デジタルテクノロジーが進化を続け、ビジネスにスピードと柔軟性が求められるようになった今、アプリケーションのモダナイゼーション、すなわち迅速なデプロイ/デリバリーと継続的な改善は不可欠といえる。こうした状況をふまえて、ヴイエムウェアは、マルチクラウド環境でのコンテナ運用を支援し、モダンアプリケーション開発環境を構築する「VMware Tanzu」と、マルチクラウド環境におけるIT運用管理を最適化する「VMware Aria」のプラットフォームの連携強化を発表した。
ビジネスの成功に不可欠なモダンアプリケーションの開発・運用・最適化を支援
現代のビジネスで競争力を維持するためには、アプリケーションを重視した企業戦略が重要となる。2021年にヴイエムウェアがグローバル企業を対象に実施した調査によると、アプリケーション戦略(モダナイゼーションとマイグレーション)を最優先事項と捉える企業は92%に及んでおり、多くの企業がKubernetes(コンテナ)、OSS、マルチクラウドなど新しいテクノロジーを積極的に採用し、ビジネスを加速させている。
ヴイエムウェア株式会社 マーケティング本部 チーフストラテジストの渡辺 隆 氏は、昨今のビジネスにおけるクラウド活用の現状と、クラウド上で展開するデジタルサービス/モダンアプリケーションの重要性について次のように語る。
「ITが生活やビジネスに浸透した現在、企業において複数のパブリッククラウドを使うのは当たり前という時代になってきています。そこにどのようなデジタルサービス、アプリケーションをのせていくかというと、データセンターで動かしていた既存のレガシーアプリをのせかえるというのが1つ。一方で、いわゆるDXの取り組みとして、クラウドネイティブなアプリやデジタルサービスを開発していこうという流れが加速しています」(渡辺氏)
ヴイエムウェアでは、こうした変化に対応するため、VMware Cloudソリューションを提供してオンプレミスからクラウドへの移行を支援してきた。今回発表したVMware Tanzu とVMware Aria プラットフォームの連携強化は、クラウドネイティブなモダンアプリケーションの開発・運用・最適化を支援するためのものと渡辺氏は説明する。
「クラウドネイティブなアプリ開発への移行は、多くの企業にとって喫緊の課題といえます。このため、アプリをできるだけ早くリリースしてユーザーに使っていただきながら継続的に改善、最適化していくことが重要になります。その一方で、マルチクラウドが当たり前になったことで、ツールの選択やコスト、セキュリティなど、アプリケーション開発と運用管理が複雑化しているという課題も顕在化してきています。こうした課題を解決するソリューションが、今回発表したVMware Tanzu とVMware Aria プラットフォームの連携強化になります」(渡辺氏)
VMware Ariaのソリューションアーキテクトであるヴイエムウェア株式会社 クラウドマネジメント技術部 部長 の京野 英司 氏は、VMware Tanzu とVMware Ariaを連携させることでどのように支援できるようになったのか以下のように話す。
「これまで当社では、ネイティブクラウドのモダンアプリケーション開発に移行したいという企業に対しては、VMware Tanzu でのアプリの開発・運用、 VMware Aria でのマルチクラウドの運用管理と、個別のご提案・対応になりがちでした。今後は、2つのソリューション間連携を強化し、アプリケーションの開発・運用からそれらを支えるクラウドプラットフォームの構築・運用までライフサイクル全体を統合的にご支援していきたいと考えております」(京野氏)
企業が直面する「コスト」と「セキュリティ」の課題
前述したとおり、DXに取り組み、複数のパブリッククラウドを利用してビジネスを展開するマルチクラウド戦略に舵を切る企業が増加しているが、京野氏は、多くの企業が課題と捉えているものとして「コスト」と「セキュリティ」を挙げる。
「昨今では、パブリッククラウドサービスの利用には非常に多くのコストがかかります。そのうえ、部署やプロジェクトごとで個別にクラウドサービスを利用していると、どこにコストがかかっているのかが見えづらく、どのように最適化すればいいのかわからないというケースが少なくありません。担当者目線では問題なくても、CIOやCDO目線では複数のプラットフォームを使うことによる課題も見えてきます。マルチクラウド全体を俯瞰した『見える化』ができていないため、コストの最適化やセキュリティの担保が難しくなっています」(京野氏)
渡辺氏も「パブリッククラウドは自由度が高い反面、1つ設定を間違えるだけで重大なセキュリティリスクに直面してしまいます。同じクラウドサービスを事業部門ごとに運用管理しているケースも多いなかで、統合的な運用管理を実現するのは非常に困難なミッションといえます」と語る。
マルチクラウド環境全体を「見える化」し、クラウドネイティブアプリケーションのライフサイクルを管理
こうしたマルチクラウドの運用管理における課題をVMware Tanzu +VMware Aria プラットフォームは解決し、ビジネスの競争力を高める。VMware Tanzu Application Platformをベースとしたアプリケーションプラットフォームと、マルチクラウド環境全体を見える化できるVMware Aria Hub powered by Aria Graph(以下Aria Hub)によるデータプラットフォームを共通基盤とし、クラウドネイティブアプリケーションの開発・運用・最適化と、コスト/性能/セキュリティの継続的な改善のライフサイクル全体を統合的に管理。プラットフォームエンジニアリングチームの体制構築までをカバーする。開発者体験(DevEX)の向上やアプリケーションランタイム部分の支援、コストやセキュリティの最適化も実現。これにより、導入企業はマルチクラウド環境の統合管理とアプリケーションデリバリーの高速化といったメリットを享受できる。
