix ADC」として提供されていたが、2023年4月にあらゆる企業のビジネス課題を解決する統合的なネットワーク・セキュリティソリューションとしてのNetScalerブランドが再始動している。
25年にわたりCitrix製品のディストリビューターとしてビジネスを展開するネットワールドとシトリックス・システムズ・ジャパンは、NetScalerブランドに回帰したことを機に連携を強めている。ネットワールドの久保 海斗氏は、ブランド回帰によってより幅広い国内企業がADCの導入を検討するフックになることを期待している。
「NetScalerは、ADCの導入を検討している企業が想像しているより高い性能を備えたソリューションだと考えています。ドットコムビジネスのエクスペリエンス向上はもちろん、クラウドネイティブへの移行を進めている企業や、ゼロトラストなど最新のセキュリティ対策を講じたい企業にも大きな導入効果が期待できます。今後はシトリックス・システムズ・ジャパンやパートナーと協業し、ADCは不要と考えている企業に向けてもNetScalerのメリットを周知していきたいと考えています」(久保氏)
「Citrix VDI環境の快適化とセキュリティ強化を実現するADCという位置付けに加え、ドットコム企業・エンタープライズ企業のコアビジネス成長を後押しするADCとしても提供していきたいと考えており、ネットワールドやパートナーと連携しながら技術的なサポートを含めて支援していく予定です。PoV(PoC)も提供しているので、まずはNetScalerが提供する価値を体感していただければと思います」(足立氏)
シトリックス・システムズ・ジャパンとネットワールドのパートナーシップにより、NetScalerの国内展開が加速していくことは間違いない。国内企業のビジネス発展を支える両社の取り組みと、市場のニーズに合わせて機能拡充を推進するNetScalerの進化には、今後も注視していく必要がありそうだ。
[PR]提供:ネットワールド