2023年8月に創業50周年を迎えた株式会社マイナビ。人材サービス事業やメディアサービス事業をはじめ、多様なビジネスを展開する同社では、今後の50年、100年先の未来を見据え、デジタル変革の進歩に適応し、テックカンパニーと呼ばれるくらいのアセットと体制を持つ企業への変革を進めています。この全社的な取り組みを担う組織の1つとして、2022年10月にデジタルテクノロジー戦略本部を設立。ITエンジニア、デジタルマーケターといった専門職が事業部門と密接に連携し、全社横断的なプロジェクトで活躍できる環境を構築しています。本稿では、マイナビが目指す未来像と、その実現に向けた取り組みについて、デジタルテクノロジー戦略本部 本部長の坂本一弘氏に話を聞きました。

  • 【写真】株式会社マイナビ デジタルテクノロジー戦略本部 本部長 坂本 一弘 氏

    株式会社マイナビ デジタルテクノロジー戦略本部 本部長 坂本 一弘 氏

予測不能な時代でも前に進んでいけるきっかけを作りたい、そんな思いを込めたマイナビのパーパス

――創業50周年という節目を迎えますが、そのなかでマイナビが培ってきた企業カルチャーや強みについて、どのようにお考えでしょうか。

就職、転職、アルバイトといった人材サービス事業をはじめ、ウエディング情報や農業、生活情報などを提供するメディア事業など、あらゆるサービスを展開してきたなかで培われたのは、“さまざまなチャレンジを容認する“という企業カルチャーだと思います。

当社は創業50周年を迎え、企業規模が拡大した現在でも、社員の平均年齢は30代前半と若さをアドバンテージとしていますが、そうした若いメンバーにある程度の裁量権を与え、既存サービスの改善や、新たなサービスの開発などに参画できる文化を醸成しています。もちろん、成功もあれば失敗もありますが、若いうちから、さまざまな事業をまたいでチャレンジができるのは大きな強みだと思っています。

――全社的なパーパスとして「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。」が掲げられていますが、このパーパスに込められた思いと、その実現に向けてデジタルテクノロジー戦略本部が担う役割についてお聞かせください。

近年の日本社会は、将来のキャリアや生き方が予測できないVUCAの時代と言われ、今後も予測不能な混沌とした状況が続くと考えられています。そのなかで、社会に対して企業として何ができるか、企業としてどういった方向に進むべきかを、「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。」というパーパスのなかに込めています。

当社の思いとしては、人にはさまざまな可能性があり、私たちのサービスがきっかけを作ることで、全員に前に進んでもらいたい― マイナビという会社はそのために存在しています。またサービスを利用するユーザーはもちろん、社内においてもさまざまな可能性に向き合ってもらいたいと考えており、私たちのパーパスに共感し、人々の可能性を広げるサービスを提供できる人と一緒に働いていきたいという思いも込められています。

【参考】マイナビのパーパスについて

https://www.mynavi.jp/company/philosophy/

このパーパスは、経営方針や事業推進の変革を含めて全社的に実践していくものですが、その実現を「デジタル技術の活用」という側面から支援するための、ひとつのピースとして生まれたのがデジタルテクノロジー戦略本部です。

当社が提供している50以上のサービスには、エンジンとなるテクノロジーが必要不可欠です。これまではドメインごとに裁量権が与えられ、サービスの開発・運用、マーケティングを行う一種の“縦割り構造”で事業を展開してきました。事業ドメインに対する対応は今まで通り必要ですが、それだけでは予測不能な未来に対応することは困難です。現代のビジネスでは、市場のニーズに柔軟かつ迅速に対応できるスピードが求められています。

こうしたニーズに対応していくには、今まで以上のスピード感で推進していくためのテクノロジー、そしてドメインを横断してより大きなスケールで前に進めていくデジタルマーケティングが必要不可欠です。私たちデジタルテクノロジー戦略本部はこうした役割を担っており、「Drive Digital Innovation(デジタル・イノベーションの推進)」をミッションに掲げて業務を推進しています。

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全社横断的なサービス基盤の構築・運用を担う、デジタルテクノロジー戦略本部の役割

――デジタルテクノロジー戦略本部の良さや強みについてお話しいただけないでしょうか。

先に述べた、やりたいことにチャレンジできる当社のカルチャーはデジタルテクノロジー戦略本部においても強みです。ドメインをまたいだ横断的なプロジェクトに参画できるチャレンジングな環境は、若いエンジニアやマーケターにとって非常に魅力的だと思います。全社で使用している1万人規模の業務を支えるITインフラに触れられることや、最先端の技術を積極的に活用できること、さらに若いうちから数百億円の予算で推進する大規模プロジェクトに携われる組織はそう多くはありません。

