AI解析・ディープラーニングの領域で、ワークステーションの需要が広がっている。しかし、製品ライフサイクルが短いワークステーションは、陳腐化のリスクが伴うため、導入のハードルが高く、一度所有すると、開発リソースが固定化されてしまうデメリットもある。そこで注目されているのが、ワークステーションのレンタルだ。今回は、IT機器・測定器のレンタルサービスを提供するオリックス・レンテックと日本HPの担当者に取材を行い、AI開発現場でのワークステーションのレンタル活用のメリットについて話を伺った。
AI開発インフラとしてのワークステーション
ビジネスにおけるAIの活用領域が広がるいま、生産性を向上させるためには、開発環境の最適化が求められる。AI解析・ディープラーニングを用いた開発を行う現場では、膨大なデータを処理できるGPUによって、学習速度を上げ、開発効率を高めていく必要がある。
そうしたなか、開発インフラの選択肢としてあがるようになってきたのが、高性能なGPU を搭載したワークステーションである。オリックス・レンテックの石原稔氏はこう話す。
「一般的な業務PCではスペックが足りず処理を実行できないという声があります。その一方で、GPUを組み込んだハイエンドサーバーはオフィスやラボに設置しにくい。その隙間を埋める最適なインフラとしてワークステーションが注目されているのです。筐体がサーバーよりも小さく、100V電源が主流であるワークステーションは、設置場所に縛られず、自分の手元に実機データを置きながら、より柔軟で安全な環境を構築できるメリットがあります」(石原氏)
GPUボードを複数台搭載できるタワー型ワークステーションを導入することで、AI解析・ディープラーニングをエッジ環境で行えるようになる。
このような開発環境が普及しつつある背景について、オリックス・レンテックの桜井紀明氏はこう説明する。
「ディープラーニングはもちろん、ローカル5G環境やスマートシティの大規模データの分析処理、デジタルツイン上での複雑な解析処理など、いかに高速かつ精度の高いシミュレーションを行うかが重要です。従来データセンターでおこなっていたデータ分析や判断業務を、ワークステーションを利用しエッジ環境で実施することで、さまざまなIoT機器から発生する大量のデータにより近いところで、リアルタイムにデータ処理・分析を行うことができ、データの賞味期限切れを防ぎ迅速なアクションを起こすことが可能になります」(桜井氏)
ワークステーションの導入に立ちはだかる壁
ワークステーションの購入には大きく分けて3つの課題がある。1つ目が「製品ライフサイクルの短さ」だ。GPUを含めたハードウェアの性能向上のスピードは速く、2~3年程度で陳腐化してしまう。最新のGPU性能が求められるAI解析・ディープラーニング開発において、ベストな環境を常に保てないのは大きなデメリットと言える。
「一度GPUや、搭載するワークステーションを購入すると、最低でも償却期間は使い通さなければコストに見合いません。この制約により、“最先端の研究開発をしているのに、最新の機器を使えない”という企業も少なくないのが現状です」(石原氏)
2つ目は「リソースの可変性の低さ」だ。開発の初期~検証フェーズでは、それぞれ必要とされるリソースが異なるものの、一度所有してしまえば、柔軟な変更ができない。一定期間リソースが固定されてしまうと、無駄が生じてしまい、開発効率の低下を招くこともある。
3つ目は「導入ハードルの高さ」だ。高価なGPUを資産として購入するとなると、社内稟議から手配・発注後納期など、導入までにかなりの時間を要する。ハイエンドなGPUほどコストもかかり、導入のハードルは高くなる一方だ。
レンタルの利用でワークステーションのメリットが最大化
そこで活用したいのがワークステーションのレンタルだ。すでにPCレンタルは「所有から利用へ」のトレンドを受けて、多くの企業に採用が広がっている。資産をオフバランス化(固定費を変動費化)することで経営の効率化が図れるため、ステークホルダー向けの企業改革の1つとして採用されることもある。
