ビジネスを取りまく環境が刻々と変化するなか、企業、とりわけIT部門が重要視すべきビジネスPCの選定基準にも変化はあるのだろうか。マイナビのIT部門においてPC選定を担当するデジタルテクノロジー戦略本部 コーポレートIT統括部長の八角雅明氏、TECH+編集長 小林行雄、さらに、インテルでテクノロジー・エバンジェリストを務める坂本尊志氏を交えた三人の座談会から、現代のビジネスシーンにおけるPC選定のポイントを紐解いていく。
コロナ禍を経て変わったビジネスPCの選定要件
小林 世の中的に2020年前半からずっと新型コロナウイルスの問題があり、ビジネスでもテレワーク・在宅勤務が推奨されて、企業のIT環境は大きく変化しました。その中でIT部門も、テレワークをどう実現するかで頭を悩ましてきたことと思います。
八角 はい。たしかにコロナが広がり始めた最初の半年は、VPN接続やWeb会議ツールの準備など、在宅勤務が可能な環境を整えるところにアクセルを踏んでいた印象があります。 実際に在宅勤務がある程度軌道に乗ってから、今度はその在宅勤務をセキュアかつ安定して実施できるようにするため、社員向けPCの交換も行いました。とにかく、パンデミック下の要請に応じたデジタルワークプレイスの整備に注力してきた3年だったと、いま振り返って実感します。
現在は、在宅勤務を当たり前に行える世界がすでに出来上がり、これから先は運用面で負荷がかかっている部分を改善したり、セキュリティ面で足りない部分や過剰な部分を調整したりと、最適化を進めていく段階に入りました。
小林 誰も体験したことのない未曾有の事態だったわけで、大変苦労したことでしょう。その中でビジネスPCに注目すると、在宅勤務でビデオ会議がスムーズに表示されないなど、PCのパフォーマンスに関する問題が出てきていたと思います。もちろん家庭のネットワークが貧弱であったり、Web会議ツールの機能もまだ十分でなかったりという事情はありますし、会社側としても突然の出来事に対してそこまでコストをかけられなかったことも理解はするのですが。いずれにせよそうした対応をする中で、ビジネスPCの選定に対する考え方は変わりましたか?
八角 変わりました。というより、変わらざる得ない状況になっていると思います。要するに、働き方の多様化への対応です。以前はすべての仕事が、物理的にもネットワーク的にも会社のセキュリティの内側で行われていたわけですね。それが在宅であったり外出先であったり、ロケーションが多彩になったので、当然ネットワーク面での施策は打たなければならないのですが、それだけでなくPCに求めるセキュリティの要素も期待値が大きくなっています。
一方、IT部門としてのPCサポートの面でも、以前であればPCの調子が悪いと聞けば同じ社内で見にいくこともできたわけですが、テレワークとなるとどういう状況にあるのかまったく見えません。ですから、PC自体のパフォーマンスの高さといいますか、安定動作という部分にスポットが当たってきます。
小林 より安定したパフォーマンスを発揮することに加えて、バッテリー効率の面でもパフォーマンスが高いというのは昔からノートPCに求められてきたことですよね。
現代のビジネスPCにインテル® vPro® プラットフォームが果たす役割とは
八角 これまでPCを選ぶときは利用者のリクエストを最大公約数的に取りまとめていましたが、ワークプレイスが変化したいまは管理者側の必要性という要素も大きくなってきていると感じます。
具体的にいうと、いままでキッティングをはじめとするPCの設定は、誰かしらがオンサイトで行っていましたし、故障時もPCを直接持ってきてもらい対応しました。ただ今後は、先ほどのセキュリティの話とも共通しますが、在宅勤務の浸透でオンサイトに頼る運用は難しくなります。そうしたとき、人間が直接触るキッティングやトラブル対応から何とか脱却できないかという話は、管理者側の話題として議論されています。
小林 ここまで出てきた話についていうと、インテル® vPro® プラットフォームは2006年に登場して以来、すでに20年近くに及ぶインテルのノウハウが存分に組み込まれており、「バッテリーの持ちでいえばやはりインテルのCPUだよね」というのはビジネスシーンでもコンシューマーユースでも常識になっていると感じています。また、インテル® アクティブ・マネジメント・テクノロジー(インテル® AMT)の機能を使えば遠隔でのPC管理も可能なので、その点についても長年のノウハウが活かされていているわけですよね。