――組織の規模感について現状をお聞かせください。

現状では約500人体制で業務にあたっており、今後2~3年かけて1,000人規模の組織に拡大していきたいと考えています。人数を増やすことを目的とはしていませんが、さまざまなドメインからの要望に対応し、既存サービスの改善や新規サービスの立ち上げなどを行うには、イノベーションを創出できる人材やエンジニアなど、まだまだ多くの人材が必要になると思っています。

――デジタルテクノロジー戦略本部ではどういった人物像を求めているのでしょうか。

「デジタル・イノベーションの推進」というミッションの実現には、変動的で不確実な環境下でも強い挑戦意欲を持ち続けられる人が必要だと考えています。近年は、テクノロジーやマーケティング領域の変化が早く、たとえばAIの分野では、誰もがAIを扱えるようなサービスが登場したことで、これまでAIに関わってきた人たちは新たな挑戦をしなければ生き残れなくなっています。

またWebマーケティングで広告の運用を担ってきた人も、広告運用を高効率に自動化するサービスが普及したことで、仕事が失われつつあります。このようにテクノロジーの進化に伴い、さまざまな業務シーンで変化が生じているなか、それを前提に何をすればよいのかを日々考えながら仕事に向き合うことができ、変化を受け入れ楽しみながら柔軟に新たな領域にチャレンジできる方と一緒に仕事ができるとベストです。最新技術を扱えるスキルを持っていることももちろん重要ですが、そうした技術をどのようにサービスに落とし込めばイノベーションを生み出せるのかを考えられる人材が必要だと考えています。

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全社横断型のプロジェクトでAIやデータ利活用を推進。未来を見据えてマイナビの取り組みは続く

――デジタルテクノロジー戦略本部という立場から、今後マイナビが、ユーザーに対してどのような価値を提供していけるとお考えでしょうか。

当社では、「運用」「成長」「変革」という3つのカテゴリから推進していきます。大前提として、既存のサービスは安定的に提供し続け、ユーザーに安心して利用してもらえる環境を作っていく。これが「運用」におけるミッションです。また「成長」の領域では、現状のサービスをより良くしていくために、UI/UX、CXといった観点からサービスを作り込んでいくことが必要になります。

そして、最終的に当社が注力していかなければならないのが「変革」の領域です。テクノロジーとマーケティングの領域を掛け合わせることでイノベーションを創出し、CX、すなわち顧客体験の向上を図っていくことを大きな目標としています。その実現に向けて、デジタルを用いた業務改革や、社内に蓄積されたデータの利活用といったDXの取り組みも進めています。

――さまざまな領域でサービスを展開するマイナビには膨大なデータが蓄積されていると思いますが、データ利活用における現状についてお聞かせください。

AIを活用した業務改善、業務改革という観点でのデータ利活用は進んでいます。たとえば人材事業における求人、メディア事業における記事は、過去のデータから自動で作成できる仕組みを構築できています。我々のビジネスプロセスでは、リボンモデルと呼ばれるマッチング形式のメディアが多いのですが、マッチングの自動化もある程度まで進んでいます。

さらに今後は、ユーザーのデータを活用して顧客体験の向上につなげていくことが大きなテーマです。これが実現すれば、当社が目指すべき未来に近づいていけると考えています。ただし人材事業で扱うデータは非常にセンシティブなため、匿名化など先進的な技術を用いて、ユーザーが安心できる使い方を模索していく必要はあります。

――これまでのお話を踏まえ、マイナビの今後の展望についてお聞かせください。

ITやテクノロジーを用いて優れた顧客体験を提供する企業への進化を推進しつつも、既存サービスの変革についても様々なイノベーションを付加していく必要があると感じています。

すでにAIの領域では企画部門、IT部門、データサイエンティストのフュージョンチームを構成し、全社横断型のプロジェクトが動いており、Web3.0やメタバースといった領域でも全社的な取り組みが始動しています。さらに当社の強みといえる、さまざまなドメインで収集したデータの利活用についても注力しています。これからも、誰もがやりたいことにチャレンジできるカルチャーを活かし、ユーザーが自身の可能性と向き合えるサービスを提供していきたいと考えています。

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