「ワークステーションをレンタルするメリットは、初期費用を抑えながら、GPUをはじめとした最新コンピューティングリソースを必要に応じて柔軟に利用できることにあります。一般的なPCよりも高価格で、性能進化が速いワークステーションこそ、レンタルで利用するメリットはより高まります。また、リソースが逼迫する時期を見計らって数日単位で利用したり、プロジェクト期間のみ利用したりといった使い方もレンタルであれば実現できます。初期コストも抑えられるため、資産購入と比較し導入障壁を下げることが期待できます」(石原氏)
オリックス・レンテックが提供するワークステーションレンタルは、こうした一般的なメリットに加えて、独自の強みもある。オリックス・レンテックの仲野和弥氏はこう説明する。
「当社のレンタルの強みは調達力にあり、計画的に在庫を持つことにより昨今の半導体不足など市況の影響も最低限に抑えることができます。また、ラインアップが豊富でさまざまなベンダーの製品を取り扱っていることが強みの1つです。モバイルワークステーションからタワー型ワークステーションまで、用途やニーズに応じた製品の提供が可能です」(仲野氏)
また、グラフィックボード単体でもレンタルできるので、一時的にリソースを足して、不要になったら返却するといった柔軟な運用も可能だ。必要に応じてリソースを調達することで、設備投資の最適化を図ることができる。
「代替機の提供や、使い終わったあとの廃棄・買い取り、情報漏えい対策まで含めてサービス化しています。また当社は測定器のレンタルもおこなっておりセットでの提供も可能です。測定器レンタルは、IoTやAIのためのセンサーデータ取得で人気が高まっており、ワークステーションとセットでレンタルすることで幅広いニーズにお応えできます」(桜井氏)
ワークステーションのニーズは、開発現場だけにとどまらず、最近ではビジネスシーンでの活用も増えている。
「PCの代わりにモバイルワークステーションを利用することで、画像データやWeb会議などの画面表示・操作がスムーズになり、複数のアプリケーションを起動しても処理速度が遅くなりにくく、業務の生産性向上につながります。最近ではオフィス業務で利用しているノートPCからの切り替えを検討されるお客さまも多く、軽く持ち運びしやすい14インチのモバイルワークステーションも人気です」(仲野氏)
最大4基のグラフィックボードを搭載可能な「HP Z8 Fury G5 Workstation」
オリックス・レンテックが取り扱うワークステーションのなかでも特に注目したいのが、2023年4月に発表された日本HPの新製品「HP Z8 Fury G5 Workstation」だ。インテルの最新Xeon W9プロセッサー(開発コード: Sapphire Rapids)と、NVIDIAのGPU「RTX 6000 Ada」を搭載した高性能デスクトップワークステーションであり、ニーズの高まるローカル環境・エッジ環境でのGPU利用に応えるために新たに設計されたモデルとなる。日本HPの大橋秀樹氏はその魅力をこう語る。
「最大56のCPUコアと、GPUとして最大4基のNVIDIA RTX 6000 Adaを搭載可能です。電源ユニットは2台構成になっていて、連結して2250W(1125W×2)を供給したり、一方のユニットをフェールセーフの冗長バックアップとして使用したりできます。冷却性と静音性を維持するためのスマートファン制御も特徴で、20個を超える温度センサーでリアルタイムにファン速度を調整し、通気孔とダクトによってエアフローと熱除去を効率化しています」(大橋氏)
レンタルサービスでは、このZ8 Fury G5 Workstationのほかにも、搭載GPUが少ない分利用しやすい「HP Z4 G5」や、モバイルワークステーションなど豊富なラインアップから導入機器を選択できる。最短5日からレンタルが可能だ。
石原氏と大橋氏は「HPとオリックス・レンテックが協力することで最新テクノロジーをスピーディーに柔軟なかたちでお届けします。ますます盛り上がる市場ニーズに応えていきます」と口を揃える。
AI時代において、ワークステーションは再定義されつつある。レンタルを利用してその価値をぜひ確認いただきたい。
関連リンク
HP Z8 Fury G5 Workstation
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