坂本 そうですね。インテル® vPro® プラットフォーム自体は、2006年の登場時から実はそれほどリモート管理に関する機能面では変わっていません。つまり、vPro®は基本的にはリリースしたタイミングでほぼ完成していたといいますか、運用管理担当者が欲しい機能は実は登場時にはほとんど搭載されていました。それは、ビジネスPCはいまどこにあり、どういった状態にあるかを管理されているべきで、中身も常に最新に保たれていなければいけないという当社のITの要求から出てきたものです。
セキュリティの“基本のキ”は結局のところ、OSとアプリケーションを最新状態にしておくこと。だからこそ、インテル® vPro® プラットフォームにも遠隔管理の機能が備わっているということです。
小林 ユーザー企業がビジネスPCとしてインテル® vPro® プラットフォームを選択する理由にはどういったものがありますか。
坂本 先ほどパフォーマンスの話が出てきましたが、PCは多種多様な部品の集合体で、CPUはもちろん重要であるものの、単にCPUだけ速ければいいというものでもありません。車と一緒ですね。エンジンだけでなくボディーもブレーキも大切だということです。ですから、CPUのパフォーマンスとひと口にいってもパワーだけでなく省電力性能、グラフィック、Wi-Fi、入出力部分のThunderboltも含めて全体のバランスを上げていかなければ、ユーザーの使い勝手は良くならないわけです。
そして、これもいま話題に出た遠隔管理。機能更新は企業の管理者のみなさんが頭を悩ませるところでして、それを遠隔で効率的に行えることからインテル® vPro® プラットフォームを選択いただくケースも多くあります。
八角 あってはいけないことですが、現実的にはIT部門が管理できていないPCもやはり存在します。これはそもそも統制の面で重要な課題ですが、テレワークが浸透したことで、その精度は落ちている実感があります。つまり、全員がオフィスに出社しているときのほうが管理の精度は高かったということですね。やはり在宅でVPNにつなぐというプロセスが入ると、本来情報を取れるタイミングでうまく取れないなど、トラブルポイントが増えるのは当然のことかもしれません。
坂本 そうですね。従来の一般的な管理ツールはイントラネットの内側を想定しているので、社内ネットワークの外に出た瞬間に通信できなくなるというのは大きな課題だと思います。
八角 もちろん実際の運用では細かいところでコントロールしているのですが、どうしても管理が届かない部分はあり、そのリスクは考慮していかなければなりません。もちろん、IT部門の工夫でそれを防ぐことも行っていますが、そもそもの仕組みの部分で防ぐことができるならば、やはりそのほうが理想的です。私もできればその方向に持っていきたいと思っています。
ランニングよりイニシャルにコストをかける意味
小林 その意味では、導入後のセキュリティや運用管理を考えると、PCの導入に際してはイニシャルにこそ、コストをかける意味があるし、ランニングコストも下げられるということですよね。
八角 まさしく。さらにいえば、当社はこれまで社内すべてが同じネットワーク、同じドメイン、同じデバイスで運用していたところが、いまはグループ会社が増え、ネットワークやドメイン、端末の管理がそれぞれ異なっています。そうしたところに対して今後いかに管理統制を利かせていくかを考えたとき、インテル® vPro® プラットフォームの運用管理やセキュリティ面でのアドバンテージは、私としても大いに興味を惹かれるところです。
小林 まさに、インテル® vPro® プラットフォームがあればそうした基礎的な部分はインテルが担保してくれると考えていいわけですね。
坂本 はい。動作を担保するという点でいうと、インテルはもちろん、私たちがお願いしている部材やファームウェアを採用し、そのうえで非常に厳しいテスト項目をパスしていかなければならないので、その意味ではPCメーカーにもかなりのご負担をかけています。ですが、そこまで突き詰めているからこそ、みなさんに安心して使っていただけるプラットフォームになっていると確信しています。
また、歴史が長く多くの企業に採用されているということは、当然ながら不具合が見つかるのも早い。リリースから17年経つインテル® vPro® プラットフォームは、その長年の実績から、いってみれば “熟練された設計”になっており、それが安定性や安全性の部分にも寄与していると思っています。