「VMware Tanzu +VMware Aria プラットフォームは、マルチクラウド上でのアプリケーションの統合管理というニーズに対するヴイエムウェアからの回答の1つとなります。アプリケーションプラットフォームの部分でクラウドネイティブアプリケーションの開発・実行を支援。データプラットフォームの部分はパブリッククラウドの健全性や動作しているアプリケーション、コスト、セキュリティなどさまざまなデータを集約して『見える化』。担当者やCIO、CDO、経営層は、それぞれの役割に応じて見たい情報にアクセスできるようになります。さらにオンボーディングから実行におけるセキュリティガードレールの考え方も取り入れており、Aria Guardrailsという機能を用いて、クラウド環境の柔軟性を維持したままセキュリティを担保できる仕組みを提供しています」(渡辺氏)
「Aria Hubのイメージとしては、Webブラウザや検索エンジンのよい部分をマルチクラウド環境に適用させたような機能です。インターネット空間に散らばった世の中の情報へブラウザを通じて簡単にアクセスするように、Aria Hubはアプリ・クラウド空間で生み出される大量のデータを集約し、それらを活用するためのハブとして開発者・運用管理者・エンドユーザーを繋ぎます」(京野氏)
マルチクラウド上のアプリケーションライフサイクルを管理するVMware Tanzu +VMware Aria プラットフォームでは、開発の前段階における開発者のストレスも解消できると京野氏。
「開発プラットフォームを利用するまでのプロセスを自動化・効率化できるのもポイントです。セキュリティガードレールの考え方で、望ましいセキュリティ設定が施された開発環境をテンプレートとして自動で構成し、アカウントも自動的に払い出すことで開発スタートまでの時間を大幅に短縮します」と説明する。
渡辺氏も、特にエンタープライズ企業では開発前の準備工程(オンボーディング)にかかる時間が従来のオンプレミス環境と変わらないことが課題となっていると語り、さらに準備工程から適切なセキュリティ設定を適用できることが本ソリューションの大きなメリットと力を込める。
実績のある仮想化・抽象化技術を活かし、マルチクラウド戦略に資するソリューションの提供を続ける
ここまで述べてきたように、VMware Tanzu +VMware Aria プラットフォームの組み合わせは、マルチクラウド環境及びクラウドネイティブなモダンアプリケーション開発における課題の解決に大きな効果を発揮する。渡辺氏は今後もマルチクラウドの効果的な活用と、アプリケーションのモダナイゼーションを包括的に支援すべく同社の取り組みについて、次のように語る。
「日本企業においてもマルチクラウドへの理解は進んでおり、コストやセキュリティを含め、部門やプロジェクトの要件に合ったクラウドサービスを選択するケースは増えてきています。一方、アプリケーションに関してもレガシーアプリのクラウド移行に取り組む企業は増加傾向にありますが、たとえばvSphereで動いているものをそのままIaaSに動かしただけでは新たな価値は生まれません。このため、クラウドネイティブなアプリケーションを作りたい、コンテナを使ってAPIベースで開発を行いたいといった、モダナイゼーションのニーズも高まってきています。こうしたニーズに応えるため、今後もVMware TanzuとVMware Ariaの連携強化と機能の拡充を図るとともに、プラットフォームエンジニアリングチームの構築、すなわち人材育成に領域についても支援していきたいと考えています」(渡辺氏)
京野氏は、VMware TanzuとVMware Ariaの連携ソリューションを、エンドユーザーだけでなく、パートナー企業にも周知していきたいと今後の展望を口にする。
「パブリッククラウドのメリットを最大化するために内製化の動きも出てきていますが、日本企業の多くではシステムインテグレータ様との協業により、自社システムを運用される割合が多いのも特徴です。このためパートナー企業は必然的に複数のクラウドプラットフォームを構築・運用することになり、マルチクラウドを統合的に管理できるVMware Tanzu +VMware Aria プラットフォームへの関心は高いと考えています。今後は、エンドユーザー様はもちろん、パートナー企業様にもこのソリューションが目指す世界を知っていただき、アプリケーションのモダナイズと、それに伴うプラットフォームの抽象化を支援していきたいと思います」(京野氏)
ヴイエムウェアでは、Aria Hubの Free Tier (無償版)を提供している。アカウント数など一部に制限はあるものの、セキュリティガードレールの機能を含み、マルチクラウドの統合管理を無償で利用することが可能だ。コストやセキュリティを含めたマルチクラウド環境の最適化や、モダンアプリケーションのライフサイクルの効率化を図りたい企業は、 Free TierでAria Hubがもたらすメリットを体験し、VMware TanzuとVMware Ariaの導入を検討してみてはいかがだろうか。
ヴイエムウェアのアプリケーション バリュー パートナーは、開発、デリバリーや運用における効率化・迅速化を支援し、App モダナイゼーションを軸としたビジネスへの移行を支援しています。詳細は、VMware Cloudナレッジ内バリューパートナー紹介ページをご確認ください。
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