八角 そこが、管理者側からすると本当に重要なんです。
坂本 そうですね。なるべく“標準”でアプローチしていくことで、管理もしやすくなりますし、やはり安心だと思います。
小林 信用性も高いですし、標準であれば運用コストも下げられますね。
八角 当社は端末台数でいうといま1万数千台。私が入社した当初はまだ3000台程度で、最悪パワープレーでどうにかなったのですが、いまはもう無理なので、やはり良い意味で“枯れた”、スタンダードなものをという視点は重要になっています。
“熟練された”標準こそが打ち出せるメリット
小林 周辺デバイスやソフトウェアとの相性という意味でも、インテル® vPro® プラットフォームの練度は強みとなります。組み合わせの評価の手間も減るでしょうから、言ってしまえば、インテル® vPro® プラットフォームはいままさにIT管理者が選ぶべき技術になってきた、ということですね。
八角 新しいPCの選定については、これから具体的に管理機能などの評価を進めていく段階です。そこでどういうコストメリットが出せるのか。わかりやすくいってしまうと、インテル® vPro® プラットフォームを採用したとしてすぐに見えるメリットがあれば、会社としてもコストバランスを取りやすいですね。やはりコストは意識しなければいけない課題なので、セキュリティや運用管理を勘案しながら評価を進めていきます。
いま想定しているインテル® vPro® プラットフォーム採用のメリットとしては、安定性はもちろん、やはり端末管理の精度、正確性ですね。たとえばアップデートやパッチが当たっていないPCを、電源がオンでもオフでもすぐ把握できるようになる。そこは非常に大きなメリットです。
坂本 1万台を超えるPCの運用を一気に変えるのはなかなか難しいと思いますから、まずは遠隔地にあるPCから置き換えていくだけでも、管理面で大きなメリットを得られるのではないでしょうか。
小林 パフォーマンスの部分で、セキュリティに重きを置きすぎてすべてのコンピューティング処理をクラウド側で実行する……、つまりシンクライアントを採用すると、ビデオ会議がスムーズに行えずかえってストレスが溜まるという話は耳にします。
坂本 はい。まさにその理由で、セキュリティ上どうしてもシンクライアントで動かしたいアプリはシンクライアントで、ビデオ会議のようにパワーが要るものについてはPC側で処理を行わせる(ファットクライアント)という企業も増えていますよね。
その意味では、より快適に使えるノートPCのプラットフォームとしてインテル® Evo™ デザインのインテル® vPro® プラットフォームという選択肢も考えられます。PCを中心に置いて仕事をしており、応答性の高さや薄さ、軽さ、そしてバッテリーの駆動時間も含め、あらゆる面で高い基準を必要とし、最上の体験を求めるお客様には、ぜひEvo™を選んでいただければと思います。
小林 私も、まさかインテル® Evo™ プラットフォームが全社員に来るとは思っていませんが、もしも選択肢があるなら1台欲しいなと思い始めています(笑)。
坂本 よくいわれる話として、PCを買うときの1台1万円はものすごく気にするのですが、オンサイトの運用管理にかかるコストはなかなか気にされません。むしろそっちのほうが圧倒的にコストと労力を要するのですが……。
だからこそ、更新までの4年間なら4年間、PCがいかに健康で無事に過ごせるかを念頭に置き、そのために費やすコストと労力をいかに抑えられるか。IT部門としてはそこを考え、PCを選定していくことが大事になると思います。
小林 パフォーマンス、セキュリティ、そして運用管理。これらにおいてインテル® vPro®プラットフォームというブランドが提供する価値は、インテルが20年近くの時間をかけ培ってきた安心と安定にあるといえます。また、現代のビジネスシーンにおいては、コスト面でのメリットも見出せる。ビジネスPCの選定を進める際、管理者の利便性向上と決裁権者の納得、これらを満たす技術としてインテル® vPro® プラットフォームの果たす役割は決して小さくないはずです。
ビジネスニーズに応える
インテル® vPro® プラットフォーム
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